2008年01月


 きょうは行きがかり上、2本目の投稿となります。本日は午後零時15分ごろから約15分間、民主党の外国人参政権付与推進派の議連初会合があり、午後4時すぎから約40分間、今度は慎重派の「勉強会」が開かれました。私はこれまでのエントリで慎重派の「議連」と書いてきましたが、どうも、議連にすると最初から結論と目標を定めてその方向に突き進むという印象があるので、少し弱めて勉強会としたようです。民主党は与党のていたらくの結果、もしかすると次の衆院選で政権が転がり込んでくるかもしれないという大事なときにあるので、できるだけ波風立てたくない、党内政局にしたくないという配慮のようです。

 まあ、推進派は党内をまとめて法案を提出すると明言しているのですから、正直なところ、慎重派は文字通り「慎重すぎる」と感じました。とはいえ、出席議員は23人と、推進派の20人弱に比べわずかに上回りました。会合では、党最高顧問の渡部恒三氏が代表世話人に就任したほか、推進派の動きに対し、「こういう大事な問題はもっと党内で議論すべきだ。いきなり議連でやるのではなく、党内の正式な部門会議などで開かれた議論をする必要がある」という意見が大勢を占めたようです。渡部氏は冒頭、こうあいさつしました。

 《外国人参政権の問題は、長い間議論されてきたことであり、非常に大事なことだ。だからこそ、2点だけお願いしたい。一つは、初めに結論ありきではなく、国民の皆さんに問題が理解されるにはどうしたらいいかを勉強していくということ。二つめは、わが党はこれからいろいろあるというときに、党内にヒビが入るということのないように挙党一致でことに当たることだ》

 また、西岡武夫氏のあいさつは《この問題は日本の国のありようにかかわる。私自身も真剣に取り組んでもらいたい》というものでした。…非常に気を遣っているのが分かりますね。きょうの勉強会では、基本的に参政権付与に反対の立場の議員が多いにもかかわらず、はっきりと自分は反対だと言っていたのは河村たかし氏ぐらいでした。河村氏は以下のように語っていました。

 《民主党で最初に外国人参政権の議論が始まった7年前には、帰化するまでにはだいたい1年ぐらいかかったが、法務省に聞くと今は6カ月から10カ月、平均で6カ月ぐらいで帰化できる。言葉も(帰化の)動機も審査しないと言っていた。平成18年に帰化申請した1万5340人のうち、不許可になったのは255人だ。本当に帰化が難しいのか確かめる必要がある。外国人に選挙権を与えるということは、ちょっと考えると、これはなかなかのことだ。私は反対だが、しっかり考えないといけない》

 会合で配布された参考資料に、河村氏が言及した「過去の帰化申請者数と帰化許可者の推移」(法務省民事局)についての表がありました。参考までに一部、過去5年分をここに掲載します。

         帰化申請者数   うち韓国・朝鮮籍の者  不許可者数
 平成14年 1万3344人         9188人        107人
    15年 1万5666人      1万1778人        150人
    16年 1万6790人      1万1031人        148人
    17年 1万4666人         9689人        166人
    18年 1万5340人         8531人        255人

 河村氏ははっきりとした言い方はしませんでしたが、要は現在、帰化申請したほとんどの人がそれを認められて、別に帰化は手続き・要件的に難しくはないいことを、この数字は表しているように思います。また、松原仁氏は、日韓は相互主義の原則に基づき、韓国が永住権を持つ外国人に地方参政権を与えたのだから、日本も付与すべきだとの意見に対し、数字を挙げて反論していました。

 《相互主義ということが議論されているが、韓国行政自治部によると、韓国にいる日本人6726人のうち有権者は100人だけだ。それに対し、日本で(在日韓国・朝鮮人の)特別永住者に地方参政権を与えると、その数は43万8974人にも上る。相互主義というが、数が全然違う》

 この会合は最初は報道陣にもオープンだったのですが、途中から「内部で議論するから報道は出てください」と言われ、我々は会場の外で、例によって漏れ聞こえる声に耳をそばだてる「壁耳」にいそしみました。でも、議員たちも本気で議論を秘密にしようとまでは思っていなかったようで、だいたい話は外にも聞こえていました(マイクを持って話しているし)。そこで、「そもそも今なぜ、この問題が浮上してきたのか」ということが話題になり、松原氏はこんな風に意見を述べていました。

 《ここでなぜ出てくるのか理解できない。考えられることは、政局を絡めた発想もあったかもしれない。この法案については、公明党は常に賛成であり、一方自民党はそうでもない。その温度差もあったのかもしれない》

 また、長島昭久氏は、韓国の次期大統領の特使が来日して小沢代表と会談した際、小沢氏が参政権付与に前向きな発言をしたことがきっかけの一つかもしれないという見解を示した上で、こう指摘しました。

 《もう一つ、推進派とされる人たちは、民主党のマニフェストではない政策インデックス、つまりマニフェストにまでいかなかった政策の中にある「民主党は結党時の『基本政策』に『定住外国人の地方参政権などを早期に実現する』と掲げており、これに基づいて永住外国人に地方選挙権を付与する法案を提出しました」を根拠にしている。しかし、そこにはこれに党内合意が得られたとは書いていない》

 そうなんですよね。この「結党時の『基本政策』だ」という言い方は、鳩山幹事長が大韓民国民団などのアンケートに答えた回答の中でも言及しています。さて、これをどうとらえたらいいのか。私は会合後の記者ブリーフの場で、「鳩山氏はあちこちでこれに触れているが、勉強会としての認識はどうなのか」と聞いてみました。これに対し、松原氏の答えは次のようでした。

 松原氏 確かに民主党は平成12年7月にはその法案を提出している。しかし、同年12月には党内有志が勉強会を設立し、その後、党内での再検討と国籍要件緩和試案の党内期間での取り扱いを要請し、これらは並立して扱うと部門会議で結論が出た。結党以来、ずっと党としてそういう認識であったということはありえない。機会があれば鳩山幹事長にもはっきりそう言う。最初はそうだったかもしれないが、今の民主党で決めたという話ではない。

 ここらへんの両氏の認識の相違が今後、どうなっていくのか注目したいと思います。この勉強会は、推進派議連が活動を停止し、議論がきちんと党の公式の場で行われるのであれば、今後は特に活動しないが、そうでなければ鄭大均氏ら有識者を招いてヒヤリングなども行っていくとのことです。長島氏は《推進派は議員立法をつくるというよりも、まず党内で議論をすべきだ。どうしても議員立法でというのなら、せめて超党派でやってほしい》とも言っていました。でもまあ、推進派がそう大人しく引っ込むとも思えませんね。渡辺周氏の次の言葉も印象的でした。

 《この問題は極めて国家の根幹にかかわるが、一般国民の関心が高いとは言えない。国民は考えていないというか、分からないというのに近い。だからこそ国会で議論しなければならない。政策論として、国民の皆さんに見える形で議論したい》

 …我々記者が壁耳をしている際に、民社党の松本剛明氏(元政調会長)が我々を押しのけるように会場に入ろうとドアを開け、中を覗いた後に「この部屋は違うね。入ったらえらいことになる」とつぶやいて去っていきました。ありていに言えば間違えただけでしょうが、この会合のある種の位置づけを感じさせる発言ではありました。

 一方の自民党側では、昨日、きょうと人権擁護法案推進の動きがちらほら見え隠れしています。事態はいろいろと新たな展開を見せつつあるようです。目が離せないことが多くなってきました。


 昨日のエントリで書いた通り、本日午後0時15分から、衆院第1議員会館第1会議室で民主党の「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」の第1回総会が開かれたので、取材に行ってきました。総会はわずか15分で、あいさつを除いて特に出席議員からの発言もないままに終了し、取材に来ていた記者らはみな拍子抜けした感じでしたが、とりあえずはその様子を速報したいと思います。まずは総会の写真です。

     

 写真右奥から2番目で、何やら驚いたような顔をしているのが、議連の会長に就任した岡田克也元代表です。岡田氏は、次のようにあいさつしました。

 《この問題は、民主党としては長年の政策であり、悲願でもあった。私も政策責任者だったおりに、この法案を何度か国会に提出しながら、実現しないことに責任を感じてきた。党の中にはいろいろな意見があるようだ。そういった意見にしっかりと耳を傾けながら、多くの人々に理解してもらう中で、党としてしっかり法案提出に持って行く。それがこの議連の役割だ。多様性、多様な価値観を認める日本の象徴が、この法案だと思う》

 何も「悲願」とまで強調しなくてもよさそうなものですが、岡田氏の頭の中ではそういう位置づけのようです。続いて、事務局長に就任した川上義博氏はこう述べました。

 《実はこの議連を政局がらみという人がいるが、われわれは全く政局にしようと思っていない。マスコミの方で、(小沢)代表が何かかかわっているという報道があったが、そういうことも一切ない》

 この川上氏の発言は、1月26日の読売新聞がこの議連について「小沢代表肝いり」「岡田氏の会長就任は『岡田氏が意見調整すれば、党内をまとめやすいと小沢氏が判断したため』(議連関係者)と見られる」などと書いていることを打ち消そうとしたもののようです。私はどちらが正しいのかは分かりませんが、きょうの総会の配布資料の中には、「永住外国人の地方参政権について」と題する小沢氏の意見表明文のコピーが添えられていたことは指摘しておきたいと思います。小沢氏はこう書いています。

 《政治的側面、制度的側面双方から考え合わせ、一定の要件のもとに地方参政権を与えるべきだと考えます。そして、そのことにより日本に対するわだかまりも解け、また、結果として帰化も促進され、永住外国人が本当によき日本国民として、共生への道が開かれることになるのではないでしょうか》

 …私は、小沢氏の主張にはいくつか疑問があるのですが、それはさておき、こうして現在の党代表の意見をわざわざ配ったぐらいですからねえ。まあ、どうでもいいですが。それで本日の出席議員は、ざっと数えたところ20人弱でしたが、名簿上はこの議連の参加議員は65人に達したとのことです。以下、議員名を敬称略で紹介します。

 ■衆院議員(29人)
 赤松広隆、泉健太、岩国哲人、岡田克也、奥村展三、小沢鋭仁、金田誠一、川端達夫、郡和子、小宮山洋子、近藤昭一、佐々木隆博、末松義視、仙谷由人、筒井信隆、津村啓介、中川正春、西村智奈美、鉢呂吉雄、鳩山由紀夫、平岡秀夫、藤井裕久、藤村修、細川律夫、前原誠司、三井辨雄、三日月大造、横光克彦、横路孝弘
 ■参院議員(36人)
 家西悟、犬塚直史、一川保夫、大島九州男、小川敏夫、岡崎トミ子、加賀谷健、神本美恵子、川上義博、今野東、佐藤泰介、工藤堅太郎、武内則男、谷博之、谷岡郁子、津田弥太郎、ツルネンマルテイ、千葉景子、轟利治、友近聡朗、中村哲治、那谷屋正義、白真勲、藤末健三、藤谷光信、松岡徹、室井邦彦、藤田幸久、藤原良信、前田武志、増子輝彦、松野信夫、水岡俊一、梁瀬進、山下八洲夫、横峯良郎

 …私の趣味的な視点で言えば、大ボス、輿石東参院議員会長を除き、日教組系議員はみな加わっていますね。藤井裕久氏は自由幹事長時代は、「本心では反対だ」という趣旨のことを漏らしていましたが、宗旨替えされたようです。この議連は今後、週1、2回のペースで開催され、「議連の会員以外の民主党議員も参加できる形で運営したい」(岡田氏)とのことです。

 さて、本日夕方には、今度は外国人参政権付与の「慎重派」の会合も開かれます。それも覗いてくる予定なので、後ほど報告したいと思います。それではひとまず、一報でした。

 ※追伸 当初は忘れていて後で気付いたのですが、このエントリはこのブログの記念すべき500回目の投稿記事でした。一昨年5月末に始めて以来、約1年7カ月での達成です。さきほど確かめたところ、アクセス数は計523万2801でしたから、平均して毎回延べ1万人以上の方が訪問してくれていることになります。ありがとうございます。ちなみに現在のコメント総数は3万1383、トラックバックは計4548件でした。重ねてお礼を述べたいと思います。


 さきほど国会議員会館をうろうろしてきたら、やはり議員たちの話題は今国会最大の焦点となっているガソリン税などの暫定税率を担保する歳入関連法案の扱い、行方に集中していました。ある自民党議員は今の国会の雰囲気について「にわかに空がかき曇り…」と表現していましたが、与野党の対立の構図がいよいよ明確化し、緊張感が高まっているのでしょう。今朝の産経は「国会は展望が開けぬ闇の中に突入する」と書いていました。

 さて、これはこれでとても重要な局面ではありますが、ここで紙面と同じようなことを書いても仕方がないので、きょうも外国人地方参政権付与問題についてをテーマにします。私は1月9日のエントリ「文書入手・民主党の外国人参政権実現の動きが始動しました」で、民主党内で「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」の参加呼びかけが始まったと書きました。その外国人参政権推進派議連の初会合が、あす30日に開催されることになりました。

 前回のエントリでは、この議連の呼びかけ人として千葉景子、津村啓介、川上義博、白真勲の4氏の名前を紹介しましたが、その後、呼びかけ人には岡田克也元代表が加わっています。未確認情報ですが、岡田氏が会長、鳩山幹事長が顧問に就任するほか、前原誠司副代表も参加すると聞いています。執行部、幹部クラスを表看板にすることで、党内の締め付けを図っているのでしょう。50人以上の参加を目指すそうです。

 一方、この推進派議連に対抗して、同じ30日には、外国人参政権付与に慎重・反対派の初会合も開かれます。たまたま偶然同じ日になったのか、わざとぶつけてきたのかは分かりません。とりあえず、25日現在の呼びかけ人は次の25人で、以下の通りです(敬称略)。

 《石関貴史、市村浩一郎、大島敦、岡本充功、河村たかし、北神圭朗、吉良州司、小宮山泰子、近藤洋介、神風英男、田名部匡省、田村謙治、長島昭久、西岡武夫、牧義夫、松野頼久、松原仁、三谷光男、水戸将史、山根隆治、吉田泉、笠浩史、鷲尾英一郎、渡部恒三、渡部周》

 こちらは、党最高顧問の渡部氏や閣僚経験者の西岡氏を「旗印」に押し立てて推進派議連に対抗しようとしているようです。ただ、この慎重派議連は執行部や同じく推進派の小沢代表にもかなり気を遣っているようで、「勉強会のお知らせ」には次のようにありました。ちょっと分かりにくい婉曲な表現ですが、小沢氏の意向や党内情勢を考えるとこういう配慮も仕方がないのかもしれません。

 「さて、最近の新聞報道にもあるように、継続審議となっている『永住外国人地方参政権付与法案』をめぐる党内論議が始まろうとしております。そこで、この問題について今一度勉強する機会を設けることといたしました。私どもは、『付与』に慎重な立場をとるものの、今回の勉強会は先に結論ありきではなく、ましてや政局絡みの思惑でもなく、ぜひ、多くの先生方にこれまでの党内論議の経緯や基本的な論点などを改めてご確認いただき、今後の党内論議でのご参考にしていただきたいと考えております。国会議員として賛否の判断を下す上で、いずれにせよ知っておかなければならない諸問題を整理し理解しておくことは重要だと考えます。意のあるところをお汲み取りいただき、一人でも多くの先生のご参加をお願いします

 …私は、意のあるところを汲み取りたいと思います。民主党では、平成16年11月にこの外国人参政権付与法案を再提出するために政治改革部門で意見交換をするも結論は出ず、その後は3年以上にわたり、この問題について党内議論は行われていないといいます。

 この外国人への参政権付与問題をめぐって、東京新聞は「小沢氏、自公分断狙う?」(1月21日)、朝日新聞は「与党結束 揺さぶる火種」(1月24日)と与党間の亀裂を強調していますが、読売新聞は「民主に火種」(1月29日)という見方も出ています。まあ、3年以上も党内で意見交換していないのならば、ここは法案提出を急ぐよりも、党内で推進派と慎重派が徹底的に議論し、まずは国民が納得できるようなコンセンサスをつくってほしいものだと思います。

 それをしないでいきなり提出となれば、それは国のあり方の根幹にかかわる問題を政局に利用したと指摘されても仕方がなく、将来に禍根を残す愚行だと批判されるでしょう。少なくとも私はそう批判します。いずれにしろ、明日の二つの会合に何人が集まり、だれがどんな発言をするか注目したいと思います。

         

 おまけの写真です。冷たい雨が降る首相官邸前で、ただ「ああ、信号は赤だな」と思ったら、無性にその瞬間を写真に収めたくなったもので。心象風景、といった大層なものではありませんが、現在の気分に妙にしっくりきたのです。日本の政治情勢にも、早く暖かい日差しと青い空を見たいものです。


 注目の大阪府知事選は、与党系の無所属新人の橋下氏が、民主、社民、国民新党が推薦した熊谷氏をダブルスコアで下し、当選しました。自民党側は「大阪府民の良識が示された」(町村官房長官)と喜んでいますが、まあ実際は、自民党の候補が勝利したというより、橋本氏個人が勝ったという部分が大きい気もします。自民も公明も党本部推薦は出さなかったわけだし。

 とはいえ、ここで勝って今年中に予想される衆院選への弾みをつけたかった民主党にとり、この負け方が痛いのも事実でしょうね。特に、新テロ対策特別措置法の衆院本会議採決という重要な場面を、「大阪で選挙演説があるから」と欠席した小沢氏は、また批判される材料をつくったことになります。しかしまあ、この人は他人に何を言われようと反省することはないでしょうが。そこで、新聞各紙はどう報じているかと見てみました。

 まずは産経から。2面に「自民ひと息 民主『失策』響く」という見出しが出ています。ここでいう「失策」とは、「知名度の高い候補を与党に持っていかれたこと」だとし、やはり《小沢氏が新テロ対策特別措置法の衆院再決議の本会議を途中退席して選挙応援に出向き批判されたことについて、「中央のドタバタした印象が影響を与えた」(与党幹部)との指摘も出ている》とおとなしめに書いています。

 次に読売はとみると、3面に「民主、衆院選戦略に狂い」という見出しがありました。記事のトーンはよりストレートで、《小沢代表が「次期衆院選に直結する戦い」と公言していただけに、党内からは「ガソリンの暫定税率廃止を掲げて福田政権を解散・総選挙に追い込もうと意気込んでいたのに、出はなをくじかれた」(幹部)との声も出ている》《党内では、小沢氏が11日に行われた新テロ対策特別措置法の再議決を棄権したことについて「(敗因の)様々な理由のうちの一つと言えるかもしれない」(鳩山氏)との指摘がある》などと報じています。様々な理由のうちの一つ、ねえ。鳩山幹事長は最近、やんわりとながら小沢氏を批判する場面が多いように感じています。

 毎日はどうでしょうか。やはり2面に「挙党 民主に打撃」という見出しが躍っていました。毎日も詳しく書いています。《「勢いがそがれた。都市部をどうするか、真剣に考えないといけなくなった」民主党幹部は選挙戦を振り返り、まずは反省を口にした》《告示後、小沢氏は2回大阪入り。11日には新テロ対策特別措置法の採決を棄権してまで、新党日本の田中康夫代表と大阪市の商店街を練り歩き、無党派層へのアピールを狙った》《鳩山氏は27日夜、記者団に「(小沢氏の棄権が)全く影響がなかったかと言えば、(敗北の)理由の一つに挙げられるかもしれない」と語っており、ちぐはぐさも隠せない》…毎日は、「与党も勝利感薄く」とも書いていました。

 さて、朝日の扱いはというと、こちらは2、3面ではなく、34面(社会面)に「小沢民主、痛い敗北 総力戦 応援3度も実らず」という記事を掲載しています。記事は、自民党の二階総務会長が24日、「今日も国会は開会中。私どもは、重要な審議はすべてこなしてきた。会議をほったらかして応援に来る人とは違う」と小沢氏を皮肉ったエピソードを紹介しています。また、《総力戦での敗北に、本会議の途中退席が「知事選にもマイナスに作用した」(中堅議員)との不満もくすぶる。(中略)今後の小沢氏の求心力低下につながる芽を残した形だ》と小沢氏の求心力低下に言及しています。ただでねえ、今までにも小沢氏の求心力を低下させるような小沢氏自身の言動や選挙の敗北はたくさんありましたが、民主党はそれでもこの人に頼っているのですよねえ。

 また、細かいようですが、この記事には《(小沢氏の)告示後の大阪入りも3度を数える熱の入れようだった》とありました。毎日は2回と書いていましたが、どちらかが間違っているのか、数え方の違いなのかは分かりません。それだけ小沢氏がいつも隠密行動をとりたがり、担当記者もなかなか行動を把握できないということかもしれません。

 東京2面の「総力戦の民主に痛手 小沢氏の採決棄権影響?」という記事は、この求心力問題に関して《党内では、直ちに小沢氏の求心力が弱まったり、今後の国会対応を悲観する空気はないが、後味の悪さは否めない》と書き、求心力がこれで低下することはないとの観測を示しています。まあね…。

 一方、日経は見出しに求心力低下をとってきました。2面の「民主、国会攻防前に冷水 小沢氏 求心力低下も」 という記事です。リードから《執行部は「国会運営に影響はない」と強弁するが、党首批判が出ている小沢一郎代表の求心力にも影響しそうだ》と一歩踏み込んでいます。また、《今年に入ってからの小沢氏の行動には側近も首をかしげる場面が多かった。前国会の争点だったインド洋給油法の採決を棄権。与党から「本当は賛成なんじゃないのか」とやゆする声が出た》《小沢氏は選挙通を自任するが、そこまで入れ込んだ挙げ句の敗北》などとかなり厳しいトーンで書いています。このあたり、書き手である記者の個性が反映しているのかな、と感じました。

 …と、ここまで大阪府知事選の各紙の記事を読んでいて、ふと産経5面のフジテレビ報道2001の世論調査に目をやると、福田内閣の支持率は33.2%(不支持率56.4%、1月24日調査)とあるのに気付きました。報道2001の調査は、首都圏対象なので全国調査とはいつも微妙に数字が異なるのですが、正直なところ「随分下がったなあ。ついに来るべきときが来たかな」と感じました。

 世論調査と言っても、サンプル数は500人と少ないし、あまりあてにできないことは承知していますが、それでもずっと見ていると参考にはなると思っています。私の机の前には、昨年12月6日調査の同じ報道2001の切り抜きが張ってあり(なんでこんなに支持率が高いのだろうと不思議だったのでとってありました)、それを見ると内閣支持率は50.2%(不支持率42.4%)でした。7週間でちょうど17ポイント下がっています。

 気になったので1月に入ってからの報道2001の調査を確かめると、4日調査は38%、10日調査は36.8%、17日調査は39.6%でした。ずっと3割台ですが、この1週間で6.4ポイントと低下し、過去最低を記録していますね。誤差の大きい調査であることを織り込んでも、低下傾向は本物だろうと思います。福田政権に何かいい材料があるわけでもなく、低支持率の悩みを急に解決する秘策もないでしょうから、支持率2割台も見えてきたかなあと。

 各種調査で2割台がいくつも出てくるようになれば、今年は衆院選が予想されるだけに、自民、公明両党内は浮き足立ち、福田首相では選挙を戦えないという声が高まっていくでしょう。そうなると、もともと「絶対に福田氏じゃなきゃだめだ」という議員など自民党内にもいませんし、本気で福田政権を支えようという人もいないでしょうから、内閣総辞職、自民党総裁選開催、新首相選出…という流れも現実味を帯びてくるなあと、ふとそんなことを思った次第です。でも、ガソリン税の問題も株価急落も、電気・ガス料金値上げも年金問題も、みんな政権への重しになって、支持率の低下要因になっていくでしょうから、いろいろな動きが本当に顕在化してくるかもしれませんね。


 昨日は、映画「南京の真実」の完成披露記者会見に行ってきました、実はその時点では記事にできるかどうかは決まっていませんでした。たとえ趣旨に賛同していようと、政治部として特定の映画のピーアールを紙面で行う形になるのは少しまずいからです。事前に上司にも「政治家が何か発言するならともかく、政治面では載せにくいな。ブログで書けばいいだろう」なんて言われ、どうしたら取り上げられるかな、と考えながら会場に向かいました。

 ところが、案ずるより産むがやすし、というのとはちょっと違いますが、会場には自民、民主、無所属の計8人の議員が来ていて、それぞれ非常に興味深いあいさつをしていました。映画そのものも内容の紹介は難しくても、これは記事になるなとデスクに売り込み、以下のような記事を書き、政治面に掲載されました。イザニュースにもアップされています。

南京事件「子供に本当の歴史を」

 昭和12年の南京攻略戦や極東国際軍事裁判(東京裁判)の実相を検証する映画「南京の真実」の第1部「七人の『死刑囚』」の完成披露記者会見が25日、東京都内で開かれ、自民、民主両党などの保守系衆院議員8人が出席した。それぞれが異口同音に、中国の宣伝工作に負けずに子供たちに正しい歴史を伝える重要性を強調した。
 昨年から今年にかけ、中国や米国では約10本の南京事件をテーマとした映画が製作され、日本軍の残虐行為や被害者数を誇大に描いている。
 「われわれが政治家として受けて立たないといけない課題だ。仕掛けられている思想戦に勝たないといけない」
 無所属の西村真悟氏がこう指摘すると、民主党の渡辺周氏は「歴史の捏造(ねつぞう)は、中国にとって何の罪の意識もない」、松原仁氏は「まだ中国の手が回っていないところで、いかにして防護さくをつくるかが重要だ」と呼応した。
 一方、自民党の赤池誠章氏は「一番の問題は日本の中に(外国勢力の)協力者がいることだ」と述べ、稲田朋美氏も「日本ほど自国の名誉に無関心な政治家の多い国はない」と語った。また、元文部科学相の中山成彬氏は「日本の子供たちにとって残念なのは、本当の歴史を(偏向した)教科書からは学べないことだ」と現在の教科書のあり方を批判した。》

 ただ、当番デスクに「こういう記事が書けます」と売り込んだり、議員の発言を精査して記事を書いたり、予想される問い合わせに答えるために待機したりする必要が生じ、残念ながら記者会見を途中退席することになりました。冬季で、東北地方の降雪などで締め切りが早くなっている事情もあって仕方がなかったのですが、最後まで会場にいられなかったのは残念でした。記事にはできないと判断すればずっといられたのにと変なジレンマを感じます。

 上の記事の通り、出席議員からは気合いの入った言葉が聞けてなかなか有意義だったのですが、いかんせん紙面では発言の一部のそのまた一部しか紹介できません。この記事は11字組で50行なのですが、本当に発言の詳細を伝えようとすれば300行ぐらいになってしまい、一つの面の半分はそれで埋まってしまうということになります。各部署の記者がそれぞれ読者に届けたい記事があって、なかなか私が面白いと感じたことに、自由なスペースがもらえるものではないし、内容によって扱いの大きさの「相場観」みたいなものがあって、現場記者にはどうしようもないのだと言い訳をしておきます。

 というわけで、紙面では到底書ききれなかった8人の参加議員の発言をメモがとれた範囲で紹介したいと思います。ブログは便利だなとつくづく思います。以前なら、記事に書ききれなかったことを何とか伝えられないかと悔しい思いをしたものですが、今はこうして報告できるのですから。国会議員で最初にあいさつしたのは、今月9日に息子さんを亡くしたばかりの西村真悟氏でした。よく分からない理由で国会の本会議やダボス会議をドタキャンする某党代表に爪のあかでも飲ませたいところです。

 西村氏(無所属) 政治家である我々がなぜここに来たのか。「事実の認定を政治的立場で歪めることは、最大の不正の一つだ」という言葉がある。(南京問題は)政治的立場で事実の認定を歪めるという政治闘争であり、我々が政治家として受けて立たないといけない課題だ。鉄砲の玉が飛ぶのだけが戦争ではない。思想戦というものがある。これに負ければ民族の魂が滅ぼされる。我々は今仕掛けられている思想戦に勝たなければならない。私はこの戦いに立つために政治家になっているようなものだ。

 戸井田とおる氏(自民) 私は自民党の議連(日本の前途と歴史教育を考える議員の会)で南京問題小委員長を引き受けた。実は私の父が(東京裁判日本側弁護人の)清瀬一郎氏の秘書を長いことやっていた。その流れをくむ者として、何かをやらないといけないという思いでいた。(小委員会では)南京は通常の戦場以上でも以下でもなかったと結論づけた。そして総括文の発表をしたが、その中で反論と言える反論は出てこなかった。我々が政治に携わる人間として何をやらなければいけないか。まさに、一次資料を精査し、資料を公開できる態勢をつくっていく必要がある。

 渡辺氏(民主) 昨年私は、盧溝橋の抗日記念館に行った。相変わらず30万人虐殺(の記述)があり、そこに飾られているパネルが、日本軍とは関係のないものであると歴史が証明していることがそこに展示されている。また、馬賊、山賊を成敗している一体いつのものか分からない写真が、あたかも日本が戦時中にやったとして陳列されていた。ちょうど地元の若い人たちが反日教育の一環で連れてこられていたが、これを見たら日本に対する言いようのない憎しみを覚えるだろう。中国は、一番この地球上で著作権にうるさいルイヴィトンだろうとディズニーだろうと、全部捏造し、偽造する国で、偽物が蔓延してそれを屁とも思わない。歴史を簡単に捏造することは、彼らにとって何の罪の意識もない。この問題は、党派を超えて国会の場で日本の政治家として取り組みたい。

 松原氏(民主) 南京の問題は、たとえて言えば、客観的資料を見る限り、大虐殺がなかったことを証明する資料はあるが、あったことを証明する資料はない。その前後に南京の人口が減っていないことを、国民党政府が人口統計で持っている。また、(当時の国民党の)300回の記者会見でも、直接(南京事件に)触れることすらしなかった。これは逆に言えばなかった証明とも言える。なかったことは明確だと言い切って構わないと思う。問題は、西村氏も言っている通り、これを思想闘争として中国側は使っている。中国の教師用教本は、歴史教育を思想闘争の一環としてやると書いている。事実は問題ではない。我々の議論、真実が世界で認知されることが大事だ。正しい歴史をどうやって米国の世論に訴えるのか、EUの世論に訴えるのか。また中国の手が回っていないところで、いかにして我々が防護柵をつくるのかだ。昨年11月に拉致問題で平沼さんらと米国に行った。ヘリテージ財団の極めて紳士的で親日的な学者すら、南京大虐殺を信じている。その理由は、中国人じゃない人間がそう書いているからだという。私は、大虐殺が真実だと言っている人物は、中国国民党のスパイで御用学者だと言ったが、彼らを説得するところまでは時間がなかった。そういう人たちにも我々の主張をきちんと発信し、事実を読んでもらうねばり強い努力が必要だ。

 田村謙治氏(民主)  民主党の若手には、相当いわゆる保守系の人間がたくさんいるということを、ご認識願いたい。日本と日本人の誇りと未来のために、日本人が正しい歴史認識を持てるよう努力していく。また、中国との戦いに負けないために頑張っていきたい。

 赤池氏(自民) 昨年来、沖縄戦の教科書問題もあった。今国会では人権擁護、外国人地方参政権問題と、さまざまな課題が出ているが、すべてこれは南京とも共通している。政治が、国家、国民をどう守っていくかすべて共通する課題だ。拉致もそうだが、対外的な部分は分かりやすく、戦いやすいが、一番の問題は国内に、日本の中でいわゆる(外国勢力の)協力者がいることだ。

 稲田氏(自民) この国ほど、自国の名誉に無関心な国、また無関心な政治家が多い国はないんじゃないか。昨年は米国で慰安婦決議があった。20万人の若い女性を朝鮮半島から強制連行し、セックススレイブにして殺害したり、自殺に追い込んだりした、日本の首相は公式に謝れ、日本の子供達に20世紀最大の人身売買だと教えろという、まったく事実と違う決議がなされた。民間の杉山こういちさんという作曲家が私財を投じ、事実はこうだと広告を出した。私が賛同者として名前を連ねたことにすら、政治家やマスコミから批判された。悔しい思いをした。一体この国はどうなっていくのか、名誉を守る気持ちはないのか。昨年は安倍総理が退陣された。戦後レジームからの脱却という本当に素晴らしい理念を掲げた総理が退陣されたのは残念だが、私たちは戦後レジームからの脱却を引き継いでいかなければならない。私がA級戦犯の分祀に反対するのは、戦後レジームからの脱却の中核にある東京裁判史観を正当化することはできないというその一点だ。

 中山氏(自民) 私は自民党の日本の前途と歴史教育を考える議員の会の会長で、去年は南京事件を検証する小委員会をつくり、原資料にあたって検討した結果、(南京事件は)通常の戦争であり、それ以上でもそれ以下でもないという結論を出した。(その発表時には)内外のマスコミがたくさん憲政記念館に来て、いろんな質問も出た。ところが結局、どこも取り上げてくれなかった。自分の社の方針と違うことは載せないと、まさにねぐられた。残念だが、これが日本の現状なんだと思う。この前の沖縄戦の教科書検定についても、「軍の関与があったという事実が削除された」という全くの誤報に基づいて沖縄の人々が怒った。もう少しマスコミの方々も公正な立場で報道してほしい。私は日本史こそ必須にすべきだという考えを持っているが、間違った教科書で子供に教えている。これだったら、必須にする必要はないと逆に思ってもいる。日本の子供たちは残念ながら、本当の歴史を教科書から学べない。それ以外のことで日本の歴史を学ばないといけない。日本の教育は本当に間違っている。いま政治は非常に内向きになって矮小化されているが、日本は本当に恥ずかしい状況だが、世界の中で生きていかなければならない子供たちに正しい真実を伝える努力をしていかなければならない。

 …この議連小委員会の報告は、産経は昨年6月20日の紙面で(大きくはありませんが)取り上げているので、中山氏の言い方は正確ではありませんが、言わんとすることはよく理解できます。私はこのブログで国会議員の方々のことをボロクソに言うことがたまにありますが、この八人の議員の主張や現状認識、問題意識はよく理解できるし、納得できるものだと思います。問題は、彼らは決して多数派ではないということですね。

 この日の記者会見で、監督である日本文化チャンネル桜の水島総社長は、「政治闘争をするためにつくられた映画ではない」と述べ、映画を通して一人ひとりに真実は何かと考えてほしいという趣旨のことを強調していました。ただ、政治家には政治の場できちんと闘ってほしいと思います。逆風も強いでしょうが、決して引かずに強い信念を持って立ち向かえぱ、相手の方が弱気になり、腰砕けになるものだとも思います。

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