2008年07月

 
 22日の日中は東京駅・八重洲地下街でレンタルの国際携帯電話を受け取り、会社と外務省に行って出張申請などの雑用を済ませ、旅行会社から航空券を受け取り、成田空港を午後7時10分に立った飛行機に乗り、

 

 このような和洋折衷の味はいまひとつのエコノミークラスの夕食(ビーフシチューとパスタと冷や麦)をとり、サービスの赤ワインを小さなコップで二杯飲み、機中で単行本の小説一冊を読み終え、

 

 日本時間23日午前1時55分(現地時間零時55分)に外気温は28度だという立派な国際空港に着き、入国手続きを済ませた後にインド系の女性係員に荷物をX線でチェックされ、「メニー、メニー、メディスン?」と麻薬じゃないのかと不審がられて常備品の尿酸値降下剤や胃薬、抗アレルギー剤にサプリメントなどを確かめられ、

 

 タクシーに乗り、途中何度か簡単な検問を受けつつ、日本円にして2200~2300円程度の料金を払ってホテルにたどり着き、英語の説明文を読み飛ばしてインターネット接続に手間取ってさらに時間を食い、そうして現在に至っています。何の意味もないエントリでしたが、とりあえずご報告まで。明日はどうなることか…。


 先日、国会議員会館をうろうろしていたところ、自民党の某有力議員から、米国防総省が今年3月に米議会に報告した「中国の軍事力」の日本語訳版(日本国際問題研究所刊、今月発行)を「参考にどうぞ」と手渡されました。この報告書に関しては、古森記者が3月に記事にしていましたが、私は英語の原本は入手していませんでしたし、第一、入手しても読みこなす英語力はありませんから、ありがたく頂戴し、この連休中に「斜め読み」した次第です。

 きょうは時間がないので、その中から面白いと感じた記述を抜粋し、お茶を濁そうと思います。すいません、安易なエントリで…。でも、この程度の報告書でも日本がまとめようとすると、「日中友好に反する」とか言って問題視する親中派議員・政府高官・マスコミがよってたかってつぶすのだろうなあと考えたら、紹介したくなったのです。この報告書をくれた議員は、実際に対中交渉に当たった経験から、「中国の外交が上手いとは思わないが、外交工作は上手いからなあ」と意味深なことを述べていました。



 ・サイバー戦能力:過去1年の間、米国政府が所有するものも含めた世界のおびただしい数のコンピューター・ネットワークが、中国国内を発信源とするとみられる不正侵入にさらされていた。これらの不正侵入は、コンピューター・ネットワーク攻撃のためにも必要とされる多くのスキルと能力を必要とするものである。これらの侵入が人民解放軍、ないしは中国政府の構成分子によって、もしくはその支持を得て実行されたのかどうかは明らかではないが、サイバー戦のための能力の開発は、この問題に関する権威ある人民解放軍の文書と整合する



 ・「冷静に観察せよ、我が方の立場を固めよ、冷静に事態に対処せよ、我が方の能力を隠し好機を待て、控えめな姿勢をとることに長けよ、決して指導的地位を求むるなかれ」(鄧小平)…中国においては、折に触れて行われる戦略的宣言と実際の政策決定の連関も明らかではなく、とりわけ、危機や不安定の時期についてはそうである。こうした曖昧さは、上記の鄧小平の「24字方針」に暗示されるように、意図と能力を隠そうとする故意の努力を反映しているのかもしれないが、長期的な目標と目的についての選好をめぐって中国の指導者間に本当に存在している不確実性、意見の相違、および論争を反映しているのかもしれない。



 ・攻めをもって守りとなす…権威ある著作である「軍事戦略学」は、敵の攻撃の定義が、在来型の運動力学的な軍事作戦に限定されないことを明らかにしている。むしろ、敵の「攻撃」は、政治的見地からも定義されているのかもしれない。

 《敵が攻撃してきた後にのみ攻撃を行うということは、敵の攻撃を受動的に待つということを意味するのではない…それは、作戦あるいは戦術行動における「有利な機会」を放棄することを意味しない。なぜなら、政治の次元における「初弾」は、戦術の次元での「初弾」とは区別されなければならないからである

 

 ・2003年、中国共産党委員会と中央軍事委員会は、「三種戦法」の概念を承認した。この概念は、以下のように、現代戦における非運動力学的オプションの重要性を強調するものである。
 一、心理戦:敵の理解力、および意思決定能力に影響を与えるため、プロパカ゜ンダ、欺瞞、脅迫、および強制を用いること。
 一、メディア戦:世論に影響を与え、中国の軍事行動に目を向けている国内外の人々からの支持を獲得するため、情報を流布させること
 一、法律戦:国際的な支持を獲得し、中国の軍事行動に対して起こり得る政治的反動に対処するため、国際法と国内法を用いること。

 …このほか、「中国の軍事力」には、具体的数字の入った中国のミサイル戦力の表や、ミサイルの到達範囲の図などもあり、一家に一冊常備しておくと便利ですね。もちろん冗談ですが、何%かは本気でそう思います。私は中国を過大評価したり、いたずらに持ち上げたりする必要はないと考えていますが、まあ、面倒な国ではあります。写真は、この連休中の思い出を撮ったものでした。さあて、仕事にかからないと…。

  ※追記 前エントリでは、自民党の加藤紘一氏の「拉致被害者5人は北朝鮮に戻すべきだった」発言に対する安倍前首相の「北朝鮮の主張そのものだ」という批判を紹介しました。その際のコメント欄で、安倍氏以外の政治家から、この問題に関する発言が出てこないことに不満を表明していたのですが、その後、18日発行の夕刊フジで、中川昭一氏が強く加藤氏を批判していたことを知ったので、改めて一部引用して掲載します。さすが中川氏です。それは、以下のようなものでした。

 「加藤氏の『(北の金正日総書記は)あの国では天皇陛下のようなポジションの人物ですね』という発言に至っては、怒りを通り越してコメントのしようがない。(中略)一連の発言はまるで朝鮮中央通信の解説を聴いているようだ

 「これほど残酷な国家的犯罪に遭われた被害者が二十数年ぶりにやっと帰国できたのに、それを再び犯罪者のもとに返せと言うなど、一体どういう感覚をしているのか」

 「拉致被害者の家族らが『貴殿はそれでも日本人なのか』『一体、どこの国の国会議員なのか』といった抗議文書を加藤事務所に送ったそうだが、まったく同感だ」
 


 本日は、安倍前首相が17日夜に埼玉県戸田市で行った講演について紹介します。この講演は、拉致被害者5人を北朝鮮に戻すべきだったとする自民党の加藤紘一元幹事長の意見について、「北朝鮮の主張そのもの」と切り捨てた点が注目されていますね。安倍氏と国民の反応を甘く見て、北朝鮮問題を論じる前に3年間は地元に引っ込んでいろ、と啖呵を切った加藤氏は今、「倍返し」をくらっているような印象です。

 

 この中で安倍氏が強調した「日本政府は北朝鮮との間で、5人を戻すという約束はしていない」という点は、偶然ですが、私も17日夜に某政府関係者らとの会合で話題にしていたことでもありました。講演では、安倍氏自身が当時の北朝鮮との交渉担当者、田中均氏に問いただしたエピソードが出てきますが、別の政府高官も当時、田中氏にこの点を確かめ、「約束はしていないが、5人を戻さないと日本の立場が悪くなる」といった趣旨の回答を得ていたと聞いています。私は以前のエントリでも、政府はそういう約束があったとは認めていないということを指摘していますが、加藤氏の発言はそもそも前提からして成り立たない話というわけです。

 

ただ、この講演で安倍氏は加藤氏の件以外にも、北朝鮮との外交とはどういうものか、対話と圧力の意味とは何か、当時、首相官邸ではどういう議論があったのかなどについても述べていますから、それも合わせて掲載します。少し長いですが、安倍氏の考え方がよくわかり、一読の価値はあるのではないかと思います。

   

 

【北朝鮮は4分の1を申告しただけ】

北朝鮮のさまざまな問題に対して、対話と圧力、どちらに重点を置いて交渉していくべきか。こういう議論があるわけです。今般、6者協議において北朝鮮が核の申告を行う。そしてそれに対して米国が北朝鮮のテロ支援国家指定を解除する、そういうディールが行われたわけです。私は率直に申しあげまして、この北朝鮮が北朝鮮が申告をすると言ったこと、そしてまたこの申告をしっかりと行っていけば、それは一歩前進だろうと思います。しかし、それに対する米国側の対価としてテロ支援国家指定を解除する、これはあまりにも大きな代償を与えてしまった思うのです。

核の問題について北朝鮮が申告をする、その申告は正確かつ完全でなければならない。こうわれわれは主張したのです。米国もそう主張していた。そしてこの核の問題については、北朝鮮は、不可逆的に、もうまったく核を生産できないという状況にならなければいけない、とも言っていたわけですが、残念ながらこの不可逆的という目標は達成されないことになりました。

そして完全かつ正確かといえば、この核の申告についてはわれわれはポイントは4つあったと思います。一つは、プルトニウムから核爆弾をつくることがもう今後できないようにしていく、無能力化していく。寧辺の施設です。もう一つは、ウランの濃縮計画をやらない。そしてもう一つは核の拡散を行わない、またどういうふうに行ってきたか、それを申告する。そしてもう一つは、どれぐらい核兵器を持っているか、という4点。4つのポイントですが、彼らは、ウランの濃縮は申告しない、拡散も申告しない、核兵器も申告しない。プルトニウムについてのみ申告をし、そして今後これを無力化していこうということです。

日本にとっては常にどれぐらい核兵器ができているか、これが最大の問題なんです。残念ながら、これをやらずに彼らが一番欲しかったこのテロ支援国家指定の解除を得てしまったのです。

しかし、日本はいたずらに米国を非難してはならない。日米の同盟関係にひびを入れさせようというのが北朝鮮の思惑でもあるわけですから、北朝鮮を喜ばすようなことがあってはならない。もっともっと相談してもらいたかったと思うわけですが、しかし、今後も、日米でしっかりと協力しながら、連携しながら、実際の実行面として、北朝鮮が実施をしていくかどうか、ちゃんと実行していくかどうかを見ながら、実態として厳しく北朝鮮をまさに追い詰めて圧力をかけていくことができるわけですから、日米で連携していくことが大切だろうと、こう思うわけです。

   

 

【政府より甘いことを言うな】

そして、今回の(加藤、山崎拓両氏らとの)論争で私が申しあげたことは、今拉致問題において、日本と北朝鮮で政府、真剣な議論を行っています。真剣な交渉を行っている、大変厳しい交渉を行っているときに、政府以外の人たち、特に国会議員、有力な議員は、政府より甘いことを言ってはいけませんよ、ということを私は申しあげたのです。政府より甘いことをほかの議員が言ってしまっては、北朝鮮はまさにその甘い意見に乗って、これはもう「有力な国会議員がこう言っているじゃないか、政府はここまで下りて当然でしょう。さらに譲歩しなさい」ということになるわけです。政府が交渉する上において、「国民も厳しいし、国会も厳しい。しかし、政府の判断でここまで下りてもいいけれども、あなたはもっと下りてくるべきだ。ここまで下りるのは政府にとっては大変なハードルだけど、それは超えていくよ。あなたも大きなハードルを越えていきなさい」。このように交渉するわけですが、しかし、「いや、そんなことをあなた言ったって、日本の国会や多くの議員は、もう経済制裁やめなさいと言ってるじゃないですか」と、こんなことになってしまえば、むしろ彼らは、もし政府が「経済制裁をゆるめていく」と言っても、もう「そんなのは当たり前でしょう」ということになってしまう。これはまさに交渉の常識であろうとこう申しあげたわけです。

私は、それはもう国会議員がだいたい持っている常識であろうから、そうではない人たちというのは一体どういうことなんだろうな、こういう思いで、少し過激な発言(百害あって利権あり)でしたが、戒めたところです。国会議員であればやはり、特に高い立場にある人であれば、そういう慎みを持ってもらいたいなあと、こういうことです。

   

 

【会う会わないをカードにする専制国家】

そこで今後の取り組みですが、対話と圧力の姿勢でこの拉致の問題も解決をしていく。核の問題もそうです、ミサイルの問題、包括的に解決を目指していく上においては、北朝鮮という国を相手にする以上、対話と圧力の姿勢で対応していかなければいけません。よく、「安倍さん、そんなこと言ったってもう少し、対話に重点を置くべきだ」とこういう人がいます。そしてそれを主張する人たちもいます。問題は果たしてそれができるかどうか。交渉の技術としてそれができるかどうかということです。

一見、それはもっともらしいわけですが、「これから対話に重点をおいて、北朝鮮と対話をしていきます」と言った瞬間に、実は、交渉の主導権は相手に移ってしまうのです。対話といった以上、交渉の場をつくらなくてはいけない。対話をしなければいけない。そうなれば向こうは対話するかしないかをまさに条件として活用することができるわけです。

専制国家は、この会うか会わないか、会談するかしないかを、まさに最初の条件として使うのです。つまり、会ってあげましょうか、そんなに対話をしたいんだったら対話をしてあげましょうか。しかしこういうことを飲んでもらわなければ会ってあげませんよ、ということになってしまう。会ってから交渉が始まるのではなく、会う前にむしろ、彼らに一つ交渉の条件を与えてしまう。そういう大きな問題点があり、そしてそのことを彼らは最大のカードとして使うということになるわけです。

そして、「あなた、会ってあげましょう。しかし、経済制裁なんかしたのでは会えませんね」と言われたら、まず経済制裁を解除しなければ会えないということになってしまうのです。事実上、ほとんど圧力の効かない対話のみに流されてしまうという結論に論理的にならざるを得ないのです

   

 

【圧力をかける意味と結果】

圧力に力点をおきながら対話をする。これは可能です。北朝鮮に圧力をかけ、彼らはこの圧力を振り払うためには対話の場に出てこなければならない。そしてわれわれの条件を聞かなければならないということになってくるわけです。94年以来、93年以来といってもいいと思いますが、北朝鮮は国際社会にいろいろな挑戦をしてきました。93年にNPTから脱退をし、そしてソウルを火の海にする(と言って)、世界を振り回して、今日までやってきた。その間日本はもう何万トンというお米を北朝鮮に援助をしてきたけれども、それによって得たものはまったくといってなといってもいいんだろうと、そう思います。

典型的な例では、2004年に、私たちは、帰ってきた5人の被害者の家族8人を取り戻すために北朝鮮に圧力をかけていました。圧力をかけるためには、そのための法律が必要です。外為法を改正する必要がありました。そして船舶を入港禁止にするための法律が必要であった。2004年4月にその法律を、船舶を日本に入れないための法律を、国会に出しました。

そんな法律を出したら北朝鮮は怒って、テポドンでもノドンでも発射するんではないか。こんなことを言った人がいます。そして「そんなことをしたら、絶対に子供たちはかえってこない」と、こういいました。今、対話に重点を置けと言っている人たちの多くはそうでしょう。しかし皆さん、結果はどうだったでしょうか。次の月、5月にまさに小泉総理の訪朝を受け入れ、8人の被害者(家族)を日本に返したじゃありませんか。つまりこれこそ対話と圧力による問題の解決です。私たちは今まで、北朝鮮との交渉において経験があります。しかしその経験をときとして忘れてしまう。そうではないかなあ。それが残念ながら時たま起こることになるわけです。

   

 

【加藤紘一氏への批判】

先般、加藤紘一さんが「5人の被害者を北朝鮮に戻せばよかったじゃないか」、5人の被害者を戻さないという判断をした決断をした安倍さんは間違っている。こう言いました。約束を果たさなければいけない。こう言っていましたね。

加藤さんは、大きな考え違いをしている思います。まず第一に、日本と北朝鮮が5人の被害者をまだ北朝鮮に戻ると約束したかどうかということです。私は当時のアジア局長である田中氏に、田中局長にそのとき確かめています。「あなた約束したんですか」「そんな約束はしてません」。5人の被害者が日本に言っても、すぐまた北朝鮮に戻りたいと言っているそういう中で日程をつくっていこう、ということでした。

そもそも皆さん、そんな約束はあってはならないんです。荷物じゃないんですから。持ってきて返しますという約束を人間に対してできるわけがないじゃないですか気持ちがあるんです、心があるんです。日本に残りたいといっている人を、「またあなた、まさに拉致をした人たちのもとに戻りなさい」というような約束をしたら、それは日本の国家としての責任の放棄以外の何ものでもない思います。私はそう考えましたから彼にそう確かめたら、彼は「そんな約束をしていない」と言っているわけです。約束をした、それを日本は裏切ったというのはまさに北朝鮮の主張そのものなんです

   

 

【5人が日本に残った経緯】

この5人の被害者をどうするか。この5人の方々日本に帰ってもらいたい。当初は5人の方々全員が、私たちはこの後、北朝鮮に戻ります、こういっていました。大変硬い表情でありました。

そして、2週間という時は過ぎ、いよいよどうするかという判断をしなければなりませんでした。そしてこの5人の被害者の方々、最終的には日本にとどまって子供たちを待つ。このように、考えを固めたのであります。ではどうしようか。当時官房副長官であった私の部屋で協議をいたしました。この5人の被害者を「一旦、北朝鮮に行ってもらったほうが今後の交渉はスムーズに行われる」。外務省の一部はそう強く主張したのであります。私はしかし、「そんなことをあなた言ったって、5人被害者の方はもう帰らないと決めたんだ。私たちは彼らを守る責任がある」。このように申しあげました。そして、中山恭子さん(当時・内閣官房参与)は、「まさにこの5人の被害者を守るという責任が日本という国にある。だから国家としてこの5人の被害者を帰さないということを決定しましょう。この5人の被害者の意思は外に出すのはやめましょう」。そういうお話しでした。私もその通りだと思いました。

この5人の被害者が北朝鮮に戻らないという意思を決定したということを北朝鮮に伝えれば、もしかしたら、北朝鮮がこの5人の被害者の子供たちに対して、どういう行動をするかどうか、分からないわけです。その不安の中で、この5人の被害者の方々が、決断した以上、この5人の方々がそう言っているから、私たちが決めるということはおかしいわけです。だいたい考えてみれば、誘拐犯に誘拐された子供が帰ってきて、あなた誘拐犯に戻りたいんですか?あ、戻りたいんですか!と言って戻す親がいますか、皆さん。

そもそも考え方がまったく間違えているわけであって、私たちは日本として彼らが生まれ育った国日本として、国家として彼らの命を守るという意思をしっかりと示すべきだ、こう判断をしたのです。その結果、5人の被害者の家族の人たちが日本に帰ってくることがなかなかできなかったら、われわれは大きな責任を負わなければいけません。しかし、それはやはり政治家がそういう責任をとって初めて、こういう決断ができるわけです。

   

 

【大切なのは家族の絆】

私たちはこの5人の被害者の方々が、子供たちとともに判断ができる環境をつくる、そういう責任がある、そう判断し、この5人の被害者を帰さないという決断をし、発表したところです。なかなかこの5人の被害者の家族の方々が、日本に帰ってくることができるようになるまで時間がかかりました。大変私たちも一時は批判をされ、苦しい時期もあったわけです。何よりも辛かったのはこの5人の被害者の皆さんだろう、こう思うわけです。

この5人の被害者の方々が、「最初は北朝鮮にすぐに戻りたい」と、そう言っていた。しかし、それが日本に残って子供たちを待つ、なぜこうなったか。凍りついたような彼らの心を溶かしたものは何か。それは私は彼らが地域に帰って行った。そして地域の皆さんが、よく返ってきたね、応援しているよ、というこの地域の暖かさ、そして家族の絆なんだろうと思うわけです。

そして日本が国として彼らを守る、そういう決意を示したことによって、彼らは日本に残る、こう決断をしたのであると思います。子供や兄弟、そして家族が、何とかやっぱり一緒に生活をするべきだ、こう、かき口説いた家族の皆さんの愛情が彼らの気持ちを変えたんだろうなあ、こう思うわけであります。

日本が守っていかなければいけない伝統価値があるとすれば、変えてはいけないものがあるとすれば、それはやはり私は家族の絆ではないかなあ、改めてそう思ったようなところです。

   

 

【家族の思いと求められる忍耐】

北朝鮮という国を相手をしている以上、そう一筋縄では外交でもいかないわけです。われわれはしっかりと強い意志を持って、すべての拉致被害者が日本の土を踏むことができる日まで全力をつくしていかなければいけないと思います。対話と圧力、圧力に重点をおいた対話と圧力の姿勢で交渉する以上、残念ながら時間がかかる場合もある、そのときに、われわれはしっかりと忍耐力を持たなければいけません

日本は民主主義国家です、常にさまざまな批判にさらされます。時間が少しかかることによって大きな批判もある。しかし、皆さん、一番一分でも早く解決をしたい、こう考えているのは誰でしょうか。それは拉致被害者のお父さんであり、お母さんであり、ご兄弟、ご家族なんですこの方々が、この問題を解決するには、圧力に重点を置いた対話と圧力しかない。長い長い年月をかけてそう思うにいたったのです。ですから、私たちは彼らの忍耐力を見習わなければならないのです。

政治的にもすぐに結論がでない、辛い時期でありますが、彼らも頑張っているんです、耐えているんです。私たちも耐えながら、北朝鮮がしっかりとこの問題を解決をしなければ、どうしようもないと思わせなければ、この問題は決して解決をしないわけであります。またしばらく時間はかかるかもしれませんが、今がまさに忍耐が求められているときではないか。そうならなければ、まさに彼らの思うつぼにはまってしまうのではないかなあ、こう思うところです。(了)

 …きょうは休みをもらって東北某県に来ています。写真は、滞在先の近所を散歩した際に路傍で咲いていた花々です。夏本番となり、毎日暑い日が続きますが、みなさまもお体をこわさないようご自愛ください。


 本日はまず、前回のエントリの補足です。前のエントリで、山梨県の教員異動の際に県教育委員会へ提出されると同時に、教職員組合にもコピーが渡されるいわゆる「異動希望調書」について書いたところ、山梨県のある教員が、その実物のコピーをファクスしてくれたので写真を掲載します。マル秘とありますが、これをもとに教委と組合が相談して異動先を決めるわけですから、秘密も何もあったものではありませんね。

 

 前回のエントリで書いたように、本人が希望する異動先3校を書く「自発」と、希望していなくてもとにかく3校を記入しなくてはならない「組織上」の欄がありますね。(注)の欄には、「異動希望のない者も『自発希望欄』以外のすべてに必ず記入すること」とあります。

 

 また、この教員は、山梨県の教員採用と山教組の関係に関する一例として、口利きで採用が決まったという実例もファクスしてくれました。A校長が、自分の子供の採用をだれにどういう風に依頼したかという流れについてです。これについては、私が直接ウラをとった話ではないので、地域や名前は伏せておきますが、元文には実名が入っています。

 A校長が子供の採用をまず依頼したのは、A校長が山教組の地域書記長時代に地域支部委員長だったB教育事務所長でした。そこでB教育事務所長は採用試験の採点にかかわるC管理主事に話を通し、義務教育課長がそれを認めた採用となったわけですが、このC管理主事はA校長、B教育事務所長と同じ山教組地域支部の教育文化部長で、みんな組合仲間で先輩・後輩の関係にあったということです。

 この件が公然の秘密としてささやかれるようになったのは、当時、B教育事務所長が頻繁にA校長のところを訪ねていたのを、他の教員が何度も目撃していたからだそうです。教育事務所長が一介の校長のもとを何度も訪ねるのは不自然なことから、だんだんと子供の就職の件だとだれもが感づいたとのことでした。

 これとは別のD校長の場合は、歴代義務教育課長会という親睦会に子供の採用を働きかけ、そこからやはり管理主事、義務教育課長へと話が降りていって採用が決まったと言います。教頭から校長への昇任などの口利きも、これと同じように教育事務所長や歴代義務教育課長会、あるいは結婚式の仲人などが仲介、口利きする例が多いそうです。その際には、商品券のやりとりなどがあるといい、組合仲間ぐるみの口利き関係が慣習化しているそうです。

 山梨県に限らず、どこの県でも長年行われていそうに感じるところが、なんとも残念です。なんだかなあ…。

 

 昨日夕、外務省から外に出て空を見上げた瞬間、はじけたような勢いのある雲が目に飛び込んできました。どうせ一度きりの人生なら、もっと好き勝手暴れた方がいいのかななどと、勤め人らしい感慨にとらわれながら、どんどん姿を変えていく雲の姿に見入った次第です。


  大分県の教員採用汚職問題が連日、報道されています。この問題では、採用時における金銭のやりとりのほか、不正な昇任についても注目されていますね。この件について産経は10日付朝刊の社会面で「教委と教組 長年の癒着」という記事を掲載していて、それには「地元議員によると、数年前、組合が教員の異動先を事前に把握していたこともあった」と書いてありました。ここまで読んでいただければ、私が何について書きたいかもう分かってもらえることでしょう。そう、県教組の組織率65%の大分よりはるかに組合支配が徹底している県教組の組織率95%の山梨県の事例についてです。

 

 山梨県の小中学校の教員人事の場合は、教職員組合がかかわっているなんてものではありません。組合が事実上、人事の決定権を握っているのです。平成16年の冬、私のインタビューに実名で応じてくれた山梨県の小学校教員、高村基貴さんは当時、その実態を赤裸々に語ってくれました。本日は、その証言を紹介しようと思います。

 

 高村氏によると、教員が校長を通じて県教委に提出する「異動希望調書」には計6校の異動希望先を記入する欄があり、そのうち3校は「自発」と呼ばれ、本人が自分の意思で配属を希望する学校を書きます。残りの3校は「組織上」と呼ばれ、希望が実現しない代替候補として、あえて希望していない学校を記入するという仕組みです。さて、ここからが問題です。山梨県では、この異動希望調書は県教委だけではなく、山梨県教職員組合にも同時に提出しなければならないのです。調書の原本は校長に、そのコピーは各学校内に組織されている「分会」の長に提出するのが長年の慣習であり、事実上の義務だと言います。

 

 校長は、調書を市町村教委、県教委に送り、分会長はコピーを山教組地域支部の書記長に提出します。そして、県教委の人事担当の管理主事と、山教組支部書記長が異動先をどこにするか話し合うというのです。その際、支部書記長は通常の組合活動のほか、選挙資金集めなど選挙活動に熱心かどうかを査定し、熱心な組合員の希望を優先するよう県教委側と交渉し、働きかけることが続けられてきそうです。高村氏は次のように指摘しました。

 

 「希望しない『組織上』の3校は、自宅から遠い勤務先などを書かざるを得ない。そこに異動させられて、県人事委員会に(不利益処分の取り消しを)訴えても、調書に記入したことを理由に、不当人事にならない仕組みになっている。逆らうと、『転出』とだけ辞令が出て、受け入れ先がないという嫌がらせが行わせれたこともあった」

 

 「一般教員の人事は山教組支部書記長の采配で決まる。組合が推薦しない限り、教頭にはなれない。このことは山梨では暗黙の了解になっている。山教組役員が県教委の幹部になったり、教頭、校長に優先的に登用される。下手に批判すると県教委に筒抜けになるから、だれも大きな声ではいえない。支部書記長も誰かの指示を受けているはずで、もっと大きな力が働いていると思う」

 

 …さて、いかがでしょうか。もう呆れるしかありませんね。高村氏はこの人事の件のほかにも、選挙活動については「山教組の各支部書記長が指示して教員が電話作戦に動員された。山教組の各支部から学校のファクスに集会への動員指示などが入る。学校運営にも支障が出ている。選挙活動は民主党の輿石東氏のときだけではなく、(同じく日教組出身で民主党の)那谷屋正義参院議員のための活動も行った。選挙が終わると、関係書類は全部廃棄する。毎年末、輿石氏の顔写真入りポスターを学校に送ってくるので職員室に張り出す学校もある」と証言してくれました。

 

 それで、高村氏がかつて甲府市内の小学校に勤務していたときには、輿石氏が授業に中に学校訪問を行い、授業を中断させて教員を集め、「私の選挙をよろしく」とあいさつしたこともあったと言います。ウソのような本当の話ですが、これが事実である証拠に、少し古いのですが、平成元年6月の甲府市議会の議事録をここに掲載し、多くの人に読んでもらいたいと思います。こんな人が今や民主党参院議員会長として参院のドンとなり、自分で「私の政治信条は、ぶれない、逃げない、ウソつかないだ」などと言っているのですから、世も末です。

 

 《加藤裕議員 (前略)次に、去る5月19日に「山梨の教育を憂うる退職教師の会」、父母が県教育委員会に対して申し入れた教育現場で行われている違法な選挙の事前運動について質問をいたします。

 この申し入れは、山梨県教職員組合を中心として、校長会、教頭会などのいわゆる教育三者なるものが、衆議院候補に輿石東山教組委員長を組織内候補として機関決定して以来、教育現場を利用してさまざまな事前運動が進められており、これらについて退職教師や父母から強い批判の声が上がっているというものであります。

 その内容は、教員の勤務中に輿石東氏が労組役員を同行して学校を回り、授業を中断させて、子供たちに自習をさせ、教員を職員室に集め、教頭、分会長に「選挙を頑張ろう」と言わせること、候補者自身もあいさつをすること、在住者会という名目で選挙対策の会議を学校で行うということ、公共施設である職員室や校舎内に候補の選挙ポスターを掲示することなどです。特に授業を15分から20分も中断させて、教員を職員室に集めることについては、父兄から子供や教育を犠牲にするものとして強い怒りの声が上がっています。

 甲府市内の小中学校においても、私の調査によりますと、ある学校では朝の会で教頭が「きょうは輿石東氏がお見えになるので、たくさん集まってください」と述べ、3校時目の終了15分前ごろにチャイム3回の合図で教員を職員室に集め、20分休みの半分まで食い込んだ。来ない人には教室へ電話をかけた。

 また、ある学校では、1時間目の授業中、元県議も同行し、全員と握手し、「頑張ってください」という教員の名前入りの色紙を手渡した。この学校で来ない人は組合の役員が教室まで呼びに行っているありさまです。このようなことが堂々と行われているわけです。

 教職員とその関係団体の役割は、憲法、教育基本法に基づいて教育を行うものであり、教育基本法の第8条は、良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならないとしながらも、法律に定める学校は、特定の政党を支持し、またこれに反対するための政治教育、その他政治活動をしてはならないと述べています。このようなことが公然とやられていることは、法律に違反していることはもちろんのこと、民主的な教育にとっても大きな障害になることは言うまでもありません。

 そこで質問をいたしますが、こうしたことが行われる前の去る4月7日、県教育委員会は、市町村教育委員会に対して「教職員の綱紀の保持について」という通知を出し、その中で参議院選挙について違法な事前運動がないように指示をしていますが、この通知に対して教育委員会はどのように対処したのか、明らかにしていただきたいと考えます。

 

 浅川紫朗教育長 (前略)今回の選挙に関連して、県教育委員会からの教職員の綱紀の保持についての通知に対する教育委員会の対応についてのお尋ねでございますが、先ほどのご指摘にもございましたように、教職員の綱紀保持につきましては、4月7日付によりまして、県教育委員会から通知がございました。直ちに文書をもって各学校に通知をいたしました。さらに校長会等の機会を通して教育職員としての関係法令でございます地方公務員法、教育公務員特例法、公職選挙法、関係法令がございますが、その中の制限事項、禁止事項に違反することのないよう指導しているところでございます。

 さらに、県教育委員会を通じて文部省から6月3日付をもって教職員の選挙運動の禁止等についての通知がございました。教育の政治的中立性や信頼を損なうことのないよう、服務規律の確保について各学校にその周知徹底を図るとともに、今後も適切な指導を行ってまいりたいと思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。

 次に、市内の小中学校での一連の選挙運動の事実について把握をしているかというお尋ねでございますが、このことにつきましては、訪問いたしましたのは、現職の教職員組合の委員長でございまして、日ごろの学校教育に対する組合員の労苦に対して激励、それから運動方針などの説明をしたと聞いております。このことにつきましては、今後こうした誤解を招かないように十分留意して指導してまいりたいと存じますので、御理解を賜りたいと思います。》

 …甲府市教委側はもとより山教組と癒着していますから、答弁は木で鼻をくくったようないいかげんなものですね。ちなみに、この質問者の加藤議員は今は引退していまが、所属は共産党です。私は共産党と思想・信条は相容れるものではありませんが、ある意味では、社民党よりはるかに評価していることを一言添えておきます。

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