2008年06月


 このところ、北朝鮮との実務者協議と制裁措置の一部緩和、東シナ海のガス田問題の日中合意など外交案件が多いので、外務省担当の私はバタバタしていて、ここで報告したいことがいくつかたまり、消化不良を起こしています。ブログ書きに充てる時間が十分にとれないので、本日は、短いエントリでご勘弁ください。

 ちょっと前の話になりますが、17日の産経政治面のミニ・ニュース欄に、「安倍氏、世界ウイグル会議副総裁と会談」という本当に小さな記事が載ったのにお気づきでしょうか。《安倍晋三前首相は16日、都内のホテルで、来日中の世界ウイグル会議副総裁、セイト・トムチュルク氏と会談した。同会議は中国・新彊ウイグル自治区から世界各国に亡命したウイグル人とその子孫らでつくる国際組織。トムチュルク氏は、トルコやカザフスタンなど中央アジア諸国にいるウイグル人の若者の日本への留学受け入れを要請、安倍氏は「今は政府にいないので約束はできないが協力したい」と応じた》というものです。下の写真がトムチュルク氏(44)です。

     

 私の書いた元記事には、後段として《また、トムチュルク氏は東京大に留学中の平成10年に、中国に一時帰国して逮捕されたウイグル人のトフティ・テュニアズさんについて、安倍前首相が5月の胡錦濤・中国国家主席との朝食会で言及したことに感謝を表明した。安倍氏は朝食会で、「彼の家族は日本にいる。無事釈放されることを希望する」と指摘し、胡主席から「しっかりした法執行が行われているかどうか調べる」との答えを引き出していた。》とあったのですが、この部分はスペースの関係で削られました。本当に新聞紙面は狭いのです。

 トムチュルク氏自身は、アフガニスタンに生まれ、現在はトルコで医者をしているそうですが、中国・新彊ウイグル自治区には「会ったことのない兄弟がいる」そうです。トルコ政府、国民にも、ウイグル人のおかれた状況を訴えているということでした。

 それで、この短い記事を少し補足すると、トムチュルク氏は日本に、留学生受け入れのほか亡命申請についても受け入れてほしいと要請していました。これに対し、安倍氏は「政治亡命は日本政府は受け入れていないので、根本的に検討しないといけない。大きなハードルがあるが、私は基本的に政治亡命は受け入れるべきだと考えている。ただ、大きな政策変更となるので時間はかかるだろう」と答えていました。

 あと、トフティ・テュニアズ氏に関しては、安倍氏が「きちんとフォローするよう外務省にも指示してある。胡錦濤主席も『調査する』と答えたし、向こうもいずれ(回答を)言ってくると思う」との見通しを示していました。

 また、安倍氏が新彊ウイグル自治区において実際、「自治」はどの程度認められているかと問うと、トムチュルク氏は「ただの形にすぎない。いずれウイグル人を抹消していくための形にしかすぎない。かつて人口の2%しかいなかった漢民族が、いまや(地域によっては)人口の70%を占めている。ウイグル人には何の権利もない」と話していました。

 安倍氏が、米国でのウイグル問題への関心はどうかと聞くと、トムチュルク氏は「たくさんの議員が関心を持ってくれている。米国の新聞、雑誌も連日のように取り上げている。5月22日には、ウイグルの人権状況について中国に改善を求める決議案も出た」と説明していました。この決議案とは、米上院外交委員会に提出されたもので、中国当局がウイグルの民族文化や言語、宗教の自由などを抑圧し、漢民族移住政策によってウイグルの民族アイデンティティーの維持が困難になっていることなどを非難するものです。

 米国はおせっかいでもあるし、日本の歴史問題に関しては勘違いと偏見に基づきとんでもないことも言ってきますが、こういう決議案を見ると、日本の国会とは随分違うなあと素直に感じますね。拉致という自国民に対する人権侵害に対してすら、長年にわたって知らない顔を続けてきたのが日本であり、日本の国会なのですから。これまでの経緯はともかく、せめてこれからは、国会議員が拉致被害者と家族を見捨てるようなことが決してないよう、監視していきたいと思います。それは国家としても、一人の人間としても、決して許されることではありませんね。

     

 国会近くの道路の中央分離帯に、ねじ花が咲いていました。とても可憐で、でもたくましく、私が好きな花の一つです。それでは、今回はあっさりとした内容となりましたがここまでで。


 外務省の記者クラブで仕事をしていると、対中、対北朝鮮、あるいは対米などいろんな外交案件について、街宣車が抗議活動をしている声が聞こえてきます。昨日から今朝にかけては、やはり日朝実務者協議を受けて、政府が北朝鮮への制裁措置の一部を解除したことについての批判が多いようです。ついさっきも、「何で国民の声を真摯に聞こうとしないんだ、外務省よ!」と拡声器で訴えている街宣車を窓越しに見ました。

 

なるほど、外務省はこれまで、素人目に見ても納得できないような拙劣な対応や、いたずらに相手国に迎合して歓心を買おうとしているだけのような、奇妙な外交を展開してきたことが多々あるのは事実だと思います。ただ、今回の日朝問題のような大きな政治的判断が必要な外交に関しては、外務省に言っても仕方ないだろうなとも率直に思います。批判や文句を述べるのであれば、その大方針を決めた福田首相と首相官邸にまず矛先を向けるべきだろうと。

 

外交官の中には、一人で売名行為に走っているように見える人や、中国を心の宗主国と固く決めているとしか思えない人たちも確かにいますが、各中央省庁の取り組むいろんな政策課題の中で、外交ほど政治の意思によって方向が決まるものはないように感じています。例えば、年金問題など内政問題は厚生労働相など司、司の職にある人がメインで取り組むものでしょうが、外交は外相を飛び越えて首相自身が決断し進めるものでしょう。もちろん、外務官僚レベルでの行き過ぎや過ち、判断ミスも当然あるでしょうが、繰り返しますが、国としての大きな判断の責は、官僚に言っても仕方がなく、首相に問うべきものだろうと。

 

それで私は、今朝の産経の僚紙、「フジサンケイビジネスアイ」のコラム「永田町発」に、「外務省・斎木局長の憂鬱」という記事を書いたので、この場を借りて紹介します。産経政治部の記者が、「喜雀」というペンネームで持ち回りで書いているものです。

 

《北京で11、12両日開催された北朝鮮との間の実務者協議で交渉をまとめ、よど号犯引き渡しへの協力と、拉致被害者の再調査という「成果」を挙げたはずの外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長の表情が暗い。日朝協議を受け、政府は対北朝鮮制裁措置の一部解除を決めたが、与党内からは「斎木氏が北京に行ったときには、すでに上のレベルで方向性が決まっていたのではないか」(自民党3役経験者)との観測が出ている。

 「もう辞めたいですよ。何年もかかって拉致被害者家族との間に培った『信頼』という貯金を、今回で使い果たした」

 斎木氏が帰国後、周囲にこう漏らしていたと、自民党議員の1人は話す。別の議員は「斎木氏は困った顔をしていた。官僚は、自分の考えとは違っても、福田康夫首相はじめ上の指示には従わないわけにはいかないからな」と語った。

 北朝鮮船籍の船舶の入港禁止措置の解除など、今回の対北朝鮮制裁の緩和は、斎木氏がともに歩んできた拉致被害者家族や拉致議連のメンバーに極めて評判が悪い。北朝鮮側は、直接拉致解決に結びつかないようなことを「口約束」したに過ぎないのに、日本側が一方的に北朝鮮を喜ばせるような譲歩をした形だからだ。そして、あまりに「斎木氏らしくない」(拉致議連議員)結果でもある。

 もともと斎木氏は、北朝鮮問題では拉致問題を重視する原則派として知られ、安倍晋三前首相にも近かった。今年1月、安倍内閣時代に内定していた局長に就任する際も、対北朝鮮融和派で路線が異なる福田首相のもとでは「気が進まない」とこぼしていた。いつかは、意に染まぬ役割を担わされる日が来るのを予期していたようだ。

 今回の政府決定は、福田首相が斎木氏とはソリの合わない「対北朝鮮融和派の数人の外務省OBに相談して進めたようだ」(閣僚経験者)との情報もある。斎木氏は周囲に「再調査に進展がなければ貨客船『万景峰92』は入港させない」とも語っているが、原則派として〝意地〟を貫けるかどうか注目される。(喜雀)》

 

 …というわけで、今朝の通勤電車ではこのビジネスアイ紙を開いていたのですが、それに掲載されていた元外務省国際情報局主任分析官、佐藤優氏のコラム「地球を斬る」を読んでいたところ、佐藤氏が引用した特定失踪者問題調査会代表、荒木和博氏が「諸君」7月号に書いている次の文章に共感を覚えました(回りくどくてすいません、まだ「諸君」を買っていないので)。とにかく、わが意を得たり、という内容でした。

 

 《拉致問題は官僚には絶対に解決できない。もちろん、拉致問題を本気で解決しようとしている人は何人もいるが、官僚機構自体には根本的な方向性、真理とか道理というものがほとんどん存在しない。省庁、あるいは官僚機構全体の中で整合性を維持しようという動きがあるだけである。逆に言えば治が明確な決断をすれば、官僚機構はそれに従って動くのであるその政治を動かすのは世論であり、運動体の目的はその世論を形成していくことである》

 

 実に明晰で的確だと思います。要は政治であり、そして政治がどう動くは国民次第ですね。…安倍前首相は福田政権が発足した際、拉致問題担当の中山首相補佐官が留任したことについて「よかった」と漏らし、斎木氏がアジア大洋州局長に就けるかどうか、福田首相が人事案を拒否するのではないかと心配していたようです。実際、首相官邸内では、斎木氏の局長起用について議論があったようですが、結局、予定通り今の地位には就きました。福田首相としても、拉致問題を通してすでに国民に顔と名前が知られている斎木氏を下手にはじくと、やっぱり拉致問題に冷淡なんだというイメージが強まるのを恐れたのかもしれません。

 

 ただ、これも官僚の宿命と言ってしまえばそれまでですが、斎木氏が対北朝鮮原則派(強硬派)として鳴らしてきただけに、「あの斎木さんががんぱってもこの程度なんだから」「福田首相はきちんと斎木さんにやらせた上での結果なんだから」などという言い訳に利用されかねないと、私自身も危惧していました。まだ、「今は言葉対言葉の次元。北朝鮮がどういう行動を取るのか」(町村官房長官)という段階であり、先入見だけでものを言うのは控えたいのですが、非常に懸念される状況であるのは間違いないですね。ここはやはり、世論の出番だ、と思うのですが…。

 

 また、昨日は、拉致被害者家族会が官邸を訪れ、町村氏に安易な経済制裁解除などは行わないよう要請しました。この中で、横田早咲江さんの訴えが特に心に残ったので、これも紹介します。早紀江さんの言葉は、いつも胸に突き刺さります。この言葉をかみしめて、私もできることをやりたいと思います。

 

私は万景峰号(の入港許可方針)ということは、一番ショックだった。それだけは、どれだけ長い間私たちが埠頭にたって、これは止めてくださいと。何年かかったか分からない。そんなことを思い出すと本当に悔しいと思いました。それは大事なカードでありますし、人道的というならば・・・。本気で向こうがそういうことを言っているとは思えない。もしそうであるならば、もっと私たちの子供たちをみんな返すのが人道的なことなんで、それこそ、みんなそこに乗せて帰ってくればいいんじゃないですかって言ってほしいなと思うぐらいの気持ちだ。そこは言っていないけど。きょうは。

人間が乗ってこなくても、ものも何が入っているか分からないし、徹底的に検査・検証してということは人間がすることですから、買収されている人がすれば通っていくし、それほどデリケートな問題を含んでいると思うので、絶対にそれは止めていただきたいとお願いしています。

 

これからの様子をみんな、家族だけじゃなくて、国民の方全部、マスコミも含めて、日本の人たちがどういう風に動いて、向こうがどういう風に出てくるのか。それがどこまで本当なのか、ウソなのかということを全部見てなければいけない、本当に1つになって、みんな一緒になって、見せてないといけないものすごい大事なときだと私は思っている。

だから、先だってのような、2社(毎日と読売)の報道のように、何の根拠もないああいったことを当たり前のように堂々と一面の記事に載せるとか、そして国民の方は「よかったですね」って本当だと思っている。そういうことをすること自体が国家の問題を本当にないがしろにすると私は思う。だから、みんなの問題だ。みなさん、みんなが日本人で、日本の国に住んでいる人の大事な問題をみんなで頑張っているわけですから、そういうことはしていただきたくない。本当によろしくお願いいたします。

 

一貫して、連れて行ったものを返すんだということしか私は言っていない。それがどうしてなされないのか。ウソをついてきた。それでも向こうはそうじゃないと言い張っているんですね。それで勝手に連れて行って、ひどい目に遭わせて、人生を無茶苦茶にしてですね、そしてこんな目に遭わせて家族も苦しんで、日本中が何をされるか分からないという恐怖感に脅えるようなことにだんだんなっていくわけですね。そういう中で日本がどういう態度をとっていかなければならないのかということを、政府だけではなくてみんなが本気で考えなければいけない思っている。》


 最近はとても忙しく、ここのところ仕事が連日深夜というか、未明に及ぶことが多かったので、少々疲れ気味となっています。それで本日は比較的早く帰宅し、早々といったん就寝したのですが、やはりその後も何本か仕事関係の電話が入り、それどころか自宅で原稿を書くことになり(珍しくありませんが)、いま、ゲラが出るのを待ちながら、手持ちぶさたなので(失礼ですね、すいません)このエントリを書いています。そういう事情ですので、いつもに増して中身のないエントリであることをお詫びします。

 実は私も途中で気づいたのですが、前回のエントリが計600本目の投稿でした。だからどう、ということはありませんし、毎日休まずにエントリを書き続けている人に比べれば何ということはないのですが、よくここまで来たなあ、と個人的には感慨を覚えています。まあ、ブログを始めて2年ちょっと経つので、エントリ数がこれぐらいを数えても不思議はないのですが、この間、公私ともに環境が激変し、おおげさに言えばシュトルム・ウント・ドランクの日々を過ごしてきたので、個人的にもいい記録帖になったと感じています。読み返したくないエントリも少なくありませんが。

 また、さっき確かめたところ、この間いただいたコメントは累計で4万362と4万件を突破していました。一つのエントリに対し、平均で65~66のコメントということですね。始めたばかりのころはコメントゼロの日もありましたから、最近はもう少し多いことになります。このうち、私が書いた返事は1万数千(とても実数は数えられません)でしょうが、これまたブログを始める前には想像もできなかった新たな展開、貴重な経験だなあと実感しています。もう一度、リセットしてゼロから始めろと言われたらそれは正直気が遠くなりますが、せっかくこれまでやってきたのだから、「継続は力なり」を信じてこれからも続けたいと思いますのでよろしくお願いします。

 …と、ここまで書いたところでゲラがファクスで送られてきたので、そのチェックに入ります。明日もまた、日中関係にかかわる重要な発表などがあり、忙しくなりそうです。それでは失礼しておやすみなさい。

 今朝の毎日新聞は、政府が決めた北朝鮮への制裁一部解除に関する世論調査結果が載っていました。それによると、政府の決定を「評価する」が34%で、「評価しない」が55%でした。記事は「北朝鮮の対応を十分に見極めないうちに制裁を解除することに世論の大半が慎重であることがうかがえた」と結んでいます。でもやっぱり、「評価する」人が3割以上もいるのですね。半ば予想していたことですが、この数字には落胆させられました。

 

 今回、北朝鮮は日本にとってはどうでもいい「よど号犯」の引き渡しへの「協力」と、過去に3度も4度もやっては不誠実な対応を繰り返してきた「再調査」について、「口約束」をしたにすぎません。それに対し、政府は北朝鮮船籍の船舶の入港禁止を解き、北朝鮮の国会議員の資格を持つ朝鮮総連幹部らの出入国を自由にしました。「朝鮮総連は大喜びしている」(公安筋)のです。しかも、産経が記事に書いている通り、総連は日朝実務者協議の行方を見透かし、協議が始まる前から貨客船「万景峰92」の新潟港への入港申請手続き準備を進めていました。これをどうやったら評価できるのか。

 

 しかし、繰り返しますがやはり世論の3割強はこの動きを肯定的にとらえているというわけです。中には、北朝鮮の「毒まんじゅう」をくらった国会議員たちと同じような発想をする人もいるでしょうが、大半は「とにかく何か動き出したんだからいいんじゃないの」「北朝鮮もなにがしかの誠意を見せたのでは」などとよく考えずに反応しているのではないかという気もします。これは分かりませんが。いずれにしろ、日朝国交正常化推進議員連盟の人たちはきっと、対北融和論への反発はある程度織り込み済みだったでしょうし、むしろ「国民の一定数は理解している」と胸をなで下ろしていることだろうと思います。

 

 さて、これに関連してです。産経とフジテレビも週末に世論調査を実施していて、これは明日の朝刊で展開するのですが、その中でちょっと気になった数字について触れておきます。まず、「福田政権の外交政策を評価するか」という問いについて今回、「評価する」は24.7%でした。これだけみると、全体の4分の1弱にとどまっているので低く感じるかもしれませんが、同じく産経とフジの前回4月初めの調査では、「評価する」は21.1%でしたから、3.6ポイント上がっているのです。もちろん、この程度は誤差の範囲ですが、少なくとも、北朝鮮に対する今回の政府の姿勢と対応は、淡々と国民に受け止められていることは確かでしょう。それにしても「お友達外交」の何を評価しているのでしょうね。ただひたすら譲るだけでも、波風が立つよりマシだという人がそれだけ多いということでしょうか。

 

私のブログを訪問してくれるみなさんのコメントには、今度という今度は許せないというトーンのものが少なくありませんでしたが、残念ながら、そうした意見は社会全体の声を反映しているというわけではないようです。また、「福田政権にあなたが最も期待する政策は次のうちどれですか」という問いもありました。これは8つの選択肢の中から一つを選ぶというものですが、「北朝鮮問題の解決」を選んだ人はわずか2.9%で、「治安・安全対策」と同率で並ぶ6番目でした。

 

 これは、北朝鮮問題の解決自体が国民の関心事として優先順位が低いのか、あるいは福田政権に北朝鮮問題の解決なんてできるわけがないと見ているのか解釈が分かれるところかもしれません。ただ、どっちにしろ、日朝実務者協議の結果が新聞やテレビで大々的に報じられている中での世論調査でこの数字は、いかにも低すぎるよう思い、寂しく感じます。ちなみに、1位は「財政のムダづかいの見直し」(37.1%)、2位は「医療・年金などの社会保障」(27.7%)で、3位が「物価・景気対策」(13.5%)でした。国民の率直な感想とみればよいのかもしれませんが、なんだかなあ、という気もします。最下位は、福田首相が「静かなる革命」だと自賛する「消費者行政の充実」(2.6%)だったのが少し笑えますが。

 

 ついでのように触れておきます。福田内閣の支持率は、毎日の調査では21%で、前回5月の調査から3ポイント上がっていました。産経とフジの調査では22%で、これは前回4月初めと比べ1.8%の減です。弊紙の調査では過去最低記録の更新ですが、他紙と同じように後期高齢者医療制度の施行直後に調査していれぱもっと低かったとも想定できます。仮定の話ですが、そのときよりは持ち直しているのかもしれません。最近の世論調査では、NHKも共同も支持率は上がっていましたし。

 

 あと、個人的に興味深かったのは、産経とフジの調査で、「総理の人柄を評価する」と答えた人が46.2%と、相変わらず高いながらも前回の55.3%から7.1ポイント低下したことです。反対に、「評価しない」という回答は42.4%と前回の28.3%から14.1ポイントも急増していて、以前のエントリにも書いたように、ようやくやっと、福田氏の実態が国民の間に浸透しつつあることがうかがえます。まだまだ過大評価が過ぎると思いますが。

 

 最後に、「いま日本の総理に一番ふさわしいのは誰」という質問への答えについてです。これは、前回調査では1位は小泉元首相の21.9%、2位が麻生太郎元外相の15.9%だったのですが、これが逆転しました。今回は1位は麻生氏(19.6%、3.7ポイント増)で、2位が小泉氏(16.7%、5.2ポイント減)となっています。現実的な次期首相としての麻生氏の存在感が、じわりと増してきたということでしょうか。3位は民主党の小沢代表の9.6%ですが、これも前回(11.4%)より微減しています。あっ、4位に一応、福田氏がランクインしていたのを見逃していました。現職なのにわずか5.0%(前回6.0%)という影の薄さなのに、どうして支持率が上がるのでしょうね。首相なんてだれでもいいけど、とりあえず自民党政権は支持する、という人がそれだけいるということでしょうか。

 

マスコミが話題づくりに励んでいる小池元防衛相は2.8%、与謝野前官房長官は2.5%、中川秀直元幹事長は2.3%(そんなにいるのか!?)にとどまっていて、このままでは選挙の顔になれそうにありませんね。私はやはり、麻生政権で安倍外相という方向を夢想してしまいますが、対北外交も日本の政治も果たしてこの先どうなっていくのやら…。

 閑話休題、ちょっと宣伝です。18日発売の下記の本に、私も「危険な法案の背後に誰がいるのか 外国人参政権、人権擁護法案を推進する政治家たち」(タイトルは編集部がつけました)という拙文を書いているので、ご紹介までに。だいたい、このブログで書いてきたようなことをまとめたものです。

     


 きょうは、日中、日韓の外相会談と、日中韓3国外相会談があったので、外務省の記者クラブでこのブログを書いています。この3つの会談については、特別ここで紹介したい話はないのですが、強いて記せば、高村外相が中国の軍事費の突出した増加ぶりとその不透明さを指摘したのに対し、楊外相が「中国の国防政策は防御的なものであり、その透明性は国際社会で広く理解を得ている」と答えたことでしょうか。よくまあそんなことが言えたものだと思うのですが、それを堂々と主張するのもまた外交なのでしょうね。

 高村氏がチベット問題について「世界が中国の対応に注目している」と述べたことに対しても、楊氏は「中国の国内問題である」と公式コメントを繰り返していたようです。まあ高村氏も、そういう返答しかありえないのを分かっていて、釘を刺しているのかもしれませんが。まあ、それはともかく…。

 昨日、政府は日朝実務者協議を受けて、北朝鮮のミサイル発射や核実験、拉致問題などを理由にこれまでとってきた制裁措置の一部を解除すると表明しましたね。福田首相は、仕方なく踏襲していた安倍路線をとうとうかなぐり捨てて、福田カラーを出していく決心をしたようです。来るべき時が来た、という感じがします。特に根拠があってのことではありませんが、「パンドラの箱を開けたか…」とまず、そんなことが頭に思い浮かびました。これは、この混沌の中にある政界に最も分かりやすい対立軸を提供するような気がします。今回の政府内での議論の詳細や福田氏の思惑と計算などはまだ不明ですが、そのうち少しずつ明らかになっていくだろうと思います。

 そこで本日は、この問題を判断する際の材料の一つとして、自民党の加藤紘一元幹事長、山崎拓元副総裁、福田首相がそれぞれ、この新しい事態を受けて何と語ったかを紹介します。一部はテレビや新聞でも紹介されていますが、全体はそれを聞いた記者と、そのメモを読んだその関係者(私など)しか分からないでしょうから。あえて私の感想やコメントはつけないことにします。

 ■加藤紘一氏

 

加藤氏 いい展開だと思う。もちろんほんの一部の第一歩だという感じはするし、それはお互いに分かりあっていることだと思うが、それぞれが置かれている立場を認識しあって、やれるところからやろうという動きのように思う。

同時に米朝の間で話し合いが具体的に進み始めたのかなと。それがあってアメリカも北朝鮮も日本が取り残されて孤立する感じにならないように配慮しながら米朝進めている、そのために日朝も少しいろんなところを妥協しながら進めて始めたのかなと。日朝も無理ないように少しづつ妥協して進み始めたのかなと思う。

 

記者 一番進展したと思うのはどこか

 

加藤氏 よど号でしょうね。全体的にはミサイル発射の前の日朝関係に戻った感じだが、よど号は具体的に帰ってくるとすれば1つの展開になる。拉致問題について再調査するというのもいい展開だ。ただ、それを調査してどういうものを北が出してくるかは別問題で、あまり楽観できない。我々は拉致問題といって一番関心があるのは横田めぐみさんの話だが、これまでの言いっぷりからみて、横田めぐみさんの問題に展開があればいいけれど、なかなかそう簡単じゃない気がする。だが、今まで「拉致は解決済み」と言っていた北が、再調査をしますと言ったことはまったく大きな転換だ。ある意味、福田さんの外交の実績のスタートだと思う。期待している。

 

記者 経済制裁の解除は、まだ厳しい世論があるが。

 

加藤氏 向こう側が拉致の再調査に応じたり、よど号犯の返還に応じるなど、一定の動きをしたい上、こちらも何もなしに強硬で行けというのでは、事は進まない。互いに一歩一歩近づく、譲り合うという意味では、ちょうどいいバランスの取れた妥協になっているのでないか。

 

記者 北の態度変化は何が要因と思うか。

 

加藤氏 米朝が進んだからだと思う。ブッシュ政権も外交上は大変マイナスばかり続けたから、せめて北朝鮮だけは少し任期末期に一つの成果を収めたいという気持ちがありありとある。そうした場合、日朝のところで動いていないと、日本から強烈にブレーキがかかる。特にテロ国家支援リストから北朝鮮を外す動きになっているが、日本に1つも配慮せずにできないが、どうも事前配慮、米朝を進める際に日本に対する事前配慮が背後にあると思う。これは私の憶測だ。

山崎拓氏
 

記者 受け止めは

 

山崎氏 対話が再開されたことを率直に評価すべきだ。時間的に非常に限られた時間しか残されていないということも考えて、ギリギリの折衝だったと思う。交渉の窓口が改めて開かれたことは膠着状態の打開として評価すべきだ。
 それは時間的問題と言ったが、つまり6者協議の一環としていわゆる日朝国交正常化作業部会が開かれたので、単に日朝間の直接交渉という設定ではなくて、6者協議全体のなかでそれぞれ米朝も日朝も作業部会があり朝鮮半島非核化の作業部会もあるわけで5つの作業部会の1つとしてそこだけがクローズになっていたのが今回オープンにしたという意味で打開だと私は言っているわけですが、6者協議全体のなかでのそこのパイプがつまっていることが6者協議全体の足並みを乱して目的を阻害することになりかねなかった。そういう意味で今回
遅ればせながら6者協議の前進に日本もステップアウトしたと考えるべきだ。

 

記者 北が拉致事件に解決済みと言わなかった背景をどう分析するか

 

山崎氏 それは6者協議のゴールに向けて北朝鮮側としても踏み出さざるを得ないと。ギリギリのタイミングがきているという判断があると思う。

 

記者 今後の展望は

 

山崎氏 申し上げられない。今話すといらざる誤解や摩擦を生じるから言う必要ない。

 

 記者 状況が変わったことをうけ日朝国交正常化推進議連としてはどうするのか

 

山崎氏 議連の総会は来週火曜日に開くことに決まっているので、そのときにはどういう当面の行動目標を定めるかということについて協議する予定だが、今回に思いがけない展開があったので、どういう方向で総会をまとめるかということは一両日しっかり考えたい。

 

記者 経済制裁の解除に反発もあるが

 

山崎氏 それはあるでしょうけども、あることはよく知っているが、私は反発しているほうではないので、どう思うかと言われても言うべき言葉を知らないが、率直に言って圧力一辺倒ではなんら前進がなかったということだけは考えてほしいと思う。今から圧力かけ続けて、今回の協議は成果は認めないということなら再調査すら認めないということになるから何の前進もないわけであるので、そういうことを考えると対話の努力は百害あって一利なしという人(安倍前首相)もいるが全然逆ではないか。幼稚な考えだ。

 

記者 福田政権に与える影響は

 

山崎氏 福田政権としては平壌宣言に基づいて日朝国交正常化をしたいという存念をもっていることは承知しているのでそれに向けて、道は険しいが、ステップアウトしたという意味においてプラスだと思う。

 

記者 内閣支持率とは関係してくるか

 

山崎氏 支持率とは直接関係ないんじゃないかと思う。さまざまな評価が行われると思うので、肯定的な評価、否定的な評価、そのバランスでこの問題からくる支持率への影響は出てくると思うが問題は結果なので、そういう意味ではっきりゴールを定めてそれに向かってスケジュール闘争をやったらいい。

 

記者 火曜日の議連だが今後の行動目標について火曜日にとりまとめて発表するのか

 

山崎氏 行動目標すべてではなく当面の。正直言って、今度の議連総会で一定の日朝国交正常化作業部会の協議において一定の前進が見られれば制裁の部分解除を行うべきだということを決議しようと予定していてが、そのことは実現したので、そういう意味でこの際どういう決議をするか申し合わせをするかということについて慎重熟慮したい。

 

記者 政府間交渉で一定の前進ということで議員外交にもプラスの効果はあるのか

 

山崎氏 議員外交は当然行うべきもので、我が党の外交力強化特命委員会は森元総理が座長しているが、議員外交を積極的に行うべきと提言している。我が党の基本的な考え方だ。対北朝鮮についても同様だ。今回人的往来が制裁解除の部分解除に入っているがそれと議員外交とは関係ない。そういうものがあろうがなかろうが議員外交を行うべきで、一般国民のことをいっていると思う。

 

記者 訪朝の環境が整ったと思っているか

 

山崎氏 訪朝自体が目的ではないので事態が進めばいいわけだからあくまでも政府間だ。そこは多少、政党間で違いがあると思うが、自民党は政権与党だから政府間交渉だから、我々としてはサポートし、促進させる立場である。それができればいいわけだから、必ずしも訪朝にこだわっていないが、政権与党でない野党の立場としては若干違うところがあるのではないか。
 訪朝の是非、タイミングについても慎重に熟慮したい。必要があればする。必要がなければしない。何が何でも訪朝したいということは私は、私はない。だけど訪朝自体を目的にする向きはあるかもしれない。今後は具体的な日程が今度の斎木・ソン会談でフィックスされてないからそれが当面のそれこそ政府間交渉の課題だ。どういうルートでいつ犯人を引き渡すかということがある。再調査のあり方は、それについても協議しなければならない。今回は窓口が開かれた、ドアが開かれたということだ。

 

記者 制裁一部解除は、党の外交部会で了承する必要はあるのか

 

山崎氏 ありません。それは政府の専権だ。制裁の期限を延長したときにも確認している。報告はすると思う。

 

 ■福田康夫氏

 

記者 日朝協議で、北朝鮮側は、拉致問題は解決したとは言わないとした上で、拉致問題の調査を約束しました。また、よど号犯の引き渡しについて協力すると申しています。こうした北朝鮮側の提案について総理はどのようにお考えでしょうか。

 

福田氏 うん。あのー、提案っていうか、まあ、あのー、日本とそれから北朝鮮で交渉した結果ですね、話し合いの結果です。まあ、あの、今回、北朝鮮の方も、今まで解決済みとしていた拉致問題ですね。これを、そのー、解決したということでいわないで、そして、再調査しますとこういう風に言ったわけですね。で、まあ、そのー、再調査しますと。問題は中身なんですね。ですから、それはこれから具体的に詰めていくわけです。で、一方日本の方も、そういうことがですね、調査は前進するということになればね、それは、あのー、今までの経済制裁とかいったようなですね、措置を緩和すると。ま、こういうことになるわけでありまして、まあ、今、その話し合いが始まったと。こういう段階です。

 

記者 総理としては、今回のこの交渉の結果について、進展があったとお考えでしょうか。

 

福田氏 ええ。まあ、今まで、話し合いにもならなかったんですね。ですけども、おー、北朝鮮の方もですね、話し合うとそういう姿勢が見えたということだと思います。で、あれば、その交渉プロセスもね、まあ、入口に立ったと。こういう風に考えていいんじゃないかと思います。

 

記者 日本政府としてはですね、経済制裁の一部を解除するという方針を固めました。これの最大の理由はいかがでしょうか。

 福田氏 向こうがそういうような考え方をしてる、そしてまた実際にこれからどうするかということもあるんですけどね、それに対する見返りというものも当然向こうのほうは期待をするでしょう。またそういうことがなければ話し合いも始まらない。交渉もできないということですからね。それで今回、非常に限定的な形で経済制裁を解除してもいいのではないか。こういうふうに考えておるわけです。

 

記者 町村官房長官が会見で「一定の進展があった」と話したことに、拉致家族会の一部からは「これを進展というなら政府の方針は変わったのではないか」という声もあるが

 

福田氏 まず、政府の方針はこれはかわっておりません。あくまでもね、拉致被害者の全員の帰国ということを目指しているわけであります。これは全然変わってませんよ。しかし同時にですね、交渉の、交渉のね、これをこれからやっていこうというそういうきっかけになったわけですねえ。交渉しなければ、解決しないでしょう、おそらく。交渉しないで解決しなくていいのかどうか。そうはいかないですねえ。ですから、今までいろいろな交渉をしてきたけれども、今、こういう段階になった、ということであるというように認識しております。

 

記者 アメリカのテロ支援国家の指定解除をめぐり、これまで日本政府としては「拉致問題を考慮してほしい」と要請してきた。今回の北との交渉結果を踏まえて、今までの政府の対応を変える考えはあるか

 

福田氏 政府というのは…。

 

記者 日本政府としての。アメリカに対し、拉致を考慮して欲しいと、ある意味ブレーキをかけてきたと思うが、そのスタンスを変える考えは

 

福田氏 いや、特別にブレーキをかけたわけではありませんよ。しかし、アメリカもですね、核について真剣な協議をしているわけですねえ。交渉してるわけですよ。日本は、拉致について…拉致中心ですけど、交渉している。まあ、同じ北朝鮮と交渉しているわけですから、日米がその間にどういう状況になっているか、相互に情報は交換しているんです。ね。相談しながらやっているということもありますから。状況は、いままでと、これからも変わらないと。

 …いろいろと突っ込みたい気もするのですが、予断と偏見を交えないためにあえて何も書きません。ただ、別件で一つ。今朝の日経新聞の関連記事の中に「貨客船『万景峰号』など朝鮮籍船舶の日本への入港禁止解除方針をめぐっては拉致問題担当の中山恭子首相補佐官が猛反発し、最終的に『人道支援物資を日本で積み込む場合』に限って認めることになった」と書いてあったのが気になりました。

 実はこれは私も昨日、各所への取材の過程でほぼ同じことを聞いていました。福田氏の「御前会議」の場で中山氏が朝鮮籍船舶の無条件受け入れに大反対し、「人道支援」を入れさせたのだということです。現在の官邸に、中山氏のような人がいなければ、もっともっと北朝鮮に有利なように話は進んでいたのかもしれませんね。まったく福田という人は…。

 

 

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