2010年08月

 

 さあて、とうとう民主党の小沢一郎前幹事長が正式に代表選への出馬を表明しましたね。私は昨年12月12日のエントリ「現実味が出てきた小沢首相という悪夢」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1379510/)で、この人の意欲がだんだん増してきたのではないかと指摘していましたが、この厚顔ぶり、もとい、軽佻浮薄な世の風潮に流されない姿勢はさすがです。記者会見に臨んだ無表情な顔が、チタニウム合金に見えた(渋く輝いてみえた)ほどです。

 

 小沢氏は、これまでも「国民が望めば仕方がない。天命に従う。そうでなければ代表なんてやっていない」「わが党が衆院でも過半数を得れば、その責任を負わなくてはならないのは当たり前だ」などと、首相就任を拒まない考えは示していました。でも、健康不安やさぼり癖、説明嫌いもあって、結局は出ないのではないかという見方が多かったですね。

 

 「国民が望めば~」なんて口では言っていますが、先日(8月28、29両日調査)の産経とフジテレビの合同世論調査では、こんな結果が出ています。少なくとも、6~7割の国民には、思いっきり拒絶されているように感じるのですが…。

 

 【問】菅総理が再選され、続投したほうが良いと思う

 「思う」(74.2%)   「思わない」(21.3%)

 

 【問】小沢氏の立候補表明は適切ではないと思う

 「思う」(77.1%)   「思わない」(19.0%)

 

 【問】小沢氏の立候補表明につながったとされる菅総理の「脱小沢」の方針は評価できると思う

 「思う」(71.4%)   「思わない」(19.2%)

 

 【問】鳩山前総理が小沢氏支持を表明したことは適切だと思う

 「思う」(15.5%)   「思わない」(77.3%)

 

 【問】小沢氏は政府や民主党の中で重要な役職に就くべきだと思う

 「思う」(26.6%)   「思わない」(67.4%)

 

 【問】菅総理以外の新しい総理に代わったら、直ちに解散して国民に信を問うべきだと思う

 「思う」(68.3%)   「思わない」(24.9%)

 

 【問】小沢氏は国会の証人喚問や参考人招致に応じるべきだと思う

 「思う」(94.3%)   「思わない」(4.9%)

 

 【問】検察審査会の議決を控えている人物は総理大臣になるべきではないと思う

 「思う」(82.9%)   「思わない」(13.4%)

 

 …いや、いったい何をどう勘違いしたのやら、素晴らしい決断でした。今回の代表選は、さぞや民主党の空恐ろしいまでの素晴らしい実態、内実を白日の下にさらし、また、小沢氏の崇高なる理念と理想を微に入り細を穿ち、世間にさらすことでしょうから。

 

 よくぞ、盟友の西岡武夫参院議長の「代表選に負けたら党から出て行く覚悟で」というありがたい忠告に従い、思い切って立候補してくれたものです。どれだけ感謝してもしたりない気持ちです。勝ったら、首相と代表の分離などと言わず、ぜひ背負いきれない重責を担ってほしいものです。

 

 私は、29日付の産経紙面「新民主党解剖・下」の最後に、こう書きました。

 

 《過去20年間にわたり、日本の政治の動きを一つのパターンに閉じこめてきた「小沢神話」は、今回の代表選でようやく終焉を迎えるか。それとも、政界はまだそこから自由になれないのだろうか。》

 

 代表選という公の舞台で、シロクロだかアカクロだかをはっきりつける機会が訪れました。これまでのエントリを読んでいただければ、私が菅氏やそのスタッフを評価しているわけでももちろん支持しているわけでもないのはご理解いただけると思いますが、今は期待しているのです。

 

 今回、ルーピー(本名は忘れました)は伝書鳩となってくるくると飛び回った揚げ句、小沢氏への支持表明を繰り返しています。鉄面皮だか豪腕だかを道連れに、一緒に遠い宇宙の彼方に飛んでいってくれることを心から希望します。菅氏らのことは、その後また…。とりあえず、両陣営の丙丁つけ難いであろう選挙戦をいろんな角度から報じたいと思います。

 

 それにしても、民主党の小沢一郎前幹事長という人は、本当に昔から相も変わらずいつも同じようなやり方をするものですね。呆れるやら感心するやらです。私は、今回の代表選で今度こそ、この古い小沢支配の構図から政治から脱却できればと期待したのですが…あーあ。

 

     自らはほとんど発信せず、一方で周囲に憶測を流させ、疑心暗鬼を広める。それによって、幽霊に怯える人間の精神構造を利用して自分を実態以上に大きく見せ、譲歩を引き出す。また、事実上、何も言っていないに等しいので、後に行動を批判された際は「俺は何も言っていない」と開き直り、常に自己正当化を図る。

 

     相手と「会う」「会わない」自体をカードに使い、会談が実現したら会ってやったと恩を着せ、その時点で優位に立つ。譲歩が得られそうだと踏むまでは話し合おうとしない。条件を呑まないと首脳会談に応じないという中国や北朝鮮がよくやるやり方が常套手段(※参考 「専制国家は、会うか会わないかを最初の条件として使う」by安倍元首相)

 

     自自連立の際には、連立離脱カードをたびたびちらつかせ、山崎拓に「オオカミ中年」と仇名された。結局、小渕恵三首相が自自合流(小沢氏の自民党への受け入れ)を呑まなかったので出て行ったが、後の民主・自民の大連立騒動を彷彿とさせる。結局、自分の権力と権勢の拡大を狙っているだけ。

 

 …この暑いのに、こんな三文芝居を必死に追いかけている自分が、バカみたいであります。政治家はよくこういう政局になると、われわれに「書くことがいっぱいあっていいじゃない」などと言いますが、別にこっちは嬉しいわけでも何でもありません。むしろ、もっと大事だと思うことや、関心を抱いているテーマを載せる紙面スペースも、それらを取材・執筆する時間もなくなるので本当に迷惑なのです。

 

 《政府は全然決意することができないのである。さもなければ首相に決意させることができないのである。そのために政府は奇妙な逆説的言辞を弄し、単に決定せぬための決定をし、決断せぬための決断をし、成行きのままに任せ、流動するままに放置し、無為無策のために力を傾けている》(チャーチルの1936年12月12日の演説)

 

 菅直人首相はよく、「モグラたたきの政治家」だとも言われます。大局的な発想や、大方針はなくて、ただ目の前の事象に反射的にモグラたたきゲームのように飛びつくというのです。そして、弥縫策だけを行い、まあそれでも内閣支持率は上がっているんだからいいじゃないかと思考停止し、愚者の楽園ができるだけ長く続くことを祈ると…。

 

 

 

ごぶさたしています。ここのところ、例の国民不在の民主党のドタバタのせいでかなり忙しかったのと、記録的な猛暑にすっかりへばってしまったこともあって、更新が滞っていました。実は今もへろへろなので、本日も短めに報告したいと思います。

 

さて、私はご存じの通り、3年7~8カ月ほど前から民主党の小沢一郎前幹事長の政治資金問題をあれこれと取り上げ、これはいくら何でもおかしいではないかと書いてきました。その後、この問題はだんだんと周知のこととなっていったので、最近では別にここで書かなくてもいいやと思って放っていたのでした。

 

ただ、民主党代表選に小沢氏が出馬を表明したことで、再びある問題(組織活動費)が注目を集めてきたようなので、ちょっと気になったことを記そうと考えました。本日発売の「AERA」は、「小沢執行部で動いた政党交付金の行方 消えた『37億円キャッシュ』」という記事を載せていますね。

 

この問題に関しては、私はこれまで2009年12月10日のエントリ「以前指摘した藤井財務相の件が文藝春秋に掲載されました」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1361446/)、今年1月7日付の「自由党が小沢氏の関係政治団体に寄付した13億円の領収書」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1403126/)、6月10日付の「小沢氏の党費の使い方・新執行部の対応を少し評価する」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1647022/)などで言及してきました。違法がどうかはともかく、こんなのありえないだろうと。

 

 ご関心をお持ちの方は上記エントリを参照してほしいのですが、これ関連してここ1~2カ月の間に、新聞でもいくつか興味深い記事が載っていたので紹介します。まず、7月16日付産経のインタビュー記事で、藤井裕久元財務相はこう証言しています。

 

 「(自由党時代に計15億円の『組織活動費』が当時の藤井幹事長あてに支出されたことには)まったく知らなかった。どう使われたかも知りようがない」

 

 以前のエントリに書いた藤井氏が周囲に「おれ、あれ知らないんだよなあ」とぼやいたというエピソードは、その通りであったということですね。小沢氏は、政治資金収支報告書上は藤井氏に支出したことにしたそのお金を、果たしてどうしたんでしょうね。

 

 で、8月2日付の毎日新聞は「民主、『組対費』廃止へ 小宮山財務委員長 不透明支出排除」と書いていました。記事にはこうありました。

 

 「民主党の小宮山洋子財務委員長は毎日新聞のインタビューに応じ、使途が不透明と指摘されている「組織対策費(組対費)」名目での支出は行わない考えを明らかにした。組対費は小沢一郎氏が党代表だった06~08年、当時財務委員長だった山岡賢次衆院議員、佐藤泰介あてに計約22億円が支出されたが、使途は明らかにされていない。(中略)また(小宮山氏は)『過去の会計帳簿を専門家に再チェックしてもらっている』と述べ、組対費を含めた過去の支出について調査していることを明らかにした」

 

 これを読んだときは、菅執行部もやるじゃないか、これだけ小沢氏サイドが嫌がりそうなことを堂々と、と感じた次第です。これは是非徹底的にやってほしいものだと。さらに、29日の読売新聞にはベタですが「小沢代表当時の資金配分を調査 菅氏側」という記事がありました。こんな内容です。

 

 「菅首相に近い民主党幹部は28日、小沢一郎前幹事長が2006~09年の代表当時、『組織対策費』として特定議員に政治資金を集中的に配分していたことを問題視し、調査に入っていることを明らかにした。9月の党代表選で小沢氏の政治とカネの問題に焦点をあてることで、首相支持につなげる狙いがあるようだ」

 

 …先日、官邸内で仕事をしていると、他社の記者同士が「小沢か菅か、これって本当に究極の選択だよなあ」「うん」と会話をしていました。また、別の社の記者は「まったく、自分の半径20メートルぐらいの人間関係しか考えない政治家ばっかりなんだから」と憤っていました。

 

 まあ、私としては「壊し屋」小沢氏にすべてを本当にぶっ壊してもらって、日本の政界を一から再編するきっかけになればいいなあと願っています。まあ、その通りになるかどうか分かりませんし、今の政治情勢を追うのに精一杯で、先のことを予想するのは手に余りますし。

 

 それともう一つ。暑くて暑くて元気はなくても、ルーピーに対する怒りだけはふつふつと沸いてくるから不思議なものです。余計暑くなるのが悔しいですが。今朝の毎日で山田孝男氏が「そのケジメなき漂流を、私は受け入れられない」と書いていましたが、全く同感です。昨年のきょうは、そのルーピーをここまで増長させた衆院選の投開票日でしたね。あれからやっと1年か。もう何年もたつような気がします…。

 

 追記 おまけとして、さきほど官邸敷地内から撮った沈む夕日をどうぞ。ピンぼけですが、何か不穏な雰囲気があって印象的だったもので…

 

     

 

 

 最近、鳩山由紀夫前首相がやたらと元気で、変に浮かれているのが目立ちますね。軽井沢の豪華な自分の別荘に大勢の議員を招待しながら「国民の生活が第一」と言ってみたり、自分がクビにした民主党の小沢一郎前幹事長の「相談」を受けて意向を代弁したり、テレビに出て自己正当化したり、韓国への謝罪談話で暗躍したり…。本日夕には、首相官邸にやってきて、菅首相と会談するそうです。目立つのが好きで仕方がないのか。

 

 というわけで、官邸の道を隔てた隣に立つ新しい衆院第一議員会館から、官邸を見下ろし、「日本の経済が大変なときに代表選のことしか考えない◯×△者どもめが」と独りつぶやいてみました。豪華すぎると批判されている新議員会館は、眺めもたいしたものですね。

 

   

 

 

 こうまで丸見えの官邸もいかがなものかと思いますが、ここで話は飛びます。毎日新聞出身のジャーナリストで、現在も毎日新聞の客員編集委員を務め、テレビにもときどき出ている岩見隆夫という人がいますね。

 

   

 

 先日、ちょっと必要があって文藝春秋2009年4月号の特集記事「これが日本最強内閣だ」を読み返していて、最強内閣を選んだ識者33人のうち、この岩見氏の名前を見つけました。それで、岩見氏が最も首相にふさわしいとした人物はというと

 

 鳩山由紀夫氏でした。

 

 岩見氏が小沢氏批判の論陣を張っていることは知っていましたし、その内容にはおおむね「うんうん」と頷いていたのですが、なんとまあ。文藝春秋に寄せたコメントで、岩見氏は「いま求められているのは、自身のことは横において、構想力と決断力を発揮する能力と勇気を備えている政治家です。その基準で選びました」と述べていました。

 

 …鳩山氏にそんな決断力や勇気があったでしょうか?そこでネットで岩見氏の過去発言を調べると、すぐに

 

 「前任者の麻生太郎さんにくらべると、鳩山由紀夫首相は失言、放言がほとんどない」(09年11月のサンデー毎日コラム)

 

 というのが引っかかりました。これには、いったい何を見ていたのだろうかと驚きました。とてつもない事実誤認がありそうだと。このほか、いろいろいかがなものかという鳩山評もありましたが、さすがに今年に入ってからは

 

 「こんなブレ、脱線発言を重ねていたのでは、首相の権威も信用も到底得られない」(2月の毎日新聞コラム)

 

 「鳩山政権の挫折は、鳩山由紀夫前首相の力不足が第一の原因」(7月の同コラム)

 

 と、さすがに見方が変わっていったようです。当たり前ですが。まあ、しかし、このようなどうしたらそんな勘違いができるのかという誤った認識で、鳩山氏を持ち上げた人はけっこういましたね。例えば、日本総研会長の寺島実郎氏は鳩山政権発足時、こんなことを書いていました。

 

 「新時代の外交の舵取りを行うのが、戦後の『団塊の世代』である鳩山由紀夫氏ということにも運命的な巡り合わせを覚えます。(中略)世界情勢が『友愛』の理想に近づき始めていることもなんとも不思議な巡り合わせです」(文藝春秋09年10月号)

 

 さすが米外交当局者に「ファンタジー」と呼ばれた寺島氏ですね。一方、元大蔵財務官で「ミスター円」との異名をとった榊原英資氏は「鳩山民主党政権の誕生は、日本経済を大きく飛躍させる絶好の機会です」(同号)と記しています。白昼夢でも見ていたのでしょうか。

 

 また、自分が何を言っているか分かっていたのでしょうか。まあ、もともと夢見がちな鳩山氏は、こんな取り巻きたちにおだてられ、甘やかされているうちにいよいよわけが分からない世界の住人になっていったのでしょうね。そして、今もまた、自分だけの世界で友愛をふりまき続け、「外相ポストを狙っている」(ベテラン秘書)と。本当に迷惑千万な人だと思います。

 

 数日前の産経抄は「赤と黒」とスタンダールに引っかけて書いていましたが、菅直人首相と民主党の小沢一郎前幹事長との間で9月14日の代表選に向けて囲い込み、勢力示威、売り込み、神経戦、駆け引き、疑心暗鬼、足の引っ張り合い…その他みっともない動きが続いています。私も一応、政治記者の端くれではあるのですが、正直なところ、血湧き肉躍るどころか、うんざりげんなりお腹いっぱいというところです。

 

 しかしまあ、そうは言っても、日本の首相を決めることになる代表選の行方を取材し、報じないわけにもいかないし、どっちにしろ「ろくなもんじゃない」と思いつつ、あれこれ考えないわけにもいかないのであります。そんな政局より政策を論じよ、とお叱りを受けそうですが、結局、なんだかんだ言って政策を決めるのも政局であることは、政治の現場を見れば明らかです。

 

なので、それぞれの政治家が自己保身と自己利益に利用している「茶番劇」だと思いつつ、それを熱心に追いかけざるを得ないと…とぐだぐだ考えていたところ、昨日、西岡武夫参院議長が記者会見し、「政治に残された時間と余白はあるのか」という所感を発表し、民主党代表選のあり方を批判しました。

 

本来、政党の枠外・中立的立場を「タテマエ」的ではあっても求められる議長が、こういう文章を発表するのは異例なことだし、批判もあるでしょうが、内容に興味・共感を覚えた部分があるので抜粋して紹介します。

 

     私は、参議院議長として、所属していた政党が、代表を選出することに関しては、如何なる方法でも、投票権も採決権も行使しないし、党内において、発言することもありません。

 

     政権政党は、少なくとも、内閣総理大臣が続投を表明すれば、対抗する代表選の候補者は、相当の覚悟が必要である。自分が属する政党の代表であり、政権を手中にしている現首相を蹴落とそうとするのだから、敗れ場合(これは首相も同様だが)の立場は、惨めなものでなければ理屈に合わない。自分たちが選んだ現政権の理念と基本政策に異論を唱えるからには、突き詰めると、党を去ることも選択肢に入る

 

     だが、その実態は、全く私の考え方とは真逆である。(中略)対抗馬が理念や政策でなく、ただ代表選に出るだけで開かれた政党である、という虚構の下で、近年は、実際の代表選が行われている、という事実がある。

 

     代表選挙が行われ、その結果が出た瞬間、党大会の空気は、通過儀礼が終わった、という安堵感のような不思議な空気に包まれる。全く理解できない、緊張感のない雰囲気である。

 

     首相と戦って敗れた候補者(或いは候補者達)は、権力を互いに争ったのだから、政治家としての全情熱と政治生命を賭けた敗者としての身の処し方が当然ある筈である。このことは、敗者を推した総ての投票者にとって当て嵌まる。その結果は、特に国会議員にとって、政治家としての岐路に立たされる深刻な事態であるはずだ

 

     しかし、実情は、私の考える「本来の姿」からは、全く違う道筋を選択し、勝利者も、敗者も、党の空気も一変する。(中略)いわゆる「挙党一致」の空気が当然のことのように、勝利者も、挑戦した敗者をも呑み込んでしまう。

 

     この結果を予め想定して、自分自身が権力に近づく手段として、党大会での代表選挙を位置付ける、典型的な野心家の政党人の生き方を、私は、そこに見る

 

     事実上、猟官運動擬きの蠢きが開始される。そうして、敗者が、政治理念も政策も異なる筈の勝者から、党の要職か、閣僚のポストを与えられる、という仕掛けである。これは挙党一致でもなんでもない、茶番劇である。

 

     政権政党が、甘っちょろい党内の陳腐な就職運動劇をしている余裕は、断じてない。

 

     日本の進む方向や、広い視野を持った、総合政策のプランを語れる人材は、寡聞にして知らない。いま、そのことこそが求められている。

 

…これは別に西岡氏が菅首相を支持しているということではなく、あまり物事を安易に考えていて、言葉の軽い党内の空気や、また、それを煽っているようにも見えるマスコミ報道を批判しているのでしょうね。権力闘争というものを、あまりに軽くとらえ、覚悟もないままもてあそんでいないかと。

 

また、菅氏自身、これまで代表選が終わると「ノーサイドだ」という言葉を繰り返してきましたから。

 

 西岡氏は、旧自由党時代は小沢氏と行動をともにした人物でもありますが、今回の発言は、小沢氏や、その威を借る取り巻きたちへの痛烈な一撃にもなっています。「語れる人材は、寡聞にして知らない」というのは、当然、長く付き合ってきた小沢氏も含めてでしょうし。

 

 昨日は、この西岡氏の発言の後に鳩山由紀夫前首相がBSフジの番組に出演し、「ガチでやったら決して国民のためにならない。小沢、菅の両氏は2人とも(個性が?)強すぎる。そこで優しい私が仲介に入る」「自分は自分として、いい政策を作り上げてきているという自負はあった。友愛が旬の思想になってきている」と述べました。

 

この一言を聞いて、私は、本当に鳩山氏が首相を辞めてくれてよかった、と心の底から思いました。まったくろくでもない、自己愛ばかりが肥大したどうしようもない脳天気で自分勝手な人物だと再確認した次第です。

 

こんな人に代表選で支持する条件を突きつけられながら、「どうすればいい?」と電話する菅氏も菅氏だし、こんな人がいまだに発言権と影響力を持つ民主党もなんだかなあ、ですね。だいたい、政治とカネの問題で引責辞任した人物が、それから2カ月しか立たないのに、何をこんなに偉そうに振る舞っているのか。この人の勘違いは一生治らないと知りつつも、腹立たしい限りです。

 

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