2009年03月

 

 もういい加減、表舞台からは引っ込んで政界のことに口出しはしないでほしいと思っていた森喜朗元首相が本日、沖縄県沖縄市での自民党所属議員のパーティーでのあいさつで、とうとう実名を挙げて民主党の輿石東参院議員会長の政治資金をめぐる疑惑を批判しました。その内容ですが…

 

 よく言った!あんた見直した!いろいろそれはどうかと思うことをしてきた人だし、早く引退してほしいと思っていたけれど、ここにきて大きな存在感を示した。輿石氏を支援する山梨県教職員組合の違法な選挙活動問題の発覚から約5年、やっとそれを言ってくれたか。今まで自民党議員でもそこまではっきり言ったのは初めてだ…(感涙)。

 

 当ブログを読んでくれている人には自明のことですが、この重要かつ深刻な問題(輿石氏は地方公務員である教員らにより、政治資金規正法違反=虚偽記載=の手段で集められたカネで選挙をしてきました)を他の新聞、テレビがまともに取り上げず、いや、産経の中ですら問題意識の全くない人がいる中で、これはとても嬉しい。参院では、55年体制的与野党もたれ合いが長く続いていた結果、見逃されてきた、かつ追及対象にされないできた点に、とうとうはっきり言及してくれましたか。

 

 私としては、もはや選挙対策でも何でもいい。小沢一郎氏の「政治とカネ」の問題よりある意味もっと悪質な、「政治とカネと教育」の問題について、はっきり言ってくれたことを高く評価します。

 

 以下、あいさつの関連部分を掲載します。

 

 《森氏 皆さん、今日本で、民主党に少しやらせたらどうかとか、自民党も少しガタが来たから一度はやらしただろうかと考えている人が60%くらいいる。ただ、私は沖縄の皆さんなら一番理解してもらえると思うのでこれだけは是非申し上げたい。

 福島瑞穂という社民党の代表の女性の議員がいる。今年の日教組の新年の大会で、長いけど、ちょっと読んでみます。「日教組新春の集いで見る初夢は、与野党逆転で教育基本法を元に戻し教師の免許更新制などを廃止することです」。これが今年の福島さんの初夢だ。社民党はぜひこれをやろうと思っている。だから民主党と組むということなんでしょうね。

 同じ民主党の参議院の議員会長さん、輿石さん、違法なお金を集めて当選してきた人であることは皆さん、ご存じの通り。この方も「教育の政治的中立などと言われても、そんなことはありえない。政治から教育を変えていく。逆説的に。そんな勇気と自信をも持って頂きたい」。つまり、政治で教育を変えますよとおっしゃっている。「私も日政連、つまり日教組のメンバーです。日教組とともに戦っていくことをお誓いします」。そして、教育基本法を元に戻す。教員の免許制を止めるということでしょう。

 教育基本法は何を謳ったか。これはご承知の通りでしょう。国を大切にしよう、愛しようと。どの政党が政権を取っても同じことだ。日本の伝統、歴史を大事にしましょうと。60年かかった悲願だ。先生方が無責任、それには先生に他の道が開けるようにして上げたらいい。だから10年に一回は免許更新制入れましょうと。これを社民党も共産党も民主党もまた変えようと思っている。

 もし民主党政権が出来たら、おそらく文部大臣に日教組出身者の議員を据えることになるのではないでしょうか。そしたら、民主党の大きな背景は連合です。今の小選挙区制度の中に全部連合が支持をしている。その主体は何かというと日教組と自治労でしょう。これが圧力を掛けていったら日本の教育を根底からまたおかしくしてしまう(※傍線は同行していた田中記者が施したものです。また、輿石氏の選挙支援を行ってきた山梨県教職員組合とその政治団体の幹部らが以前、政治資金規正法違反で略式起訴=罰金刑=となった問題では、告発関係者らが「刑が軽すぎ、公判で明らかにされるべき問題も不明なままである上、輿石氏が全く反省をしていない」として、検察審議会への申し立てを検討しているようです。このままで済まさず、どんどんやってほしいと期待しています)

 

 《きみたちはわたしを崇拝する。だが、きみたちの崇拝がいつの日かくつがえったとしたら、どうだろう?(倒れかかってくる)立像に打ち砕かれないよう、用心せよ!》《これら善人ども、彼らは譲歩し、忍従する。彼らの心は受け売りし、彼らの心底は聴従する。だが、聴従する者は、自分自身の声には耳を傾けないのだ》(ニーチェ「このようにツァラトゥストラは語った」)

 

 昨日は、あれだけ民主党の小沢一郎代表との一蓮托生ぶりを強調していた鳩山由紀夫幹事長がテレビ番組で、今さらのように「(小沢氏の)進退問題が浮上しないと言い切るつもりはない」とトーンを変えてきましたね。その意味では、当初から小沢氏に理解を示しつつも微妙に距離を置く発言をしていた菅直人代表代行の方が、政治的には賢く振る舞ったということかもしれません(人間的にはどうだか分かりませんが)。

 

 で、今朝の朝日は2面の「時時刻刻」の欄で、「『代表さえ辞めれば総選挙で大勝』 民主、事件の進展注視」「『岡田克也代表に代えてきたら大変』 自民、春解散に高い壁」という見出しをつけてきました。私はこの社の記事内容や見出しの付け方には、これまで散々文句を言ってきましたが、たまには褒めようと思います。「うまいなあ」と素直に感じたもので。西松建設の件は、自民党の二階俊博経済産業相にも波及するようですし、民主党側が早期に小沢氏を降ろして新しい顔でくれば、これは自民党側も「麻生太郎首相ではまずい」という具合にクビのすげ替えに走り出すかもしれません。

 

 ほんの1週間前には、ちょっと想像し難かった展開ですね。使い古された言葉ではありますが、まさに「政界一寸先は闇」。それとも、これこそが予定調和であり、神の見えざる手の成せるわざなんでしょうか。まあ、それはともかく、昨日から今日にかけては新聞各紙の世論調査が出ていたので、ちょっとまとめてみます。

 

 まず、今回の件で小沢氏に辞任を求める声をみると

 

・産経(フジ)   47.4%(「辞任すべきとは思わない」は41.4%)

・朝日       57%(「続ける方がいい」は26%)

・読売       53.1%(「辞任する必要はない」は36.1%)

・共同通信     61.1%(「代表を続けてよい」は28.9%)

・毎日       57%(「辞める必要はない」は33%)

 

 となっています。産経の調査が一番小沢氏に優しい結果となっていますが、それでも辞任を求める意見の方が6ポイント多く、朝日に至っては30ポイント以上も「辞任派」が上回っています。これだけ同じ設問で結果のばらつきが多いのは最近では珍しいと思いますが、質問の仕方、聞き方の差でしょうかね。ちょっと分かりませんが、いずれにしろ、予想通り、小沢氏には厳しい数字が出ていますね。

 

 次に、記者会見その他での小沢氏の説明は不十分とする見方は

 

・産経(フジ)   76.6%(「責任を果たしている」は18.2%)

・朝日       77%(「納得できる」は12%)

・読売       80.8%(「納得できる」は11.5%)

・共同通信     78.4%(「納得できた」は12.4%)

・毎日       79%(「納得できる」は12%)

 

 こちらも産経の調査が比較的小沢氏に甘い結果となっていますが、他紙はあの説明に納得できた人は11~12%にとどまっています。そりゃそうだろうなというか、1割強の人が納得してしまったことがかえって不思議な気もしますが。今朝の毎日のコラム「風知草」では、編集委員の山田孝男氏が「小沢の反論に中身がない」と断じていましたが、そもそも小沢氏は、何かを他者に説明する能力・資質に欠けた人ではないかと私は、過去の言動をたどりながら考えています。

 

 では、今回の件で民主党の支持率はどうなったか。

 

・産経(フジ)   23.9%(前回調査比2.0ポイント減)

・朝日       22%(同4ポイント減)

・読売       23.8%(同4.5ポイント減)

・共同通信     27.4%(同6.2ポイント減)

・毎日       22%(同7ポイント減)

 

 またまた産経が一番民主党への打撃が一番少ない形ですが、それでも昨年11月の調査以来、久しぶりに自民党の支持率(26.6%、前回調査費4.7%増)が民主党を上回りました。これは、民主党議員たちも心穏やかではいられないでしょうね。二階氏サイドへの捜査が本格化したら、現役閣僚ということもあって麻生内閣のダメージは大きいでしょうが、小沢氏は党の顔である代表だけに、これもかなり深刻な事態です。

 

 じゃあ、肝心の麻生内閣の支持率はどう動いたかというと

 

・産経(フジ)   17.0%(前回調査比5.6ポイント増)

・朝日      14%(同1ポイント増)

・読売      17.4%(同2.5ポイント減)

・共同通信    16.0%(同2.6ポイント増)

・毎日      16%(同5ポイント増)

 

 こういう数字で、「敵失」があったからといって内閣支持率が急によくなるわけがないという当たり前の結果が表れています。それでも私が目を通した5つの調査のうち、4つでは微増していますが、読売では逆に微減しており、まあ、麻生氏にとって喜べた数字ではなさそうです。支持率が1割を切るという悪夢は免れたものの、かなりの低空飛行であることには変わりませんし。

 

 最後に、麻生VS小沢でどちらが首相にふさわしいかをみると

 

          麻生氏              小沢氏

・産経(フジ)  23.2%(4.3ポイント増) 29.8%(14.6ポイント減)

・朝日          22%(3ポイント増)    32%(13ポイント減)

・読売     26%(2ポイント増)    35%(5ポイント減)

・共同通信   25.6%(5.2ポイント増) 33.6%(12.8ポイント減)

・毎日     10%(2ポイント増)    13%(12ポイント減)

 

 こうなっています。小沢氏への失望も確かに表れていますが、小沢氏が減らしたポイントがそのまま麻生氏に向かわないところに、現在の政治状況の閉塞感と難しさがあるような気もします。もっと言えば、小沢氏側にあれだけ大きな問題が発覚したにもかかわらず、麻生氏はまだすべての調査で小沢氏に負けているわけで、問題の根の深さがうかがえます。この数字は、政府・与党側にも相当ショックだったかもしれません。

 

 最初に挙げた今朝の朝日の記事は、「両党首 負け比べ」という大見出しもつけていました。まったくだと率直に感じています。政権を担い、また次を狙う二大政党の党首どちらもが、国民の信頼を勝ち得ていない現状は、やはり困ったものだと思います。小沢氏という「神話」「偶像」が倒れ、崩れ落ちてきたとき、民主党議員たちはどう動き、難を逃れるのか。

 

 こうした政治の現状を考えるとき、たびたびご指摘をいただくように、マス・メディアのあり方も真剣に反省し、見直していかなければならないのでしょう。ただ、これからの日本社会でどういう情報伝達・共有のあり方が可能であり、目指すべきなのか、「鈍」な私には答えがなかなか見えてきません。

 

 

 以前このブログで取り上げた問題に、新しい動きがあったので報告します。私は2月21日のエントリ「上杉氏の記事がまたアレだという指摘について」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/924472/)で、ジャーナリストの上杉隆氏が週刊文春2月26日号に書いた記事「安倍、福田…ひ弱な二世をつくる『後援会』」に関して、某氏から「全然ウソだ」という電話をもらい、記事を読んだ感想を記しました。

 

 記事は、上杉氏が昨年1月に山口県下関市で開かれた安倍晋三元首相のパーティーを現場取材して書いたものらしいですが、同じく現場にいた某氏が、記事の事実関係が大きく違っていると言ってきたからです。ご存じの通り、私が安倍氏に一定のシンパシーを持っていることを割り引いても、これはひどいなと感じました。また、私自身、上杉氏には何度も事実と全く異なることを書かれたり、語られたりして迷惑を被り、それを会社が抗議したところ、木で鼻をくくったような何の説明にもなっていない回答がきた上に、ブログ上で反論を書いた私に対し、「ヒマな人だ」というレッテルを貼られるだけに終わったということがあったので、他人事とは思えないということもありました。

 

 今回の文春記事をめぐっては、安倍氏サイドも相当腹に据えかねているようで、5日には、与党担当の平河記者クラブに安倍事務所による張り出しがありました。それは、上杉氏に対する「公開質問状」という形の反論で、上杉氏の記述のいくつかの点について、具体的にパーティー現場の写真3枚を示して反駁しています。これは、9日正午までの文書による回答も求めていました。

 

 ただ、政治家がジャーナリストの記事に対して反論しても、それが自社の記事でもない限り紙面には掲載しにくいし、民主党の小沢一郎代表の疑惑や外交日程もいろいろあり、とりあえず放っておきました。ところが今朝、安倍氏のホームページをチェックしたところ、《上杉氏の嘘 動かぬ証拠》という新たな一文がアップされており、興味深かったので少し紹介します。

 

 それによると、文春2月26日号の記事に安倍事務所が抗議したところ、まず3月2日に上杉氏ではなく文春編集部から回答があり、それには「なお、当回答は、未公表の著作物ですのでそのままHPで引用、公開されることはお控えください」と記されていたそうです。それについて安倍事務所は「週刊誌という媒体を使い大々的に安倍議員を誹謗中傷しておきながら抗議されると『それは密室でやりましょう』というのは虫が良すぎるのではないでしょうか。よほど後ろめたいのか、恥ずかしいのでしょう」と強く皮肉っています。

 

実は、産経が昨年、週刊朝日の上杉氏の記事について抗議し、訂正文掲載の申し入れをした際に、その文面をこのブログで掲載したところ、週刊朝日側から「内部のやりとりを無許可で掲載するのはルール違反だ」と逆に抗議されたことがあります。でも、そんな訳の分からないルールなんて存在するのかと私は疑っています。結局、都合が悪いから隠したくて言っているだけだろうと(※参照 2008年10月30日のエントリ「週刊朝日・上杉隆氏の記事に反論します」http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/775624/)。

 

さて、安倍氏の反論に話を戻すと、具体的な反論内容の詳細はホームページに載っているのでそっちを見ていただくとして、面白いと感じたのは、次の部分です。

 

「(上杉氏が自分の目で見て書いたという)洋子氏(安倍氏の母)がマイクを握って話した事実は全くありません。その場に居合わせた東京からの同行記者(朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞社、東京新聞社、共同通信社、時事通信社、北海道新聞社、NHK、日本テレビ、東京放送、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京)全員が『そんな事実は無い』と証言しています。TV局記者の中には当日撮ったVTRを見て確認をして答える記者もいました。当時2000人以上の人達がその場に居ました。その場にいた人達すべてが目撃者であり、証人です。もし当方の主張が違うのであれば、誰か一人でも反証する人を見つければ良いのです。しかし、それは出来ないでしょう。なぜなら上杉氏のあげた事実はでっちあげだからです」

 

「そんなことだから回答書が公開されては『困る』というよりも『恥ずかしい』のでしょう。上杉氏の記事を捏造し、読者に事実と思い込ませる手法は詐欺師の手口にも等しいとの非難を浴びても仕方ないでしょう。上杉氏の安倍議員に対する記事、テレビでのコメントは事実と異なる事が多く、その大多数が誹謗中傷に満ちたものでした。今まではいちいち指摘してもキリがないと我慢してきましたが、上杉氏の安倍議員に対する記事、コメントはストーカー的にエスカレートしており、また今回の記事で、その記事を事実と信じた人達から議員自身や事務所等への嫌がらせも発生しています。その中には80歳を越えて昨年癌手術を終えた洋子氏への批判も含まれており、看過できないと判断しました」

 

もはや堪忍袋の緒が切れた、といったところでしょうか。証拠写真の件も含め、もうこれ以上いい加減なことを書くことは許さないという姿勢を感じます。安倍氏は、朝日新聞による慰安婦番組改編報道の際を見ても、いったん反論を始めると「手打ち」はせずに徹底的にやるタイプです。これに対し、これまでジャーナリズムが抱える諸問題を手厳しく指摘してきた上杉氏がどう回答してくるのか、よく見守ろうと思います。ジャーナリズム批判の「第一人者」が、そもそもジャーナリスト失格だったというのでは、洒落になりません(※追伸 このエントリをアップした後に一応、上杉氏のブログにこの件に関して言及がないかを確認しにいったら、昨日付でブログが説明抜きで「無期限休刊」となっていました。狐につままれたような気分です)。

 

 

 

 きょうはまず、ちょっと小沢一郎氏から離れて、同じ民主党の「次の内閣外相」、鉢呂吉雄衆院議員について触れたいと思います。この人は農協職員出身ですが日教組の組織内候補であり、特に地元の北海道教職員組合とは親密な関係にあります。それについては、2006年10月3日の私のエントリ「民主党と日教組と教育基本法」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/49979/)でも書いているのでここでは省きますが、まあ、そういう人物です。察してください。

 

 民主党の場合、「次の内閣」の閣僚が、実際に民主党が政権を取った際にそのポストに就くかというとそうとも限りません。でも、とりあえず現在は「次の外相」なので、外務官僚と話していても「まさか本当に外相にはならないでしょうね」などと、ときどき話題になります。そういう中で聞いた一つのエピソードを紹介します。

 

 それは先月23日から25日まで、東京で欧州各国に駐在している大使たちがそれぞれの国の情勢や課題について報告、協議する会議が開かれた際のことだそうです。鉢呂氏から某外務省高官に電話がかかってきて、次のようなやりとりがあったとか。

 

 鉢呂氏 「欧州大使会議で何か話すように要請されたが、何を話せばいいのか」

 

 某高官 「例えば、民主党の外交政策についてお話しになったらいかがでしょう」

 

 鉢呂氏 「そんなものは、ない!!」

 

 …これを聞いたとき、私はまず爆笑し、次の瞬間背筋が寒くなったものでした。でも、仮に民主党政権でも鉢呂氏が実際には外相にはならないとしても、民主党の誰が日本の外交の顔になるのでしょうね。正直なところ、ぱっとは思い浮かびません。思い切って若手を抜擢するのかそれとも…うーん。

 

 まあ、余談はここまでにして、風雲急を告げ、身辺が慌ただしくなっている小沢氏の言動録をまたお届けしたいと思います。

 

    平成16年5月7日、夕刊フジ「剛腕コラム」、民主党代表代行、年金未納問題について

「小泉純一郎内閣の閣僚から、福田康夫官房長官を筆頭にして、何と国民年金の未納者が7人も見つかった。加えて、わが民主党の菅直人代表までもが厚相時代に未加入の時期があったことが明らかになった。それぞれ、『うっかりしていた』『思い違いだった』『制度が複雑で…』などと弁明・弁解していたが、強制加入である年金の保険料は税金に近いものであり、年金未納は脱税に匹敵する。単に事情を説明して『ゴメンなさい』で済まされるような問題ではない」

 

 =この言葉によく注意して記憶にとどめておいてください。この人の本質的な軽さ、いい加減さが表れています。この発言が菅氏を追い込み、代表辞任につながるのですが…。

 

    平成16年5月15日、産経、民主党代表代行、岡田克也幹事長と会談して代表就任を受諾後、記者会見で

「目標は民主党を政権を担えるような党にすることだ。荷は重いが、(代表を)やる以上は政権交代の大目標を達成できるよう、がんばってやっていく以外にない」

 

 =はい、ここでいったん代表就任を受けています。同日の朝日新聞は「『年金で小泉政権と勝負できる』。小沢一郎氏を民主党新代表へ突き上げたのは、最後はその思いからだった」と書いていますが、さて。

 

    平成16年5月18日、産経、民主党代表代行、緊急記者会見で昭和55年4月から61年3月まで6年間、年金に未加入だったことを説明、代表戦への出馬辞退を表明して

「政治責任はまったくないとは言えず、政治的けじめをつける必要がある。次の政権を担う民主党の代表に私がなることはふさわしくない。加入を推奨すべき立場にある国会議員が、加入していなかったことについて、深く反省しております」

 

 =年金未納は脱税に匹敵するんじゃなかったでしたっけ?なんなんでしょうね、この脇の甘さは。私は当時、平河クラブ(与党担当)の所属でしたが、この緊急記者会見が急遽セットされたことで、ある会合で乾杯し、まさに生ビールを飲もうとしたその瞬間に、職場に引き返し、原稿処理をするはめになりました。

 

    平成16年5月28日、毎日、民主党衆院議員、大型談話で小泉首相の再訪朝を批判して

「事実関係で見ると、25万トンの食糧支援と1000万ドルの医薬品の提供は筋違いだ。100億円相当もの身代金を誘拐犯の親玉に持って行って、ご機嫌うかがいしながら、人質をようやく連れ帰ったにすぎない」

 

 =こうして批判しているご本人が、「カネをいっぱい持っていき、『何人かください』って言うしかないだろ」ですからねえ…。

 

    平成16年6月18日、夕刊フジ「剛腕コラム」、民主党衆院議員、自民党と社会党について

「俗に言う55年体制は、『何でも反対』の社会党がイデオロギーを盾にして自民党と不毛の対立を続けたように見られているが、これは事実ではない。55年体制を最も近い場所で見てきた者として言うが、自民党と社会党は地下茎で結ばれていて、難しい政治的問題はすべてタブーとして論議せず、ひたすら経済の復興ともうけた利益を配分することで完全に一致していた。つまり、自社両党はまったく同じ体質の政党だったのである」

 

 =これは私もその通りなのだろうと思います。だから、今小沢氏は党内の旧社会党グループや社民党と仲がいいのかもしれませんが。

 

    平成16年8月6日、夕刊フジ、民主党衆院議員、インタビューで訪米のため臨時国会開会式を欠席した岡田克也代表を批判して

「形式とはいえ、開会式は国民統合の象徴たる天皇陛下が国民の名の下に行うものだから、欠席はよくない。実質論としては、参院選で主張した年金改悪廃止法案を提出する日に、代表がいないのはどういうことか。なぜ、開会式を欠席する強行日程になったのかというと、26日に自分の資金集めパーティーを終えてから訪米したからだ。そんなことのために、大事な開会式を欠席するなど、政治感覚を疑わざるを得ない」

 

 =いや、いいんですよ。もっともだと思いますよ、はい。でもあなたが言うとなあ。今国会での2月末までの衆院本会議11回のうち4回まで欠席し、党代表であるのに代表質問に立とうとしない人が何を言っても…。

 

    平成16年9月3日、夕刊フジ「剛腕コラム」、民主党衆院議員、政治とカネの問題について

「政治献金に関して僕には持論がある。『個人献金はいいが、企業献金はダメだ』といった意見があるが、まったく逆だと思う。個人献金の方が政治家との密着度は深まるはずだ。僕は政治献金について、どこから、いくら受け取り、何に使ったかを、すべてオープンにして、主権者である国民が判断できるようにすべきだと思う。(中略)献金をする国民サイドにも問題がある。金で自分の利権を獲得しようという意識は捨てるべきだ」

 

 =何に使ったかねえ。オープンに不動産を買いましたと言われても…。ちょっと素朴な疑問が湧いたのですが、この人は献金する企業を何だと思い、何のために献金していると考えているのでしょうか。

 

 …と、ここまで書いたところで、本日昼に民主党本部で小沢氏が記者団に語った内容が入ってきたので、ここに掲載します。ふーん、「お礼とお願いのごあいさつ」か。

 

記者 秘書逮捕後、次々と事件に関して疑惑の報道がされているが

 

小沢氏 個別のことについては、私は秘書を信頼して、秘書に任せておりますので、個々の一つ一つの献金のことはわかりません。ただ、政治献金であっても何であっても、献金してくれる方、あるいは、一般社会で言えば、慈善事業に寄付してくれる方とか、そういう意味ではありがたく、献金はいただいて、その浄財で政治活動をしておりますし、また、ずっと政治活動続けていく中で、今、問題になってる西松建設うんぬんだけではなくて、いろんな、会社の方であれ、個人の方であれ、お礼とお願いのごあいさつをするのは当たり前だと思いますんで、そういう意味では、私は何も問題はないんじゃないかと思っております。

 

記者 西松建設サイドが、小沢代表に何かを期待していたということについては

 

小沢氏 それは、例えば、私に個人で献金してくださっている方も、何百とおられます。それぞれ献金する方々の気持ちは、それぞれ違う思いを持っていると思います。ただ、本当に一般の方々が自分の収入から、献金してくださるのは、これを使って、政治活動をしながら、いい政治をしてください。そして、自分たちの日本が、自分たちの生活が、平和で安定して生活できるような、そういう社会をつくってくださいという、そういう期待をして、献金してくださっているんだと思います。ほいで、また、企業の方もそれぞれの思いはあるかと思いますが、私どもとしては、その献金を今言ったと同じように、お国のために、みんなのために使ってくださいという善意と受け止めて、ありがたくいただいております。ですから、内心の思いまでは分かりませんけれども、今、申し上げましたように善意を信じておるということであります。》

 

 西松建設の件は、小沢氏本人まではいかないという噂が流れていますが、実際のところどうなのでしょうね。事件は地方首長の方へ伸びるという情報もありますが、真偽のほどは分かりません。とりあえず、見守るしかないようです。

 

 

 今朝、民主党の小沢一郎代表の公設第一秘書逮捕に関する朝刊各紙を読み比べていて、「意外と朝日が厳しいなあ」と感じました。2面の特集「時時刻刻」の見出しを拾っても、「きわどい徹底抗戦 小沢代表、捜査当局を批判」「民主、『一蓮托生』の賭け」「怒る検察『理解できぬ』 論理のすり替え指摘も」「業者も不信感 説明『笑った』」…とあり、けっこう強い表現となっています。また、社説の方も「小沢氏は退路を断った。今後の捜査で説明と矛盾する事実が明らかになれば、小沢氏の政治生命にも跳ね返ってきかねない」と書いています。

 

 私はこの中でも特に、「一蓮托生」という言葉が気に入りました。というのは、私も一昨日からの民主党執行部の言動を見ていて、全く同じことを考えていたからです。事件の全容が明らかになる前から「陰謀だ」「国策捜査だ」などど決めつけて全面的に小沢氏をかばい、検察を批判している幹部らの姿を見ていると、これで捜査が進んで国民がやっぱり小沢氏が悪いと考えるような材料が出てきたら、一体どうするつもりだろう、小沢氏と一緒に沈むつもりなのかと他人事ながら心配してしまいます。なぜか頬はゆるむのですが。

 

 そこで本日は、読者のみなさんの参考に資するため、東京地検特捜部の捜査が小沢氏の資金管理団体「陸山会」に入ると報じられた3日午後からの、民主党幹部らの言葉をおおよその時系列に沿ってここに紹介し、記録にとどめたいと思います。必死さが伝わってきます。

 

    鳩山由紀夫幹事長、3日午後、民主党本部、幹部会後

「小沢代表から、『全く心配いらない』という話でありました。すべて自分のお金の出し入れ、すべて明らかにしている方ですから、全く問題はないとご本人はそう申していました。私たちはそのように思っております。何かいろいろと陰謀があるなという感じはするんです。政権与党としては今必死なんでしょうね。で、この、何もないところからおかしなことをつかみ取ろうみたいなね、そういう話が出てきているんじゃないかと、相当いやらしいね」

 

    山岡賢次国対委員長、同上

「代表ご自身は断固としてそういう問題はないと。すべて合法的にやっていると。私もそう思っている。官房を中心とした、言うなれば政権の立場を利用して、そこで選挙のため、あるいは党を誹謗中傷するために組織的に動いているということは前から分かっているので、検察のトップも握っているので、このことについてうかがいしてこい、ぐらいのことは言いかねない。これはマスコミも使った仕組まれた陰謀だ

 

    鳩山幹事長、4日午後、国会内、代議士会でのあいさつ

「今朝ほど小沢代表は40分間の記者会見をしたところでして、皆様方もご覧になったかと思うが、私どもからすれば説明責任を果たされたと感じております。小沢代表の言葉で若干申し上げますと、政治的、あるいは法律的な立場からも公正さを欠く検察当局の行動ではないか。小沢代表は、すべての政治資金の収支、入りと出を1円単位まで、非常に緻密にオープンにされているところでして、ある意味ではまさに政治家の鑑のような存在で、ディスクロージャーを旨として行動されている政治家代表です。検察側に政治的な意図があったと疑われて当然だと思っておりまして、むしろ、検察側にその根拠を国民の皆様方にしっかりと示す、むしろ彼らの方に説明責任があると感じているところです」

 

    鳩山幹事長、4日午後、国会内、報道各社に小沢氏の記者会見について聞かれて

本来ならば小沢代表、記者会見って普通、10分か15分で引き上げてしまうんですが、すべての記者の質問に答えた。記者のさまざまないろいろな疑念に対する質問に、明快に答えておりました。したがって説明責任というものは基本的に果たしたなと、そのように思っております。私はむしろ、民主主義のルールを分かっていないのはどちらかと申し上げたい。検察当局がね、本来ならこのようなことで家宅捜索を行って逮捕をするということはあり得ない話で、しかも、選挙が近い状況の中で、あえて党の代表の秘書に対して、容疑というものを作り上げて、そしてこのようなことを行うということに対しては、やはり政治的意図があったとしか思えない。私どもとすれば、小沢代表の潔白を信じてともに行動するのみです」

 

    岡田克也副代表、4日午後、国会内、記者団に

「代表がきちんと説明をして、明確に容疑の事実について否定したわけなので、われわれはそれを信じて行動していくということです。大事なことは右往左往せずにしっかりと前に進むことだと思います。マイナスの影響がないようにしっかりと代表も説明されたし、我々もそれを信じて前を向いて進むということだと思う」

 

    藤井裕久最高顧問、同上

「代議士会では鳩山幹事長がそれを説明して、非常に心から納得しているので、問題ないと思う。あの通りだと思う。偏った捜査であるということだと思う。(国民には)納得していただけると確信しているが、それ以上のことを言う立場にない」

 

    平田健二参院幹事長、5日午前、参院予算委員会で

「小沢代表は一昨日の役員会でも説明責任を果たし、昨日の記者会見でも国民に対する説明責任を果たされた。真実は必ず明らかになり、秘書の潔白や無実も証明されると確信している

 

・菅直人代表代行、5日午後、党本部での記者会見

一昨日、昨日の役員会の席で、小沢代表からの説明があり、私としては小沢代表の説明は納得のできるものでした。小沢代表のきちっとした政治資金規正法上の処理ができているという説明に納得をしました。またその直後の記者会見で、国民の、マスコミの前で質疑も含めてしっかり説明をされていましたので、私は、その説明で多くの皆様にとっても経緯とか、小沢代表の言う正当な処理をしたということの意味はご理解いただけたのではないかと思っている。捜査の問題については、やはりなんでこんな時期にこういうことになったのかな、なるのかなというそういう思いは私にもあります

 

 …まあ、いちいちコメントはしませんが、よくもこんなことが言えるなあと呆れますね。こうした民主党幹部らの発言に対しては、自民党からは猛反発が出ています。ときの政府が検察を自由に動かせるのであれば、田中角栄元首相だって金丸信元副総理だって逮捕はされなかっただろうと(二人とも小沢氏の親分筋なのが何とも言えませんが)。

 

 それとは別に、私が少し懸念しているのは、民主党幹部たちが安易に政府の陰謀説を唱えたことで、当然、この事件に注目している外国メディアに「ああ、日本の検察はときの政府の道具なのだな、日本はそういう二流の民主主義国だと政治家が一斉に発信しているし」と受け止められ、そう報じられることです。そうなると、日本のイメージは損なわれますし、それは国際社会での発言力・存在感にも影響しかねないと危惧する次第です。

 

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