このブログを始めて1年10カ月余、累計アクセス数が600万を超えました。ありがとうございます。もとよりいたらないところの多いのは自分でも重々承知していますが、玉石取り混ぜて(といっても「玉」はあまりないでしょうが)なんとかいろいろな情報、見方を訪問者のみなさんに提供したい、そして共有したいと思ってやってきました。ことの是非の判断、どうとらえるかは読んでくれた人にお任せするとして、とにかく知り得たこと、思ったことの中で、あまりメディアに流れないようなこと、一部しか報道されないことについて、書こうと心がけてきました。それが成功しているかどうかは分かりませんし、ときには反発を買うような内容になってしまうこともありますが、とりあえず、これだけたくさんの人が見にきてくれたことに感謝します。
エントリでの表現や内容に関しては、新聞紙面とは書き分け、より本音や、紙面ではそのまま載せにくいような部分についても、あえて書くようにしています。そのため、ときどき、メディアの人間がスラングのような表現を遣うのはどうか、品がないなどとお叱りを受けることもありますが、紙面と同じようなトーンで、似たような抑制をかけて書くのでは、ブログの意味が薄れるかと思っています。あるいは、それは私の勘違いかもしれませんが、これまではそうしてきました。
もちろん、ここが記者個人の私的意見・主張の表明の場であるにしても、所属名を明らかにして、産経デジタルのサイトで書いている以上、完全にフリーな立場とは言えないでしょうし、知り得た情報そのものも、産経の記者として取材、入手したことが多いわけで、社と無関係というわけにはいかないのもそうでしょう。某県庁からは、新聞の取材だと思って話したことが、ブログに掲載されたと抗議を受けたことがあります。これは境界線が難しく、その話が紙面で記事になると判断したらしていましたし、ならないと判断した部分を匿名でブログで短く引用したことへの抗議でした。
これについては、県庁という公的機関の公の見解を紙面で載せようと、ブログで書こうと、情報公開の視点に立てば何の問題もないように思ったのですが、それを心外に思う人・団体があるのも事実ではあるのでしょう。だいたい、取材上知ったことをブログに書けないのであれば、記者ブログは意味がないというか、成り立たないものだと思います。
会社は、私の対応を問題ではないとしているようですが、こうした点は、記者ブログという試み自体がまだ歴史が浅く、何がよくて何がダメなのか、そもそも何をかくべきで、何は書くべきでないのか…といったことが、まったくルール化されておらず、試行錯誤状態のままなので、今後もいろいろとあるだろうなと正直思っています。各記者の良識やセンスに委ねられているというか、最初から記者は放り出されているというか。今のところイザでは、大きな問題は起きていないようですが、社のスタンスも基本的には「問題は起きたときに考えればよい」というものであるようです。
また、取材先から「読んでいますよ」と言われることが多いのも、これはけっこうプレッシャーを感じます。私は以前から、記者が匿名性の中に逃げ込むのはやむを得ない場合を除いてよくないと考えてきたので、ブログを読まれても「望むところだ」と思うべきかもしれませんが、新聞記事のような抑制、角を丸めた表現を通じてではなく、剥き出しの本音そのものを知られ、手の内を公開した形で取材を続けるというのも、なんというかまあ…。もちろん、私のブログなんて全然知らない取材相手の方が多いのでしょうが。どこまで本音で書くか各記者ブロガーの裁量なので、こういう点もまた自業自得ではあるのですが、自由に何でも書けるというのは、その分、良くも悪くも結果が自分自身にはねかえってくるものだと実感しています。当たり前ですが。
…何だかよく分からないエントリになりましたが、改めて、今まで私の拙いブログにお付き合いくださりありがとうございます。
※追記 きょうの関東南部は土砂降り状態で、桜の花もだいぶ落ちてしまったようです。外務省の前でも、歩道が桜の花びらを敷きつめたようになっていました。…今年ももう4分の1が過ぎ、明日からは新年度ですね。新しく入学した学生さんや、新社会人の人たちが、将来に希望を持てるような社会であってほしいと心から願います。