2009年08月

 

 これまでにない重大な意味を持つ衆院選は、いよいよ明日、公示され、選挙戦も「本番」を迎えます。まあ、結果はある程度見えているようにも思いますが、それはそれとして、今後の成り行きを一つひとつ注意深く見守っていきたいと思っています。

 

 そこで本日は、選挙後にはいったん首相になる可能性が高い民主党の鳩山由紀夫代表の過去の言動についていくつか紹介しようと思います。次期首相(?)の人となりや考え方の一端を知る参考になれば幸いです。

 

     

 

 「選挙に言動を左右されない志を持った政治家の集団を生み出すことが日本の未来を導く可能性をもたらすのである。常に選挙を念頭に行動し、世話になっている団体に頭が上がらず、本音が言えない政治家を政治家と呼ぶべきではない」(平成8年1月16日付朝日、新党さきがけ代表幹事、「論壇」欄に寄稿して)

 

 「あまり苦労知らずに今日まで政治の世界にいて、無理をしてきてない。それだけ市民の発想に近いところに身を置くことができるんじゃないか。政治家は 目指して苦労を重ねていると、例えば、金銭的に危ない橋を渡らないといけない。しかも一度得たバッジは絶対失いたくないということで、わりと国民に迎合的な政策しか打ち出せなくなる恐れがある」(平成8年5月3日付読売、新党さきがけ代表幹事、世襲議員のメリットについて)

 

   

 

 「日本と北朝鮮は体制が違うことを前提に相互理解を深めるべきです。北朝鮮へのコメ支援でも、隣国として支援の手を差し伸べれば、わだかまりを減らすことができます。ただ、こういう発想をすると北朝鮮ロビーと思われる日本の風土があります」(平成8年7月18日付日経、新党さきがけ代表幹事、インタビュー)

 

 …これは鳩山氏自身の言葉ではありませんが、この年9月13日付の日経新聞によると、鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」の寄付収入に占める個人献金の割合は50.6%に上っていたとあります。記事は「企業依存型の有力政治家が多い中では異色の存在と言える」と書いていますが、今になって思えば、このころからすでに故人献金や借名献金を行っていた可能性がありますね。

 

   

 

 「大変強いリーダーシップを持たれるときもあったが、逆に自分の主張を遂げるために民主主義の基本的原則を超越、無視してきた部分があって信奉者が離れていった」(平成10年4月11日付産経、「旧」民主党幹事長、自由党の小沢一郎党首に対する評価で)

 

 「私は創価学会さんのヒューマニズムを追求する姿勢は非常に大事だと思っております。我々と公明党さんとの距離が一番近いぞ、ということを選挙で示すことはできるだろうと思っていますし、(公明党との)連立政権のところまで導くことが必要だ」(平成11年1月22日付毎日、民主党幹事長代理、公明党との選挙協力に関して)

 

 「結局、小沢氏が五年前に自民党を飛び出したのは、派閥内や自民党内の権力闘争に敗れて飛び出しただけで、国民にそれを悟らせないために『政治改革』の旗を掲げていただけ--としかいいようがありません」(平成11年2月25日付夕刊フジ、民主党幹事長代理、自身のコラム「永田町オフレコメール」で)

 

   

 

 「日本としては日米韓の安全保障体制を基軸としながら、韓国の太陽政策の線で協力すべきだと思います。現在、日本と北朝鮮の間で交渉のテーブルがないことがお互いを疑心暗鬼にしています。確かに、わが国は拉致疑惑といった特殊事情を抱えていますが、真っ先に拉致疑惑を持ち出せば交渉は成立しません。まず、何の前提もなく協議の場を設けるべき」(平成11年3月11日付夕刊フジ、民主党幹事長代理、コラム「永田町オフレコメール」で)

 

 「『対話と抑止』より韓国の包容政策(太陽政策)のような方向にすべきです。拉致疑惑や不審船事件があると日本は硬化しがちだが、冷静に対話の道を切り開くことが大切」(平成11年4月25日付朝日、民主党幹事長代理、インタビュー)

 

   

 

 「私は核武装は絶対反対ですが、国会でそういう議論があってもいいと思うのです」(平成11年10月28日付夕刊フジ、民主党代表、コラム「永田町オフレコメール」で)

 

 「東北選出のある議員が、知事にかけ合って地元の有料道路を無料化させたのに、喜ばれたのは二日間だけで『どうせ税金から出すんでしょ。それなら使う人だけ払った方がいい』と批判されている」(平成12年1月6日付夕刊フジ、民主党代表、小泉元厚相との対談で)

 

 「(ドイツと比べて歴史の総括が不十分だったことが)今でも日本への信頼を勝ち得ていないことを事実として認めたい。もし、首相となる機会に恵まれれば、歴史認識の問題は皆さんの前でしっかり話す」(平成12年12月14日付産経、民主党代表、北京市内の中国人民大学で講演して)

 

   

 

 「偏狭なナショナリズムに基づくような教科書が日本の子供たちに影響を与えないよう努力していきたい」(平成13年5月4日付産経、民主党代表、韓国の金大中大統領との会談で扶桑社の教科書の不採択を働きかける考えを伝えて)

 

 「私は、憲法や安全保障といった最も基本的なテーマについてマニフェストが機能していないのが最大の問題だと思っている」(平成15年9月4日付毎日夕刊、民主党前代表、インタビューで) 

 

 「政権交代に向けて次期衆院選に憲法改正を掲げて挑むべきだ。政権党が当然やるべき改憲を自民党に先駆けて実現させるという意欲が必要だ」(平成15年9月12日付産経、民主党前代表、インタビューで)

 

 …ざっと目を引いた部分を抜き出してみました。特にコメントや感想、解説を付け加える必要はないと思います。まあ、つまるところよくも悪くもこういう人なわけです。なんか、夏バテ気味なのか疲れてきたのでこのへんにしておきます。

 

     

 

 今年は到着殿前に陣どる報道関係者もちょっと少なめでした。

 

     

 

 小泉元首相は無言でしたが、安倍元首相は「ご英霊に尊崇の念を表するために、お参りをいたしました」と短く語りました。

 

    

 

 境内で会った西村真悟氏は「亡国の選挙だ」と一言。うーん。 

 

     

 

 午前9時すぎの時点では、参拝客はまだまばらな感じでした。

 

     

 

 田母神前空幕長の広島での講演のCDが人気でした。

 

     

 

 こんな店もありました。きゅうりをかじっている人は見かけませんでしたが…。

 

     

 

 パール判事の記念碑はけっこう人気コーナーとなっているようです。

 

     

 

 零式戦闘機はやはり写真に収めたくなります。

 

     

 

 最近では、デパートや大型スーパーのおもちゃコーナーから姿を消した軍事もののプラモデルもありました。

 

     

 

 「フリーウイグル!」と記されたうちわを手に遊ぶ子供たち。

 

     

 

 これは売れているのでしょうか…。

 

     

 

 なぜだか、ブレた写真になってしまいました。 

 

     

 

 全員起立して国歌を斉唱しています。この集会は例年より人が多かったように感じました。

 

 毎年この日はここを訪れていますが、その度に考えさせられることが多く、気持ちが新たになるようです。

 

昨年12月25日のエントリ「神奈川県教組の〝消えた〟主任手当30億円について」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/848745)で取り上げた問題について13日、動きがあったので報告します。この件をめぐり、元神奈川県教組委員長でありながら現在は日教組の危険性・問題性に警鐘を鳴らしている小林正氏と、元鎌倉市議で長年日教組の歪んだ教育と戦ってきた伊藤玲子氏がこの日、現在の神奈川県教組委員長と横浜市教組委員長の2人を神奈川県警に背任罪で、業務上横領罪、詐欺罪などに当たるとして刑事告発したのです。

 

 上に記した過去エントリを参照していただければありがたいのですが、要は教務主任、学年主任などに対して支給されていた主任手当を日教組(この場合は神奈川県教組)が長年にわたって所属教員に拠出させてきたことが背景にあります。そして、神奈川では、①教育振興基金として蓄積され、平成14年の段階で残高が30億6400万円余あったそれが、その後は機関会議などへの数字の報告は一切されなくなった②19年度の教育振興基金特別会計決議報告書では、当初予算になかった8億6200万円が何の説明もなく「委譲金」として支出されている③その後、神奈川県教組書記長が「横浜市教育文化研究所の運営資金として一部委譲を行った」と説明したが、同研究所が神奈川県教育委員会の収支予算・決算報告書には委譲金は計上されていない④一方、横浜市教組の教育振興基金委譲金特別会計には約5600万円の委譲金収入があり、これは8億6200万円の一部と推測されるが、約8億円は使途不明のままとなっている…などの疑問が指摘されています。

 

 また、横浜市教組は17年制定の「財産運用要綱」に基づき、教育振興基金などの財産運用を行ってり、今年5月開催の横浜市教組定期大会では「執行部がマネーゲームを行い、損失を隠蔽するために粉飾決算を行っている」とのビラ(※写真参考)が配布されました。このため、小林氏らは告発人として、「『教育振興基金』は規約違反の『委譲金』として処理され、マネーゲームの損失補償に充当された」との判断に立ったとのことです。

 

 

 

 私がいつも取り上げている山梨県教組の半強制資金カンパ問題でも、領収書は一切発行されず、組合員にも集まった総額も使途も全く知らされていないという状況で、取材した先生たちは「輿石東氏への選挙支援のほか、組合幹部の遊興費にだいぶ使われているのでは」と推測していました。全く不透明そのものです。

 

 小林氏は元神奈川県教組委員長として、教育振興基金の設置そのものにかかわった人物なので、この問題に特に思い入れがあるようです。この使途不明金については、マネーゲームの損失補填に当てられたとの見方のほか、神奈川県教組・横浜市教組の選挙運動など政治闘争資金に回された、との観測もあり、県警による厳正捜査と全容解明が待たれます。以前も書いた通り、この組合による主任手当徴収にはさまざまな問題点が指摘されていて看過できません。この件については、昨年10月7日のエントリ「主任教員手当・神戸市教組の指令文書」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/745313/)でも取り上げているので、ご興味・ご関心のある方はそちらものぞいてみてください。

 

 こうした問題を一つひとつきれいに透明にしていくことは、何より教員自身の利益になると愚考しています。そのためにも、今後も日教組の諸問題を追及していこうと思います。

 

 

 12日付の産経社会面に、「『国造り』テーマ 李登輝氏講演へ 9月、都内で」という小さな記事が載っていました。東京青年会議所(東京JC)などが日比谷公会堂で9月5日に開くイベントで、台湾の元総統、李氏が国造りをテーマに基調講演を行う、という内容でした。

 

   

 

 で、昨日のことですが、東京JCの事務局に、この講演の内容について少し聞く機会があったので、それを紹介します。まず、李氏の講演を企画した理由については、以下の現状認識があるとのことでした。

 

 「現在100年に一度の世界同時不況をはじめとし、国民が未来に対して夢を持てず、不安を抱く社会が訪れ、このまま進む日本の未来に希望は持てません。物質主義的、拝金主義的な価値観を追い求めた日本の姿は、本質的な日本の文化に基づいたものではなく、そのまで幾百世代と積み上げた日本精神とそれを支える日本文明との非連続性が日本人に方向性を見失わせていると言わざるを得ません。

決して懐古主義や戦前の体制への回帰ではなく、民族の歴史・誇りを忘れ去ることの危うさを自覚し、国民一人一人が今一度、精神的価値や民族特有の歴史・伝統を明確に想起し、未来を築く必要があります」

 

 そこで、李氏に「日本人が元気を出し、誇りを持てるような話を」と講演をお願いしたところ、快諾されたとのことでした。当日は、東京JCなどJC関係者も数百人くると見込んでいるそうですが、一般の人も1000人程度受け入れるとのことです。

 

 東京JC内では、例によって中国のご機嫌を損なうことを恐れた反対運動もあって相当もめたそうですが、なんとか反対派を押し切ったようです。李氏の訪日も、2000年の総統退任以来、5回目になります。07年6月の訪日時には、靖国神社にも参拝されています。初来日のときは、外務省のチャイナスクール(あくまで当時の)が、「日中関係がとんでもないことになる」といって親中派の多い自民党橋本派を利用して訪日を止めようとしたり、引退した河野洋平前衆院議長(当時、外相)が「親中一筋の自分の経歴を汚すことになる」と辞任をほのめかして森喜朗首相(当時)を揺さぶったり、いろいろありました。しかしまあ、日中関係はその後、これでもだいぶ正常化したといえるでしょうね。世界ウイグル会議のラビア・カーディル議長も無事来日できましたし。まだまだ、でもありますが。

 

 で、事務局に「李氏の話す内容は決まっているのか」と聞いてみたところ、「具体的な話は聞いていないが、『船中八策』について取り上げるようだ」とのことでした。「船中八策」といえば、明治維新時の志士、坂本龍馬が起草したとされる新国家体制の基本方針ですね(龍馬のオリジナルのアイデアではないともいいますが)。私も学生時代に5度読んだことのある超有名小説の以下のシーンがあまりにも有名です。

 

《「八策ある。」

 と、竜馬はいった。

 海援隊文官の長岡謙吉が、大きな紙をひろげて毛筆筆記の支度をした。

 「言うぜ。」

 竜馬は長岡に合図し、やがて船窓を見た。

 「第一策。天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令よろしく朝廷より出づべき事」

 この一条は、竜馬が歴史にむかって書いた最大の文字というべきであろう。

………

 「第二策。上下議政局を設け、議員を置きて、万機を参賛せしめ、万機よろしく公議に決すべき事」

 この一項は、新日本を民主政体にすることを断乎として規定したものといっていい。余談ながら維新政府はなお革命直後の独裁政体のままつづき、明治二十三年になってようやく貴族院、衆議院より成る帝国議会が開院されている。

 「第三策。有材の公卿・諸侯、および天下の人材を顧問に備へ、官爵を賜ひ、よろしく従来有名無実の官を除くべき事」

 「第四策。外国の交際、広く公議を採り、新たに至当の規約を立つべき事」

 「第五策。古来の律令を折衷し、新たに無窮の大典を選定すべき事」

 「第六策。海軍よろしく拡張すべき事」

 「第七策。御親兵を置き、帝都を守衛せしむべき事」

 「第八策。金銀物貨、よろしく外国と平均の法を設くべき事」

後藤は、驚嘆した。》(司馬遼太郎『竜馬がゆく』7巻より)

 

 さて、李氏はこの「船中八策」をどう料理し、日本人の元気を引き出そうというのか興味がわきます。李氏は今回の日本滞在中、高知の坂本龍馬記念館も訪れるといいますから、けっこう思い入れを持っているのかもしれません。龍馬については、司馬氏の小説での脚色・人物造形があまりに上手すぎ、実像とかけ離れてしまったという指摘もありますが、まあ、それはそれとして、間違いなく日本史上のヒーローですからね。

 

 また、このイベントには元台湾総統府国策顧問の金美齢氏とジャーナリストの桜井よしこ氏も参加するとのことなので、私もぜひ行きたいのですが、この9月5日は前々から予定が入っていていけません…。事務局には、「李氏に会わせようと思っていたのに」と言われ、ますます残念です。

 

 ともあれ、9月5日というと、8月30日の衆院選党開票日を終えたばかりです。日本の将来を改めて問い直すにはいい時期かもしれません。その意味でも、タイムリーな企画だなと思います。

 

 ついでに先日、某自民党幹部から聞いたところによると、同党が実施した直近の世論調査では、衆院選の自民党の予想議席は「150ぐらい」だそうです。これでも最近ほんの少し上向いてきたのだとか。この幹部は「なんとか180いきたい」と言っていましたが、あと2週間あまりの間に世論はどう動くでしょうか。逆に自民がさらに落ち込み、120~130議席ほどにとどまる可能性もありますね。いずれにしろ、民主党の単独過半数は動かないでしょう。

 

 民主党の執行部は、鳩山由紀夫代表も岡田克也幹事長も小沢一郎代表代行もみな、「政権を取ったら4年間解散はしない」という趣旨の発言を繰り返していますから、それは党内ではコンセンサスに近いのだろうと見ています。もちろん、政界一寸先は闇ですから、何が起きるか分からないのも確かですが、最近、民主党を取材していて痛感するのは、彼らは本当に細川政権のことを強く意識しているということです。

 

 7党1会派の寄せ集めだった細川連立政権は、連立内の路線対立の激化でまず社民党が抜け(自民党に引っ張られ)、あれよあれよと崩壊していきました。現在の民主党幹部には、この細川政権に何らかの形でかかわっていた議員が多く、鳩山、小沢両氏をはじめ「あの失敗は繰り返さない」と何度も強調しています。彼らを見ていると、「細川政権の敵討ち」という意識があるのではないかとすら思えます。まあ、確かに彼らは自分自身の体験として挫折や悔しさ、憤りを覚えているのでしょうから不思議ではないのですが。

 

 自民党の前閣僚は昨年夏、「小沢だって少しは学習している。今度の選挙で政権を失ったら10年は取り戻せない」と言っていましたが、民主党は今度は何がなにでも政権の座にあり続けようとすると思います。そのためには、寄り合い所帯でバラバラな党内・連立与党内の対立や相互不信を招くようなテーマは、特に来年の参院選で参院でも単独過半数をとるまでは封印するだろうと。細川政権のときは、比較第一党は自民党でしたが、今度は民主党は他党を圧倒する規模の優位も手にできるでしょうしね。

 

 個人的観測ですが、なので民主党は来年の参院選後までは、外交・安保政策の大転換や保守派の反発を買ういわゆる左翼的政策はあまり動かさず、衆参両院で数を押さえた後に本格的にやりたいことをやり始めるのかな、という気もしています。もちろん、最初に断ったように、この先何がどうなるかは分からないので、必ずしも私の予想通りにはならないかもしれませんが、今はそう見ているというお話でした。

 

 

 前回のエントリで書いた通り、普段使用しているパソコン(会社支給、レンタル)のキーボードがすっかりいかれてしまったので、会社から代替機を借りて打っています。まだメールの設定などは済んでいないし、慣れない機種なので不自由極まりありませんが、なんとか原稿やブログは書けるようになりました。

 

 で、ここで書きたい題材はいくつかあるのですが、このところ、紙面その他で民主党の問題点や不安な点を指摘(批判)することが多かったので、本日は「民主党政権」への一つの期待、一筋の光に関するエントリにしようかと思います。といっても、実は今晩、政治評論家の屋山太郎氏の話をうかがい、意見交換する機会があったので、せっかくなので屋山氏の口を借りることにした次第です。

 

 政治記者の大先輩である屋山氏から、おそらく実現するであろう民主党政権のあり方、選挙制度、地方分権、諸外国の政治情勢、日教組の今後などについていろいろと話を聞き、視点を提供してもらった上で、「前回のがとても評判がよかったので」と例によってミニ・インタビューを申し込んだのです。屋山氏も快く、承知してくれました。

 

     

 

  屋山さんは、今度の衆院選を単なる政権交代ではないと言っているが

 

 屋山氏 うん、今度の選挙を政権選択選挙というのは、ものすごく引っかかる。今の日本の体制は、官僚内閣制だ。政官の癒着というけど、官僚の方が上にいて、政治家を使っている。だからこそ、安倍首相の時代から公務員制度を変えようとしてきたわけだ。官僚内閣制からふつうの民主主義国家になった後に初めて、政権をどうしたいのかどうするのかの政権交代ができると言える。

 

  政権交代というより、政体交代だと

 

 屋山氏 そう、今度の選挙はふつうの民主主義、憲法41条(国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である)にしたがった議会制民主主義に向かうエネルギーを秘めた選挙だ。民主党が勝てば、明治以来の官僚内閣制は崩れる。その後に初めて政権交代がこれからできてくる。

 

  どのようにか。どんな利点があるのか

 

 屋山氏 例えば、民主党が政治運営に失敗すれば自民党をとるとか、憲法をどう考えるかとか、国家の基本問題について国民に問う政治が始まる。そうじゃないと、自民党だけで憲法改正と言っても、内部に(両極端の)加藤紘一と安倍晋三がいるようではどうしようもない。今だって集団的自衛権の政府解釈見直し一つできない。この政府解釈をだれが決めたんだ?官僚が決めたのだ。こんなのは本来、立法府の至高の権利だ。そんな力は官僚から取り上げて、政治家、立法府が責任を持つようにしないといけない。われわれ国民は政治家は選べるが、官僚は選べない。

 

 私 実際問題、簡単ではないだろうが、まずはそうすることが必要だと

 

 屋山氏 一番最初に官僚制度を変え、官僚主導体制をまず変えると。民主党流に、国会議員を100人政府に連れていくとか、国家戦略局だとか、いろんな方法はあるだろうけど、今の牢固たる官僚支配体制を崩すことで、政治が主導権を持つ。それをやる人を国民が選ぶのだ。今まで(の自民党政権で)は誰を選んでも官僚支配は揺るがなかった。その証拠が集団的自衛権だ。行政府の長たる総理が(解釈見直しを)言ってもできない。内閣法制局長官が「私は辞表を出す」と脅かし、次のやつ、その次のやつまで「辞表を出す」と言って国家の重大問題を官僚に握られている。我々が選んだでも何でもないのにだ。鳩山代表が「地域主権」と言っているのもいいと思う。

 

  過程では、混乱や失敗もありそうだが

 

 屋山氏 現在の地方分権推進委は官僚になめられている。そうなったら、何をしてもだめなんだ。省庁のブロック局を「原則廃止」と言ったら、次の日には(官僚によって)「原則統廃合」となる。行革用語で「統廃合」とは何もしないという意味で、それは常識となっている。私も13年間も(行革関係に)いろいろと付き合わされていやになった。

 地域主権だとか、中央集権をぶっ壊すということは、みんながうまくいくとは思わない。失敗することもあるだろう。しかし、国全体で失敗するよりは地域が失敗する方がましだろう。

 

  屋山さんは、「このままでは日本は窒息してしまう」とも述べているが

 

 屋山氏 だって日本はトンカチ(土建)7対生活3という割り振りだ。だけど、ヨーロッパは7が生活で3がトンカチだ。これは財務省の理屈だ。だけど、土建屋が消費するのも国民が消費するのも同じことだ。じゃあ、生活7でトンカチ3にしようということだ。国民も明確に意識しているかどうかはともかく、とにかく今のままではだめだと思っている。いろいろ問題はあっても前に進むには仕方がない。私は今、これまでみてきた選挙の中で一番わくわくしている。

 

     

 

 …屋山氏とは、このほか「オン」でとお願いしなかったところでさまざまな話をしました。そこでは、必ずしも意見・見通しの一致をみなかったこと(主に民主党内の左派勢力が政権交代後、どの程度の力を持つかやその弊害について)もありましたが、別に見方はみんな一緒である必要ないし、どうせすぐ結果の出ることなのでそれはおいといて。で、ここでいったんミニ・インタビューは終わろうかと質問をやめたところ、屋山氏はさらに次のように語り出しました。

 

 屋山氏 安倍さんが(首相時代に)公務員制度改革を始めたときは、「本気か?」と思うぐらい驚いた。安倍さんのことを「KY」なんて言う人がいるけれど、ものの本質を本当にわかっている人だなと思う。教育基本法だって国民投票法だって、そんな一銭にもならないことを本気でやってくる政治家がいるとは思わなかった。50年政治を見てきて、政治とはモノとカネを動かすものだと思っていた。それが、初めてスピリチュアルなものを持ち出してきた安倍さんを見て、全く新しいタイプの政治家だという気がした。そういう人が「KY」なんて言われるのは…。安倍さんは、麻生政権発足時にも渡辺喜美氏を残すよう麻生さんに2度話しているが、麻生さんには安倍さんの思いも考えもわからなかったんだな。

 

 …ちなみに、故郷を求めて様からご依頼のあった「みんなの党」の山内康一氏についても、どう思うか聞いてみたのですが、残念ながら屋山氏は「よく知らない」とのことでした。現時点では私もこの人について何かを語るほどのことは知らないので、また何か情報が入れば、取り上げてみたいと思います。なにせ、都知事選に出た外山某氏と並んで実に珍しい私の出身高校の後輩にあたるようなので…。

 

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