2008年06月


 先日の話ですが、山梨県の某教員から、私あてにファクスが届きました。内容は、6月23日の朝日新聞朝刊3面に掲載された自民、民主両党の参院議員会長の対談記事のコピーで、民主党の輿石東参院議員会長の次の言葉にアンダーラインが引いてありました。

 「私の政治信条は、ぶれない、逃げない、ウソつかない

 …私のブログにスタート時から訪問してくれているみなさんには、この言葉がどれほど天に唾するような厚顔無恥のセリフであるかを理解していただけることと思います。ファクスを送ってくれた教員の怒りが私にも即座に伝染しました。教員は、「闇献金のことを全国に知らしめたい」という趣旨のことも添えていましたが、私もそのことについて改めて思いを新たにした次第です。

 といっても、私が何にそんなに憤っているか、新しい読者のみなさんには分かりにくいと思いますので、本日は、輿石氏に関する過去エントリ20本を紹介します。もう読んだという方には申し訳ありませんが、是非知っておいてほしいことなのでご勘弁ください。興味を覚えた方に読んでいただければ幸いです。

 ■2006年
  ・6/13   命がけの告発と民主党1、同2、同3
  ・9/20   まったく懲りない輿石東・民主党参院議員会長
  ・9/23   証拠写真・山梨県教組の輿石氏支援選挙活動
  ・10/3   民主党と日教組と教育基本法
  ・10/13  しぶとい・民主党・輿石東氏の言行録
  ・10/14  続・証拠写真・山梨県教組の資金カンパ
  ・10/31  日教組出身議員とはどんな存在だろうか
  ・11/19  告知・山教組問題を追及する集会と輿石氏
  ・12/18  驚き・毎日が山梨県教組問題を取り上げている!
  ・12/19  朝日新聞山梨県版が伝える山梨県教組の実態

 ■2007年
  ・1/12   山梨県教組・元気に政治活動しています
  ・1/14   法令違反全開!?山梨県教組が個別訪問で投票依頼
  ・5/10   参院選・与党敗北で輿石東参院議長が誕生!?
  ・5/14   山梨県教組が着々と復権しつつあるようです(怒)
  ・5/20   山梨県教組の選挙活動はお墨付きをもらいました
  ・8/23   週刊新潮が書いた民主党・輿石東参院議員会長はこんな人

 ■2008年
  ・2/17   民主・輿石氏がやたらと意気盛んなのでちょっと昔の写真を
  ・6/11   図に乗っている輿石氏に覚えていてほしい文科省通知

 …こういう人が、「ネクスト副総理」だなどと持ち上げられ、この世の春を謳歌し、自分のことを「ぶれない、逃げない、ウソつかない」などと臆面もなく自賛しているのを見ると、本当にこの世の不条理を感じます。また、記者としての己の無力さ、ダメさ加減も。
  


 さっき、月刊WiLL8月号に載っているジャーナリストの尾形真人氏が書いた「創価学会に手をつっ込んだ小沢一郎」という記事を読んでいたところ、小沢不動産問題について言及があったのが目を引きました。尾形氏は、6月4日の東京高裁が、小沢氏の名誉毀損だとの訴えを棄却したことについて、共同通信が小さな記事を配信したほか、ほとんどの新聞が取り上げていないことに疑問を示し、次のように記していました。

 《六月四日の高裁判決でも、小沢は再び実質〝敗訴〟したわけで、その意味するところは、政治的にきわめて大きい。ところが、奇妙なことに、この六月四日配信の「共同通信」のニュースは、ほとんどの新聞で記事になっていないのだ》

 《「六月四日の高裁判決を見守っていた国税、地検特捜部がいよいよ動き始めるのではないか」といった情報も、いま永田町を徘徊し始めている。多くの国民は六月四日に、小沢関連でそうした重要な判決があったことに気づいていない》 

 …実はうかつなことに、私はこの判決について当日は全く気付かず、ようやく2週間後になって関係者に聞いて知った次第でした。あとでインターネットで検索すると、確かに共同配信の記事をいくつかの新聞社がネット上にアップしていましたが、目立つようなものではありませんでしたしね。確かめると、産経の司法担当記者はこの判決のことを知っていましたが、特にニュース価値があるとは判断せず、記事にしなかったようでした。

 また、尾形氏が指摘するような「永田町のうわさ」は、少なくともまだ私の耳には入ってきていません。国税も地検も社会部の管轄なので、政治部の記者にはなかなか動きは分かりませんし。国会の方でも最近は、政治とカネの問題が取り上げられることはないので、私のアンテナが錆び付いているのか、そんなうわさはそれほど広まっていないのか。

 ともあれ、私も判決文を入手して読んでみたのですが、これがなかなか興味深い内容でした。要は、名誉毀損の事実を認めなかっただけでなく、小沢氏の主張にも疑問を示しているのです。産経は遅ればせながら21日付朝刊3面で、この件について次のように報じています。イザニュースでもアップされていたので、読んだ方もいるでしょうね。

 小沢氏不動産は「陸山会のものとは断定できず」 東京高裁

 民主党小沢一郎代表が、隠し資産を所有しているかのような記事を「週刊現代」に書かれ、名誉を傷つけられたとして発行元の講談社などに損害賠償を求め、小沢氏が敗訴した今月4日の控訴審判決の中で、小沢氏が資金管理団体「陸山会」の所有とし、自身の個人所有ではないとしている不動産資産について「各マンションが陸山会のものであると断定することはできない」と認定していたことが20日、分かった。 

 また、陸山会自体に関しても「(運営の仕方などについて)第三者が知る機会は保証されておらず、権利能力のない社団としての実態を有するかどうかは不明」と指摘している。

 小沢氏は昨年2月の記者会見で、陸山会が都内などに計13件総計10億2000万円の不動産を購入しており、登記簿上の所有者は小沢氏となっていることについて、「私個人としては何の権利も持っていない」と主張。自身の名義になっている理由に関しては「権利能力なき社団である政治団体での不動産登記は認められておらず、登記は個人名で行われるべきことになっている」と説明していた。

 小沢氏は、週刊現代が平成18年6月3日号で「小沢一郎の“隠し資産”6億円超を暴く」との見出しの記事を掲載したの対し、6000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたが、1審の東京地裁は「前提事実の重要部分は事実」として請求を棄却。2審の東京高裁も4日、1審判決を支持し、控訴を棄却した。》

 
これは、12字組で50行の記事で、決して小さな記事ではありませんが、判決文そのものについては必要最小限しか載せられませんでした。そこで、この場で関連部分を紹介します。裁判官独特の切れ目なくだらだら続くわかりにくい文章ですが、以下のような感じです。

 《本件各マンションが、控訴人らが主張するように、陸山会のものであるかどうかは、陸山会が、権利能力のない社団の成立要件、すなわち、社団としての組織を備えているか、団体内部において多数決の原理が行われているか、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が画定しているかどうかによって左右されるところ、これらに関する事実関係について第三者が知る機会は保障されておらず、本件事実関係の下では、陸山会が権利能力のない社団として実態を有するかどうかは不明》《したがって、本件各マンションが陸山会のものであると断定することはできない》

 判決は、だからマンションは実質的に小沢氏のものだとまで言っているわけではありませんが、小沢氏の主張についても認めませんでした。高裁レベルでこういう判決が出たことの意味は重いですね。小沢氏が最高裁に上告するのかどうかは分かりませんが、二審が一審判決を支持しただけでなく、むしろ補強するような判決を出しているわけで、最高裁で争っても結果は厳しそうな感じがします。

 本当に国税や地検が動くのかどうか私には分かりませんが、この判決はもっと国会でもマスコミでもそれ以外でも注目されていいように思います。何せ、いまや時期首相の有力候補となった人物がかかえる問題なのですから。どうでしょうか。


   

 きょう、京都出張から帰りの電車内でふと中吊り広告を見上げ、思わず「上手い!」とうなってしまいました。これを見て、何となく、中国はやはり「礼の国」だなあなどと、つい中国を見る視線を和らげ、温かい気持ちになってしまう人が少なくないんじゃないかと。これは効果的だと感じました。ぜひ日本も、この手法は見習うべきだと。21世紀は今までに増して情報戦が重要であり、また、国民世論がすぐに政治に影響を与える時代なのだし。


     

 この写真は昨日午後、G8外相会合のインターナショナル・メディア・センターが置かれた京都市の国立京都国際会館の廊下に、外国人記者向けに資料として提供され、ひっそりと並べられていた拉致問題の資料です。横田めぐみさん拉致事件を描いた英語版の漫画「Megumi」(写真左上)が目を引きました。

     

 そして、これが今朝撮った同じ場所の写真です。「Megumi」はすべてなくなっていました。また、同じくめぐみさん拉致事件のDVDや拉致事件全体を紹介するDVDもだいぶ減っていました。多くの外国人記者が手に取り、読んだか持ち帰ったということでしょう。G8外相に同行して日本に来た各国の記者たちは拉致事件について聞いたことがある程度で、ほとんど何も知らないと思います。こうした地道な広報活動が世界に拉致問題への関心を広め、早く実を結ぶ日が来ることを祈っています。

 拉致問題をめぐる闘いはまだまだこれからですね。

 


 きょうはこれからG8外相会議取材のため京都に向かいます。北朝鮮による核申告があるとされる本日は、外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長がヒル米国務次官補と会談する予定ですし、あすは高村外相とライス国務長官も会うことになっているので、気が抜けません。というわけで、まだ前エントリでいただいたコメントへの返事も残っているのですが、取り急ぎ、報告しておきます。

 あまり報道されていないと思いますが、昨日、自民党の人権問題等調査会の太田誠一会長が首相官邸を訪れ、福田首相に人権擁護法案の党内論議の状況などを報告したようです。福田氏との面会後、記者団の質問に答えた太田氏は、なぜか不気味な
にやにや笑いを絶やさなかったそうです。以下はそのやりとりです。

 

 《記者 総理とは、どのような話を、法案の話か

 太田氏 人権救済法と言うんですよ。名前が変わった。人権救済法の取扱いについて、相当の譲歩、反対をされる方々に対して相当な譲歩をしながら、ソフトランディングを目指していきたい。断念することはないという、永久にやってもいいと。永久にやってもいいと。断念しないと。ソフトランディングを目指しているという報告をしまして、どういう様子かという話を今、説明をしましてですね、それで了解をいただいた

 記者 総理の了解というのは具体的には、どういう

 太田氏 いやいや。(苦笑)ソフトランディングをしようとしていることを了解したと。ソフトランディングをしようとしているという、今の姿勢について了解をしてくれたと。(何故か一人で笑う)

 記者 臨時国会に法案化して、総理に報告されたのか

 太田氏 いやいや。そういうことは言わなくても、要するに、合意ができたらすぐに出しますよ。ね。だけど合意ができるまでは永久にやると。

 記者 それについて、総理はどういう言葉で答えたのか

 太田氏 「どうなってんの」という感じ。ですから、こうなってんですよと。

 記者 引き続き・・・

 太田氏 そう。わかったと。

 記者 調査会は、これから議論をしていこうということに対しては前向きな姿勢というか、後押しをするというか

 太田氏 (噴き出して)ソフトランディングをすると言ってるわけだから、それでいいと言ってる。

 記者 それでいいと?

 太田氏 それでいいと。わかったと

 記者 議論の再開は臨時国会召集後ですけど、どういう風にソフトランディングさせていくかについての話はされたんですか

 太田氏 ともかく、永久にやるんだから、別に慌てなくてもいいし、段取りも考えなくてもいいし、十分時間はある。言うことがなくなってきているということもあるんでね。同じことが理解されるようになってきたということはあるわけだから。答え出して、私たちもちゃんと。批判されてる論点についてはちゃんと答えていますんでね。

 記者 一定のところで一任を取り付けるというような形は考えているか

 太田氏 一任じゃなくて、もう、私の案を出してるんだから。それを修正する以外にないでしょう。一任っていうのは、その後。案を作るから、あとはお任せくださいでしょ。一任なんかしてないでしょ。当然。私の案に賛成か反対かということですから。

 記者 多数決も辞さないと

 太田氏 いや。そういうことは。多数決するなんて言ってなくて、要するにソフトランディングをできるようになるまで、修正をずっとやっていくと。

 記者 私案に対して総理からなにか、コメントは

 太田氏 いや。そんなこと説明したら時間がかかるじゃないですか。15分くらいかかる。説明したら時間かかるじゃないですか。15分くらいかかる。(皮肉っぽく)あそこ(調査会)に来てる記者様は、それはね、来てる記者様に話すのなら、10分くらいで済むけども、知らないけれども、0から説明したら、15分くらいかかっちゃう。

 記者 その案の中身について総理から、特に何か

 太田氏 中身わからないじゃないですか。言葉をさあ。差別的取扱いとか、説明しなくちゃいけない、全部。不法行為とか全部。不法行為とか説明するだけで、5分くらいかかる。》

 やれやれ、太田氏はあの調査会での不毛な論議を「永久にやる」つもりなのだそうです。長丁場の根気勝負に持ち込もうということでしょうが、どこかが壊れてしまっているのかもしれませんね。本当に、福田政権の成立以降、自民党と日本社会の悪いところが一気に表面化し、自ら主張し、正当化し始めたように感じます。国のトップ、リーダーはつくづく重要なものだと思います。

 それにしても、太田氏の話でははっきりしませんが、福田首相は何を「了解した」のでしょうね。いずれにしろ、福田氏の本心は人権擁護法案の推進にあることは間違いないのでしょうが…。

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