2011年01月

 

 ようやく民主党の小沢一郎元代表が強制起訴されました。ここ数年、小沢氏の政治資金問題の異常性・異様性、また発言のブレと変遷を指摘してきた者としては、やっと一区切りついたな、という感想があります。小沢氏は今後、刑事被告人として法廷に立つわけで、法廷の場で、正々堂々と主張するなり、弁解するなりしてくれればいいと思います。

 

 ただ、小沢氏はすでに、もうほとんど根拠も由来もよく分からないが政界で行使してきた「神通力」を失っています。なので、これ以上ここでまたあれこれ振り返るのは止めておきます。

 

 今もテレビの衆院予算委員会の中継で、目をちらちらとあちこち泳がせながら、落ちつかない様子で周囲をうかがう菅直人首相の姿が映りました。見るからに陰険な小者風でしたが、まあ、彼の今の心境がそのまま表れているのかもしれません。

 

 昨年末以降、それまでの経緯を忘れたかのような勢いで小沢たたきに走った菅氏ですが、今回の強制起訴によって皮肉なことに、最後の政権浮揚カードを失いました。もう、この政権には何もいいことは起きそうにありません。

 

 菅氏はこれまで、困ったときの小沢たたきによって、失速しそうな政権を持ち直してきました。しかし、小沢氏を政治倫理審査会の場に引き出すことには失敗し、また、今回の強制起訴によって法廷闘争に入る小沢氏に対し、さらに国会の場での説明を求めることにはハードルが高くなりました。そして、仮に何らかのそうした場が設けられても、もう菅氏の手柄にはなりません。

 

 もとより、反(非)小沢の一点で結びついてきた政権の主流派は、小沢氏の問題が一段落したことで、もう菅氏を担ぐ必然性はなくなりました。当面の敵がいなくなってしまえば、菅氏を中心にまとまる必要もなく、むしろ、公然と菅降ろしが始まる可能性もあります。今、予算委で菅氏はこう述べました。

 

 「清(王朝)のことを蒙古族と申し上げましたが、満州族でした。訂正します」

 

 …こんなリーダーを誰が好きこのんでいただきたいでしょうか。小沢氏の起訴により、小沢グループも崩壊の危機に瀕するでしょうが、菅首相支持派もまた、前原誠司外相ら「次の顔」擁立へと走る可能性があります。新たな党内抗争のスタートです。

 

 2月6日の愛知の地方選も、民主党の敗北は確実視されています。4月の統一地方選を「疎い」菅首相のままで戦いたいという議員はごく少数でしょう。来年度予算案と関連法案の成立と引き替えに、菅氏の首を差し出したいという議員も出てくるはずです。

 

 菅氏がいかに「石にかじりついても」「支持率が1%になっても」と権力の座にしがみつきたくとも、もうそうはいきません。自分の姿を鏡に映し、裸であることに気付こうとしない菅氏は、まだ、小沢氏起訴で公明党はじめ野党が社会保障問題の与野党協議に参加する障害がなくなったと勘違いしているかもしれません。

 

 でも、もう公明党は明らかに反菅に舵を切っています。菅氏が首相のままでは、もう民主党と組むことはないでしょう。民主党と違い、地方選こそが本丸である公明党にとって、統一地方選を前に菅政権とつるむ選択肢はありません。

 

 何より、菅氏もその周囲も、あまりに人徳がない。こんな誠意も実もない人に何を呼びかけられても、信じられるはずがない。その気になるのは、長年、極端な政局音痴で知られてきた与謝野馨経済財政担当相ぐらいのものでしょう。そして、与謝野氏の一本釣りは明らかに、野党を硬化させましたし、民主党内の不協和音も増す効果を生みました。

 

 そして、そんな当たり前のことすら理解できない菅氏に対する党内外の反発と軽蔑ははっきりと強まっています。今では、党幹部や閣僚クラスの民主党幹部から、半ば公然と

 

 「もうこの政権はダメだよ」「どうしようもない」

 

 といった突き放した声が出ています。今朝の読売新聞では、あれほど政権交代と民主党を持ち上げていた御厨貴・東大教授が「もう衆院解散しかない」と書いていました。いったん、すべてをチャラにしない限り、このグダグダ感は払拭できないということでししょうね。無責任で無定見な人だとは思いますが。

 

 今年が、衆院選の年になるのか、あるいは政界再編の年になるのか。いずれにしろ、これからは激動がありそうです。あんまりすっきりした形に収まるとは限りませんが、現在の卑怯な政権には心からうんざりしている私としては、それが楽しみでもあります。

 

 さて、昨年末ごろから急にリーダーシップの演出に熱心となり、同時にひたすら野党に抱きつき「熟議の国会」を連発するわれらが菅直人首相についてです。最初から分かっていたことと言えばそれまでですが、この人のなんとも小さなキャパシティーと、一国の指導者らしからぬ言動、そしてそれを自らさらけ出していることに気付かぬ鈍感ぶりに、いつもため息をつくばかりです。

 

 といっても、例の国債引き下げに「疎い」発言は、テレビも産経を含めた新聞各紙も大きく取り上げているので、この隙間ブログとしては、もっとささいなことを取り上げようと思います。

 

 菅氏は今年1月4日、1年間の抱負と覚悟を国民に呼びかけるべき年頭記者会見で、いきなりこう語り出し、記者たちの失笑を買っていました。

 

「特に2点について具体的にお願いしたいと思います。ひとつは国会での質疑の、その質問要旨を、質問をされる、せめて24時間前には提示をいただきたいということであります。先の臨時国会で、予算委員会などでは、前の日のその質疑を翌朝5時に起きて、そしてそれを見て頭に入れるのが精一杯という時間の拘束がありました。これでは本当の意味での議論ができません。英国は3日前までに質問要旨を出すとうのが慣例になっておりますけれども、せめて24時間前にそうした質問の要旨を出すということを与野党を超えての合意とぜひ、していただきたいと思います」

 

 国内外に問題が山積する中で、しかも国民に向かって語りかける場で、菅氏はいきなり、国会質問は早めに提出してくれないと答えられないと主張しだしたのでした。こういう風に言えば、国民が同情して支持率が上がるとでも考えたのでしょうか。実際は、ただ己の能力と見識の低さを露呈するだけだというのに…。

 

 そして、翌日の5日にも、時事通信社などの新年互礼会の場であいさつした際、いきなりこんな「お願い」を始めました。

 

「メディアに皆さんには、もっと国会のあり方についてもですね、是非大きな議論を国民の皆さんに伝えていただきたい。昨日の、年初の会見で申し上げた、せめて国会質疑に当たっては24時間前に、野党の皆さんに質問を出して頂きたい。これは私自身に対する反省も含めて、野党時代の反省も含めて(会場で笑い声がざわざわと…)申し上げておりますが、そう言うことはメディアの皆さんはよく知っておられるけれど、ほとんど報道されない。メモしか見ないとかですね、うつむいてばかりいるって言ったって、朝5時に起きてもやっと質問が一通り答弁を見るのが精一杯という日程の中では、とても熟議としての議論にはならないわけであります」

 

 まあ、何をどう言おうと自由ではあるかもしれませんが、24時間前の質問提出が、メディアが大々的に取り上げるべき「大きな議論」でしょうか。それはむしろ、与野党間の国対協議だかなんだか、そのレベルで内々に話をし、打ち合わせておけばいいことではないかと。

 

 だいたい、会場で笑いが起きたことでも分かるように、われわれは菅氏が野党時代、政権与党だけでなく、質問取りにくる役人をいじめるために、わざわざ深夜まで質問提出を遅らせ、しかもごく簡単で抽象的な質問書しか出そうとしなかったことを知っています。何を偉そうに被害者面しているのだか。

 

 さらに、7日にインターネット番組に出演したときも、脈絡なくこんなことを言い出しました。菅氏は昨年末以来、ぶらさがりインタビューの際などでも、ペーパーを見ない質疑を心がけていたはずですが、よほど自分のアドリブ答弁には自信がないのでしょうね。あるいは夜、うなされているとか。

 

「日本のシステムは、あの、総理を萎えさせるような要素が、いろんな意味でたくさんありますから。例えばタイトな国会の審議にもですね。私がこの間、テレビで申し上げたように、せめてやっぱり質問はですね、24時間前に質問要旨をもらいたいというのは、決してこちらがなまけたいからでなくて、ちゃんとした議論をするためには、それでなければできないんですよ。結局、その時間が取れないようなタイトな時間で進んでいくと、だんだん自分の頭がですね、回る余地がなくなってしまって、最後は、もうこんなことをやってても変わんないや、ということになるということなんですね。(中略)国会のルールというのは、これは法律に必ずしもなっていない慣例もあります。さっき言った、24時間前とか、2日前の昼までとかですね。そういうものはやはりお互いに野党与党を経験をほとんどの党がしましたから。そういう中でやっていきたいと思ってるんです」

 

 確かに、仙谷由人前官房長官も昨年12月、菅氏について「朦朧となっている」とこぼしましていたのは以前のエントリで紹介した通りです。11月の横浜APECでの胡錦濤・中国国家主席との冒頭あいさつでいきなり紙を読み出したこともありましたが、この際、ある政府関係者は自分の頭を指さして「菅さんは、ここのキャパが足りないから」と酷評していたのを思い出します。

 

 で、世の中いろいろあるので、この質問予告問題はしばらく忘れていたのですが、27日の衆院代表質問の答弁で、菅氏のみんなの党の渡辺喜美代表の質問にまたこんなことを述べました。

 

「質問にできるだけ誠実に答えたいと思っています。ただ、質問の通告をいただいたのが午前中の参議院の質疑中でありまして、事実上、答弁を準備する時間はほとんど取れませんでしたので、多少の答弁が食い違うかもしれないことは、渡辺さんご自身もわずか2、3時間前に出された質問通告でありますから、ご了解をいただけるものと思っております」

 

 誠実にも何も、菅氏が相手の質問に対し、たどたどしく引っかかり、読み間違えながらペーパーを読み、しかもまともに答えていないのはご存じの通りです。でも菅氏の主観の中では、こういう風に反論したら国民は納得し、自分の味方になると信じているのでしょう。

 

28日の閣議前には、わざわざ記者団が見ている前で北沢俊美防衛相にこんなことを話しかけていました。

 

「今日はこれから参院で8名の方の質疑を受けます。いろいろと言われているところでありますが、遅いものは8時35分に質問の全文が届きました。.今朝のです。今一生懸命読んでいたところです」

 

 いったいどの程度の覚悟で首相になろうとしたのか、今さらながらに精神構造を疑います。そして、遅い質問通告に困っているのは本当だとしても、それをのべつまもなく愚痴ることが、首相の振るまいとしてどうなのかには思いが至らないらしいところに、またがっかりです。

 

この日の参院代表質問では、みんなの党の川田龍平氏への答弁でもこんなことを言い訳がましく言っていました。

 

「先ほど川田龍平議員から渡辺、みんなの党代表の質問に私が答弁をしなかったように言われましたが、そんなことはありません。ただ、昨日、最終的な文書をいただいたのは11時30分で、まだ私はこの議場におりました。2時からが質疑でありまして、たいへん項目が多いためにそれを詳細に答弁に起こすことができなかったわけでありまして。そういったことについて、やはり渡辺代表にも、少なくとも前の日の間には出していただきたいと思っております。また、川田議員も、項目は確かに昨日いただきましたけれども、全文をいただいたのはは今朝8時35分でありました。8人の方から今日質疑をいただきますけれども、そういう出し方で熟議をしたいと。私は熟議をしたいと、誠実に答えたいと思っていますけれど、是非とも熟議をしたいと言われるのであれば、ちゃんと答弁の準備ができる時間に質問を出して頂きたいと申し上げておきたいと思います」

 

 菅氏の中では、熟議とは時間の余裕をもって役人に答弁を書いてもらうことのようです。さすがは「政治主導」の民主党です。この川田氏の質問の際には、議場ではこんなヤジが飛んでいました。

 

「あら?」「総理でしょ?」「言い訳はいい」「言い訳はやめろ!」「見苦しい」「情けない」「民主党議員の提出時間チェックするからな」…。もちろん、ヤジはほめたものではありませんが、その気持ちはよく分かります。

 

 今朝、産経新聞の木村正人ロンドン支局長のコラム「『鉄の女』を生んだ政治風土」を読んだところ、サッチャー元首相について私的補佐官を務めたパウエル氏が語った次の言葉が記されていました。

 

 「彼女は要求のきつい指導者だったが、自らは午前3時前に就寝することは決してなく、午前6時には起床して仕事をしていた」

 

 さて、サッチャー氏が菅氏のようにみっともなく愚痴ったりしていたでしょうか。まあ、比較の対象にすること自体、失礼にあたりますが、記事を読みつつ、いよいよ菅氏のことが恥ずかしくて仕方がなくなったので、このエントリを書いてみました。どこに出しても恥ずかしい首相は、スイス・ダボスでどんな醜態をさらしたことやら…。

 

 

 昨年末からここ1カ月ほど、土日や深夜早朝などを利用して、原稿用紙約240枚分の文章をまとめました。「はじめに」と8章分の原稿です。きょう、なんとか出版社側に渡し、「1月中に」とのノルマを果たすことができました。最近、ブログのエントリの更新頻度が落ちていたのには、実はそういう理由もあったのです。すみません。

 

 本が出るのはまだまだ先の4月予定なので、これに適当な時期に「終章」分の原稿(20枚分?)を書き加えて、校正やら部分書き直しやらの作業を経て完成です。これから編集者さんから、いろいろ厳しい注文がつくのだろうと戦々恐々です。

 

 まだ本のタイトルは未定ですが、テーマはずばり「政権交代」です。この2年ほどに、私が見聞きしたことや感じたこと、疑問に思うことや言いたいこと、抑えきれない怒りなどを、時系列に沿って書き連ねました。少なくとも、「現代」という時代の記録という意味は多少はあるかなと考えています。

 

 推敲中の文章を家人に「どう?」と少し読んでもらったところ、「これ、けっこう面白い」「民主党からは『悪魔の書』と言われて焼かれるんじゃない?」と持ち上げられ、少しその気になっています。すぐ調子に乗る方なのですが、焚書坑儒か。ちょっと怖いですね。

 

 ここ2年余、政権交代の意義と肯定面ばかりがメディアで強調されている中で、「本当にそうか?」「こうなることは最初から分かっていたのでは?」と、ささやかな一石を投じてみたいという狙いがあります。まあ、実際は小石以下のさざ波しか立たないかもしれませんし、興味・関心事項が偏っている私の書くものですから、カバーしている範囲は狭いものですが。

 

 というわけで、単なる事前宣伝エントリでした。まだ随分先の話ですが、新潮新書の4月刊行本にご注目いただければ幸いです。ついでに買っていただければ、身に余る光栄、恐悦至極であります。はい。よろしくお願いします。

 

 

 

 本日はちょっと時間がないので手短に、昨日のエントリの続きを記します。

 

 産経は今朝の1面でも「防衛次官通達 安住氏が主導」「政務官の反対黙殺」という記事と、「別の自民議員も調査 保全隊活動 首相、適切と答弁」の二本の記事を掲載しています。それぞけのリード部分は以下の通りです。

 

 《防衛省が昨年11月、自衛隊行事での民間人による政権批判を封じる事務次官通達を出した問題で、これを主導したのは当時防衛副大臣の安住淳民主党国対委員長だったことが26日、分かった。複数の防衛省筋が明らかにした。通達に関する会議で広田一政務官は「この通達はやりすぎた」と再考を求めたが、安住氏は振り切ったという。》

 

 《北沢俊美防衛相直轄の防諜部隊「自衛隊情報保全隊」が、陸自OBの佐藤正久自民党参院議員らの講演を監視していた問題で、空自OBの宇都隆史参院議員の会合でも保全隊が潜入調査していたことが分かった。佐藤氏が26日に証言した。自民党は、参院への問責決議案提出を視野に北沢氏らを追及する構え。》

 

 …この問題は、政権政党が対立政党の影響力や勢力を弱めるために、全体の奉仕者であるべき自衛隊員を政権の「道具」として使っているのではないかという深刻な疑念を呼び起こします。その点は、あまり軽視しない方がよいと思うのです。

 

 産経は、24日付の3面記事でこうも書いています。

 

 《「自衛隊各種行事における国会議員の招待について」。そう題され、右上には「注意」「平成21年12月」と書かれた防衛省の内部文書がある。自衛隊の駐屯地や基地がある都道府県が選挙区だったり、議員事務所を置いていたりする国会議員以外は、行事への代理出席などを認めない「統一基準」を設けるためのものだ。

 文書は起案どまりで発出されることはなかったが、同年9月の政権交代直後から基準策定が検討された形跡を示している。自民党幹部は「比例選出の佐藤正久参院議員の関係者を自衛隊行事から締め出すことを狙ったのでは」と指摘する。政権に批判的な野党議員の主張に現職自衛官を触れさせない意図があるという。》

 

 そこで本日は、この発出されなかった「幻」の文書の写真を掲載します。何かの参考にしてください。

 

 

 

 …話は飛びますが、昨日から始まった国会の代表質問を見ていて、本当に菅直人首相は答弁書を読むのが下手だなあと感じています。

 

 夫人の伸子さんの著書にも、「読むのが下手」とあり、「書いたものをそのまま読むのは、最悪です。つかえたり、読み間違えたり」と記されていました。

 

 昨日の代表質問でも、菅氏が

 

 「有言実行の、み、み…」

 

 とつかえるので、「み、み」って何を言うのだろうと耳を澄ませていると、

 

 「じつ(実)をあげる…」

 

 とようやく続けました。で、菅氏がこうまで書いたものを読むのが下手な理由として、伸子氏は「多分、気が乗らないのでしょうね」と書いています。なんだかなあ。

 

 

 さて、かねてから指摘されている菅政権の陰湿な情報統制・隠蔽体質、自由と民主主義の敵であるその実態に関する話題です。

 

 産経新聞は1月24日付の1面で「防衛相直轄 防諜部隊が『不当調査』」「自衛隊情報保全隊 保守系講演会で隊員監視」という記事を掲載しました。リード部分は以下の通りです。

 

 《北沢俊美防衛相直轄の防諜部隊「自衛隊情報保全隊」が、陸上自衛隊OBの佐藤正久自民党参院議員や田母神俊雄元航空幕僚長の講演に潜入し、現職自衛官の参加状況を監視していることが23日、分かった。複数の防衛省・自衛隊幹部が明らかにした。本来任務とは乖離した不当調査の疑いがあり、憲法で保障された思想・信条の自由を侵害する監視活動との指摘も出ている》

 

 この日の3面では、1面を受ける形で「保全隊自衛官監視 反政権OBから遮断 『秘密国家化』が加速」という記事も載せています。こちらのリード部分はこうです。

 

 《自衛隊行事での民間人による政権批判を封じる事務次官通達に続き、「自衛隊情報保全隊」の不当調査が明らかになった。調査の実態は、民主党政権に批判的な自衛隊OBの言動から現職自衛官を遮断するものだ。防衛相直轄の防諜部隊を政治主導で恣意的に利用している疑いもあり、民主党政権が進める「秘密国家」化は加速している。(半沢尚久)》

 

 25日の政治面では、その続報として「不当監視 防衛相問責提出も 自民『権力の私物化』」として、野党の反応を取り上げています。

 

 《自衛隊の防諜部隊である情報保全隊が自民党国会議員らの講演に潜入し、現職自衛官の参加状況を監視していた問題で、自民党からは24日、北沢俊美防衛相への問責決議案提出や議員辞職を求める声が上がった。谷垣禎一総裁は国会内で記者団に「言論、思想の自由に大変な侵害であり、(政権による)権力の私物化だ」と非難した。》

 

 さらに、本日の1面では「谷垣氏に遅刻要請 自衛隊OBの新年会」「防衛省 部外行事に介入」という記事と、「佐藤氏 保全隊員の潜入『確認』 自民、防衛相問責に言及」という記事を掲載しています。それぞれのリード部分は以下の通りです。

 

 《防衛省所管の社団法人が主催した賀詞交換会で、自民党の谷垣禎一総裁が出席時間を遅らせるよう要請され、同省政務三役らと「同列」り開会冒頭の祝辞ができなかったことが25日、分かった。主催者側から式次第の報告を受けた防衛省の意向だとされる。自衛隊行事での民間人による政権批判を封じる昨年11月の事務次官通達を盾に、防衛省が部外行事の内容にも介入していることが具体的に明らかになったのは初めて。》

 

 《北沢俊美防衛相直轄の防諜部隊「自衛隊情報保全隊」が、陸上自衛隊OBの佐藤正久自民党参院議員や田母神俊雄元航空幕僚長の講演などに現職自衛官が参加していたかを監視していた問題で、佐藤氏と田母神氏は25日、保全隊員の潜入を把握していたことを明らかにした。佐藤氏は自らの講演や招待された集会のビデオや写真を分析し、保全隊員の存在を「証拠」として示すことを検討している。》

 

 上の記事でも言及している昨年11月10日付の事務次官通達「隊員の政治的中立性の確保について」もそうですが、20数万人いる自衛隊を相手にしたこんな姑息で卑怯なやり方が、外部に漏れないと信じている北沢氏をはじめ民主党幹部らの神経を疑います。

 

 そこで本日は、まだ実物を見たことのない方も多いと思うので、この通達の写真をここでアップしておくことにしました。何かの参考にしてください。昨年の臨時国会では、野党がさんざん取り消すべきだと追及したけれど、菅政権は頑として聞き入れませんでしたね。

 

 

 

 

 

 ご丁寧に、自衛隊の協力団体に対する依頼分のひな形まで示しています。

 

 

 

 さらに、同日付で文書課長名で、官房各局庶務担当課長、施設等機関の総務課長、統合幕僚監部総務部総務課長、陸上幕僚監部総務部総務課長、海上幕僚監部総務部総務課長、航空幕僚監部総務部総務課長、情報本部総務部総務課長、技術研究本部総務部総務課長、装備施設本部総務課長、防衛監察本部総務課長、各地方防衛局総務部総務課長宛に、こんな報告の要請まで出しています。

 

 

 

 …この問題は、民主党政権の本質を如実に表してとても重要だと考えるので、続報をアップする予定です。菅直人首相が24日の施政方針演説で「国民の知る権利を強化する」と述べたときには、改めて「この嘘つきが何を言うか」と思った次第でした。

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