2009年07月

 

 7月24日のエントリで紹介した世界ウイグル会議議長、ラビア・カーディルさん緊急講演会の内容に変更が生じたとの連絡があったので、その内容を取り急ぎ転載します。あしからずご了承ください。

 

 講演会の内容変更のお知らせ

 ご案内申し上げておりました「ラビア・カーディルさん講演会」は、やむを得ない事情が発生し、以下のような事態に立ち至りましたので、謹んでご連絡申し上げます。

 7月31日、米国議会・下院外交委員会が急遽、「ウルムチ事件」に関する非公開ミーティングを開催することになり、ラビア・カーディルさんの見解と証言を求めて参りました。この会議には、これまで下院に於いてウイグル問題を積極的に取り上げてきた民主党議員で「国際組織、人権及び監視委員会」のデラハント委員長や、共和党のローラバッカー氏が参加します。そして、ウルムチ事件について下院がどのような態度を示すか決める重要な席になるとのことです。

 彼女は当然、日本訪問を理由に断ることを考えましたが、米国議会開催期間の最終日を使って(アメリカ議会は8月1日から暫く夏期休暇で開催されません)、「ウルムチ事件」を取り上げ、事件への米国の姿勢を明確に示して欲しいという考えは、多くの在米ウイグル人が抱いている「希望」でもあり、そこでの証言を断るということは実に重い結果を予想しなければならないことでもありました。


 そこで当実行委員会としては、誠に遺憾ではあるものの、このラビアさんの苦衷を察し、下院ミーティング出席のための30日朝の米国への帰国を認めることといたしました。

 ただし、30日夜の講演会は主催者としての責任も考え、以下のように内容を変更して開催することといたしました。

(1)ラビアさんには予定していた講演の内容を、29日に長時間のメッセージビデオという形で収録してもらい、当日はそれを会場で流して講演に替える。

(2)ラビアさんのご主人であるシディック・ハジさんには日本に残ってもらい、当日はラビアさんの代理として挨拶とお話をしてもらう。ちなみに、ご主人は学者であるとともに、かつて中国の監獄に政治犯として9年も収監された経験をもつ運動家でもあり、ご自身の体験とラビアさんについて、ウルムチ事件について大変有意義なお話が伺えることと確信致します。

 以上、講演会主催者としてこのような事態に大変責任を感ずる次第ですが、何卒このような事情をご理解いただき、ご容赦たまわりたく、お詫び申し上げる次第です。

 なお、その上で、できることなら当日も何卒ご参集をたまわりたく、誠に厚かましいお願いとは存じますが、併せてお願い申し上げる次第です。

   ラビア・カーディルさん講演会実行委員会(7月28日)
 

 …ちなみに、今回のラビア・カーディルさんの来日にあたっての査証(ビザ)発給について、政府・外務省は「法律にのっとって粛々と手続きをした」(外務省筋)わけですが、やはり中国側からは「カーディルはテロリストだ、日本に入国させるな」という要請だか圧力だかがあったと聞きます。

 

 日本側は「カーディルさんがテロリストだというなら、その証拠を出してください。証拠があれば、中国に言われなくても日本の法律と判断に従って入国を拒否する」と反論し、中国側の主張をはね除けたそうです。まあ、世の中いろいろありますね。

 

 ブログはしばらく休もうと思っていたと書いた舌の根も乾かぬうちにエントリを更新することになり、少し気恥ずかしいのですが、産経本紙が報じていないようなので、ここで触れておきたいことがあります。今朝の産経は1面で、民主党が政権奪取後には安倍政権時に成立した教員免許更新制を廃止する方針であることを伝えていますが、それとは別に。

 

 昨日、民主党の小沢一郎代表代行は輿石東参院議員会長のお膝元、山梨県を訪れ、山梨県教職員組合と事実上一体である政治団体、県民主教育政治連盟(輿石氏の選挙運動をめぐり、以前告発され、幹部が罰金刑を受けたところ。輿石が顧問(役員)を務める)の学習集会であいさつしました。小沢氏が県政連の集まりに参加するのは初めてだといいます。衆院選に向けて、さらに日教組と輿石氏のネジを巻こうということでしょう。

 

この場で、やはり民主党の小沢鋭仁衆院議員(山梨1区)は、「教育の問題は輿石先生を通じてご指導いただいてるわけだ。もし民主党に政権を取らしていただければ、お金はしっかりと政治が負担はして、そして余計な口は聞かない」とあいさつし、集まった県政連の役員ら約600人から拍手を受けていたそうです。そりゃそうですね、民主党政権は教育現場にカネは落とすが、日教組の政策、やり方に口出しはしないと言っているのですから、ありがたいはずです。

 

で、次は輿石氏の講演です。輿石氏はまず、「今日この会場にほとんど100%といっていいほど、(選挙で)『輿石東』」書いていただいたみなさんばっかりですね」と余裕をかましました。そして、小沢鋭仁氏と同様に「政治の責任、政治家、政府、政権の責任は、義務教育は無償という、条件整備をしてくれればいい。教科書がどうだと、教員の免許がどうだとかいうようなことを、教育の中身まで、先生方の身分にまで口を出す必要はない」と強調しています。つまり、教科書記述も問題教員をどうするかしないかも含めて教育現場全体を日教組の神聖にして犯すべからざる聖域として社会から隔離しておきたいということでしょう。

 

その後、小沢一郎氏も講演し、輿石氏を次のように持ち上げました。歯が浮くようなセリフですが、それだけ小沢氏が輿石氏や日教組を重視しているということだろうと思います。

 

 《山梨県内でもっとも団結力を誇る、輿石先生を支援する団体の幹部のみなさま、県政連の勉強会にご招待賜りまして、みなさんの前でご挨拶できますことを大変光栄にまたうれしく、本当に今日はありがとうございました(大拍手)。私は民主党に入りましてから日が浅い新参者でございます。民主党と一緒になったときに、ずいぶんいろんな変わった人たちがいるなと、そう思ったわけでございますけども。その後、輿石先生とお付き合いをさせていただきましてから、本当にこの民主党にこんなすばらしいリーダーがいるのかと、そう思いまして、びっくりいたしました。私は党内でもっとも尊敬し、もっとも信頼する輿石先生でございます。

  一昨年、みなさんから与えていただきました参院での多数。民主党も第1党となりました。他の野党を合わせまして過半数を要しているわけでございますけども、民主党、他の野党も含めまして、その全員を率いて、本当に敵の自民党をきりきり舞いさせていく、大変な活躍をしていただいております。私もすっと以前から、豪腕、強面と言われてまいりましたが、最近ではそのお株をすっかり輿石先生に乗っ取られてしまったところでございます。本当に私は大変な参議院でのリーダーを友人としていただくことができまして、本当に心強く思っておる次第でございます。今日は県政連のみなさんの勉強会。本当に、こんなに一生懸命、飽きずによく勉強するもんだなと、感心をいたしております。》

 

 そして小沢氏は、政権交代が必要な理由についてはこう語りました。私は以前のエントリにも書きましたが、小沢氏の言うような利益分配型政治がこれからの時代も可能であるとは信じられませんが、小沢氏の主張をそのまま掲載します。

 

 《今度の総選挙、歴史的な国民の選択の時だと思います。この総選挙で政権交代、政権交代と言っておりますが、政権交代をなぜしなければならないのか。そのことを論理的に申しますと、まずひとつは、身近な経済の面から言いますと、日本のいざなぎ景気以来の長期の好景気は、基本的にアメリカの経済の成長に支えられてきた。みんな外需に頼ってきた。ですから、そういう中にあって、さらに一層、日本の社会をいびつなものにしたのが、小泉改革と言われる日本の仕組みの改悪であります。グローバリゼーション、その名のもとにいろんなアメリカ流的な仕組みを導入したしました。そこで、基本の原理は、自由競争、市場原理、とにかく競争して勝ったものが残ればいい、非能率的な分野はいらない。

  言い換えれば弱肉強食の制度が大幅に取り入れられたことであります。ですから、今、失業の問題、雇用の仕組みも派遣だなんだということを認め、非正規の雇用を正面から認めたことで、不景気の到来とともに一斉に首切りが始まる。中小零細の企業場むしろ、なんとかして従業員、社員を抱え、みんなで力を合わせてがんばろう、って言ってるが、大企業ほど情け無用。どんどん首を切るのが現状。非正規ばかりではなくして、正規社員にも年末に向かってて、踏み切るんじゃないか思っております。そういう雇用の不公正。あるいは、所得の格差の拡大。非効率なところは切り捨てる。まさに農林水産業、1次産業はその典型的なものです。

  私は全国を回っておりますけども、一昨年の参院選、この山梨でも1人区で29のうち23、議席を獲ったんです。いまだかつて自民党以外に議席を獲ったことがないという県がほとんどです。なぜか。それらの農産漁村を抱えた1人区の県は旧来、ほとんど自民党を支持してきた人たちばかりであります。まして1次産業に従事している人たちは、選挙といえば自民党に入れてきた。その自民党が自分たちを切り捨てようとしている、この怒りが、私は一昨年の1人区の大勝利につながったことだと思います。これは農林水産業の1次産業だけではなくて、零細な中小企業、地場の商工業、みんなそんな現実にあります。ですからこのような状況にありますから、だから所得の分配が公平に行われない。特定のところに偏ってしまっている。それが今日の内需が盛り上がらない最大の原因。だから、外需が減っちまう、アメリカがいかれちゃうと、日本の経済がダメになる。これがもっともっと大勢の国民のみなさんに利益を、所得をきちんと分配していけば、内需は必ず一定の水準を保ち、内需だけでもなんとかしてやっていける日本経済ができたはずであります

 ところがこういう所得の減少、医療だ年金だ何だいろんなものの将来不安から、個人消費は全然伸びない。今日の不景気の最大の要因。個人消費、個人のみなさんの可処分所得が増えない限り景気はよくならない。根本的に間違った仕組みを導入してしまった結果、いびつな社会をつくった。日本はかつてはOECDの中で2番目の平等な社会だった。ところが、最近の日本の状況は下から4番目。日本より格差の大きい国は、一つはアメリカ。所得の格差は大きい。その下はロシアと中国。日本は下から4番目になってしまった。どうしても弱肉強食、いわゆる自由競争を放任の政策はもう一度つくり直さなければならない。ですから本当に国民のみなさんの側に立った国民主導の、一握りの官僚の政治から国民主導というのは、国民のみなさんに選ばれた政治家が本当に国民のために政治を行う、政治家が決断し、政治家が責任をもって実行する。これを国民サイドに立った政治を、政権交代で実現する、それが第一の目的であります。》

 

 そういえば、麻生首相も「行き過ぎた自由主義から決別します」と言っていますね。「行き過ぎ」という言葉にはそれ自体、否定的な意味がありますから、何であれ、行き過ぎたものを是正することは間違いではないでしょうが、そもそも「行き過ぎた自由主義」が具体的にイメージできませんでした。若い有名スポーツ選手の年収と同年代の若者の年収を比べるまでもなく、格差が存在することは事実ですが、それをどう評価するか、極端すぎると見るのかこんなものでいいと考えるのかはそれぞれなのだろうと思います。ただ、麻生氏は現象面としての格差ではなく「自由主義」について語っていたので、よけいに理解ができません。

 

…話がそれました。最後に小沢氏は、もう代表でもないのに、輿石氏の政権奪取後のポストについて言及しました。このように自分が何でも決められるようなことを、ごく自然に口にしてしまうところが小沢氏の素直(?)なところかもしれません。

 

《輿石先生、本当に私はお世話になっておりまして、その輿石先生が国会で力を発揮できるのも今日おいでのような本当に強い支援をするみなさまがあってこそ、ご活躍できるわけであります。総選挙でみなさんのお力をお借りして政権交代をする。そして、その暁には、輿石先生が政府の内閣の枢要な地位をしめられるであろうことは間違いありません。そしてまた、来年は引き続いて参院選挙があります。輿石先生がその多分、本人がいやだと言わない限り、参院の議長という名誉ある地位が待っておることは誰もが認めているところであります。》

 

 …なのだそうです。つまり、今回の衆院選後は副首相兼文部科学相だか何だかに就いてもらい、来年の参院選後は三権の長であり、皇室会議の一員である参院議長になるということらしいです。はいはい、おっしゃる通り、きっとそうなることでしょうね。まあ、いろいろと紆余曲折は待っていそうですが。

 

 

 

 ちょっといろいろ考えたいことがあり、ブログはしばらく休もうかと思っていたのですが、知人から「ぜひ告知してくれ」という依頼があり、私自身とても有意義な催しだと判断したので、以下の講演会について案内文のまま紹介します。コメントはつけません。

 

ラビア・カーディルさん緊急講演会

 

ラビア・カーディルさんに聞く――今、ウイグル人に何が起こっているのか?

 

◇◆◇開催趣旨◇◆◇

 7月5日夜にウルムチ(新疆ウイグル自治区)で起こったウイグル人の集団抗議事件が世界の注目を集めているが、事件の真相についてはウイグル人の声が発信されることが少なく、中国当局による映像と情報がもっぱら流されている。

 

 そこで、在外ウイグル人のリーダーであるラビア・カーディルさん(世界ウイグル会議議長)を日本にお招きし、ラビアさんの知り得た事件の経緯と現状についてお聞きすることとした。また、事件の背景にあるウイグル人の置かれた状況、さらにラビアさん自身の体験についても語っていただく。

 

◇◆◇開催要項◇◆◇

 

日 時 7月30日(木) 午後6時30分(6時開場)~8時30分

 

○会 場 アルカディア市ヶ谷(私学会館)

        http://www.arcadia-jp.org/access.htm

    東京都千代田区九段北4-2-25 03-3261-9921

    地下鉄有楽町線・南北線・都営新宿線「市ヶ谷」駅A1-1出口から徒歩2分

    JR中央・総武線「市ヶ谷」駅から徒歩2分

 

○参加費  500円(資料代として)

 

○お申し込み

 会場整理の都合上、事前のお申し込みをお願いします。下記の方法で「お名前」「ご住所」「お電話番号」をお知らせ下さい。

  Eメール rebiya0730@seisaku-center.net
   FAX  03-6380-8215

  TEL  03-6380-8122

 

 

【お願い】この講演会はラビア・カーディルさんのお話を聞く会ですので、会の雰囲気を乱す恐れのある物の持ち込みはお断り致します(旗、幟、スローガンを書いたTシャツなど)。

 また、会場内外での録音・撮影も禁止させていただきます。記者の方は必ず「報道受付」にお越しください。

 

ラビア・カーディルさん【プロフィール】

 

 1946年、中国・新疆ウイグル自治区で生まれ、苦難の末に実業家として成功。中国人民政治協商会議委員を務めるなど、ウイグル人を代表する著名人として知られた。ウイグル女性の起業を支援する「千の母運動」を起こすなど社会奉仕活動家でもあった。

 

 1996年から97年にかけて、政治協商会議において民族問題に関して政権を批判する演説を行ったことで政治協商委員を解任され、1999年には国家機密漏洩罪で逮捕、投獄された。

 

 国際社会からの救出要請もあり、2005年に釈放、米国へ亡命。その後、世界ウイグル会議の議長として、中国におけるウイグル人の人権擁護を訴える活動を行っており、「ウイグルの母」とも呼ばれている。

 

 ウイグル人の人権状況を訴えるラビアさんの活動は、国際社会から大きな注目を集め、投獄中の2004年にラフト人権基金の人権賞を受賞したほか、2006年にはノーベル平和賞の受賞候補の1人にも選ばれている。

 

ラビアさんは自らの活動について、こう述べている。「私を強くしたのは中国共産党でした。多くの人が仕事を失うのを怖がり、親族に政府からの圧力が及ぶのを怖がり、小さな幸せが崩壊するのを恐れ、中国共産党の圧政に口を噤むのです。でも、個人的犠牲がなければ、私たちは永遠に奴隷のままでしょう。あの獄中の体験が運動に邁進させる原動力となっています」(水谷尚子著『中国を追われたウイグル人』より引用)

 

 

 

 本日は夕刊当番でした。ですので、朝から、地方選を総括して反省する両院議員総会をやっぱり開けだの、いや開かないだの、麻生首相も出席して両院議員懇談会でいくぞだの…といった自民党内のドタバタ劇に関する記事に目を通し、手直しして大阪夕刊やネットに送る作業をしていました。その他防衛白書の閣議了承だとか、キャンベル米国務次官補が外務省局長らと協議したとかいろいろありましたが、内政も外政もどうしても冷めた目で見てしまいがちでした。

 

 21日に解散することはほぼ確実となり、あとは真夏の暑い熱い最中に衆院選が展開され(夏休みをどうしてくれる!)、そして来月末には「初の本格的な政権交代」とやらが実現し、民主党政権が誕生するのでしょう。いろいろと不安も諦めもありますが、政権交代のいい面もきっとあるでしょうから、そういう部分にも目を向けたいとは思っています。

 

 ただ、これでよく言われるように2大政党制が日本でも実現するかというと、私はそう単純なものでもないだろうなと思います。自民党が衆院選でどの程度負けるかにもよりますが、現在の党内大混乱のていたらくと人心のバラバラぶり、求心力の不在を見れば分かるように、大きく負けた場合には当選できた議員も相当、動揺するでしょうね。そして、何かと口実と理屈を見つけて自民党から逃げ出し、民主党にただちに入れてもらえないまでもくっついて、いずれは一緒になりたいと動くのでしょう。

 

 自民も民主もごく大雑把に言うと、2割は保守、2割は左派(以前のエントリに書いた通り、八木秀次高崎経済大教授によると、この左派の中身が違うとの見方もありますが)、6割は状況次第でどちらにも転ぶ融通無碍派というかノンポリ派ですね。6割の人はもともと思想・信条で自民と民主に分かれていたわけではないので、少しでも自分に有利な方につこうとじたばた始めるのは目に見えています。

 

 となると、細川連立政権ができたときとは比べものにならないぐらい、次々と自民党から人がこぼれ、抜け落ちていく可能性はけっこう高いのだろうと思うのです。で、どうなるかというと、気付いたら、巨大な一大政党、民主党とその補完勢力、ごく小さな自民党のなれの果ての保守政党しかいなくなっていた、ということだってあるだろうなと。当然、多くの人が口にする政界再編なんてありようもなく、ただただ草木も何かも民主党になびくんじゃないかと。

 

 民主党と連立を組む予定の社民党は、支持組織から民主党と合流しろと迫られていると聞きますし、国民新党なんて選挙後に存在感が残るわけもないし。新党日本も新党大地も事実上、民主党の別働隊のような感じだし。自民党が僅差で負けるならともかく、大敗したらもう自民党はなくなるのではないかと見ています。残った人たちも、看板を掛け替えて、違う名前での再出発を目指すかもしれないし、仮に自民党のまま存続しても、小さくなりすぎたら、ほとんど影響力はなくなるでしょうしね。あっ、公明党を忘れていましたが、公明党なんてすぐ民主党にすり寄るでしょう。間違いない!。

 

 そうなると、民主党の小沢一郎代表代行がなんとかの一つ覚えのように繰り返してきた「政権交代可能な2大政党をつくり、この国に真の民主主義を定着させる」どころか、現在の自民党政権には存在する牽制勢力、相手にせざるを得ない野党すらまともに存在しない民主党一党独裁政治が始まるのかもしれません。

 

 そして、その巨大民主党の最大派閥を小沢氏が率い、院政を敷いてどこまでも権力をほしいままにするのでしょう。小沢氏は代表を退いて後、鹿児島、沖縄、福岡、長崎、熊本、高知、愛媛、大阪…と精力的に地方行脚をこなし、小沢チルドレンの育成に余念がないと聞きますし、首相にはもうならないでしょうが、権力を手放す気はさらさらないようです。

 

 実は、鳩山由紀夫代表の故人献金、地方議員献金問題は、いま表に出ている以上に深刻(※追記、18日の産経政治面に、死亡した地方議員からの献金もあったことが載っていました)で、鳩山氏はいずれもたないと見た小沢氏が「次は菅(直人代表代行)だ」と言っているという情報も漏れ伝わってきます。どうも小沢氏は、岡田克也幹事長だけはイヤだと思っているようです。何でも思い通りに動くやつじゃないとダメだいうことでしょうね。

 

 というわけで、私の一つの予想(あくまで数パターンあるうちの一つですが)は、衆院選で民主党が勝つのは奇跡でも起こらない限り当然として、その後は他の政党は分裂、崩壊していき、巨大民主党と数のうちに入るかは入らないかの小政党だけが残り、巨大民主党では小沢氏の高笑いがこだまするというものです。まあ、こんな予想は外れることを心から祈りますが、あながちあり得ないことではないだろうとも思っています。

 

 小沢氏といえば、本日の東京地裁公判では西松建設の元社長に有罪判決が下されましたが、小沢氏はコメントも出していなようですし、相変わらず「われ関せず」なのでしょうね。3億円も献金を受けておいて、いつものように「私の全くあずかり知らぬこと」と言うのでしょう。

 

 私は産経紙面でもこのブログでもたびたび小沢氏の言動や諸問題を取り上げてきました。そして、この人はおかしい、この人は危ないと私自身の見聞も含めて警鐘を鳴らしてきたわけですが、産経読者からも、またブログのコメントでもトラックバックでも、かなりの人が「小沢批判ばかり繰り返すな」とか、「小沢はもう終わった存在なのに、ストーカーのようだ」などと私のそうした行為を批判したり、揶揄したりしてきました。そうして私自身、そんなに批判されたり嘲笑されたりするのなら、もうやめようかと追及の手が萎えてしまった部分はあります。でも、いまそれをとても後悔しています。もっともっとあらゆる角度から書いておくべきだったと。私ごときが書いたからどうなるということはありませんが、少なくとも気持ちの整理の上でそうすべきだったといま思っています。

 

 さて先日、面識は全然ないのですが、書かれた記事は読んでいた(参照、08年9月26日のエントリ「小沢不動産・週刊現代記事を後追いしてみる」http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/731962/)ジャーナリストの松田賢弥氏から新著「小沢一郎 虚飾の支配者」が送られてきて、「ぜひご紹介いただければ幸いです」とのことでした。

 

     

 

 この本の内容については、おおむね週刊現代に連載中から読んではいましたが、改めて通読し、実に有意義でいい本だと感じました。松田氏のこれまでの仕事の中には、私と全然認識が違うものもありますが、この本については、多くの点で共感を覚えました。また松田氏とは話したことがないのでよく分かりませんが、私の記事かブログを参考にされたのでは?と思う部分もありました(これはただの勘違いかもしれません)。ともあれ、「まえがき」でいきなり、たたみかけるような印象深い一文に出会ったので紹介します。

 

 《政権交代とは何か。

 政権交代で何が変わるというのか。

 政権交代の前にはすべてが許されるのか。

 政権交代という看板を掲げていれば、ゼネコンから巨額なカネをもらい、そのカネも化けた政治資金で約10億円にのぼる不動産を買い集めたことにいまだ一片の釈明もしなくていいのか。

 ゼネコンを操り、下請け業者らに自身への忠誠心を競わせるようにして「ゼネコン選挙」を繰りひろげてきたことに口を拭いつづけてもいいのか。》 

 

 こういう、短いセンテンスで改行して効果を狙うことは、スペースの狭い新聞ではまず許されないんですよね。ともあれ、何かしら情念のようなものすら漂ってくるような迫力があります。…で、最後になりましたが、本つながりで一つお詫びがあります。先日のエントリで宣伝した「民主党解剖」の件ですが、発売日を17日と告知したのですが、どうも流通が間に合わなかったのか18日になったようです。もしすでに書店まで無駄足を運ばせてしまった方がいましたらごめんなさい。心よりお詫びします。

 

 

 今朝、新聞各紙の切り抜きをしていて、8日付の東京新聞で懐かしい名前を見つけました。こんなこともあるんだなあ、と少しうれしくなったので、まったく個人的なことで申し訳ありませんが、記録のためここに掲載します。

 

     

 

 この小さなコラムで紹介されている本「エピクロスの園」の訳者として記されている大塚幸男は仏文学者で、私の大伯父(祖父の兄)にあたります。亡くなって確か17年もたつのに、こうして他紙とはいえ、新聞で名前をみると、とても感慨深いものがあります。

 

 四半世紀以上も前、大学入学が決まって大伯父の家にあいさつに行ったところ、玄関の靴箱の中も廊下も階段も積み上げられた書籍でいっぱいでした。ありていに言ってしまえば、雑然として片づいていない印象なのですが、私は「いいなあ」と少し憧れたのを覚えています。

 

 政局が風雲急を告げる中で、ただの個人的で感傷的な呑気なエントリですいません。なにしろ、大伯父の名前を見聞きすること自体、本当に久しぶりだったもので…。

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