2009年07月

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

   

 

 えー、このエントリはほぼ純粋な宣伝PRエントリなので、「そんなの見たくない」という方はご遠慮ください。一方、「それでもいい」という奇特で博愛精神あふれる方は是非ご覧になってください。本日、17日発売(一部の書店では3連休明け発売)の「民主党解剖 この国を本当に任せられるのか?」の見本本が刷り上がってきました。値段は1300円(+税金)で全228ページとなっています。

 

     

 

 やはり、自分がかかわった本ができ上がってくるというのはいいものです。で、表紙だけだとナンなので、目次も紹介します。私は主に第2部からかかわり、各記者が集め、持ち寄った情報をまとめて記事化するアンカー役を務めました。

 

   

 

   

 

   

 

   

 

 というわけで、以前のエントリでも書いたことをしつこく繰り返すわけですが、興味を覚えた人は騙されたと思ってぜひ買ってください。土日つぶして必死に赤字をさしたり、加筆したり、以前書いたものを書き直したりしてまとめたこの本が或る程度は売れないと、ただでさえ社内で肩身の狭い思いをしている私の立場が、一層悪くなること必定です。どうか助けると思って…。

 

 …さて、これだけではいくら何でもいかがかと自分でも思うので、最近いただいた献本の中から、一冊紹介します。著者は、名古屋外国語大学・大学院教授の高瀬淳一氏(情報政治学)で、私も何度かコメントをもらい、産経とSANKEI・EXPRESSの紙面に掲載したことがあります。

 

          

 

 この本の中で、マスメディアの政治報道について次のように論じてありました。自戒を込めてここに記しておきます(※太字は私がつけました)。

 

 《人の悪口を言うのは楽しい。政府をたたく報道に「そうだそうだ」と手を打ちながら、日頃のフラストレーションを発散させている人もいることだろう。

 政治批判は娯楽の提供や精神安定の作用も兼ね備えている。ここに現代の政治報道の問題の本質が隠れていると私は思う。政治イデオロギーに支えられた偏向報道だけでなく、娯楽追求的な報道がもたらす悪影響について、もっと考えるべきなのだ

 たとえば選挙は、どっちが勝っているかを刻々と告げる競馬中継的報道によって、民主主義を支える有権者の厳粛な信託の儀式ではなくなった。一方、冷静であるべき政治討論には、バトルとしての楽しみが求められるようになっている。「有権者にわかりやすい」あるいは「有権者が喜ぶ」という理由によって、政治のバラエティ化は正当化され、推し進められていく。それが現代の政治報道の偽らざる一面である。》

 

 われわれが記事を書く際に上司からいつもいつも言われることが、「とにかく分かりやすく」というものです。それは当たり前で、読者に分かってもらえないようなことをいくら書いても意味がないのはその通りなのですが、いつのまにか「分かりやすさ」がすべてに優先され、実際には複雑で簡単には割り切れない諸問題を単純化し、正邪・善悪の二元論の構図に無理矢理落とし込んでいくような報道があまりに多いように感じています。

 

 では、お前はそうしたある種の「陥穽」「呪縛」から脱していているのかと問われると、とてもそんな自信はないわけです。高瀬氏の指摘する「娯楽追求的な報道」は主にワイドショーに見られますが、新聞もまたそのワイドショーが強い影響力を持つ現状をただ追認し、追随するような傾向もないとは言えません。以前のエントリで書いた「ステレオタイプ」の強い拘束の件もあり、まあ、悩みながら、迷いながら原稿を書いているという場合がけっこう多いというのが実情です。

 

 昨日投開票が行われた東京都議会議員選挙は、大方の予想通り民主党が勝利し、与党は過半数割れとなりましたね。7月12日といえば、11年前の1998年に自民党が参院選で大敗し、当時の橋本龍太郎首相が退陣を表明した日であり、その日は私が社会部から政治部に異動した当日でもありました。その間、いろいろありすぎて、なんかもう、遠い遠いはるか昔のことであるような気がします。

 

 私が政治部員となってしばらくは、選挙を前にした世論調査などである党にあまり有利な突出した数字が出ると、その揺り戻しというか、バランスが働いて選挙当日には意外と常識的なところに落ち着くというのがふつうでした。それが、4年前の郵政選挙のときからその傾向が変わり、有権者の投票行動は一層有利な陣営へと一気に傾くようになった気がします。国民性が微妙に変わったんだか時代なんだか。

 

 都議選は、1人区もあるものの、一つの選挙区で複数人(多いところでは8人)が当選するいわば中選挙区制での戦いであり、結果として表れた数字は民主54議席、自民38議席、公明23議席…とそれほど極端なものにはなりませんでしたが、小選挙区制の下で戦う衆院選ではどうでしょうね。僅差だろうと何だろうと1人しか当選できませんから、相当はっきりした勝敗となるのではないかと思います。もう何がどうあろうととにかく自民党政権だけはうんざりだ、もうイヤだという国民が、それだけ多く、民主党に多少の問題やスキャンダルが出ようと大勢は変わらないのでしょう。

 

 で、その都議選投開票日に私が何をしていたかというと、選挙とは関係なく、自民党本部で開かれた民間の教育団体、全国教育問題協議会の第29回教育研究大会の取材をしていました。「日本の教育の選択、あなたが選ぶのはどっち?」というテーマで、ありていに言えば日教組を批判する集会です(上司には「あんたの趣味だろ」と嫌味を言われつつ)。

 

 こんなことをいちいち書きたくないのですが、私が日教組問題を取り上げたり、批判したりすると、毎度のように「民主党をたたいて自民党を擁護するのはやめろ」「日教組をたたくことで民主党を貶めようとしてもムダだ」という趣旨のピント外れのコメントをいただきます。その度に、私は中学生のころから日教組を批判してきたこと、現実に民主党と日教組とが強く結びついているのは事実なので、日教組批判が同時に民主党批判になる場合もあるけれど、私は日教組自体につておかしい、危ないと言っているのであって、民主党など二の次であること…などを蛇足と思いつつ説明してきました。ブログを始めて改めて分かったことの一つが、世の中には党派性の強い人、何事も党派的にしか考えられない人が意外と多いのだということです。野球やサッカーで特定チームを応援するようなものなのでしょうか、とても不思議です。

 

 ともあれ、昨日の取材内容については、今朝の産経政治面にも小さく載っていますが、紙面では収容できなかった部分でも、なかなか面白いこと、興味深いことが語られていたので本日はそれを紹介したいと思います。

 

 まずは、基調講演を行った自民党の日教組問題究明議連会長で元文相の森山真弓氏のスピーチからです。この人は、当たり障りのないことしか言わないという印象があったのですが、この日は日教組出身の民主党の輿石東参院議員会長について、かなり踏み込んで語っていました。それが当たっているかどうかはともかく、公の場でここまで言うというのは、相当、危機感を募らせているのかなと感じました。

 

   

 

 

 《森山氏 輿石氏は「教育の政治的中立などありえない」とおっしゃっている。私は教育の政治的中立は非常に大事だと思うが、輿石氏の考えは違う。もし万一、政権交代が実際に現実のものとなれば、輿石氏が文科相となる話がありうる。そうしたら、どうしたらいいのでしょうか。教育の政治的中立はないという人だから、「みんな民主党に(票を)いれなさい」「日教組を尊重しなさい」「日教組が弱い県には(文科省の)予算をやらない」ということがあるかもしれない。私は教育こそ、政権選択の最大のものだと思う》

 

 次に、元東京都国立市教育長で教育評論家の石井昌浩氏の話です。石井氏はこの日の集会のため自宅を出る際に、奥さんから「日教組について話をするそうだけど、日教組ってもう影が薄くなっているんでしょ?」と言われて明確に返答できず、会場までずっと考えていたそうです。以下はその結論でもあります。

 

 《石井氏 日教組は果たして野に放たれたトラなのか、それともペットなのか。結論を言うと、もはや猛獣ではないが、ペットとして飼い慣らされたものでもない。野生化したヤマネコのようなもので、必要以上に怖れる必要はないが、油断すると大変なことになる。ただ、絶滅危惧種のイリオモテヤマネコではない。全国100万人の教員の中で40万人は日教組と全教の組合員なんです。この20年間、新規教員の日教組加入率は20%を超えている。あなどれない組織だ》

 

   

 

 また、高崎経済大教授の八木秀次氏は、「自分は別に自民党支持ではない」と断った上で、次のように熱弁をふるいました。

 

 《八木氏 自民党も右から左までいるし、民主党もそうだ。また、民主党には自民党以上に期待できる議員もいるが、ただ、決定的な違いは、それぞれが抱える「左」の体質だ。自民党の左は、「なんとなくリベラル」だが、民主党には「本物の左翼」「職業左翼」を抱えている。15年前の自社さ政権の再来だ。保守と左翼が野合して、実権は左翼に握られる。村山政権はわずか1年半だったが、その後も効力を発揮し続けているさまざまな政策がある。ゆとり教育の強化がそうだし、男女共同参画基本法の考え方を確立した審議会が発足したのもそうだ。教科書検定では、このときにすべての教科書に慰安婦の強制連行が記述されたし、村山談話もそうだ。本物の左翼を政権に抱え込むとそういうことになる。メディアは民主党が本物の左翼を抱えているということを、なぜはっきりと報道しないのか。

日教組は本物の左翼、マルクス・レーニン主義です。本来、自民党との違いを訴え、教育における体制選択選挙だともっと前面に打ち出すべきだったとずっと言ってきた。日教組が与党側になれば、安倍内閣の教育再生をゼロベースに戻すだろう。私たちの子供や孫がダメにされる。民主党は早速、日教組の政策に乗って全国学力テストの廃止や、道徳教育である「心のノート」の廃止を打ち出している。(与党側となって)日教組がもっと影響力を持ち始めると、組織に入っていなかった人もそちらの方に流れていくとの懸念を持っている。

日教組は昭和27年に教師の倫理綱領をつくった。この中に、「教師は科学的真理に立って行動する」とある。これは科学的社会主義、マルクス・レーニン主義のことだ。また、「教師は正しい政治をもとめる」「教師は労働者である」という。これが日教組のDNAであり、この倫理綱領はいまだに撤回されていない。これらのものは、ソビエトの教育政策からきている。日教組が言っていることは、破綻したソビエトの教育理論だ》

 

 …このほか、自民党の下村博文国対副委員長も出席し、私がこのブログで再三、必要性を訴えている教育公務員特例法改正(教員の政治的行為に国家公務員同様の罰則規定を盛り込む)について、「ぜひ今国会で出して衆院で可決させたい。終盤国会でそれを争点として対応していきたい」と述べていました。

 

 ただ、麻生首相はさきほど、会期末の28日を待たず、21日にも衆院を解散することを決めたそうですから、それも無理でしょうね。先のことを予想する能力などありませんが、ふつうの見方では、衆院選は民主党が勝ち、政権交代は実現するのでしょう。それが国民の意思ならば受け止めるしかないでしょう。この法律もそうですが、自民党は後手後手に回って打っておくべき手、布石を打たず、ただずるずるとここまできてしまった感があります。後は野となれ山となれと開き直って、もういったん壊滅してからやり直すしか道はないような気がします。

 

 

 今朝6時16分ごろ、このブログへの累計トラックバック数が1万に達しました。そのうち何割に目を通せているかと思うと心許ない限りですし、この数字は客観的にはどう評価できるものなのかは分からないのですが、とにかくいろいろなご意見・見方・情報を寄せていただいてることに感謝します。内容も文章も拙いここへ、たくさんの方々が訪問してくれることに、本当にありがたいと思います。

 

 また、おそらく本日中に、累計コメント数の方も、私が返事を書いた分を合わせて6万に到達するだろうと思います(累計アクセス数では、他の記者ブログに100万以上引き離されていますが。※追記 何とか11日中に6万コメントに届きました)。ブログのコメントやトラックバックを通じ、さまざまなことを学ぶとともに、ときに嬉しくなり、ときに腹を立てたり、悲しくなったりもしました。その経験はもう自分の中で切り離せない血肉となっていると感じています。

 

 その中で私自身、報道や社会のあり方などについて、いろいろとモノの見方や考え方、視点が変わってきた部分もあります。けっこう頑固なので根っこのところは変わりようがありませんが、これだけ多くのコメントやトラックバックを拝読すれば、影響を受けずにいられないのは当たり前なのでしょう。私は、一部の嫌がらせや甚だしく礼を失したもの以外は、みんな何かを教えてくれるものだと思っています。

 

 私はもとより物理的にはともかく、精神的には幅の広い人間ではありませんし、博学でも博覧強記でもない偏った人間なので、すべての問題に関心を抱いたり、まして意見・見識を持ったりすることはできません。でも、このブログの運営を通じて、そうした自分の足らざるところ、欠けている部分について勉強させてもらっています。私自身の能力の問題もあって、それを消化し、仕事に生かせているかというと、これまた怪しいのですが…。

 

 ともあれ、改めてお礼を申し上げるとともに、これからもよろしく(できたらお手柔らかに)お願いします。

 

 中国・新彊ウイグル自治区で起きたウイグル人と漢族との衝突事件が大きな話題となっています。中国の胡錦濤国家主席は晴れ舞台であるサミットをすっぽかして急遽、帰国しましたが、他の地域にも飛び火しかねないこの問題の根深さ、重要性を強く意識してのことだろうと思います。胡氏は、自身もかつてチベットで弾圧を行い、それを出世の足がかりとしてきた人だけに、小数民族問題には特に敏感にならざるを得ない部分もあるのかもしれません。

 

 現在、日本大使館員も各社の記者も現地入りし、状況把握に努めていますが、情報が錯綜していて、事情はよく分からないところもあるようです。まして、日本にいる私には、「又聞き」情報しか入ってこないので、本日はおそらく今回の事件の遠因の一つになっているであろう問題について書こうと思います。きょうはサミットの首脳声明でも「核兵器のない世界」を目指すことが盛り込まれたようですし。

 

 私は以前、先日のエントリでも紹介した日本ウイグル協会代表のイリハム・マハムティ氏から一冊の本を献本されました。それは、札幌医科大の高田純教授の「中国の核実験 シルクロードで発生した地表核爆発災害」(医療科学社)という著書で、イリハム氏は本に添えた手紙に、こう記していました。

 

 《核実験を行った国は多数あるがそれなりに放射能拡散には気を使い、被害を最小限に抑えるための事前の対策を行っている。それでもソビエト連邦時代に事故を起こして被害が広がった。しかし中国共産党政府の核実験は情報の公開は勿論、放射線被害に対する処置や医療行為などを行っていることを聞かない。このことは人類に対する大犯罪であると言っても過言ではないだろう。第1回の核実験は1964年10月16日東京オリンピックに合わせておこなわれた。日本人の気持ちを逆なでするような、徳の無い行為は許すことが出来ない》

 

 日本人にもっとウイグルの実態を知ってほしいというイリハム氏の気持ちが伝わってきます。また、高田氏はこの本の「序」で次のように書いています。なにげに中共べったりで知られる某公共放送もちくりと刺していますね。

 

 《実験場は、日本文化に大きな影響をもたらしたシルクロードの要所であった楼蘭の近くにある。日中の国交が1972年に再開し、日本人が好んで訪れる観光地でもある。筆者も、若いころに井上靖氏のシルクロードを舞台にした小説を読んでいたが、よもやそうした地で、中国が核実験を行っていたとは驚かされた。公共放送でも、しばし、この地の文明の遺跡を紹介してはいるが、この種の話題に触れることはなかった》

 

 この本によると、中国は、ウイグル人の暮らすウイグル地区のロプノルで、1964年から1996年にかけて、地表、空中、地下で延べ46回、総爆発エネルギー20メガトンの核爆発実験を行っているそうです(うち、放射線災害として最も危険な地表核爆発を含む大気圏実験を、少なくとも1980年までに21回実施)。ウイグル地区の当時の平均人口密度の推定値6.6~8.3人/平方キロメートルから、死亡人口は19万人と推定されるといいます。また、健康影響のリスクが高まる短期および長期の核ハザードが心配される地表の推定面積は、日本国土の78パーセントに相当する30万平方キロメートルに及び、観光などで現地を訪れる人は核ハザードのリスクも多少あることを知るべきだとしています。

 

 中国政府は公式な実験データの公表をしていないので、上の分析は隣接するカザフスタンの報告資料や、中国研究者の平松茂雄氏が日中友好協会を通じて入手した資料などをもとになされています。高田氏は次のように指摘しています。

 

《中国の核爆発実験においても、周辺住民への健康影響の調査と必要な医療対応が、人道上求められるのはいうまでもない。はたして、実際に関わった科学者や軍人、そして実験に関与はしなかった周辺住民の被害に対し、中国政府はいかなる対策を講じているのか。中国政府機関からの放射線防護上の線量および健康影響についての報告が公開されていないので、気にかかるところだ》

 

 《ウルムチおよびトルファンの人口は160万人および24万人である。その周辺にも集落が点在しているはずである。あるいは、遊牧民が暮らしているかもしれない。いずれにせよ、これらの地域へ夥しい核の砂が降下し、ウイグル人たちが危険な外部線量を受けた。さらに、汚染した農作物や乳製品、飲料水の摂取による内部被爆を受けたと考えることは、合理的である》

 

 …詳しい科学的分析については、この本に直接当たっていただきたいのですが、それにしてもひどい、とんでもない話ですね。某公共放送も、シルクロードに大量の取材班を送り、大金を使い、長期滞在して取材を重ねていたわけですから、少しはこうした問題も取り上げたらどうかと改めて感じました。中国に対しては、政治家にもよく「多数の異民族をまとめて統治していくのは大変なんだ」と変な同情を示す人がいますが、何をバカなことを言っているのかと思います。同情、共感する相手が違うだろうと。

 

     

 

 本日は都内で、昨年7月以来となる第5回日中人権対話が行われました。その席で中国側は、ウイグル自治区での衝突事件について「一部の不法分子による扇動があった。これに法律にのっとり対処した」と説明したとのことです…。

 

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