2010年03月

 

 先日、関東地方のある郵便局員から、以下のような手紙を受け取りました。ご本人の了承を得たので、人物が特定されないよう多少、文体、表現を変えてそれを紹介します。現場のナマの声ですので、鳩山政権下で進行している「郵政改革」なるものの実態を考える上で、参考になるのではないかと思います。

 

 《現在、郵政改革について報道されていますが、部内の者として私の考えをお話ししたいと思います。郵政改革には、課題があると考えます。

それを一言で言うならば、国民新党とその集票マシーンである全国郵便局長会(旧全国特定郵便局長会)との癒着です(※別添の文書=下の写真)。その結果、表現は適切ではないかもしれませんが、郵便局が旧特定郵便局長会に乗っ取られたかような状態がまかりとおっています。このような内部の問題を報道する機関がありません。

そもそも、旧特定郵便局長会は自分たちの既得権益である賃貸料や世襲を守るため、郵便局のユニバーサルサービスを大義名分にやりたい放題です。報道機関も郵便局のネットワークを維持することが国民の総意と受け止め、内部事情を報道していません。

問題は、旧特定郵便局の局長や元局長に、給料のほかに家主として高額な賃貸料を半永久的に払い続け、また、その子供に受け継がせることができる点にあります。

表面上は試験で局長になっているある特定郵便局の例を見ると、年間賃貸料は1500万円です。不動産価値は推定7000~8000万円の土地付き建物で、です。昔から、特定郵便局は全部借金で建てても5年で返済できると言われています。

どんな経済情勢でも賃貸料、給料は安泰です。この賃貸料や世襲がなぜ問題かというと、これらの経費はすべて、国民のみなさんから預かっている「ゆうちょ」や「かんぽ」、郵便の収益から賄われていることです。

全国の旧特定郵便局に支払われる賃貸料額は、一局平均年間300万円とした場合で、旧特定郵便局の数を1万5000局とすると450億円となります。それが毎年支払い続けられるわけです。

自分たちの大切なお金を預け、健全経営を願う国民のみなさんは、果たして無駄な経費とは思わないでしょうか。それでも、郵便局は近くにあった方がよいと答えるのか疑問です。

私の個人的な考えですが、郵便局ネットワークのユニバーサルサービスは、1日20~30人しか来ないお客様のために莫大な旧特定郵便局の維持費(OA機器、人件費、高額な賃貸料)をかけなくても、十分可能だと思います。旧普通局の渉外社員を多く配置すれば、旧特定郵便局をカバーできると考えます。渉外社員は一人で1日20~30人のお客様を回れますし、究極のユニバーサルサービスは渉外社員だと思います。

お年寄りにとっては郵便局は近い方がいいと言いますが、足腰が弱って家から出られなくなった人にとっては、近かろうと遠かろうと大差ありません。それよりも、渉外社員が定期的に回ってくれる方がいいはずです。

コスト面でも数分の一で済むでしょうし、国民の多くはこのような内部事情を知らされていないので、郵便局は病院、学校や商店などの近くにあった方がよいと思っているのではないでしょうか。

特定郵便局長会は、北海道の日教組じゃないですが、「郵便局の仕事より今度の参院選が最優先の位置づけだ」「国民新党は要望を100%聞いてくれる」とうそぶいているのが現状です。局長は選挙支援のため2万円ずつのカネ集めもしています。郵便局のあり方を問う前に、最大の問題は、旧特定郵便局の既得権益をなくすことです。》

 

    

 

 

   

 

 

 民主党も基本的に国民新党と同じですね。鳩山首相は昨年5月17日の全国郵便局長会の総会で、次のようにあいさつしています。亀井静香氏の高笑いが聞こえてきそうです。

 

 「選挙に勝たしていただくためには、郵便局長さん方の多大なるご支援が不可欠なので、なにとぞ力をお貸し願いますように、心からお願い申し上げます。勝利を勝ち取らせていただいた後には、必ず皆様方のために、(民主党が)勝ってよかったね、いい町になったね、地域が生き返ったね、そう言っていただけるような日本社会を国民新党、社民党との協力の下で作り上げていくので、どうかその思いを理解いただいて、今後とも支援をくださることをお願い申し上げます」

 

 

 オオ神様、神様、助けてパパーヤー~

 

 3月4日 「ふふん。できるだけ早く決めたいと思います。もう、3月ですからねぇ。ええ、3月過ぎまで決まらないというようなことでは、最終的に時間が足りなくなる懸念がありますから。当然、3月中のいずれかの時点では、政府の考え方をまとめなきゃいかんと、そう思います」

 

 3月24日 「3月いっぱいには政府案をまとめます。それはお約束をいたしますし、それをもって、米国にも理解を求め、沖縄の皆様方にも理解を求める。そのような状況になっています」

 

 3月26日 「3月いっぱいをめどにしながら、政府案をまとめる努力を今、いたしているところでございます。3月末が迫ってきているとということは事実でございます。それだけに、それなりに私としても、強い思いを、覚悟というものを、さらに高めていくことができつつあると思っております」

 

 

 

 

 

 

 3月29日 「まあ、今月中じゃなきゃならないとかいう、そういうことは別に法的に決まっているわけじゃありません

 

 やめてけれ、やめてけれ、ケバゲバ

 

 やめてけれ、やめてけれ、ゲバゲバパパーヤー~

 

 助けてくれよお~(涙)

 

 

 「(政権は)課題は山積だが、これからが新たなるスタートだ。その思いで頑張ってまいりたい」

 

 「(米軍普天間飛行場移設問題は)3月いっぱいをめどに、自らも含め政府一丸となって政府案をまとめる努力をする」

 

 26日の記者会見でこう胸を張って国民に語りかけていた某トップリーダーが、その「新たなるスタート」翌日から早速、「完全にプライベート」の休養をとるというので、現地に見に行ってきました。南房総の景勝地です。

 

   

 

 太平洋がどこまでもどこまでも広がっています。

 

   

 

 トップ・リーダーが外出する場合には、各社とも万が一の事態に備えてだれかが原則として張り付きます。普通は若い記者に行ってもらうところなのですが、つい気まぐれを起こして自分で来てしまいました。

 

   

 

 静かなものですが、付近を歩くと耳にイヤホンをした挙動不審(失礼)の男性や、ゆっくりと周回する地元県警のパトカーをときどき見かけます。

 

   

 

 某ホテルの前で立ちつくしていると、先導車つきの黒塗りの車が到着しました。事情を知らずにホテルに車をつけたバスや車は、駐車場奥で待機されられています。

 

   

 

 おや、だれが見たことのある人が降りてきました。確か今、決死の覚悟で国事に取り組んでいる方です。あまり周囲に人がいなかったため、特に歓声や罵声が飛び交うこともありませんでした。

 

   

 

 奥さんも一緒です。トップ・リーダーは何かを指さして何か言っていますが全然聞こえません。まっ、別にたいしたことじゃないでしょうし。

 

   

 

 ホテル側の出迎えを受け、あっという間にホテルの中へと吸い込まれていきました。それにしても、このご夫妻はそれぞれ特徴のある歩き方をしますね。

 

   

 

 すぐそばにはこんな施設もありました。私は自家用車でここまで来たため、交通費(高速代、ガソリン代)などは自腹ですし、ほとんどどうでもいい取材(失礼)なので、本日はせっかくなのでこの地を楽しんでこようと思います。

 

 いろんな意味で、実にどうでもいいエントリでした。重ねて失礼しました。

 

 ご無沙汰しています。ここ数日、本業や雑務が忙しかったこともありますが、実のところ、あまりに政治情勢がバカバカしくて、何かここで取り上げる気力も湧かないという状態にありました。郵政国営化と閣内不統一の問題も、将来に何の展望もなく不安だけが残る予算成立も、米軍普天間飛行場移設をめぐる迷走も、民主党内のゴタゴタも北教組の件も、中井国家公安委員長のスキャンダルも、どれも怒りを通り越してただただ…。

 

 そんなこんなで、本日もエントリを上げるのはどうしようかなと思っていたのですが、この3日間ほど「何だったかな?」と妙に気になっていたことが、「ああそうだった」と分かったので、ちょっとそれについて書いてみます。23日の参院予算委員会でのことですが、普天間問題に関する自民党の山本一太氏の質問に、鳩山首相は以下のように応えていました。

 

鳩山首相 まだ二ヶ月以上ある。決してそれは長い期間ではないことも十分理解している。しかし、どんなに針の穴に糸を通す、あるいは大きな縄を通すくらいの難しい作業だったとしても、やはりやり通さなければならないと思っている。山本委員にむしろおうかがいしたいのは、何で全部、米国側が合意しないといったが、交渉もしないうちに米国側がこれで合意しないなどと。(※山本氏がヤジで「条件を満たしていない!」)満たしていないと勝手に思いこまれるのも、私はいかがなものかと思う。これからの真剣勝負でありますから、私どもとしては選択肢を定めた時は、当然、生きるか死ぬかの大きな論争、激論の中で、最終的に国民の皆さんにも、沖縄の皆さんにも、米国の皆さんにも理解していただけるものに仕立て上げていきたいという決意だけ申し上げておきたい。》

 

 別に珍しい表現でもありませんが、鳩山首相が「針の穴に縄を通すくらい難しい」と言った点がなぜか引っかかったのです。何か含意がありそうで。それで今朝、気になっていた点にようやく思い至った次第です。イエスの言葉でした。

 

『はっきり言っておく。金持ちが天の国に入るのは難しい。重ねて言うが、金持ちが神の国に入るより駱駝が針の穴を通るほうがまだ易しい』(マタイ伝19)

 

 この「駱駝」というのは表記は誤用で、本当は「もやい綱」だという説もあるそうですが、まあどちらでも同じ意味ですね(駱駝の方がイメージとしては楽しいけれど)。つまり、私は鳩山首相の答弁を聞きながら、心のどこかで「あなたがその比喩を使うか」と突っ込みを入れていたのでしょう。ただ、記憶力が弱く頭の回転も鈍い私には、明確にどうしてそう思うのかとっさに思い出せなかったと。

 

鳩山首相は1月29日の施政方針演説でも、ガンジーが「7つの社会的大罪」とした「労働なき富」を「日本と世界が抱える諸問題」と訴えて「それはあなたのことだろう」と失笑を買いましたね。あのとき、共産志位和委員長はこう皮肉っていました。

「引用は時と場合によっては非常に効果的で、その人の知性や理性の深さを示すものになるが、(首相の演説は)合わない引用をすると自らに降りかかってくるという典型だった」

 

 まあ、誰しもそう感じる場面でしたね。それにしても鳩山首相の言動には、日々、「それはギャグなのか」「ウケ狙いなのか」と悩まされます。おそらく自覚は何もないのでしょうが。ああ、今日は首相記者会見もあるしまた忙しいのですが、いまひとつやる気が湧きません。今回は一体何を言い出すのかなあ。何だかなあ。

 

 

 外はすっかり春らしい陽気で、しかも3連休の初日だというのに、半地下のような、窓の開かない官邸記者クラブでこのエントリを書いています。仕事と所用があって、明日も明後日も出勤する予定なのです。ああ…。

 

 気を取り直して今朝の朝刊各紙を読んでいたら、産経新聞のインタビューで執行部を批判したことを理由に民主党の生方幸夫氏が副幹事長職を解任された件について、産経、東京、毎日の3紙が社説で取り上げていました。見出しは次の通りです。

 

 産経新聞   「自浄努力を封じる愚かさ」

 

 東京新聞   「それが民主党らしさか」

 

 毎日新聞   「党を暗く閉ざすのか」

 

 この中でも、特に東京新聞の書きぶりはなかなか激烈で面白かったので、それをちょっと紹介します。出だしからこうです。社説でもコラムでも、新聞でこういう感情むき出しの表現は、滅多にみかけない気がします。

 

 《思慮を欠く大人げない〝党風〟はとても褒められたものでない。民主党執行部が小沢一郎幹事長を批判した生方幸夫副幹事長に辞任を迫り、拒まれたので解任するという。はた目にも嫌気がさす

 

 東京新聞らしいなと感じたのは、《とやかく辞任を迫るほどのものではない。強いて挙げれば、反小沢・反民主色の強いメディアでの発言という意味で、挑発的だったといえるかもしれない》という部分です。何か遠回しに産経に難癖をつけているようにも受け取れますが、まあいいか。

 

 東京新聞はこのほかにも《執行部の感情的で過敏な反発》《この党の言論・報道への無神経で危うい体質が見える》《待っているのは自滅の道》など書くなど、この問題でかなり怒っているようです。しかしまあ、小沢氏が数を握ればこうなることなど、初めから分かっていたことではないかいう気もしますが。

 

 この件に関しては、毎日新聞も《あまりに強権的で、議員の自由な発言すら封殺しかねない愚挙》《何とも異様である》《党のイメージを決定づけかねない局面にもかかわらず、首相は「外でさまざまな声を上げれば、党内の規律が守れない」と解任を支持した。これでは見識が問われる》と重視し、手厳しい論調を展開しています。まあ、見識なんか当初から、問われる以前に「ない」と思われますが。

 

 で、この問題について一方の当事者である小沢氏は何と言っているかですが、昨日の高松市での記者会見でも、東京からの地元記者の質問は受け付けず、だんまりを決め込んでいますね。今朝の産経の政治面の記事はこう伝えています。

 

 《「幹事長!生方先生のことでお話を聞きたいのですけれど。記者会見で聞けなかったもので…」

19日午後、JR高松駅のホームで、産経新聞の記者が声をかけると、歩いていた小沢氏は振り返ってじろりとにらんだが、無言のまま電車に乗り込んだ。》

 

 この記者は、歩きながら小沢氏の右横に並び、名前を名乗って質問したそうですが、にらみつけられるだけに終わったそうです。学生時代に小沢氏の著書「日本改造計画」を読んでファンとなったという記者ですが、小沢氏に一時期待を抱いた多くの人と同様、今はその迷妄から解放されているようです。いずれにしても、小沢氏にとって堂々と自分のことを批判する党所属議員の存在は、言葉を発することもしたくなくなるくらい嫌なのでしょうね。わかりやすい人です。

 

 私はこの生方氏に面識はないのですが、横路グループに所属していることから、民主党内でも「左派」に位置するのでしょう。ところが、産経のインタビューでは、小沢氏だけでなく、例のあの人にも矛先を向けているのです。個人的にはそこについ、注目してしまいます。生方氏はこう語っています。

 

 《北海道教職員組合の問題は、これも一番上は(日教組出身の)輿石さんですからね…。組合からあまりお金をもらっちゃいけない。(労組の)組織内候補の献金額は常識的な額ではない》

 

 …正論です。ようやく、党内からこうした声が出てきたことは、民主党もまだまだまともな議員がいることを示す効果があります。それなのに、執行部も鳩山首相もこの見識ある声を封じることばかりに熱心なのですから…。連休明けには、フジテレビと産経の世論調査結果も出るので、楽しみにしているところです。

 

 ※追記(21日) そうなるかなと予想していたのですが、今朝の日経と朝日も、この生方氏の件について社説を書いてきたのでそれも見出しと気になった部分を掲載します。この問題では、各紙ともほぼ同じ見方で、足並みがそろっているようです。それにしても、朝日の書き方も激しいですね。

 

 日経新聞   「『小沢民主党』に言論の自由はないのか」

  《これでは民主党に言論の自由がないと批判されても仕方があるまい》《自民党など野党は鳩山政権の現状を「小沢独裁」と批判してきた。今回の解任騒動はこうした批判を裏付けるものとなろう》

 

 朝日新聞   「幹事長室に風は通らない」

  《愚挙としか言いようがない》《常軌を逸している。「言論封殺」との批判を免れまい》《内部からの批判を許容しない体質に、実は首相も染まっていたのだろうか。見識を疑う》

 

 ※再追記(22日) 読売もようやく社説で取り上げました。比較的大人しめの内容です。やはり、大きな期待を寄せたところほど、落胆も大きかったということでしょうか。

 

 読売新聞   「言論封じた民主の強権体質」 

 《言論封殺に等しい》《小沢氏は解任を了承し、鳩山首相も「党内規律が守れない」として容認した。二人とも「政治とカネ」をめぐる自らの責任問題への波及を恐れた、保身ゆえの判断とみられても仕方があるまい》

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