2010年02月

  

 本日は夕刊当番で朝から会社にいます。で、大阪夕刊に送る政治関連記事を処理しながら、政治部のブースでうだうだ過ごしていたわけですが、さきほどこのブログの累計アクセスが1600万に達していることに気づきました。この数字がどこまで正確なものなのか正直なところ、技術系の知識に疎い私にはよく分かりませんが、983エントリ目でのことでした。とりあえず、訪問していただいたたくさんの皆さまに感謝します。ありがとうございます。

 

 われわれはふだん、経費の精算や会議出席などの必要がないときは会社には寄らず、直接、職場(現在は官邸)に出勤し、また直接帰宅することが多いのです。そしてたまに会社に行くと、自分宛の郵便物を受け取ったり、誰宛か不明の献本などを手に取ったりするわけです。そして本日は、「鳩山占星術内閣の研究」(立木冬麗著)という本が目に入りました。

 

 「鳩山占星術内閣」って…と目次をパラパラめくると、「占星術で組閣された内閣の出現?」「偶然ではありえない占星術的組閣」「占星術的人事は誰が行ったのか?」などの見出しが踊っていて、困惑しながらも興味を引かれました。第4章「鳩山夫妻と占い」の「『スピリチュアル』は楽しんでいるだけ」の項にはこんなことが書かれていました。

 

 《鳩山首相は、20年前には国会議員有志と「気」を科学的に研究する「気の研究会」をつくり、一時はサイババに傾倒してその写真を持ち歩いていたこともあるそうです。皇太子妃雅子さまの静養先としてサイババのいるインドを推薦したり、仏教の護摩行への参加、さらに無になるためにお風呂でマントラを唱えているといった記事も週刊誌などで散見されました。また、水晶のお守りをいつも身につけているともいわれ、これは幸夫人がアメリカの透視能力者ジム・ワトソンからもらったものを渡されたということです。》

 

 …なるほど。確かに一つひとつのエピソードはどこかで聞いたことがあるのですがもこうした改めて列記されると、ただすごいなあと絶句するしかありません。本分はさらに続きます。

 

 《その幸夫人は、オカルト雑誌『ムー』で4年にわたって連載を持ち、それを書籍化するなど、この分野では夫以上に存在感のある方です。幼少期から知り合いの死を予知するほどの霊感があったといわれ、「UFOに乗って金星に行ってきた」「太陽をちぎってパクパク食べた」などの発言で、「スピリチュアルなファーストレディー」として海外のメディアでも話題になっていたのは記憶に新しいところです》

 

 はい、そうでしたね。いまさらながらに思い出しました。鳩山内閣が、ここまで不祥事に見舞われながらも直近の毎日新聞の世論調査(1月30、31日実施)ではなお50%の支持率を維持しているのも、こうした超自然的な力に守られているのかもしれませんね。妙に納得させられました。

 

 で、民主党の輿石東参院議員会長が1月30日に、甲府市での国政報告会でこの鳩山首相と小沢一郎幹事長について、次のように語っていたことが31日付の産経で報じられていました。

 

 「こんなに優しい人が何でこんなにいじめられるのか、悔しい気持ちもある」

 

 また、同日付の読売新聞山梨県版には、輿石氏がこう語ったとありました。

 

 「(政治とカネの問題は)時間が解決してくれる。その時が間もなくやってくると信じて疑わない」

 

 …まあ、もういいか。で、この占星術の本に話を戻すと、「小沢一郎と輿石東の関係」という項があり、二人の相性が語られていました。この二人は、結婚相手にぴったりなのだそうですが、ちょっと想像したくありませんね。

 

 《小沢幹事長の右腕といわれる輿石東さんと小沢幹事長の相性は、小沢幹事長のパートナーの室である射手座に輿石さんの木星が入っていますから、結婚相手としてぴったりです。男性同士で結婚なんて、と思われるかもしれませんが、小沢幹事長にとって輿石さんは約束を守ってくれる良きパートナーなのです。輿石さんからすれば小沢幹事長と組むことは、まさに玉の輿婚。ひじょうにお金まわりがよくなります

 

 このほか、「小沢一郎の金運に貢献する山岡賢次」という項もありました。いやあ、なんというか、世の中スピリチュアルだなあと、しみじみそう感じた次第でした。

 

  もうきょうから2月となってしまいましたが、今年始めての読書シリーズをお届けします。例によって独断と偏見と怖いもの知らずのただの一読者目線で論じます。1月は公私ともにホントにいろいろあって、同僚記者も息を抜くヒマを与えられない日々に「1月が永遠に続くような気がする。藤井裕久財務相の辞任が何カ月も前のことのようだ」とこぼしていました。私もつくづく、ああもう若くないなあ、無理がきかないなあと実感させられています。

 

 そういう中で、おおいに慰めとなったのがお気に入りの川上健一氏の「yes お父さんにラブソング」(☆☆☆)でした。家族にまつわる67のショート・ストーリーが収められていて、電車の中やちょっとした待ち時間など細切れの時間に読むのに最適で、気持ちが温かくなりました。

 

     

 

  次に紹介するのは、三浦しをん氏の「星間商事株式会社社史編纂室」(☆☆★)で…。まあ、三浦氏の作品としては正直、期待外れだったかもしれません。あくまで趣味の問題でしょうが。物語の核となる総合商社の秘められた歴史の部分に、どうしてもリアリティーを感じられなかったというか。

 

     

 

 これはよいです。山本甲士氏の「ひなた弁当」(☆☆☆★) 。会社をリストラされ、妻子にも冷たくされている50歳目前の男性が、暇つぶしの釣りや山菜採りをきっかけに料理に目覚め、やがて再生していく、というお話です。脇役も含めて登場人物がきちんと生きていて、素直に楽しめました。

 

     

 

  同じく山本氏の「わらの人」(☆☆☆)は、周囲から軽んじられていたり、自分に自信を持てずにいたりする6人の主人公が、それぞれある理髪店で思わぬ髪型になってしまったことをきっかけに、本来の自分を取り戻すという痛快な物語です。上手いなあ、と感心させられます。

 

     

 

  最近、テレビドラマ化もされた垣根涼介氏のリストラ請負人シリーズ「君たちに明日はない」の第3巻「張り込み姫」(☆☆☆★)が出ていたので、早速読みました(このシリーズを読むと、しみじみ仕事と人生について考えさせられます)。前作の「借金取りの王子」のように、今まで読んだラブストーリー(?)の中で一番感動したといえるような話はありませんでしたが、やはり面白い。ちなみに、表題の「張り込み姫」とは、写真週刊誌の編集部員をしている女性のことで、読ませます。

 

     

 

  待ちに待った今野敏氏の「安積班シリーズ」の新刊「夕爆雨」(☆☆☆)も買い求めました。うーん、安定した面白さはあるのですが、この物語を358ページもの大作にする必要があったかなあ、という印象もあります。むしろ、中編か短編でいいのではないかと。素人の感想ですが、期待感が大きかっただけに。

 

     

 

  直木賞をとった白石一文氏の「ほかならぬ人へ」(☆☆☆★)は、この人の作品がいつもそうであるように、読者に「あなたも考えなさいよ」と求めてきます。この本には、「ほかならぬ人へ」ともう一つ、「かけがえのない人へ」という作品が収められていますが、私はどちらも主人公がこの先どうなるのかと不安にかられました。現実とはそういうものであり、小説の終わり方としても効果的なのでしょうが、読者としては放り出されたような。

 

     

 

  以前のエントリで「遺言状のオイシイ罠」という作品を紹介した山田健氏の「ゴチソウ山」(☆☆☆)は、あっさり読めるのですが、読後感は爽やかで痛快です。自然災害をきっかけにした、ある地方都市の町興しを描いたものですが、もう少し書き込んでもよかったんじゃないかという気もします。

 

     

 

  以前、「捌き屋」シリーズを紹介した浜田文人氏の「CIRO 内閣情報調査室 香月喬」(☆☆☆)は、私も仕事柄、多少かかわっている永田町を主舞台にしているので、その意味でも興味深くよめました。郵政民営化の功罪を舞台回しの一つとしているのですが、その点の踏み込みはいまひとつだったような…。ただ、小泉元首相の秘書官だった飯島勲氏をモデルにしたとしか思えない人物が出てきたりで、やはり面白い。

 

     

 

  上田秀人氏の「奥右筆秘帳」シリーズ第5作「簒奪」(☆☆★)は、面白いには面白いのですが、やはり少々マンネリも感じます。まあ、それを承知の上でエンターテインメントを楽しめばいいのでしょうが…。

 

     

 

  この夢枕獏氏の「新・餓狼伝」(☆☆☆)は、ノベルス版で出た際にいっぺん読んでいたのに、文庫版で出ているのを書店で見かけてまた買ってしまいました。読み返しても、これがまた、面白いのです。ジャイアント馬場をモデルにしたらしいカイザー武藤が実にいい。かつてのプロレスファンにはこたえられません。

 

     

 

 池永陽氏の「夢ほりぴと」(☆☆)も、やはりリストラされた40代の中年男性が主人公ですが、こちらは感情移入ができませんでした。作者の意図が奈辺にあるのかは分かりませんが、何せ主人公が情けなさすぎ、そのくせ自分勝手でひとりよがりで…。他の登場人物も何かセリフが白々しいというか浮いているというか。単に好みの問題かもしれませんが…。

 

     

 

 …実はこのほかにも、戦記シミュレーション小説を6冊ほど読んだのですが、紹介するほど目新しいものはなかったので、ここでやめておきます。本日、並べた12冊のうち、ふと気づくと3冊までがリストラがらみの小説でした。世相を反映しているようでもあり、自身の関心事項が表れちゃったようでもあり…。この先、日本とわが身はどうなっていくのか。

 

 ちなみに今、元毎日新聞記者の河内孝氏の「血の政治 青嵐会という物語」を読んでいるのですが、これに目を通すと、当時の自民党でいかに自由闊達の党内論議が可能だったか、若手・中堅議員が平気で倒閣(当時は田中角栄内閣)を口に出せたかがよく分かります。時代背景の差もあるでしょうが、現在の民主党との落差に、改めて背筋が寒くなるような。

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