2009年09月

 

 きょう、仕事の空き時間に机上の書棚にあった平成19年3月に出された「新編 靖国神社問題資料集」(国立国会図書館調査及び立法考査局)を眺めていて、たまたま見つけた12年4月の参院国際問題に関する調査会会議録が興味深かったので、ここで紹介しようと思い立ちました。これは国会での答弁なので秘密でも何でもありませんが、意外と知られていないのではないかと判断したからです。

 

 発言者(参考人)は、あの、中国に関心のある人にはとても有名な中江要介・元中国大使で、靖国神社参拝問題に関する中国側の考え方がよく分かるからです。鳩山首相は靖国不参拝を明言しているので、あまりタイムリーなエントリではありませんが、関心のある方はご覧ください。

 

     

 

 《1985年8月15日に靖国神社公式参拝があって、それで日中間というのが物すごく冷え込んで何もかもストップした時期があったんです。(中略)その年の12月8日、この日も珍しい日ですが、この日に胡耀邦総書記が私に昼の食事を一緒にしたいと、こう言ってきたんです》

 

 

     

 

 《(中略)胡耀邦はそのときに、もう靖国神社の問題は両方とも言わないことにしようと、こう言い出したんですね。(中略)黙って85年でも100年でも両方で騒がずに静かにして自然消滅を待つのが一番いいじゃないか、こういうことを言い出して靖国の問題が話題になったんです》

 

     

 

 《(中略)そこで私は、もし今黙っちゃったら、日本ではああ、もうあれでよかったんだと思ってしまう人が出るかもしれないよと、こういうことを言いましたら、それは困る、それは困るんだと。もう一度靖国参拝が出たとすると我々の立場はなくなるということを言って、その後に、靖国には戦犯が2000人もいるじゃないかと、こう言ったんですね。(中略)それはA級ばかりじゃなくてB級、C級みんな入れての話でしょうと言ったら、そうだと。とにかく戦犯というのはAもBもCもみんな変わりはないんだ、こう言ったんですね》

 

 

     

 

 《(中略)A級だけなら多少わかるかもしれないけれども、B級、C級まで含めてはちょっと日本国民としては承服できない人がいるだろうと。こういう話をしましたら、胡耀邦が、なるほどそれはわかった、それなら文革の後で中国がやったように、実は本人には責任がないけれども、いろいろのいきさつ、経緯、命令系統その他でやむを得ずそういうことになった人たちの名誉を回復する措置をとったらどうだと》 

 

     

 

 

 一外務官僚であった中江氏が問題を沈静化させたい中国首脳に、「靖国問題を提起し続けた方がいい」とけしかけていたことが分かります(自分でトクトクと白状している!!)。何をやっているんだか。

 

 この中江氏の証言を読んでいて、手前味噌ながら、自分の2006年7月2日のエントリ「中国はBC級戦犯カードを温存している」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/9553/)と、同年10月12日の「周恩来による『免責』を有り難がる人たち」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/55564/)を思い出しました。時間と余裕のある方はご覧下さい。日本はずっと、同じ陥穽に好んではまり続けていたのだろうと私が思う理由が、合わせて御理解いただけるかと思います。

 

 ちなみに、この問題に関して、民主党の小沢一郎幹事長は自治相時代の昭和61年4月2日の参院地方行政委員会で、こう述べています。私は、現在の小沢氏には批判的ですし、残念ながら当時と現在では言動が大きく異なりますが、このときの答弁については基本的にその通りだと思っています。

 

 《A級であろうがB級だろうがC級であろうがそういう問題ではないだろうと思っています。(中略)私の考え方としては、対外的に言えば一戦犯の問題で済むという話ではないであろうと思います。したがいまして、これは国と国ということであれば、日本人全部が、日本国民がお互いに責任を負って、その中で、歴史のいろんな悲惨な状況が繰り返し起きておりますけれども、今後、本当にアジアの中の日本としての連帯と友好をお互い保ち合っていかなければならない》

 

 …このようにきちんと論陣を張っていた小沢氏が、後に単純なA級戦犯分祀論に傾いたのは残念だと思います。それはともかく、写真のオニダルマオコゼは、先日のエントリとはまた別の場所で出会ったものです。3日間で2度もオニダルマオコゼを鑑賞する機会に恵まれ、深い縁を感じずにはいられません(?)。本当は私も、クラゲのようにゆらゆら漂いながら、気楽に構えて身過ぎ世過ぎを楽しみたいのですが。

 

 

 鳩山由紀夫首相は日本時間の21日夜、ニューヨークで中国の胡錦濤国家主席と会談し、自分からわざわざ「村山談話」を踏襲すると表明したそうです。言うまでもなく、村山談話とは平成7年8月、当時の村山富市首相が、日本による植民地支配と侵略をアジア諸国に謝罪したものです。

 

 一応、閣議決定された首相談話なので、現在は政府の公式見解となっていますが、もともとは社会党出身の村山氏のイデオロギー、個人的な思い込み、偏見などが色濃く投影されたものだと理解しています。

 

 まあ、鳩山氏の村山談話踏襲自体は、不思議でも何でもありません。8月11日の海外メディアとの記者会見でも、鳩山氏はこの談話に対する熱い思いをこう語っていました。

 

 「村山談話は、私が(自社さ)政権にいたときにつくったもので、その思いは民主党が政権を取ったならば当然、尊重したい。自民党政権の中では、何か談話を踏襲するみたいなことを言いながら、どこまで本当に理解されていたのかという部分は若干の疑問を禁じ得ない。少なくとも私どもは、村山談話の思いを十分に受けた政権にしたい」

 

 また、平成10年5月に「韓国と日本」をテーマに行った講演でも、次のように語っています。

 

 「村山内閣のときに、敗戦50年の8月15日に村山談話が出され、韓国でも高く評価されたわけだが、その後残念ながら橋本内閣において、その思いが踏襲されていないような気がする。橋本内閣にしろ次の内閣にしろ結構だが、この過去の歴史認識の問題、サハリン残留韓国朝鮮人の問題、また従軍慰安婦の問題も、精神的な意味でしっかりとした謝罪を行うことによって、解決出来る問題だと認識したい。形式的な謝り方ではなく、本当に心を込めて総理の立場で、あるいは国会の立場で謝罪を一度することが大事ではないか」

 

 で、会談で胡主席はというと、鳩山氏の言葉に「明確な立場を示したことを評価したい」と述べたとのことでした。映画ではなく原作(単純なエコではなく、実に深い世界観が描かれています)の方の「風の谷のナウシカ」(徳間書店)2巻で、「僧正さま」が、ナウシカと王蟲(オーム)の心の交流ついてこう語った箇所があります。

 

 「いたわりと友愛がわしの胸をしめつける…王蟲が心をひらいておるんじゃ…」

 

     

 

 さて、鳩山ナウシカの真情は、中国という走り出したら誰にも留められない王蟲の胸に届き、揺り動かしたでしょうか?。ちなみに私は、月刊正論10月号に書いた「第二の『村山談話』を阻止せよ」(タイトルは編集者がつけました)の中で、こう予測しておきました。

 

  「鳩山氏は、(中略)村山談話をもっと頻繁に示したいということだろう。最近は出番が少なくなった『歴史カード』を再び活用できるのだから、中国としては飛んで火に入る夏の虫というところか」

 

 私の見方が、ひねくれた穿ちすぎなものであり、鳩山内閣において世界に友愛の輪が広がることを願ってやみません。そうなるとは、どうしても思えないのですが…。

 

 と、だらだら鳩山氏について書いているうちに前置きだか本文だか分からなくなってしまいましたが、ここからは1カ月ぶりに読書シリーズをお届けします。このところけっこう忙しかったのですが、相変わらず歩きながらでも読みたい本は読む、を実践しています。

 

     

 

 進歩がない人間なので、いつものように「帯」のキャッチコピーにつられて手を出したのが中沢けい氏の「楽隊のうさぎ」(☆☆☆)でした。引っ込み思案で現実逃避気味の中学一年生の男の子が、ふとしたきっかけでブラスバンド部に入り、やがて居場所を見つけ、成長していくというストーリーです。もうちょっと、続きが読みたいような。

 

     

 

 川上健一氏の「透明約束」(☆☆☆☆)には心が洗われました。それこそ、帯では触れられていないのですが、なぜかカナダに関係のある10の短編が収められています。些事に悩み、あくせく働く日常がバカらしくなるような、そんな物語の花束のような本でした。いいなあ。カナダでオーロラが見たくなります。

 

    

 

 今度は同じ川上氏の「ナイン 9つの奇跡」(☆☆☆★)です。川上氏の作品が矢継ぎ早に出版されていて、嬉しい散財となりました。こっちの作品は草野球を舞台にしているのですが、一人ひとりの登場人物の造形に作者の愛情が感じられ、とても爽やかな気分になります。これも一つの「フィールド・オブ・ドリームス」だなあと。

 

     

 

 この読書エントリシリーズでたびたび登場している原宏一氏のヒット作「床下仙人」(☆☆☆)をようやく読みました。他の作品同様、上手いなあ、鋭いなあ、皮肉が効いているなあと思いつつ、この表題作はオチがちょっともの悲しくて…。家族は大事にしなきゃなあ。

 

     

 

 堂場瞬一氏の警視庁失踪課・高城賢吾シリーズ第3作「邂逅」(☆☆☆)は、大学職員の生態について取り上げていて興味深いものでした。私は学生時代も産経に入ってからも、諸般の手続きや取材で大学職員と接するたびに「何でこの人たちはこれほど偉そうなのか」と感じることがしばしばでしたので。ともあれ、本編でも阿比留真弓室長がいい味を出しています。

 

     

 

 佐藤雅美氏の町医北村宗哲シリーズも同じく第3作「口は禍いの門」(☆☆☆)が出ました。私はこの作者の文体、登場人物の思考が合うというか、実にしっくりきて心地よいのです。特にこのシリーズは、学問を修めた医者であり、元任侠筋の男という主人公の設定がいろんなバリエーションを可能にしていて、楽しめますね。

 

     

 

 この稲葉稔氏の「裏店とんぼ 研ぎ師人情始末」(☆☆★)は、書店に平積みになっていたので新刊かと思って手を出したのですが、一巻を読み終えて気付いたら10巻も出ているシリーズものでした。まあ面白いので、結局、読んでしまうのかなあ…。読む本が見つからないよりいいけど。

 

     

 

 

 きょうは昨日、新潟市で行われた自民党総裁選の候補者3人の街頭演説を届け出順に紹介します。特に感想や意見はつけません。現場にいた記者によると、聴衆は500人ほどで、拍手や応援は河野太郎氏が圧倒的に多かったとのことです。

 

   

 

 

西村康稔氏

 

 先般の衆院選で皆さん方には自民党の候補者を応援していただき、そして自民党がんばれ、心から励ましていただいた。それにもかかわらず、このような結果に終わりましたことを心から申し訳なく思います。

一番の原因はみなさんが本当に苦しい思いをしておられる。景気が悪い中で仕事が減り、社会保障費の負担も上がり、年金の受取額も少なくなっていく。そんな苦しい思いを私たち自民党がしっかり受け止めることができなかった。

その一方で残念ながら政権を1年ごとに変わり、たらい回しをするかのような印象を与えてしまった。官僚の横暴や天下りを許し、なんか自民党も国会議員と官僚がつるんで自分たちだけいい思いをしているのではないか。私たちはこんだけ苦しい思いをしているのに自分たちだけなんだ。そんな国民の皆さんの怒りが爆発をしたのだろう。

先輩たちに任せているわけにはいきません。私たち中堅若手でやらせてください。私たち中堅若手で自分たちの頭でみなさんの苦しい思いをしっかり受け止めて、自分たちで政策を立案し、官僚に頼らず、これまで官僚が出していきた案にのっかって、それをみなさんに政策として示してきた。しかしこれからはみなさんの苦しい思いをしっかりと受け止めて、自分たちで政策を作り、皆さんの思いに答えていかなくてはならない。

私が総裁になれば、ただちに中堅若手中心に強い執行部を作ります。そして、ただちに次の内閣、シャドーキャビネットを作ります。それぞれの担当を決め、次の農林水産大臣にはそのもとに農林、水産、一次産業のチームを作り、自分たちで政策を立案し、それを国会論戦していきます。国会論戦は若手ががんがんがんがん先頭に立ってやります。自民党も結構いい若手がいるじゃないか。あんな若手もいるのか。みなさんにしっかりと自民党が変わる姿を見ていただきたい。

私は若手だけですべてできるとは思っておりません。あの米国のオバマ大統領も私より一つ年上です。若い大統領です。しかし彼も副大統領には重鎮のバイデン上院議員を起用しました。私の一番の弱みは経験がないことです。決意は志は、思いは誰にも負けません。しかし、経験がないことを、これをカバーしてくれる先輩の助けも必要です。たった200人しかいないんですから。衆参併せて200人になってしまったんです。

先輩たちには失礼ですけど、使える人は誰でも使います。やるのは、中心はわれわれ若手が中心にやります。しかし、一致結束して民主党に向かっていく。的は百戦錬磨の小沢一郎幹事長です。みんな力を合わせてやらないといけない。戦えない。みんな力あわせて戦う。

そして私たちが第一に取り組まなくてはならないのが地方の再生です。私は小泉構造改革をすべて否定するものではありません。官から民へ。道路公団の民営化。これは成功です。みなさんサービスエリアよくなったでしょ。道路もきれいになったし、レストランもおいしくなりましたよ。やっぱり民間の知恵を使わなくてはいけなせん。

郵政民営化も進めなければいけません。もちろん田舎で郵便局のサービスが少し低下したりしている。これは見直しも一部必要です。しかし、郵政民営化は200兆円もの大きな郵便局、日本一大きな銀行です。法人税も払ってこなかった。昨年は民営化をして法人税を4200億円、国に納めた。これが民営化の成果だ。新たな財源です。この4200億円で皆さんの医療や福祉にお金を回すことができます。郵便貯金の200兆円はまだしっかりと運用されていません。民間の企業に回っているのは数百億だけだ。

これから民間の知恵を浸かっていただいて、200兆円しっかりと企業に回るようにいい形で運用されるようにこれから民営化を推進していきたいと思います。そして東京を世界最先端の金融都市にする、あるいはIT分野で新しいものをどんどん生み出していく。携帯電話は便利になりました。どんどん自由化して競争すればいいと思います。

しかし、地方は別です。地方の経済は行き過ぎた規制緩和でずたずたになり、予算の削減で本当に皆さん苦しい思いをしておられる。さらには日本社会の根幹である地域の共同体が壊れかけています。地域の共同体。これは地域地域で家族の信頼で結ばれ、人と人のつながり、そしてお互いの助け合い、そういった連帯感。結ばれた地域の共同体。競争原理や市場主義、あるいはお金儲けがすべて拝金主義、こんな考え方で壊れかけています。私はこの地域の共同体を守り、地方を再生させていく。これが第一の政策課題だと思います。

2、3例を挙げます。地方再生の第一は農林水産業の再生です。新潟はコシヒカリをはじめおいしいお米いっぱいです。水産業も盛んです。それでもやっぱり経営がなかなか安定しない。後継者がなかなか育たない。こんな話を聞いています。食の安全を守るためにも、食糧自給率をたった40%からもっともっと上げていく。そのためにも農業、水産業の皆さんにがんばってもらわなくてはなりません。

しっかりと経営安定策。考えていきたいと思います。しかし民主党が言うように一律にお金を配る。それには反対です。いろんな地域の事情、それぞれ個々にあると思います。もっともっとおいしい米を作ってやろう。努力する人。規模を大きくしてコストを下げようという人。山間の中山間の地域で苦労しながらも一生懸命農業を続けていこうとする方。それぞれの地域の事情に応じて支援策を変えていかなくてはいけないと思います。

二つめに地域の医療です。1分1秒を争う、皆さんの命を守る、たらい回しをされたり、医者がいない、そんなことがないように、地域の医療、救急医療の態勢をしっかりと確保していきたい。医学部の定員を増やしています。しかし、医者が現場に出てくるには何年かかかります。まずは今の中で医療のネットワークをしっかり作っていきたいと思います。大学病院、県立病院、民間の病院、そして開業医の皆さん、一緒になって地域のネットワークを作ろうじゃありませんか。

三つ目は教育再生です。地域を担う、この国を担っていく子どもたちを地域でしっかり育てていきたいと思います。地域の共同体で年長の方を敬う気持ち、お祭りに参加しながら一つのことを成し遂げていく共同作業。こうした政策を自分たちで考え、中堅若手で中心になって考え国会論戦で戦わせたいと思います。

外交安全保障の話を一つだけ。私の地元には拉致被害者の有本恵子さんがおられます。そのおばさんは、私の事務所でボランティアをずっと続けてくれております。初当選以来、私はこの拉致問題の解決に全力で取り組んできております。この新潟県にも被害者の方がたくさんおられます。ぜひとも外交力を強化し、しっかりとこの問題の解決に向けて努力をしたいと思います。

連立政権には社民党が入りました。安易に妥協しないように国会でしっかりと監視をし、論戦の中で(追及?)をしていきたいと思います。こうした国会論戦を若手中心にやりながら自民党は変わっていく。そうした姿を見ていただきながら、来年の参院選に向けて全力でがんばりたいと思います。政権奪回に向けて一体となって、3年計画で取り組んでいきたい。

 

  

 

 

■河野太郎氏

 

小泉さんが総理大臣を辞めてから自由民主党は毎年のように総裁選挙をやってきました。毎年総裁選挙をやってまいりました。しかし、今回の総裁選挙は今までと全く違う総裁選挙です。今回は自由民主党が野党になった総裁選挙。今までは自民党の総裁選挙というのは総理大臣を選ぶ選挙でありました。今度は野党の党首を選ぶ選挙でしかありません。テレビのニュースを見ていると、チャンネルによっては天気予報の後のフラッシュニュースで30秒だけ自民党も総裁選挙をやっていますというのを取りあげています。新聞によっては今日も全く自民党の総裁選挙の記事がない新聞も1紙ありました。それぐらいの扱いしか今、自民党の総裁選挙は受けられない。野党の党首選なんです。

もうひとつ。今まで特に去年の自民党の総裁選挙は、崖っぷちに立たされた自民党の総裁選挙でした。去年は崖っぷちでしたけど、今回は崖から落っこった自由民主党の総裁選挙です。8月30日の総選挙で、崖っぷちにいた自由民主党はがけから下まで転げ落ちました。今度の総裁選挙がひょっとすると、自由民主党という政党の最後の総裁選挙になってしまうかもしれないんです。このまま自由民主党が消えて亡くなってしまうかもしれない。

そんな危機的な状況での総裁選挙なんです。だから私はこの総裁選挙が本当に自由民主党をどう作り直すのか、自由民主党を手直ししようなんていう考えは捨てようじゃありませんか。手直ししてどうにかなるものではありません。自由民主党を一から作り直すためにどうしたらいいのか。

だから去年と同じ総裁選挙みたいなふりをするのは辞めましょう何事もなかったかのようにきれごとや建前でリーダーを選ぼうとするのはやめましょう。そんなことをやったら、これが最後の自民党の総裁選挙になります。歴史的に、歴史的にというか、歴史の最後の総裁選挙になってしまいます。この総裁選挙で自由民主党をまったく新しく一から作り直そうと思ったら、今まで自由民主党の足を引っ張ってきた悪いものを、膿を全部ここで出し尽くさなければ、新しく自由民主党を作り直すことはできない。

鳩山内閣が16日に滑り出しました。岡田外務大臣は早速、核密約の調査をする。総理大臣をはじめいろんな人が無駄遣いをきっちり調査して、無駄遣いを切るんだ。長妻さんが年金担当大臣で年金は私に任せろ、いろんなことをおっしゃっています。

私は1年半、自民党の無駄遣い撲滅プロジェクトチームのチームリーダーをやらせていただきました。たとえば、例のメディア芸術総合センター。国立マンガ喫茶というやつです。補正予算の前に何を補正予算に入れるかいろんな役所からヒアリングをしました。東京のお台場に5階建ての建物を建てたら、日本のマンガやアニメやゲームが発展するんだ。

どうつながっているのか説明をしてくださいと言っても、文部科学省はまともな説明すらできません。117億円のこんなものは無駄だから辞めろ。無駄遣い撲滅プロジェクトチームが補正予算に入れることはダメだといったにもかかわらず、文部科学大臣と財務大臣は役所のいうことを聞いて、入れているんです。今日に至るまでお台場の5階建ての建物と日本のマンガやアニメやゲームの発展とどうつながるか納得のいく説明は出てきていません。新しい鳩山内閣の文部科学大臣がこれはやめる。みんな自民党の内閣で本来できたはずなんです。

さっき選管の委員長としてここにたたれた野田毅さんと私ともうひとりの3人と、岡田克也さん以下民主党の年金の専門家4人と去年半年間かけて、今の年金制度を抜本的に改革をしようということで議論をして、自民党と民主党で年金を抜本的に変えようという合意を作ったんです。

自民と民主が合意をしているんだから、やる気になったらできるのに、厚生労働省の意を受けた自由民主党の厚労族の方は、まったくそんなものに目もくれようともしない。みんな自由民主党の時にやれたはずなのに、何一つものが動かなかった。それはなぜか。派閥の力を利用して、派閥の力を利用して党内でも大臣でもないのに、役所の決定を左右するあるいは自由民主党の政策決定に介入してくる。

一部の長老、一部のボスが自由民主党を前に進める脚をずっと引っ張ってきたからであります。今回の総裁選挙の最大の争点は何かといえば、そういう膿を出すのか、出さないのか、それが最大にして唯一の自由民主党を新しく作り直すための問題点であります。

ここで一致団結とか、全員野球とか、きれい事を言うのは私はやめたいと思います。一致団結してやろうぜというんだったら、そういう人たちをもう一回、自由民主党に入れるんですか。自由民主党の中枢をいままで自民党の脚を派閥の力を利用して引っ張ってきた人たちをもう一回、自民党の執行部に入れるんですか。そんなことをして自由民主党が変われるんでしょうか。私にはとても変われるとは思いません。

一致団結をするならば、党本部と地方の組織、100万人を超える自民党の党員の皆さん。そして1億2千万人の国民の皆さんと一致団結して新しい自民党を作る。なせならば、自由民主党を作り直すのは自由民主党のためにやろうとしているわけではありません。自民党のためなんかどうでもいいんです。

小選挙区制度を10数年前に導入したときに、なぜ小選挙区にしたか。政権交代が可能な二大政党制を日本にも作ろうぜ。それがねらいだったわけであります。政権交代は起きました。しかし、健全な二大政党政治はまだ道半ばであります。私は自由民主党を作り直して、日本の二大政党制の一つの翼が、一つの柱が自由民主党でありたい。

だから自由民主党を作り直すことが日本の二大政党制を作るために必要だから。そして健全な二大政党政治がこの国に生まれれば、21世紀の日本がこの二つの政党がしっかり議論をして、この国を前に進めることができる。だから自由民主党を作り直したいと私は思っているんです。

自民党を今、直そうというのは今、自民党のためにやるんじゃない。国民の皆さんのためにこの国の将来のために自民党を生まれ変わらせたい。それが私の願いです。だから私はこの場に立ってみなさんの支持をお願いをしております。一致団結する。国民の皆さんとこの国将来のために一致団結します。

私は自民党から出て行ってしまった渡辺喜美さんに、もし総裁に私がなったら、喜美さんの携帯電話に電話をして、「もう一回一緒にやろうぜ」、渡辺喜美と一致団結しようと私は思っています。一緒になって最後まで公務員制度改革、きちんとやり遂げよう。いろんな規制改革、天下り組織の改革を一緒にやろう。私は渡辺よしみと一致団結していくのはやぶさかではありません。

しかし、今まで自由民主党を後ろから鉄砲で撃ってきた派閥の親分と一緒に全員野球をやろうぜというならば、その人たちには悪いけどスタンドに上がってみていてください、そう言わなければなりません。そういう人たちと一緒に野球をするつもりは私にはないんです。もう一度、膿をここでしっかり出して、自由民主党を生まれ変わらせて、そして日本の国をしっかり前に進めていく。

鳩山さんが率いる民主党は、例えば高速道路の無料化にしても、子ども手当にしても、国が政府がいろんなものを吸い上げて、政府がそれを国民の皆さんに分配する。そういう政党であります。政府に任せてください。政府がパイを切り直してあげる。それが鳩山さんの民主党であります。いろんなものを政府に集めて配り直すためには、財源が必要になってきます。

大きな政府。再分配を目指す政府は、大きな税収を皆さんからいただいて、みなさんから集めたものを切り直して、お配り直しをする。そういう考えの政党が二大政党の一つとしてこの国にあることは、それはそれでいいことだと思いますが。われわれ保守政党はそういう考えをとりません。

われわれ保守政党は小さな、無駄のない、効率的な政府を作って、中央の権限をなるべく国民の皆さんの近いところにある地方に権限と財源をお渡しして、中央の政府はなるべく小さくさせる。そして、パイを切り直すのではなくて、経済成長をさせていくことによって、パイの大きさをどんどん大きくしていって、一人一人に豊かさを増やしていく。

それが保守政党の基本です。私は自由民主党を新しく作り直して、再分配型、大きな政府を目指す鳩山さんの反対側の軸として小さな効率的な無駄のない政府で経済を成長させて、経済を成長させることによって、雇用を生み出し、一人一人の豊かさを増やしていく。そういう社会を目指す政党として、自由民主党を新たに生まれ変わらせていきたい。

マスコミは河野太郎は議員票、あんまり集められないだろう。そんなことを言っています。私にはそんなことはないと思いますが、きょうお集まりの皆さんをはじめとする国民の皆さんが圧倒的に河野太郎を支持してくだされば、自民党の国会議員も河野太郎を支持せざるを得なくなってきます。この総裁選挙を左右するのは、お一人お一人の皆さんの支持であります。ぜひ、国民のみなさまの支持を河野太郎に賜りますよう改めてお願いを申し上げます。

 

 

  

 

 

谷垣禎一氏

 

今、景気が悪い。商売をされている方も企業を経営しておられる方も、おつとめになっている方も、あるいは農業をしておられる方も、みんな自分たちの将来がどうなるのか。あるいはわれわれの地域はどうなるのか。心配しておられる。そのときに政治がしっかりがんばってくれればまだ安心ができるけども。毎年総理大臣が替わるではないか。しかもその総理大臣を選んだはずの国会議員が排除の論理を使ってあいつはダメだと、抵抗勢力を仕立て上げ、そうして中で争っている。本当に国会議員たちは国民の方を向いているのか。こういう皆さんの怒りが鉄槌となって自民党に下ったのがこの間の選挙だった。

 われわれがやるべきことは二つです。もう一回、自民党は政治は国民のためにあるという原点に返ってみなさんとしっかり向かい合う。それが大事です。

二番目は抵抗勢力を作って誰々が悪い。こういう手法は卒業して、みんなでやろうぜ。一致団結してがんばる。このことがもうひとつです。自由民主党は国民のために何をする政党なのか。このことを私たちはしっかり問いかけなければなりません。

自由民主党はあの戦争に負けたとき、もう二度と戦争はしたくない。平和な国としていきたい。こういう国民の思いを受け、そして食うや食わずの生活はまっぴらだ。焼け野原の中からもう一度繁栄した国を作ろう。そうしてそれえを人権抑圧やそういった手法を使わずに自由な国としてやりたい。

こういう国民の声を受け止めて、自由で平和で繁栄して作ってきた。この日本を主導してきた政党であります。この今までやってきたことをすべて引き継いでいかれるのか。何が新しくしなければならないのか。それは厳しく検討しなければなりません。

しかし、自由で平和で繁栄をしてきた国を作ってきたわれわれの努力の中に必ず生かせるものがあるはずです。そして私ども保守政治家はまず何よりも家庭や家族を大事にしなければなりません。日本は資源も何もない。結局最後は人しかいない。そういう国であります。しかし、その人も家庭から育ってくる。それが一番目。

二番目は自分の生まれ育った地域、ふるさと。自分の住んでいるところ。これを大事にしよう。自分が住んでいる地域が少しでも住みやすいところになるようにみんなでがんばろう。これが保守政治家が踏まえる第二の点です。

そして第三の点は、自分の生まれ育った国。この歴史や伝統や文化や自然。これを大事にしよう。これが三番目であります。この三つの点を踏まえて、安心の上に明日のよりよい生活を築こう。これが保守政治の原点であります。みんなの家庭のきずな、地域の絆を大事にして、それをやっていこう。私は自民党はその原点に立って、これからの政治を再び組み立てていかねばならない。

しかし、そのためには自民党の変わらなければなりません。これから自民党は野党として生きていきます。そうしますと何よりも大事なことは国会で政策を錬磨して、そして与党ときちっと対決すべき点は対決していく。このことであります。そしてこの国会論戦の第一線に立つのは若い方々にもどんどん立っていただかなければなりません。それと同時に自民党の中には国際政治だったらこの方、あるいは外交だったらこの人、こういうきちっと経験を積み重ねてきたそういうベテランもいらっしゃいます。

そういう方々にもこれから国会論戦を第一線でやることが自分の政治家としての喜びなんだ。こう思って頂かなくてはなりません。そして二番目は野党となってページが一枚めくられました。私たちは自民党に若い世代がどんどん育っている。こういうことも示していかなければなりません。そしてまた女性の出番もどんどんある党だ。

肝心なのは、実力本位だということであります。甲子園の野球をご覧になって、エースを温存しておこう。こんなことをいえる高校はよっぽど強い党であります。高校であります。私ども自民党は野党になって、政権交代が起こるときにそんなことをやっている余裕はありません。一番優れたメンバーで体制を組んで、当たりたい。

三番目。選挙に強くなければなりません。一番大事なことはもし皆さんが私を次の自民党の総裁に選んでくださったら、来年の3月までに自ら47都道府県のすべてに地域に分け入って、そこでみなさんがどういうことを問題だと思い、どういうことに悩んでおられるのか、直接話を聞いて、その話の中に必ず自民党を再生していくヒントが含まれている。これを生かしていきたい。このように考えております。

今、これだけ少子高齢化が進みました。そしてまた国際的な競争も大変厳しいものがあります。これに耐えられるように、日本の国もさらに改革を進めなければならないことは事実であります。そしてそのためにこれからの成長の糧となるようないろいろな分野を育てていかなければなりません。世界で一番進んでいる環境技術をさらに磨き上げていくこと。世界で一番の長寿国を作りました。

この高度の医療技術をもっと利用していくこと。あるいはナノテクノロジー、バイオテクノロジー、技術革新で日本は最先端に立っていかなくてはなりません。しかしそれとともに日本が元気になるために、一番必要なことはそれぞれの地域が自分のよいところをできる限りのばしていく。

私は京都の一番北の方を選挙区としている人間であります。本当は環日本海地帯を早く作りたい。環日本海地帯ができれば、私のふるさともみなさんの新潟ももっともっと成長していくだろう。もっともっとよくなるだろうと思います。

そのときにいつも問題になるのが、拉致の問題でございます。横田めぐみさんが寄居中学校に通われていた。それはすぐそばだと聞いております。その中学1年生の時に横田めぐみさんは拉致にあった。私どもは外交力を強化し、横田めぐみさんを早く戻す。その決意を新たにしなければなりません。今度の新しい政権がそのための覚悟を揺るがせることがないのかどうか、野党としてしっかり見張っていく必要がある。

みなさんに最後に申し上げたい。私どもの政策はこれから自民党がきちっと自民党が再び錬磨して育成策は、きょう1日がよければそれでよいというものではありません。明日のこと。永続していく。そういう政策を作っていかなければならない。民主党の皆さんがマニフェストでいろいろなことをお約束になりました。しかし、その財源についてはあまり触れられておりません。このことが日本の財政を破壊することにならないのか、あるいは将来の世代につけを回して、将来の子どもたちの夢を食いながら、今の夢を語っているのではないか。こういう点は、私どもしっかり国会でこの監視をしていかなければならない。

私どもはそういったいろいろな問題点を包み隠さず、皆さんに率直に語りかける。そういう政党として生まれ変わらなければならない。このように思っております。こうして政権交代が現実に起こりました。私どものなすべきことは、私たちは常に政権党である。こういう政権ボケを早く卒業して早くぬぐい捨てて、そして緊張感を持って明日に向かっていくそういう政党に生まれ変わる。このことでございます。

 

   

 

写真に特に意味はありません。強いて言えば、心象風景のようなものでしょうか。

 

 

 私とこのブログについて、「自民党マンセー」であるかのような論評が絶えません。別に放っておいてもいいのですが、ちょっと鬱陶しいのでこの際、簡単に私が自民党をどう思っているのかをおさらい的に記しておきます。

 

 人の考えや感情は、シロかクロかに簡単に分けられるものではありませんが、あえて「好き」か「嫌い」か言えば、そのどちらでもなく、「今さらあまり関心がない」というのが正直なところです。

 

 もちろん、私は政治部記者であり、職業的な関心は維持していなければなりませんし、自民党には議員や秘書、職員に知人がそれなりにいるので、そうした人たち個人に関しては関心がないわけではありませんし、応援したくもあります。ですが、「党」そのものに対しては「どうでもいいや、あんな党」というのが本当のところです。

 

 もともと、思想・信条・政策ではなく、選挙区事情や人間関係でつながっている「政党」に、そんなに思い入れの持ちようがないということもあります。ですが、それ以上に、私は、安倍元首相やその周囲の人たちの考え方や方向性に共感していただけであり、その人たちが背景に沈んでしまった今、どうして自民党を「マンセー」しなければならない道理があるのか。

 

 むしろ、仕事でなければ見たくもない、というのが本心です。もっと言えば、2年前の参院選とその後の自民党の動きには、強い嫌悪感すら覚えました。そのころに書いた記事を再掲します。

 

 

【土・日曜日に書く】失って知る安倍政権の輝き [ 20070923  東京朝刊  オピニオン面 ]

 

 理念型政権の終焉

 

 失って初めてその貴重さ、重要性が実感できることがある。日本の歴史、伝統、文化を大切にし、自主独立の国家を目指す保守派は今後、ことあるごとにこの思いをかみしめることになるのではあるまいか。これまで安倍晋三首相とその政権を支持してきたか否かを問わずに、である。

 

 きょう23日、自民党の新総裁が選出される。25日には安倍内閣は総辞職、第91代首相が誕生し、新内閣が発足する。総裁選は、麻生太郎幹事長と福田康夫元官房長官の一騎打ちとなっているが、福田氏の優位は動かない情勢だ。

 

 岸信介元首相以来の本格保守政権を築くことを期待された安倍首相は失意のうちに退場し、リベラル色が濃く、歴史問題などで日本に執拗(しつよう)な干渉を続けてきた中国や韓国のことを安易に「友達」と呼ぶ福田氏が新たに政権を担う。

 

 自民党は加藤紘一元幹事長や河野洋平衆院議長らが主流を握り、社民党の村山富市元首相や辻元清美衆院議員らからも「リベラルになった」と評価された10年以上前の姿に戻っていくのだろう。

 

 もともと自民党は、右から左まで幅があり、構成議員の大半はそのどちらにでも転ぶ「ノンポリ政党」だといえる。その中にあって安倍政権は、少数派・非主流派である理念的な保守派が中枢を押さえた希有(けう)な政権だった。また、安倍首相は党内外の保守派の期待を背負った切り札だったのだ。

 

 その安倍政権が参院選での大敗という「民意」と、安倍首相自身の病とで倒れた今、国民の支持を受け、党内多数の衆望を集める保守の旗手はもういない。混迷する政局の中で、保守派に明確な展望はまだ描けていない。

 

 保守派にも理解されず

 

 安倍首相は、教育基本法改正、防衛庁の省昇格、国民投票法成立と歴代の自民党政権が、その必要性は認めながらもメディアや野党の強い反発を恐れて手をつけなかった法改正に、何の躊躇(ちゅうちょ)も見せずに取り組み実現させた。

 

 一方、永住外国人への地方参政権付与、夫婦別姓法案、人権擁護法案、女系天皇を認める皇室典範改正案に国立・無宗教の靖国神社代替施設建設などには陰に陽にストップをかけ続けてきた。

 

 これらの多くは、保守派から見れば日本の伝統・文化の破壊であり、左派・リベラル派にとってはぜひ形にしたい法案・政策だった。そして安倍首相という防波堤を失った今、徐々に実行に移されていくことだろう。

 

 ただ、安倍首相は、本来は味方であるはずの保守派の十分な理解・支持は得られなかった。その理由で大きいのは、靖国神社に行くとも行かないとも明らかにしない「あいまい戦術」と、慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」の継承だったはずだ。

 

 安倍首相としては、靖国にはいつでも行けるというフリーハンドを持ちつつ、拉致問題への中国の協力を取り付ける作戦だった。また、自民党の大半の議員が河野談話に何の疑問も持たず、公明党に至っては河野談話を高く評価している国会の現状で、いきなり全否定するのは難しいと判断したのだろう。時機を見て談話を修正・追加する予定だったが、こうした慎重さは不幸にも安倍首相の「変節」と受け取られてしまった。

 

美しくない自民、公明

 

 安倍首相の失敗は、国民に理解されるように、何をどう進めていこうとしているのかの「本心」を、十分に発信できなかったことにある。安倍首相が「いつか分かってもらえる」と考えていたことが実際には伝わらず、誤解され続けたように思えてならない。ただ、それも現在の与党の動きを見ていると無理もないと感じる。

 

 昨年の総裁選では、雪崩を打って安倍首相の下に集まり、ほぼ総主流派体制を形づくった自民党が、今回は外交政策や政治信条で最も安倍首相と距離のある福田氏という「バス」に乗り遅れまいと必死になっている。そこには、理念や思想は全く見えない。

 

 一方、公明党は小泉純一郎前首相時代から6年以上続く改革路線を否定し、民主党に対抗して「バラマキ路線」へと突き進もうとしている。これまで政権与党としてやってきたことを自ら否定し、恬(てん)として恥じない様子だ。

 

 参院選大敗のショックがいかに大きかったかを示すエピソードとはいえ、自民党も公明党もあまりに形振(なりふ)りかまわぬ姿はいかがか。何とか国民に取り入ろうとしているのだろうが、かえってこれまで何の信念も原則も持たずに政治を進めてきたことを暴露した形だ。

 

 安倍首相は、こういった政治家たちと折り合いをつけ、だましだまし政策を遂行していくためには、本心は秘めていないと、足をすくわれるだけだと考えたのかもしれない。(了)

 

 …これは紙面に掲載された記事ですから、表現ぶりはオブラートに包んでいますが、本当はもっと自民党という集団に対する強い失望、はっきり言えば憎悪、諦観を持って書いたものです。

 

 その後、福田元首相時代はまだ、福田氏を個人的にも知っていたし、「ろくなものではない」と確信していたので、その危なさとおかしさを発信していかなければと考えましたが、ほとんど知らない麻生前首相の代に至り、いよいよ「もう私に書くことはあまりないな」という心境になっていきました。

 

 また、私は2年前の参院選の結果とその後の展開をみて、時期までは予想できませんでしたが、自民党が現在のような状況に陥るのはある程度予想していたので、「やっぱりなあ、なんだかなあ」と感じるばかりでした。

 

 じゃあ、民主党には関心があるのかと聞かれれば、何をしでかすか分からない政権与党なのですから、それは関心はあります。別に好悪の念ではなく。そして、民主党の一部政策、実力者や閣僚の幾人かは、明らかに問題があり、ウオッチすべきだと考えているので今後もそうするつもりです。ただそれだけです。

 

 政権をうかがう力のない野党には、あまり興味・関心を示さないという政治部記者の悪弊に、私自身が囚われている部分もあるかもしれません。しかし、現在の自民党の所属議員たち全体(一部に優れた人がいるとしても)を見回して、そんなに期待を感じろという方が無理でしょう。

 

 ちなみに、10月初め発売の月刊「正論」には、産経政治部記者4人の座談会(匿名ですが、読めば分かる人にはだれか分かりそう)が掲載される予定です。ここでも、自民党に対しては「再生はないだろう」という意見が多かったと記憶しています。

 

 私とて、予測不能な将来、未来には希望と夢を持っていたいし、そのために何をすべきかを考えないではありません。しかしまあ、「それはこうだ」と言える材料や考えをまだ持てずにいるのです。そんなところです。

 

 ただでさえ忙しい上に睡眠不足と疲労が重なり、長いエントリを書く気力と体力がありません。でもまあ、何かしらお知らせしたいと思い、本日の千葉景子法相の記者会見から、人権擁護法案に関する部分を抜き取って紹介します。ありていに言えば「手抜き」なわけですが、どうかご勘弁ください。

 

 民主党の人権擁護法案については、今朝の紙面「新・民主党解剖」でもちょっと触れました(部落解放同盟案との類似など)が、千葉氏はとにかくもう、やる気満々ですね。

 

 Q 産経)人権侵害救済機関の設置を表明したが、どんなスケジュールか。閣法でやるのか。民主党が提案したのを使うのか
 

 千葉氏 これもですね、これまで、議員立法等でやってきたというの事実ですが、今回のマニフェストは、今回の政府として、やっていくということをお約束しているわけですので、★基本的には閣法でやるべきものだと思っております。できるだけ、これも、検討を。★まぁ、基盤は既に皆さんにもご理解を頂いているものでもございますし、まぁ、ちょっと、遅きに失していということもありますので、詰めて参りたいという風に思っております。ただ、これを組織上の変更とかも考えなければいけない。そういうこともありますので、たとえば、内閣府などとの色んな議論も、検討も、必要になってくるだろうと思いますので、そういうこともあわせて、議論は、できるだけ早くスタート。検討はですね、して参りたいという風に思っております

 
 Q 時期的メドはあるか
 
 千葉氏 ★今、確定的なメドはございません。
 
 …なんか押しつけがましいものを感じます。千葉氏はこのほか、北朝鮮、外国人参政権、慰安婦、夫婦別姓…と、「その手の話」には必ずんでくる逸材ですね。なので、近いうちにまた改めて取り上げたいと思います。それではまた。
 
   
 
 本格的な秋となりました。
 
 ※追記
 手元にあった「現代コリア」(平成18年[第463号])に、千葉氏が韓国大統領あての釈放嘆願書に署名した辛光洙元死刑囚が横田めぐみさん拉致の実行犯であることの証言(18年1月6日、友愛会館での記者会見)が載っていましたので、参考までに引用しておきます。
 
 横田早紀江さん 辛光洙がめぐみを拉致したことは一昨年十一月末、米軍の座間キャンプで曽我ひとみさんから聞いていた。ひとみさんもめぐみも辛光洙から学んだこと、また辛光洙がめぐみを連れていったことを聞いたが、外には出さないでほしいと頼まれていた。しかし、NHKからその情報について確認を求められたので、正直に答えた。ひとみさんは政府や警察には話していたと思う。(中略)ひとみさんはあまりしゃべらない方で、座間でも、めぐみさんも辛光洙が拉致した、ということをそっと言われた。めぐみがいない時に、辛光洙がひとみさんに「私がめぐみさんを拉致した」と言ったとの話は聞いていなかった。
 
 横田拓也さん 実行犯の一人が辛光洙であるとの証言については、一昨年の十一月の末に、家族四人で聞いていたが、曽我さんの意向を尊重してきた。二、三日前、地村さん夫妻の実行犯は辛光洙との情報が出たので、これを追う形で出した方がいいと思っていた時に、NHKの情報について問いかけがなされたので話した。  
 
 
 

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