2009年03月

 

 もう旧聞の部類ですが、月刊文藝春秋4月号が特集していた「これが日本最強内閣だ 識者33名&政治記者84名アンケート」から、へえ、そうだったのかと思った点を一部抜き出して備忘録代わりにしておこうと思います。出てくる「識者」が、どんな人を首相や閣僚に選んだかで、その人のものの考え方がある程度うかがえるようで、ちょっと新鮮だったり、なるほどと思ったりしたもので。

 

 文藝春秋側が記した順番に沿って、気になった「識者」とその回答をみると、冗談のような名前がけっこう並んでいました。これが「夢の最強内閣」のメンバーなんだそうです。

 

 ・手嶋龍一(外交ジャーナリスト、作家)

 総理   緒方貞子(国際協力機構理事長)

 官房長官   野中広務(元官房長官)

 

 ・高杉良(作家)

 総理   片山善博(前鳥取県知事)

 官房長官   寺島実郎(三井物産戦略研究所所長) 

 外務   国谷裕子(キャスター)

 財務   森永卓郎(経済アナリスト)

 

 ・田原総一朗(ジャーナリスト)

 国交   亀井静香

 金融   茂木敏充(将来の首相候補)

 環境   辻元清美(あるいは文科大臣)

 

 ・岩見隆夫(政治ジャーナリスト)

 国交   亀井静香

 

 ・岩間陽子(政策研究大学院大学准教授)

 法務   亀井静香

 

 

 ・大谷昭宏(ジャーナリスト)

 官房長官   田原総一朗

 外務   藤原帰一(東大教授)

 防衛   澤地久枝(作家)

 農水   田中真紀子

 

 ・水野和夫(三菱UFJ証券チーフエコノミスト)

 総理   仙谷由人

 外務   寺島実郎

 財務   峰崎直樹

 環境   岡崎トミ子

 

 ・森永卓郎(経済アナリスト)

 官房長官   野中広務

 外務   寺島実郎

 防衛   福島みずほ

 国交   山崎拓

 総務   亀井静香

 

 ・山口二郎(北海道大教授)

 外務   寺島実郎

 文科   寺脇研(元文部官僚)

 

 識者アンケートでは、田母神俊雄前航空幕僚長が総理として安倍晋三元首相の名前を挙げていたのがちょっと目を引きましたが…。全体としてはやっぱり、これは何の冗談なのか、それとも内輪の褒め合いなのかという感想を持たざるをえません。文藝春秋はどういう人選をしているのかとも。でも、あるいは、日本社会の人材難はここまで来ていると考えるべきなのか。

 

 寺島氏の名前は、政治部記者アンケートの方でも、経済産業大臣に4票入り、野田佳彦氏と並んでトップでした。また、内閣総理大臣については、公設第1秘書の逮捕前とあって、民主党の小沢一郎代表と岡田克也副代表がそれぞれ19票をとってトップでした。繰り返しますが、これは「夢の最強内閣」の布陣を構想するという趣旨のアンケートです。

 

 こっちでは、さすがに森永卓郎氏の名前は出てきませんが、福島みずほ環境相に3票、亀井静香金融担当相に2票が投じられています。ある意味、世相を反映しているのかもしれません。現代の日本社会のありようを把握する(本当は把握なんてとてもできませんが)上で、参考にさせてもらいました。

 

 日本を覆う閉塞感はなかなか払拭できませんが、それでも春は確実に訪れてきましたね。

 

   

 

 土筆は袴を取ってよく洗い、ゆでて水を切った後に油でいため、卵とじにして食べると「ああ、春が来たなあ」と子供のころの幸せな思い出がよみがえるような気がします。ほろ苦さと卵の甘さがうまくからみ、ご飯が進みます。

 

   

 

 今朝方通ったときには2分咲きか3分咲きに見えた外務省前の桜も、お昼には5分咲きぐらいまで花を開いていました。これから1年で1番いい季節になるというときに、無粋なテポドン2号改良型などを撃ち上げるという北朝鮮が本当に憎たらしい。今年は花見としゃれ込むのは無理なようですが、せめて春らしさを楽しもうと思います。

 

 

 

 「またお前のことを書いているよ」と教えてくれる人があって、ジャーナリスト、上杉隆氏のブログを見てきたところ、確かに私について記されていました。もう相手にするのも面倒なので放っておこうかとも思いましたが、その文章が、いかにも上杉氏らしい何の根拠も示さないで他人をこうだと決めつけ、レッテル貼りする内容で、この人の典型的な執筆手法がよく分かるものなので、少し紹介しておくことにします。

 

 まず、私は《元首相という権力者に認定された立派な「記者クラブ記者」と称されるべきだ》そうです。

 

 この言葉からは、上杉氏が最も激しい攻撃対象としていて、世間のイメージが悪い「記者クラブ」と私とを重ね合わせ、私の印象を一緒に貶めようという意図がうかがえますが、では具体的に何をもって彼はこう書いているのでしょうか。確かに、私は現在、外務省記者クラブに所属していますから、「記者クラブ記者」といえばそう言えないこともありません。

 

 ですが、それは一部遊軍担当を除けば、マスコミの政治部所属記者はみなどこかのクラブに所属していますから、ことさら私を指してこのように書くことの底意は透けて見えますね。ただ、私は昨日まで野党担当を手伝っていたり、担当外の国籍法改正問題の記事を書いていたりで、どちらかというとあまり担当部署にかかわらず記事を書いてきました。

 

 また、私は上杉氏がよく政治部の悪習として指摘しているメモ合わせの類も嫌いで(というか面倒だし、他社の記憶に引きずられるのも困りものなので)、ずっと避けてきました。上杉氏は以前、週刊朝日で私が外務省の報道課をあおって云々と書きましたが、実際の私を少しでも知っている人なら、私がそういう面倒くさいことをするタイプではないことは分かっているはずです。

 

 彼は著書の中で私のことを「古いタイプの派閥記者」と決めつけたこともありますが、私はほとんど派閥を担当したこともなく(志帥会を短期間担当しましたが、当時はサブキャップ業務が忙しくほとんど回れませんでした)、一体彼は何をもってそう言っているのかと困惑しました。私の政治家の人脈は、どの派閥かは全く関係なく、主に防衛問題や教育問題、拉致問題などの取材を通じて培ったもので、派閥とも記者クラブとも全く関係がないことも明言しておきます。

 

 上杉氏は私について、《自分自身の「健康」と葬り去られた「ボツ原稿」ばかりを憂いているにすぎない》とも断言しています。

 

 まあ、実際私は自分の健康状態を心配しているのは事実ですから、その点は全く的外れとはいいませんが、私はこのブログでいつも健康問題ばかり書いているでしょうか。例えば紙面における署名記事で一度でも自分の健康事情について触れたことがあるでしょうか。これもレッテル貼りの一種でしょうね。上杉氏にとっては、根拠などどうでもいいのでしょうが、これは他人の悪口としても低レベルなものだと思います。何の説得力もない。また、「葬り去られた」なんて大仰な言葉遣いも、常に問題を大げさに書こうという彼の癖が表れていますね。ジャーナリストの作法というより、アジテーターのそれでしょう。

 

 さらに上杉氏は、《ひねもす記者クラブのパソコンの前に座り、自身のブログのコメント欄に書き込みを続けている。彼のような「有閑階級」は、常にパトロンを欲している》とも見てきたかのようなことを書いています。

 

 呆れるというより、むしろ人間の醜い面を見せられたような悲しい気持ちになりますが、これも悪意だけは感じ取れるものの根拠不明・意味不明の文章ですね。

 

 このイザは双方向の情報空間を目指して始まりました。その実験は、中途半端だったこともあって現在、必ずしも成功しているとまではいえませんが、いただいたコメントに返事を書くことがまるで悪いことであるように書かれると当惑させられます。私はこの2年数ヶ月、日によって違いますが、朝、昼、晩、職場でも自宅でも出先でも日曜休日にかかわりなく、朝起きて出勤までの間、仕事と仕事の合間、気分転換時、夜中に目が覚めたとき…などに、自分の時間も家族との時間も或る程度犠牲にしてコメントに返事を書いてきましたが、それは上杉氏に言わせると「有閑階級」だからだそうです。

 

 私はこの間、決して他の同業者に負けない分量の記事(独自だね、連載企画、特集その他)を書いてきたつもりですし、また後輩記者たちの原稿の手直しその他の業務もこなしてきました。そういう実情を上杉氏に理解しろとは言いませんが、それでは彼が私が一日中記者クラブに閉じこもってブログばかり書いているかのように断じる根拠は何かあるのでしょうか。やはり、彼には相手を攻撃する思惑があるだけで、その内容が正しいとか妥当であるとかはどうでもいいことだと考えざるをえません。彼は以前もブログと週刊朝日誌上で私のことを「ヒマ」だと印象付けようとしていましたが、仮に自分が私より忙しいとして、それで偉いつもりなのでしょうか。幼児性を感じます。

 

 それと、彼のいう「パトロン」って何なんでしょうね。これも意味不明ですが、パトロン付きの記者というと何だか印象が悪くなることだけは分かります。ちなみに、辞書で引くとパトロンとは経済上の後援者のことだそうですが、大変失礼な侮辱だと受け止めます。私がどこかのパトロンとやらから金銭その他の供与を受けた、または受けて仕事をしていると言いたいのでしょうか。これまた全く事実と全く異なりますし、ここでも何の根拠も示されていません。悲しい人だと思います。

 

 一方、上杉氏はことの発端となった週刊文春に書いた自分の記事と安倍事務所からの公開質問状に対しては、《私は、曖昧な態度を取るつもりはない。過ちがあったら、それを認め、正しいと信じたら闘い続ける。実際これまでずっとそうやってきた。責任ある回答は必ず、届ける》というこれまたよく結論が分からないことを自己陶酔したかのような文章で書いています。安倍事務所から事実関係の間違い(捏造)を指摘されて1カ月もたつのに、あいかわらず具体的なことには何ひとつ触れず、ヒーローを気取っていますね。

 

 で、安倍氏と私に対し、《強く抗議するとともに、記述の撤回と謝罪を求める》のだそうです。自分では具体的な反論を一つも示さないでおいて、いきなり相手に謝罪を求めるこの論理性のなさはどう見たらいいのか。

 

 本当にこの人は大丈夫なのだろうかと懸念せざるをえません。自分は一方的にあることないことを誇張して書いておいて、事実関係を示した抗議を受けると逆ギレして悲劇の主人公気分に浸っているとしか思えません。

 

 私は基本的に面倒くさがりで、その上とてもとっても寛容なのですが、彼のいい加減な文章でこれまで被害に遭ってきたであろう沢山の人のためにも、一言書いておこうと思った次第です。ちなみに、安倍事務所のホームページ(http://www3.s-abe.or.jp/)にも本日、『上杉隆さん、答えてください』という新しいコメントと公開質問状がアップされていました。ご関心のある方は、見てみてください。私はこれを読み、さらに上杉氏に対し言うべき言葉を失くしてしまいました。こういう困った人に粘着されたら、どうしたらいいんでしょうね…。

 

 さて、民主党の小沢一郎代表は昨日の参院議員総会と代議士会で、公設第1秘書の起訴と自身の代表続投意向について説明し、「当面の」続投を「了承」されました。まあ、この二つの会は機関決定を行う場ではないので、正式には了承も何もあったものではありませんが、一応、衆参両院議員にも直接話すという手続きを踏んだ形です。

 

 もうメディアが報じている通り、代議士会では小宮山洋子、近藤洋介の両氏が小沢氏続投に疑問を表明しました。党内では小沢辞任論が渦巻いているのに、なぜ意見を述べたのが二人だけだったかは、本日の産経「民主党解剖⑤」で詳しく書いているのでここでは触れませんが、その近藤氏の小沢氏に対する質問が興味深かったので紹介します。関連部分は以下の通りです。

 

近藤氏 そこで小沢代表、せっかくの機会なので、国民を代表する代議士として、また政権交代を命がけで実現しようとしている民主党の国会議員として二つ、おうかがいしたいと思います。

 一つ。素性のなかなか分かりにくい団体から、なぜ長期間にわたって数千万円を越える献金をもらい続けたのか。何ら見返りを求めない、こういう巨額のお金について、代表ご自身は本当に心の底から違和感をお感じにならなかったのか。国民はこの点を疑問に思っていると思います。

 二つ目。さまざまな企業やまた個人の方から、代表が寄付をされた政治献金。具体的に何を使われてこられたのか。私自身、企業献金を、団体献金をいただいております。企業・団体献金がなければ、5年間の浪人生活、活動することはできませんでした。だから、だからです。小沢代表は誰よりもまっとうな形でその資金を使われていると信じております。だからこそご自身の事務所の資金の流れについて、この国民の素朴な疑問について、ご自身の言葉で説明をされていただきたい。それが代表の責務であろうかと思います。信なくば立たずでありますので、どうぞお答えいただければとお願い申しあげます。以上でございます。》

 

 …もっともな疑問であり、小沢氏が何度も記者会見で「私の政治資金は透明だ」と強調しながらまともに答えていない部分でもあります。2番目の質問については、不動産を買うのに使っていたのでしょうが、まあ民主党所属議員だけでなく、国民も当然知りたいところだと思います。ところが、代議士会は衆院本会議前に行われるものなので時間制限があり、この質問に対する小沢氏の回答はありませんでした。やれやれ…。

 

 ところが、弊紙記者の独自取材で、代議士会後に小沢氏から近藤氏の携帯に直接電話があり、「さっきは時間がなかった。今度、来てほしい。いつでも(質問に)答える」という話があったという情報が入ってきました。この時点では私は、へえ、やはり小沢氏も今回は気を遣っているんだなあ、記事の中にエピソードとして盛り込もうと思いました。ちょっといい話ではないかと。

 

 でもことはそう簡単には運びません。夕方になって民主党側から報道各社に、①小沢が近藤に電話をかけた②現在、近藤の質問への回答を作成中で、でき次第、衆参両院議員にファクスかメールを送る③その文書は野党記者クラブにも提供する――との連絡が入りました。なんだ、各社の共通情報になるなら、記事に盛り込むまでもないかなどと考えていたところ、そう時間をおかずに小沢一郎名でその回答文書が配布されました。関連部分は次のようなものでした。

 

 《同志各位からいただいておりますご意見、そして声なきご意見、お励まし、身を引き締めて受け止めさせていただきますとともに、もっと丁寧にご説明し、ご質問にもお答えすべきところ、時間の関係もあり、十分なお話ができなかったことを申し訳なく存じます。

 しかし、各位のお気持ちをしっかりと踏まえ、今後の私の活動を通じて体現させていくことをお約束いたします。

  私の政治資金につきましては、申し上げましたとおり、多くの企業、団体、それにも増す個人の方から応援いただいており、その全てを法令にもとづき厳密に収支報告書に記載させていただいております。また支出につきましても、既に記者会見でも述べさせていただきましたが、収支報告書に正確に漏らさず記載させていただいております。収支報告書は総務省のホームページでご覧いただけますので見ていただければと存じます。また、私の政治活動に対しますご意見はいつでも、引き続き賜りますようお願いいたします。》

 

 …いや、だから、その、何ですかこれは。質問には全然、何も答えていません。小沢氏は現在、公設秘書が起訴されたばかりとあって、これからの裁判対策上もあまり手の内を明かしたくないのかもしれませんが、それにしてもわざわざ近藤氏に直接電話をかけ、わざわざ報道各社に事前に文書提供まで通知しておいてこれですか。と、がっくりくると同時に、やはり小沢氏らしいなあとも感じた次第です。小沢氏はやたらとオープンだとかディスクロージャーだとか言いたがりますが、巧言令色なんとやらを地で行っているような。

 

 というわけで、約2週間にわたった野党担当記者の応援業務をひとまず終わり、来週からはまた外務省に戻ります。北朝鮮が4月4日にテポドン2号の改良型を発射するのはほぼ間違いないと見られていますし、まだまだ忙しい日々が続きそうです。

 

 

 本日はまず、ちょっと気になったことを書きます。民主党の鳩山由紀夫幹事長は昨夜、JR松戸駅前で行った千葉県知事選の民主党候補の応援演説で、小沢一郎代表の公設第1秘書の起訴について次のように語り、大喜びしていました。あいかわらず東京地検の捜査にぶつぶつ言っているのはいいとして、下記の太字部分にご注目ください。

 

鳩山氏 大変、検察も政治的な意図で、行政の一環として仕事をしている、そのように思えてならないところがございまして、今私たちは官僚任せの政治から、皆様方が主役になる政治、切り替えてまいりたいと思っています。こんなときに小沢代表もくじけないで、頑張って民主党もいきます。どうぞ、よろしくお力をお貸しください。

大変うれしいことに、先ほどメールを見ておりました。朝日新聞の世論調査によると、小沢代表続投に対して、賛成してくださる方が64%おりまして、3割少しが辞めなさいという声でございました。もっと辞めろという声が大きいかと思っておりましたが、皆さん方が辛抱強く、そして、何かやっぱり、おかしいなと、この捜査は変だなと思っておられるから、辛抱強く小沢続投に賛成をしていただいていると思っておりまして、そのことに関して、幹事長からも御礼を申し上げます。みなさんありがとうございます。本当にありがとうございます。》

 

 えっ、まさか。本当にそうなのと驚かされた、私には少々ショッキングな内容でした。小沢氏続投に賛成が64%…。国民はどこまで小沢氏に甘いのか、一体どういう判断基準、価値基準に基づいたらこういう数字が出てくるのかと、ちょっと世を嘆きたくなったほどです。せっかく民主党内からもようやく健全な小沢批判の声があがり始め、少しはまともな政党に生まれ変わるチャンスだったというのに、これでまた沈黙が支配する非民主的政党に後戻りかと。

 

 ところが、鳩山氏がだれのメールで朝日の世論調査結果を知ったのかはおいておくとして、今朝の朝日新聞を見ても、この世論調査の結果が見あたりません。まあ、紙面の都合もあるし、明日の紙面に掲載するのかもしれないなあと思いつつ、2面の特集「時時刻々」を読んでいたら「『小沢おろし』は世論次第」という見出しが目に飛び込んできました。記事は、非民主系のベテランの言葉として、こんなセリフを紹介していました。

 

 「すべては世論調査が出てからだ。民主党支持が落ちるかどうか。こればっかりはわからない。がくんと下がっていたら、その瞬間に終わりだ。一瞬で動く」

 

 これはこれで納得のいく、だれかが言いそうなコメントではあるのですが、これを書いた記者は自社の世論調査結果を分かった上で書いているのかまだ知らないのか、それとも、鳩山氏が偽情報をつかまされて言っていたのか…などといろいろ気になった次第です。明日になればおそらく分かるのでしょうが、鳩山氏の情報が事実であれば、小沢氏続投を6割以上の人が支持している以上、民主党支持率も「がくん」とは落ちていないでしょうね。もしそうであれば、それだけ自民党が国民に嫌われているということかもしれません。

 

 そこで参考までに、秘書起訴に対する東京地検側の言い分を少し紹介しようと思います。これについては25日付の弊紙社会面に「検察が異例の〝解説〟 『放置できぬ悪質性』」という記事が載っていましたが、それを補う意味で。以下、検察幹部の主張です。検察当局が何を考えているのか、うっすらとですがうかがえます。

 

 「なぜ悪質と判断したかについては、政治資金規正法の位置づけ、性格、これまでの改正の経緯というのがあって、もう一つは情状。その二つから公判請求と判断した。法律(政治資金規正法)の位置づけ、昭和23年にできた法律だが、できたときから禁固5年という重い罪だった。確かに適用にあたっては穴があったが、リクルート事件や東京佐川、ゼネコン汚職が契機となって、個人献金が禁止され、企業献金も三つの部分しかできないというようになった。改正された平成6年体制というのがあって、平成11年と、徐々にではあるにせよ、国会の努力で政治資金規正法がしっかりとしたものになっていった。元々政治資金収支報告書をディスクローズするというのは重きを置かれていた。そういう背景がある。そこに嘘を書いて『政治とカネ』の実態について偽るというのは国民を欺くことにほかならない。実態を偽るという意味で西松、特定のゼネコンが寄付者であるということを消している。政治資金規正法は、『政治とカネ』の問題は癒着とかが起こりやすいという前提にディスクローズして、国民の目でチェックしてもらう制度。寄付者を偽るというのは、大事なことで、国民の判断が歪められる」

 

 「まずこの事件を摘発した経緯は、一連の西松建設にかかる政治資金の捜査があって、去年11月に業務上横領を着手、今年に入って外為法違反を着手した。一連の捜査の中で捜査の常道に従って粛々と捜査し、たまたまこの時期の立件になった。本件の重大性、悪質性を考えると、秋までに衆院選があることを踏まえても放置できないと判断した。それと平成15年の(小沢氏の資金管理団体)陸山会の時効が今月末に成立するということと、国沢さん(西松前社長)の外為法違反の公判までもそんなに時間がかからない。なので、この時期になった。他の事件については、判断ではなく、捜査するものがあれば捜査する。政治的意図をもってやるのはあり得ないわけで、事案の重さを考えると、秋までに選挙があるからねぐってしまえというわけにはいかない。それぞれ事実関係を前提としている。我々は捜査の結果得られた事実関係に照らして『見逃せないね』となった」

 

 「逮捕のときは、団体のダミー性というよりも、この寄付がまさに西松建設からのダミーだと。団体そのものの性格を言ったわけではないと記憶している。(ダミーと判断した根拠は)それを説明するために手の内の証拠関係を明らかにするわけにはいかない。あくまで我々の判断であって、双方を戦わせるのが裁判であって、強制的権限を使って捜査したことを言うのは法律違反。しゃべりたいのはやまやまだが、元々法律が公判廷で公開されるまでしゃべっちゃいかんと言っている。我々が捜査結果をしゃべれば我々も楽だが、法理にも違反するし、フェアではない。弁護側も我々が、認定したことを国民に広め、予断を与えたという批判も可能ですよね」

 

 …小沢氏の公設秘書は、すでに起訴内容を大筋認めているといいますが、今後、捜査はどこに進むのでしょうね。今朝の読売は1面トップで「二階氏側に事務所提供 西松、家賃分を献金 地検が捜査」と大きく報じていましたが。まあ、以前も書きましたが、この際片っ端からいかがわしい議員や関係者を摘発して、世の中を少しでもすっきりしたものにしてほしいものです。25日の弊紙3面の記事「政界ルート 捜査は続く」によると、二階氏や尾身幸次元財務相、森喜朗元首相らの「政治団体の会計責任者から事情聴取を行い、違法性の認識の有無を問うことになる」とありましたが、どんどんやってくれ、ですね。

 

 

   

 

  こんなところ(写真は国会内の野党記者クラブ前の廊下)で、毎日大量の原稿を書いてすごしています。本当はブログでいろいろと書きたいこともあるのですが、ノルマと締め切りに追われ、なかなかブログの更新ができずにいます。

 

 さて、本日は民主党の小沢代表が予想通り、続投を表明しましたね。あの「涙の記者会見」については、民主党議員から「役者だよ、役者」という声も出ていますが、さて…。24日夜の党常任幹事会も、小沢氏の続投を諸手を挙げて歓迎という雰囲気ではなかったようです。まあ、当然といえば当然ですが。

 

 今まで民主党内で封印されてきた小沢批判、小沢退陣論も、今後は折に触れて飛び出てくることと思います。にわか野党担当記者として、面白い情報を報告できたらいいのですが…。

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