2009年09月

 

 昨夜は都内で、民間の調査研究機関、「構想日本」が主催する今回の衆院選初当選議員による討論会「新人議員よ、大志を抱け」が開かれました。政府の行政刷新会議の事務局長に就任予定の加藤秀樹・構想日本代表も出席していました。その模様を、後輩の小田博士記者が詳細に取材してきたので、この場でちょっと抜粋して紹介します。

 

討論会に参加した新人議員は石井登志郎(兵庫7区)、石田芳弘(愛知6区)、大泉博子(茨城6区)、奥野総一郎(千葉9区)、小野塚勝俊(埼玉8区)、阪口直人(和歌山2区)、高邑勉(比例代表中国)、玉木雄一郎(香川2区)、中後淳(比例代表南関東)、中林美恵子(神奈川1区)、橋本勉(比例代表東海)、森山浩行(大阪16区)、三宅雪子(比例代表北関東)、横粂勝仁(比例代表南関東、以上民主14人)と柿沢未途(比例代表東京、みんなの党)の計15人(敬称略)だそうです。以下、主なやりとりです。

 

司会者(元時事通信記者)

 政権運営だが、鳩山首相は国会、党内、資金も含めて全部小沢一郎幹事長に一任している。現在、幹事長代理もまだ決まっていないという状況がある。小沢さんという存在について、賛否あると思うが、勇気をふるって意見を聞きたいがどうか

 

◎中後氏

 私も週刊誌に小沢チルドレンとして名前が乗っている。私の前任は青木愛さんだ。当時の小沢代表と非常に強い関係がある中で、私も色んな面でお世話になった経緯がある。

 総選挙を新人で出た人は、非常に多くの方が当時の代表(小沢氏)に色々な面で指南を受けて、民主党に本当に足りないと言われている部分を補強してきたことは、否定できない事実なんだろうと思う。権力の二重構造と言われるけれども、今、鳩山総理が外交の問題でもしっかりと自分の立場でリーダーシップをとっていきながら、立場立場で役割分担をしてということは、少しずつ示してこれてるのかなぁと思っております。

 小沢幹事長は意外と誤解を受けやすいところが有ると思いますが、意外と、豪腕と言われているようなところがありながら、先を読んで、いろんな手を打っているところがあります。私はもう、絶賛するわけではないですけれども、変な派閥の構造になることだけは、自分としては、ならないように、自分としても律していきたいなという思いで、これから見守っていきたいと思っております。

 

◎大泉氏

  私も、まぁ、二重構造であったとしても、それのどこが悪いのかな、という言い方もできると思うんですね。どの組織もトップの人がすべてやっているというわけじゃなくて、二重になってたり、三重になってたりしてるのは、むしろ自然じゃないかと思うんです。今回の選挙、勝てたのは、間違いなく私は小沢さんの力だろうというのは、特別国会に登院した時に思ったんですね。我々新人を前にして、何を言われたかというと、「天下国家は逃げていかない。お前達、天下国家を論ずるのは早すぎる。2回当選してからモノを言え。今からすぐに選挙区に帰れ」という風に言われた。この方がいてこそ、やっぱり選挙に勝てたんじゃないかというのは、つくづく思いまして、鳩山さんのデビューの話もされたが、適材適所で色々仕事をしていればいいのであって、たとえマスコミが言う二重構造であってたとしても、私は受け入れていきたいと思います。

 

◎石田氏

 私は新人ですがね、選挙を8回やっています。地方でね。小沢さんにも非常に応援していただきましたし、当時、鳩山幹事長の時代。鳩山さんの人柄にも接して、非常にいい人です。私は個性が違っていいと思うんです。要するにハイブリッドですよ。本当に違う個性が、今、私は民主党は2人の個性がまったく違う個性の2人が同棲して(?)いい状態だと私は思いますね。

 ただ、この間、小沢さんがきまして、「次の選挙を目指せ」と小沢さんは言いましたが、ベテランの民主党議員が選挙のことばかり言うのはちょっとがっかりしてるんです。イギリスのチャーチルは「次の選挙のことをいうのは政治屋で、次の時代のことをいうのが政治家だ」と言っている。もう少し民主党の先輩方も理想を語ってほしい。ちょっと、あまり選挙のことばかり言われるとね、ちょっと失望しているんです。実は

 

◎阪口氏

 我々小沢チルドレンといわれる新人と小泉チルドレンの最大の違いは、鬼軍曹のもとで、いつ公認を切られるかもしれない恐怖も感じながら、徹底的に対話を続ける選挙活動。長い人は数年やった。選挙のためという考え方もあるが、声を聞くのは信頼を構築する。彼らの声。特に弱い方の声をしっかりと受け止める。政治の基本中の基本。我々が当選しないことには、マニフェストは実現できない。選挙に勝つことが政策の実現につながる。弱い人達の声を国政につなげる。そういったのを小沢幹事長が担い、世界へのメッセージを鳩山が担うのは何ら問題はない。

 

司会者)

 意地悪だが、挙手を願う。大久保秘書の逮捕がなければ、今の時点で小沢総理だったと思われる。小沢が総理になってほしいという人は挙手を

 

《…挙手はなし》

 

◎石田氏

 文春10月号に特集があった。京セラの稲盛氏は小沢ファン。母親の葬式でも焼香して帰ってきた。稲森氏は政治家としては知らないが、人間として魅力を感じると言っていた。党人としてはいいが、絶対に総理はできない。

 

◎三宅氏

 私も、「小沢ガールズ」と言われ、色々と思うところもあるんですけれども、小沢さんは100年に一度出るか出ないかの選挙の申し子、選挙の鬼。天才とも言える人物だと思います。今回の大勝利も本当に小沢さんのおかげだと思っております。そういった方が、総理大臣は誰でもなれると言えば鳩山さんに申し訳ないんですけれども、いま小沢さんがされていることは、小沢さんしかできないと思います。そういう意味では、小沢さんは、選挙を担当されるのが一番ご自身の才能というか、天が与えた者を生かすことではないかという意味で、手を挙げませんでした。

 

司会者)

 国民新党の亀井静香、社民党の福島瑞穂の両氏が閣内に入ったが、郵政見直しについて意見を

 

◎奥野氏

 公社、公務員には戻さないのは最低限の一致。亀井氏の話だと、公社時代に戻すように感じる。民主党は亀井氏にブレーキ駈けてきちんとやらないといかん。私は郵政にずっと取り組んだが、税金を投入せずに、郵便、金融サービスの維持。財投改革は私もやったが、郵貯の金が財投に預託されている構図はもうシャットアウト、解決。出口の独立法人を解決しないと。今の課題を郵便局ネットワークを税金を投じずに行う。小泉は切り離す仕組みだが、郵便局は成り立たない。6割は郵貯が稼いでいる。少なくともつなぎ止める。郵貯会社は何もしない。委託だけで業務。郵便事業会社と税金投入しない形でうまく行く。3事業一体ではハドメをかけるべきだ。

 

司会者)

 福島氏が閣僚になっていいのかと私の妻もいう。民主党には福島氏より左の人もいるが、第二党なので副総理格で首脳会議でも発言される。忌憚のない意見を述べられる人がいれば…。

 

<…挙手はなく。森山氏を指名>

 

◎森山氏

 3党ということで選挙の中での話だが、小さな勢力で連立を組んだら、大きめに話をしないと整わない。私は市議会、府議会を1人でやったりしたので、とにかく大げさにいって、着地点が戻される。パワーバランスでは300対一桁では仕方ない。これだけ存在感があると示されれば、後は普通に話が出来るのではないか、という期待と予測をしている。

 

◎大泉氏

 少数意見を述べたい。福島氏に否定的な人は多いと思うが、参院で過半数をとっていないから連立にせざるをえない。そのなかで、人を選べなかった。男女共同参画はほとんど下火。2000年に法ができて、都道府県で条例ができて、男らしさ、女らしさでバックラッシュが起き、女性の社会進出が非常に下火になっている。福島氏は消費者庁とか男女共同参画。下火になった男女共同参画にもう一度、火をつけられる。その限りにおいて応援したい

 

司会者)

 霞が関解体、脱官僚。最近は「脱官僚依存体質」という状況だが、官僚との関係はどうしていきたいか。

 

◎石田氏

 私は首長(※全国学力テストに唯一不参加を決めた元犬山市長)をやっていたので、官僚というか役人のなかでやってきた。だから、愛情がうつる。絶対。やる気があるやつもいるし、役所はみな真面目だ。排除は非常に徒労に終わる。政治家が悪い。大臣がコロコロ1年で変わったら信頼できない。必ず官僚は敬意を持てばキチッとやってくれる。それぞれの大臣と、1人ではだめです。地方の方が、政党ごとの政権交代より、孤独は比じゃない。力がある。これやらないといけない。政治家が見識をもって言えば、必ず共存共栄のいい関係になる。

 

◎中林氏

 官僚自体はまったく悪くない。ただのスタッフだ。なぜスタッフが必要か。民意を吸い上げる政治家がいて、活動してこその日本の政治。海外でもまったく同じだが、気に掛かるのは政治家がスタッフになる。政治家は民意を吸い上げるための気持ちを体現した人間でないとならない。専門性に対し、民意を受けて反映するためのスタッフ。フルタイムを受けて、政治家のアポイントメントで、兼業、客員ではなく、回転ドア方式と言われるが、政治家だけ100人ではちょっと無理と思う。

 

司会者)

 天下り、渡りの禁止を強く打ち出している。65歳まで定年延長すると。一方、公務員改革で2割削減というが、公務員制度改革ができるのか。柿沢さんの党は専門だが

 

◎柿沢氏

 脱官僚を前面に出して戦った。天下り凍結は役員会で話がでた。定年延長で65歳になると仄聞するが、こういう話なら、今の官僚機構の皆さんとほとんど利害がそう反せず導入できる。それまで役所に残れると。役職定年60歳といっても、役職がついた形で今の定年まで残れると。何ら不利益がないと。そして、天下りを制限する代わりに残れる方策を残すと。天下りが亡くなるかわりに、用済みの仕事がない人が定年まで滞留することになりかねない。公務員の身分保障がある。不利益な処分できないとなると、局長経験者が局長級で最後まで居残る。最後まで何か職を作るとなる。公務員の人件費2割削減は到底難しい

 まさに身分保障を見直すことから始めなければならない。普通に行われている。場合によっては給料をカットして居残る仕事の続け方が公務員でも可能な見直しを行わないと。そこが一番大きなポイントだと話した。

 

◯加藤代表

 とってもフレッシュで意気込みを感じて楽しかった。その上で、やや上から目線の言い方になり、皆さんにも来ていた方にもお聞き苦しいが、率直なところを申し上げると、ややちょっと、勉強してもらいたいというのがかなりある。官僚制、公務員もそうだが、基本的な制度を勉強していただいた方がよい。

 私は大事なところで、今の自民党政権がこういう状態になった背景として、謙虚さがなくなった。二世、世襲を含めて謙虚さがなくなった。バッジをつけるとそうなる。石田氏は古いつきあいだが、とても謙虚だからチャーミングだ。

 もう一つは、権力の二元化。あるいは二重権力構造の問題。私はやや、皆さんの話を聞いて、軽く受け止めすぎていると思った議院内閣制は最大の議席の党が自分たちが掲げた政策を、代表者としての内閣に実行をゆだねると。内閣以外で政策執行に及ぼしうるのはとても不透明。議院内閣制の根本に反する。代表権のない人が、前の前の社長がいつまでも決めるみたいな話だ。今の自民党の状態はこういう状況を何十年も続けた結果、信頼を失ったのは大きい。深刻に考えるべき話ではないか。是非、注意を注目していただくと良い。大いに期待する。

 

 …一部端折った部分や、完全なテープ起こしではなく粗起こしのところもありますが、だいたいの雰囲気は伝わったかと思います。まあ、なんというか、頑張ってほしいものです。選挙だけでなく他のことも勉強も。今の民主党でそれが許されるのかどうか分かりませんが。

 

 

亀井静香郵政改革・金融相が唱えている、中小企業向け融資や個人向け住宅ローンの返済を3年程度猶予する「モラトリアム法案」が閣内で不協和音を呼んでいますね。「更迭できっこない」といった亀井氏独特のキャッチーな言葉遣いもあって注目度も高いですし、政権の金融に対する考え方や姿勢をうかがう上でも興味深いところです。そこで本日は、鳩山首相をはじめとする関係者の関連発言を拾ってみました。何かの参考になれば幸いです。

 

亀井氏は、27日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」でジャーナリストの田原総一朗氏から「平成の徳政令」と突っ込まれてこう語っていました。

 

田原氏 大塚副大臣は反対してる

 

亀井氏 反対しても・・私はこの間、話してる。反対だったら、副大臣になりませんよ。なるわけないじゃないですか。だったらさ、鳩山総理、私を更迭すればいいんだから。できっこないですよ。最初から合意してるんだから

 

田原氏 鳩山、(亀井更迭)できっこない

 

亀井氏 できない。選挙の前から合意している。中身については、金利どうするか、こうするか、いろんな問題については、後からよく協議して、実態に合う形でやりましょう、ということになってる。

 

 …この「選挙前からの合意」とは何を指すのでしょうか。9月9日の「三党連立政権合意」の該当部分と思われる箇所にはこうあります。

 

 《中小企業に対する「貸し渋り・貸しはがし防止法(仮称)」を成立させ、貸付け債務の返済期限の延長、貸付けの条件の変更を可能とする。個人の住宅ローンに関しても、返済期限の延長、貸付け条件の変更を可能とする

 

確かに、返済期限と条件の変更には触れていますが、返済猶予そのものは書かれていませんね。解釈の問題でしょうか。でも、亀井氏は、サンプロ出演後も意気盛んで、記者団にこう語りました。

 

記者 民主党との調整は

 

亀井氏 調整って。もともと鳩山総理が言っている米国で。選挙の前にこれをやりましょうということになっていた。最後どういうやり方になるかということでは三党間で相談しましょうとおおむね政権合意の中に入れてるでしょ。合意は成立している。具体的にどうするかは火曜日から大塚副大臣がトップになって、産業経済大臣からも一緒になって中小企業対策について、関係があるので一緒にやりましょう、ぜひやりましょうと政務官を出してくる。一緒になって中小零細企業が元気になっていくための法律を臨時国会に向けて出します。議員立法じゃなく閣法で出す準備を進める。その間、各層からいろんな意見要望を聞きたいと思っている。

 

記者 テレビで「総理が更迭したけりゃすればいい、できっこない」と

 

亀井氏 できっこないって。言葉を選びなさいよ。俺がやってることダメだというなら更迭すればいい。どの議員に対しても同じこと。自分が任命した大臣なんだから自分の政策と違うとなれば更迭すればいい。当たり前のこと。鳩山大臣は「亀井は友愛の精神を実行してくれている」というなら俺を更迭なんかできっこない。俺がけんかが強いからできっこないという話をしてるんじゃない。すぐそういう形で俺が鳩山に対していばってるみたいに書くから。気にくわないというなら更迭するしかないけど

 

記者 三党合意は出来てると?

 

亀井氏 だって書いてあるじゃない。読んでないの?選挙の前から鳩山総理と私の間で「やろうじゃないか」と。中身はあとで協議する。政権合意の中にも入っているから。私のもとで中身をきちっと詰めてやっていくということ。

 

記者 かえって金融機関貸し渋りに走って中小企業にマイナス、という意見も

 

亀井氏 そういう見方があるというのは金融庁がだらしないという前提に立っている。金融庁がそういうことはやらせません。私が大臣である以上そういう理不尽なことはやらせない。そのために金融庁がある。検査がある。

従来、ともすれば貸し付けについての検査を重点にしていたが、貸すべき所にきちっと貸さないというのも検査対象なの。新たな運転資金や投資資金、貸出姿勢にNOということがあれば金融庁が指導すればいい。そのために検査官が600名もいる。従来は「焦げ付きそうだから貸すな」と」逆のことやって整理してRCCにぶち込む。今度はちゃんとした貸出をしてるかどうかも検査対象になる。亀井静香が大臣である限りはそういうことをやらせない。そういうと強権振るうといわれる活字が目に見えてる。新自由主義の時代は終わった。民間に全部任せる、資本の論理に任せるという時代は終わった。国がきちっと役割果たすという時代に入ってる。そういう中で役員報酬まで制御しようと世界は言い出してる。ネオコンのような無制限な自由からも、そういうこと聞くこと自体古い頭で質問してる。特に産経新聞は。時代が変わった。政府が国民全体の幸せのために前に出て行くべき所はでていく。これが自公政権と違う鳩山政権。

鳩山さんとは価値観も共有している。いろんな意味で。聞いてみな。友愛を返済猶予という形の中で実現していくということだから。鳩山さんも喜んでいると思うよ。他の大臣が「ああだ、こおだ」言ってるって、権限のない人が言ったって、そのことをもって書いたって何の意味もない。必要なときには必要な大臣に相談する。中小企業に対し大きな問題なので、直嶋大臣にお伺いして知恵を。私の方から出かけていって。いろんな知恵や考えを聞こうと思っています。

 

 …「おおむね」ねえ。一方、藤井裕久財務相は28日に行った民主党のマニフェストへの疑問に答える講演とその後の質疑で、亀井氏の主張にやんわりと反論しています。

 

質問者 モラトリアムで利息の猶予の話も上がっているがどう考えるか

 

藤井氏 テレビで何度も言ったが、私は金融担当ではありませんから、部外の人間ですから、事実関係だけ申し上げます。こういうことをやったのは昭和の初期だけです。昭和2年に日本だけの金融恐慌がありました。そのときにモラトリアムを発動しましたが、このモラトリアムは支払い停止ですよね。預金は全部、封鎖したようなものです。今度の話は、貸し付けも全部そのままにしろという話ですから、今までにあんまりないですね。というのがひとついいました。

それと3党合意というのがあるんです。社民、国民新党と私どもと、その3党合意には貸し渋り、貸しはがし防止法を作るとうのが出ているわけです。それは、亀井さんの話には至っていないわけです。ひどい貸し渋り、貸しはがしに対して適切な対応をとろうよと。いうことで、それだけ、違うんですよと、いうことがだけが、所管ではないので、事実関係だけ申し上げておきます。

 

司会者 ありがとうございます

 

藤井氏 あのー、なかなか難しいと思いますよー。

 

 …藤井氏はわざわざ「難しい」という感想も付け加えています。本心では、もっと明確に否定したいのでしょう。で、肝心の鳩山首相はというと、28日夜のぶらさがりインタビューでこう述べました。

 

記者 亀井金融担当大臣がモラトリアム制度の導入に関して、「反対なら更迭すればいい。できっこない。合意している話だ」といっているが、モラトリアム制度を受け入れる考えはあるか

鳩山氏 当然、いわゆる3党の合意というものがあります。その3党の合意の線に沿って仕事を行う、予算を組む、政策をつくる、当然だと思います。で、モラトリアムということまで合意しているわけではありませんが、中小企業の多くの方々が今、大変資金繰り困っておられるっていうのは、これは実態として正しい見方だと思います。従って特にまた、きょうも為替がだいぶ円高にふれて、そのこと自体でね、中小企業の町工場の方々がたいへんお困りだと、そう思います。

従って、そういった方々のために何らかの手だてが必要だと、それは事実としてあると思います。亀井金融大臣を中心として、このような問題に対して、連立与党、連立政権として、積極的にやはり、問題解決に向けて、努力しているぞという姿を出すことは大事だと思います。まあ、亀井大臣はお得意のモラトリアムのような発想を、お出しになっておられるけども、これは特に担当大臣や担当の方々を中心にしっかりとした議論をして、政治主導で、いい答えを見いだすことができるんじゃないかと思ってます。

 

 …鳩山氏らしく各方面を慮ったあいまいな言い方ではありますが、亀井氏の独走にちょっと困っているのかもしれません。ここは一つ、リーダーシップ発揮を見守ろうと思います。

 

 

 19日発売の週刊東洋経済(9/26号)に掲載されていたのを、今頃になって気づいたのですが、私もおおいに関わった産経新聞政治部著『民主党解剖 この国を本当に任せられるのか?』(産経新聞出版)が、同誌による「2009年上期 経済・政治・ビジネス書ベスト50」の政治書部門で、4位に選ばれていました。いやあ、光栄です。4位という中途半端な位置づけではありますが、そこそこ評価されたことで、自分たちの仕事にもやはり意味があったのだと確認できるものですから。

 

 政治書Best10のラインナップはと見ると、

 

 ①「首相の蹉跌 ポスト小泉 権力の黄昏」(清水真人著)

 ②「日米同盟の正体 迷走する安全保障」(孫先亨著)

 ③「デモクラシー以後 協調的『保護主義』の提唱」(E・トッド著)

 ④「民主党解剖 この国を本当に任せられるのか?」(産経新聞政治部著)

 ⑤「政権交代論」(山口二郎著)

 ⑥「1968 上・下」(小熊英二著)

 同「政治の精神」(佐々木毅著)

 ⑧「近衛文麿 教養主義的ポピュリストの悲劇」(筒井清忠著)

 同「選挙の経済学」(ブライアン・カプラン著)

 同「吉田茂と昭和史」(井上寿一著)

 ⑪「日本防衛の大戦略」(リチャード・J・サミュエルズ著)

 同「大平正芳 『戦後保守』とは何か」(福永文夫著)

 

 はっきり言って、「民主党解剖」以外からはアカデミックな香りが漂っています。いかにもジャーナリスティックな感じなのも、弊紙の本だけのような…。でも、今年はいわゆる「民主党本」がたくさん出版された中で、他とは一線を画す形で4位に入ったのは少し鼻が高いところです。

 

 これはどうやって選ばれたかというと、36人(71人?よく分かりませんでした)の学者、エコノミスト、評論家の投票によるもので、「民主党解剖」については宅森昭吉・三井住友アセットマネジメントチーフエコノミスト、吉野貴晶・大和証券投資戦略部チーフクオンツアナリスト、中島精也・伊藤忠商事チーフエコノミスト…といった方が推薦してくれたようです。

 

 3人とも面識は全くありませんが、「民主党についてもっとよく知りたいという読者の期待に応えた内容だ」(宅森氏)、「批判的な内容が多いが、民主党に関する知識を整理するにはよい本と思う」(吉野氏)、「政権交代という視点から、民主党の実像に迫った本書は、今後の日本政治の方向と政界再編への道標になると思われる」などと、過分な言葉をいただきました。ありがとうございます。

 

 本日は自民党総裁選も行われ、大方の予想通り谷垣禎一氏が新総裁に選ばれたというのに、呑気なエントリを立ててしまいました。自民党については、前回エントリでも書いたので、もういいかという気がして。さて、明日の紙面作成の仕事に戻ります。

 

 自民党総裁選についてぼんやり考えていて、ふと思い出したので、本日は、経済人類学者で小泉純一郎元首相の大学時代の同級生であり、新生党、自民党などで衆院議員も務めた栗本慎一郎氏の著書『自民党の研究 あなたも、この「集団」から逃れられない』(光文社、1999年10月刊)を紹介します。たぶん、もう書店では手に入らない本だろうと思うので。

 

     

 

 実は私は大学時代、この人の本をけっこう読んでいました。ベストセラーになった「パンツをはいたサル」はもちろん、「法・社会・習俗」だとか「幻想としての経済」だとか、今では大部分、忘れてしまいましたが、文化人類学的視点で「蕩尽」について論じられているところなど、まだらにはっきりと覚えています。また、この人の本を通じてマイケル・ポランニーの著書「暗黙知の次元」(だったかな?)などにも背伸びをして手を出し、散財もしました。

 

 衆院議員時代には会ったことはないのですが、大学時代に一度、講演会を聞きに行き、ミーハーにも著書サイン会に並んだことがありました。で、私の名前「阿比留瑠比」と書いてもらったのですが、彼がその際、「ふーん、あびるるいさんか」と一度で滞らずに読んだのに驚いたことは、四半世紀もたつ今でも鮮明に記憶しています。我が名前ながらちょっと変なもので、最初から正しく読める人は実際珍しいのです。

 

 余談はここまでとして、自民党議員を5年間務めた栗本氏は10年前の著書「自民党の研究」の「まえがき」で、こう喝破しています。

 

 《自民党は、まだ近代社会になる以前の日本の亡霊の姿でもあり、古き良き伝統の姿でもある。(中略)しかし、そうやって戦後日本を「支配」してきたこの政党は、ようやくにして、このままでは次の世紀を迎えられるかどうかの瀬戸際に立つことになった。いいかえれば、ようやくにして、日本は古くからの集団重視主義によって生きていけるかどうかの瀬戸際に立つことになったのである。(中略)これから一度または二度の選挙を経て分裂していくことにも構造的根拠はある。そうして初めて、日本は社会システムとしての近代にはいっていくのである。》

 

 栗本氏は、自民党は日本そのものだったとして、序章の「日本人は、自民党のなかに自分のいやな部分を見ている」ではこう書いています。さて、どうなんでしょうね。

 

 《結局、われわれが自民党を嫌ったり批判したりしているとき、本当のところとして、われわれは日本人自身のいやなところを見せつけられているような気がするのである。自民党や党所属の政治家の言動にいらだつときは、そうありたくないと思いつつ、ついそうしてしまう自分の姿を重ねて、腹を立てているのだ。(中略)自民党の政治に浴びせられる批判のすべては、国民の誰もが内心、自分ではああはなりたくないけれども、ああなるかもしれないと思っているようなことについてである》

 

 《自民党に見られる、権力に強く執着する姿勢への不満、資金の不透明さへの批判、官僚との癒着に対する嫌悪、政治家個々人の私的欲望の追求への怒り、等々は、いずれも自分たちのまわりにもあること、もっといえば機会さえあれば自分にも起こり得ることだと考えているからこそ生まれる感情である。日本的な社会に生きていれば、誰にでも起こり得ることなのだ。》

 

 そして、「自民党の七つの特質」として、次のように7点を示しています。非常に興味深いところだと思います。確かに今回の総裁選にかかわらず、いろいろな政局の場面で似たようなことを実感してきました。

 

一、     理念や政策を重視せず、人と集団にかかわることをとくに重視する。

二、     人を評価し判断する基準は、その人がいかなる集団のいかなる位置に属するかによる。

三、     世界でもっとも強力な官僚システムとの癒着ともたれあいがある。

四、     社会主義をイデオロギーとしては強く拒否する。しかし、政策として積極的に取り入れる。

五、     外交政策も、理念や政策より、どの国とどういう関係にあるか、誰が熱心な推進者であるかが重視される。

六、     党内にある程度の数を持っていれば、大変な力が持てる

七、     以上の六つに抵触さえしなければ、活動や発言は驚くほど自由である

 

 こうした長年続き、永続するかのように見えた状況に合わせ、順応して力を発揮し、政策を実現したいと思うか、あるいはこういうあり方を否定し、実際には影響力のない一匹オオカミ扱いされるか…という視点から生きる道を選んだ人もたくさんいたことでしょうね。でも、現在になってこういうシステムもひび割れ、破綻が見えてきたわけですが。「七」については、小沢一郎幹事長に対して一切の批判がやんでしまった民主党よりもはるかに自由なのは本当のようです。

 

 第1章「自民党は、人と集団のつながりを最重視する」には、小渕恵三、梶山静六、小泉の各氏が争った98年夏の自民党総裁選時のエピソード、裏話が記されています。当時、私は政治部に配属になったばかりでしたが、ああだいたいそうだったな、と記憶がよみがえりました。

 

 《小渕に恩を売り、顔も改めて売り、YKK(山崎拓・小泉純一郎・加藤紘一)以外に自分もいるぞということを示せばいいと思っていた森にしてみれば、なんとしても小泉がトップに立つようなことは避けたかった。小渕が総理になって、自分が党を押さえる幹事長というのが最高なのだ。(中略)かなり舞台裏まではいりこんでいた私は、途中から問題は森とその側近だと気づいた。中川秀直(元科学技術庁長官)、玉沢徳一郎(元防衛庁長官)らを中心に、福田赳夫一族の福田康夫(息子、元外務政務次官)と越智通雄(娘婿。元経済企画庁長官)らの動きはおかしかった。結果として、彼らは森のために、ひいては森を押し立てるふりをして自分たちのために、小泉の票を小渕に売ったのだ。》

 

 実際、あのときは、小泉氏に投じられるはずの清和会の票が、けっこう小渕氏に流れたと言われましたし、私も議員からそう聞いた覚えがあります。関係ありませんが、政治家も政治記者も、こんなことばかり常態として見てきたので、ものごとに不感症気味になりがちなのかもしれません…。ともあれ、第3章「癒着か共生か――自民党と官僚の関係」には、こんな記述もありました。

 

 《一般に、土木・建設工事の契約を取ってくれた政治家へのリベートは、三パーセントと相場が決まっている。100億円で三億円、1000億円で30億円だ。バブルのころ、いかに建設関係の族議員や、それを束ねる大物政治家が儲けたかはいうに及ばない。官僚はそれを知っていて、工事の契約を政治家の関係先に回す。これではまるで、政治家に直接金を渡すのと同じである。》

 

 《小沢一郎も、政治力をつけていく過程で、この種の研究会をたくさん主宰し、官僚と仲良くなった。小沢は、くせのある自分に合った官僚を見つけだして、田中角栄ゆずりの役人懐柔策をとった。将来の出世の約束、直接の小遣いというかたちである。また官僚のほうは、小沢をとおして自分たちの省や庁の権利を拡大しようとした。この点でも、小沢は、完全な自民党型の政治家である。》

 

 一般に、中央省庁というとみんな一緒で大差ないというイメージがあるかもしれませんが、やはり「官庁の中の官庁」と呼ばれ、国の財布を握る財務省の力は他省庁とは全く違います。栗本氏は次のように書いていますが、民主党政権がこういう点にどう踏み込めるかが、「政治主導」の看板が試されるところだと思います。

 

 《ある省が、かなりの予算を必要とする計画を立てても、大蔵省の反対があればまったく前へ進みはしない。どのくらい前に進まないかというと、各省庁は大蔵省と個別の交渉すらできないぐらいなのだ。他の官庁は、交渉すら申し入れられない。万が一、交渉が始まったとしても、大蔵が課長クラスを出すと、他の官庁では局長が出る。交渉の進展など望むべくもない。要するに、身分が違うのだ。》

 

 じつは数年前に、外務省の幹部からそっくりな話を聞いたことがあります。たまたま話題が財務省について及んだ際、この幹部は「あいつらは『お偉い』人たちで、逆らっても勝ち目はない。なにせ、たかが課長が他省庁の局長を廊下に立たせて何十分も待たせてから、やっと会ってやるという感じだから」と言っていました。

 

 第4章のタイトルはずばり「自民党は、社会主義政党である」というものです。まあ、与謝野馨氏あたりも、国会ではっきりと「社民主義に何の抵抗もない」と答弁していましたから、そういうことなのかもしれません。栗本氏は分かりやすくこう書いています。

 

 《アメリカと国際社会では中心的につき合い、その論理の中で国際的な行動をとりながら、国内の政策ではアメリカの要求をいかに拒否するかに主眼を置くというのが、結局、1980年代の自民党のとってきた方針である。アメリカの要求を拒否するとは、要するに、官僚とそれに従属する各種団体の利害を護持するということだ。官僚が持つ最良の利権と、それに保護される各種団体の既得権利の保護といえば、要するに「保護主義政策」であり「社会主義」である。(中略)自民党は、国会で社会党や共産党と対立しているという点においては、断固たる非社会主義政党であったが、政策的には完全に「穏健な社会主義」政党であった。》

 

 …ちなみに、一時は小沢氏に期待し、近づいたこともある栗本氏は、小沢氏について将来、「(政治勢力の)一方の核となっているだろう」としてこんな感想を記しています。私にとっては妙に納得でき、その上で「困ったものだ」と天を仰ぎたくなるような内容です。

 

 《これは歴史の必然でもなんでなくて、小沢という人物の持つ力が、本来の磁場をねじ曲げてしまうことによって起こる「小沢ハプニング」とでもいうべき現象だ。そもそも、私が政界に入って以来、この小沢ハプニングにはかなり巻き込まれて苦労したような気がする。それは、構造的必然でも何でもないから、他人から見て、いったい何が起こったかまったく分からないことが多かったろう。みんなが小沢のまわりに集まったり、逆に必死で逃げ回ったりした。こういうことは、政治的というより、文学的なことなのではなかろうか。私だけではない。元総理や元官房長官まで含めて、小沢の巻き起こした渦の中で身をもんだ。当事者たちはまことに大変だったのである。歴史的には単なるエピソードにすぎず、まったくいやになってしまうが、これはいわば「小沢一郎という現象」なのである。》

 

 一つの自民党論を紹介するつもりが、最後は小沢論で締めくくってしまいました。この人のことをいかに評価していなくても、まさに「現象」としてそこに大きく立ちふさがっているので、無視するわけにはいかないのです。肝心の自民党総裁選の方は、議員票では谷垣禎一氏が有利なようですが、谷垣氏ねえ…。

 

 

 いくら政策決定に直接関与することのできない野党になったからと言って、長年政権の座にあった自民党の総裁選の扱いがあまりにも小さい(少ない)のではないか、とのご指摘を受けました。実は、政権交代が夢幻と思われていたころの民主党代表選に比べれば、むしろ人を割いて取材にあてているぐらいなのですが、「だからと言ってこのままでいいのか」とちょっと考えてみました。

 

 個人的、社内的な事情を述べると、本日弊紙の官邸担当チームは鳩山政権の諸課題に関するある程度ボリュームのある記事を3本出稿し、うち1本だけ採用されて紙面化されたという状況です。なので、そうそう現在の自民党を大きく取り上げる紙面スペースもなければ、現場の私たちにも余裕がないのは本当です。でも、私はこうして個人ブログを持っているのだから、もう少し情報提供に務めるべきだったかと反省した次第です。

 

 というわけで本日、熊本市のホテルで開かれた3候補討論会の中から、いま注目を集めているダム問題に関する部分を抜き出して紹介します。その他の問題も議論というか質疑がありましたが、前々々回のエントリで報告した内容と大きくは変わらないと判断したことと、イザ記者ブログの1万字制限もあって割愛します。他意はありません。

 

 記者 今日、前原国交相が熊本に入り、川辺川ダムについて地元と意見交換をしている。新しい民主党政権が川辺川ダム、八ツ場ダムを公共事業の象徴と位置付け中止を打ち出しているが、新しい自民党として個別の川辺川ダム問題と公共事業のあり方、地方の産業構造のあり方について。

 

 ■河野太郎氏

 自民党の無駄遣い撲滅プロジェクトで私のチームは沖縄の公共事業のことをずいぶん、調査を致しました。沖縄は政府が一本化して公共事業を沖縄に出していて、相当な金額を毎年投入しているが、実は県民所得の本土と沖縄の格差、失業率の本土と沖縄の格差はほとんど変わっておりません。つまり、あれだけ公共事業を政府が一括して予算計上してやったにも関わらず、沖縄の経済のために本当になっているのかというのは非常に疑問でした。

 むしろ、もっと違うやり方があるんではないかと我々は提言をしました。ですから、国が何か大型の公共事業を決めてそれを地方に出すというのではなくて、むしろ地域にきちんと財源をお渡しをして、それで何がよいのかというのをむしろ地域に考えていただくようなやり方にしないと駄目なんだと思います。

 国からお金が振ってくるものならやる。だけど、自分のお金ならそれは考えるというのが色々な県でありました。ですから国が公共事業の予算を計上してこれは大型事業として国がやりますというやり方は私は改めていかなければいけないと思います。

 川辺川のダムについては、色々なご意見があるのは知っておりますけれども、残念ながら私はそこまで詳しくありませんので、ここでどうこうというのは残念ながら差し控えざるを得ない。申し訳ありません。

 

 ■谷垣禎一氏

 私も確かに今までの公共事業では、国からカネが降りてくるならやってもいいというようなことがなかった訳ではないと思います。ですから、地方の意見といいますか、主体性というものをもう少し活かした仕組みというものはないかな、私自身もそういう方向を模索すべきではないかと思います。

ただ、今度の、実は川辺川、熊本県が止めるという決断をされました時には私、国土交通大臣でした。それから今度の八ツ場ダムのああいう経過を見てますとね、やっぱりこれだけの大きな公共事業になりますと、相当時間がかかります。長い経緯でその地域の生活が正に丸ごとかかってくる訳でありますので、熊本の場合には国の立ち場からしますと県でそう言う決定をされて、これ以上進めるなというご判断であった訳ですが、この川辺川でも本当の地元ではそれに必ずしも同意しておられないということがあると聞いております。

それから、八ツ場ダムの場合は、地元でも色々なご意見があるんでしょうけれども長い経過で進めるということでやってこられました。だから川辺川と八ツ場ダムとは若干違うかも知れませんが、やっぱり地元の生活、地域のあり方、こういうことも含めてですね、止めるという決断も私はもう少し丁寧にしなければいけなかったのではないか。川辺川を見るとそういう思いが致します。

それともう1つは、じゃあ止めた時の生活再建とか色々なことがございますが、特に治水面に関しますと、ダムに代わる、このごろは集中豪雨みたいなのも多くなっておりますのでね、そういう何年かに一度の大災害が起きたときの対応はどうだというと、中々これは専門家でないからよく分からないですけども、中々頭の痛い問題です。そこら辺まで十分視野を広げて議論しないといけないと思います。

 

 ■西村康稔氏

 まず公共事業一般については、私はもちろん無駄なものはやる必要はないと思います。道路特定財源を、2兆5000億円の財源でありましたけれども、一般財源化、私も主張しましてそれが実現を致しました。今年の予算で言えば、色々な計算ありますけども、約5000億円が一般財源化され、そのうちのかなりの部分、医療や福祉に回っているという風に思っています。そういう意味では新しい財源として無駄な公共事業を省いてそうしたところに回していく。私は民主党以上にコンクリートから命へということを実践しているのは自民党だという自負があります。

 一方で、必要な公共事業はやらなきゃいけません。先程の水害、洪水対策の事業であったり、あるいは新しいタイプの環境ですね。すべての公共施設、中学から高校や小学校まで太陽光パネルを付けていく、そうした新しいタイプの事業はやっていかなければならないと思います。

 個別の川辺川ダム、八ツ場ダム等は先程の話の通り、知事の判断が違いますので一概には言えませんけれども、私は総裁になれば、直ちに特別チームを作って調査団を派遣したいと思います。そして、住民の意見を聞き、地元の議員の皆さん、知事、市長、首長の皆さん、もちろん当事者だけでなく周辺の流域まで関係有るわけですから、そうした人の意見をしっかり聞いて、さらに代替の治水対策、どんなものがあるのか、それにいくらお金がかかるのか、あるいは止めた場合にいくら補償しなきゃいけないのか。そうしたことを総合的に判断していくチームを作りたい。調査団を派遣したいという風に思います。

 歴史があり住民の生活がありますから、その人たちの声を重視をしてあげたいという気持ちが非常に強いわけでありますけれども、調査団を派遣していきたいという風に思います。

 

 …もうしばらくすると、鳩山首相が米国から帰国します。新政権はいろいろと打ち上げていますが、まだこの先どうなるか(おそらく当の担当責任者も含めて)分からないことばかり(まあ、現時点では仕方ないとも思いますが)なので、首相が執務室に入る来週からは具体的方向性が少し見えてくるような様々な動きがあることと思います。

 

 また、できるだけ紙面になりにくいこと、紙面からこぼれたことを拾って報告しようと考えています。鳩山政権も課題山積ですが、それを報道する側の私たちも何がなんだかどうなるんだか、「ひーひー」「ぜいぜい」言いながら走るしかないのが現状であります。

 

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