2011年02月

 

 自民党の言論弾圧通達検討プロジェクトチームは本日、防衛省の広田政務官と芝首相補佐官に、「防衛次官通達は即時撤回すべき」という申し入れ書を手渡しました。けっこう長いものなのでどうしようかと迷いましたが、けっこう重要な中身も含むので、ここで書き写しておくことにしました。ふぅ、以下がそれです(傍線、太字は私がつけました)。

 

 防衛省は、北沢防衛大臣の指示により、平成22年11月10日、全部隊に対し、「隊員の政治的中立性の確保について」と題する事務次官通達を発した。この通達は、航空自衛隊入間基地航空祭での一民間人である同基地航友会会長の発言をとらえて、「極めて不適切な発言」と断ずるおよそ行政機関の慣例と常識を逸脱する極めて異常な通達であるとともに、民間人の発言を事前に抑制しようとしている点において、一見して明白な言論の自由を侵す憲法違反の通達である。

 言うまでもなく、日本国憲法は基本的人権の尊重を基本原則とし、その中でも精神的自由、すなわち思想信条の自由の保障は、最も重要なものと考えられている。その具体的な実現のため、言論の自由は、侵すことのできない基本的人権である。

 昨年の臨時国会において、我が党をはじめ野党側が、この点を指摘し、北沢防衛大臣に対して通達の撤回を求めたが、何らの具体的根拠ある反論もなく、大臣は「通達を撤回する考えはない」という答弁を繰り返している。全く言語道断であり、通達は即時撤回すべきである。

 

1 基本的人権の尊重についての理解を欠く通達

 平成22年11月3日の入間基地航空祭祝賀会で、航友会会長は「…こんな内閣は間違っている。まだ、自民党政権の内閣の方がまともだった。現政権の顔ぶれは、左翼ばかりである。みんなで、一刻も早く菅政権をぶっつぶして、昔の自民党政権に戻しましょう。皆さんそうでしょう。民主党政権では、国がもたない。…」(防衛省資料)と発言したと伝えられる。防衛省は、この発言があったことにより、自衛隊員が政治的行為の制限に違反したとの誤解を招くと、主張している。

 

 自衛隊法第61条1項並びに同法施行令第86条第3号及び第4号並びに第87条第1項第12号は、自衛隊員は、特定の政党その他の政治団体を支持し、反対し、又は特定の内閣を支持し、反対する政治的目的のために、国の庁舎、施設、資料又は資金を利用し、利用させてはならないと、定めている。ただし、この規定は、一見明白なように、自衛隊員の行為規範を定めたものであって、民間人の行為を規制するものでは全くない。だからこそ、通達は、「誤解を招くような」と極めて曖昧な表現を用いているのである。

 

 しかし、なぜ一民間人の発言によって自衛隊員が自衛隊法に違反して施設を利用させたと誤解を招くことになるかという点について、十分な説明がない。自衛隊の友好団体の行事という適切な利用目的のため許可された行事において、出席者の一部がたまたま多少「過激な内容」の政局的な発言をしたからといって、その施設の利用許可が祝うであったと誤解されるという論旨に、そもそも論理の飛躍、法令の拡大解釈がある。既に、通達の柱書きの部分から論理破綻を来しており、北沢防衛大臣の恣意的指示が影響をしていると推測せざるを得ない。

 

 北沢防衛大臣は、政治的行為の制限を定めて自衛隊法及び同法施行令の規定を遵守させる必要があると、ずっと答弁しているが、なぜ一民間人の発言がそのことに支障を及ぼすのか説明をしていない。この規定は、過激派の政治集会のようなものを規制する趣旨で規定されているものであり、自衛隊の友好団体が主催する祝賀会などに適用する余地は全くない。

 

 自衛隊の施設以外でも、国や地方公共団体において様々な公式の式典や行事が行われている。そうした場において、主催者や来賓が政局的な発言をしていいかどうかは、その式典や行事の性格などに照らし、意見が分かれるだろう。しかし、それは、適不適の問題であって、法律論ではない例え不適切な発言をされる可能性があると考えたからといって、その人の発言を事前に抑制してはならないというのが、言論の自由の本質である。その発言が事実無根であったり、誹謗中傷であったりしたときには、事後的な措置に委ねられるのである。こうしたことの認識を、北沢防衛大臣は全く欠いている。

 

2 憲法違反の発言の事前抑制

 通達は、自衛隊の施設内の行事について、「団体の行為により、政治的行為をしているとの誤解を招くおそれがあるときは、当該団体の参加を控えてもらうこと。」と、指示している。明らかな民間人の行為の事前抑制であり、明白な憲法違反である。

 

 表現の自由を公共の福祉の名の下に制限できるのは、「明白かつ現実の危機」があり、「他に採り得る手段がないとき」に限られるというのが、憲法学上の常識である。祝賀会における一民間人の発言のどこに、明白かつ現実の危機が存在しているのか、全く理解できない。ましてや、通達は「誤解を招くおそれ」という表現を用いており、基本的人権の尊重の視点から、このような曖昧な規制は許されるものではない。

 

 防衛省は、この通達は自衛隊員が留意すべきことを示したにすぎないと強弁しているが、そうでないことは、この通達の規定から一見明白である。

 

 北沢防衛大臣は、「自衛隊法を遵守させる必要がある。」の一点張りであるが、一民間人の発言によって自衛隊員の自衛隊法違反が生ずることはあり得ない。また、趣旨・目的が正しければ、手段は何でもいいということにはならない。これも、重要なポイントである。この通達の「誤解を招くおそれ」のある事態が二度と起きないようにするという趣旨・目的もよく理解できないが、仮にそうだとしても、言論の自由を保障する憲法の規定に鑑み、民間人の発言を事前に抑制するという手段を採ることは趣旨・目的にかかわらず憲法違反である。

 

 また、通達は、自衛隊の部外の行事について、隊員は「政治的制限の規定に抵触するおそれのある内容が含まれていないことが確認できないときは、当該行事に参加しないこと。」と、指示している。この部分は、自衛隊員に対する指示を規定したものであり、直接民間人の行為を規制するものではないが、民間人の言論を事実上抑制する効果を持つものであり、憲法違反の可能性が高い。

 

 そもそも、民間主催の行事の場で、自衛官の挨拶又は紹介を伴う場合に限られているが、政局的な話を聞いたらいかなる理由により自衛官が自衛隊法の規定に抵触するのか、全く理解できない明文の法律の規定なくして、自衛官の行為を規制することは、自衛官の思想信条の自由を侵すことにつながるものである。防衛省は、当該行事において自衛官が挨拶し、又は紹介されることにより、行事と一体となって政治的行為の制限に抵触するおそれがあるとしているが、他の出席者の話を聞くだけで法令に抵触するというのも、相当な論理の飛躍、法令の拡大解釈である。

 

 さらに、政治行為の制限に関する規制は、一般の公務員についても同様な規定がなされており、人の話を聞くだけでも規制に抵触するというような法律の拡大解釈を許すとすれば、公務員全体の思想信条の自由に重大な影響を与えかねない。

 

3 実効性のない通達

 防衛省は、当プロジェクトチームの指摘を受け、「自衛隊員が政治的行為をしているとの誤解を招くようなことを行わないよう要請」し、「政治的行為の制限について周知」する相手方は、行事の主催者に限るとし、個々の発言者の発言内容を事前に聞くようなことはしないと、説明している。

 

 そうであれば、そもそも民間団体が政治的な集会を自衛隊の施設内で行うことを自衛隊が許可することはあり得ず、また、自衛隊施設外の政治的集会で自衛隊員の挨拶又は紹介を伴うことは通常あり得ないことであり、この通達が何の趣旨・目的で発せられたものなのか、全く理解できない。

 

 自衛隊の施設内外を問わず民間団体の主催する行事において発言する者は、主催者に限られず、来賓など多くの者が含まれる。その発言内容を個々に事前に確認するのでないとすれば、どうして「かかる事態が二度と起きることのないよう」担保するのであろうか。主催者に、他の発言者に発言を慎むよう指示することでも、期待しているのであろうか。

 

 このことからも、この通達が論理性を欠き、十分な検討が行われないまま発せられたものであって、実効性のないものであることが分かる。しかし、だからといって、この通達の憲法違反の性格が縮減される訳ではない。

 

 北沢防衛大臣は、団体の代表に自衛隊法の趣旨を要請又は周知し、それに明確に反対する趣旨の発言があった場合に限り、この通達が適用されると答弁している。しかし、前述のように自衛隊法の趣旨の周知を図るという論理そのものが破綻しているが、仮にその旨を伝達したときに法律の趣旨に従わないと公言するような民間団体に対して自衛隊の施設の使用を許可し、当該団体の行事に自衛隊員が出席するなど、通常考えられないことである。

 

 当プロジェクトチームの議論において、こうした指摘を受け、防衛省は、「いつものとおりにやればいい。」「いちいち確かめる必要はない。」と、説明した。そうであれば、「通達はいらないではないか。」と委員から大きな非難の声が上がったのは、当然のことである。通達を撤回しても何らの支障がないことを、防衛省自ら認めたのである。

 

4 憲法の番人の歴史に汚点を残した内閣法制局

 内閣法制局は、防衛省と連名で、「自衛隊の隊員の中立性の確保に関する通達について」と題する極めて異例な説明文書を発している。内閣法制局が、個別事案について署名付きの文書を出すのも異例であり、ましてや一省庁と連名で文書を出すのは極めて異例である。いわゆる「政治主導」の名の下に、嫌々作成させられた文書であることは想像に難くないが、憲法違反の通達に内閣法制局が裏書きしたことの罪は重い

 

 内閣法制局は、当初、「通達という性質上、一般の国民の行為を規制する効力を有しない」ことをもって、憲法上の問題はないと答弁していた。しかし、当プロジェクトチームにおいて、再三にわたって「通達の性格はそのとおりであるが、問題は、この通達に基づいて行う自衛隊員の行為が憲法違反に当たるかどうかという点にある。」という指摘があり、内閣法制局及び防衛省とも、結局通達の性格はこの憲法上の議論の本質ではないことを認めた

 

 さらに、内閣法制局は、「この通達の趣旨・目的の範囲内で、いやしくも一般の国民の行為を規制するものとの疑念を生じさせないようにすること」を前提として、憲法上の問題はないと言っただけであり、この通達に「問題がないと言ったわけではない。」とまで、当プロジェクトチームで発言している。ここまで指摘してきたように、通達はとてもそのような趣旨で書かれたものとは読みがたいが、内閣法制局が途中から通達そのものに保証を与えるものではないという方針に転換したものと見ることができる。

 

 通達は明らかに民間人の行為を規制する規定であって、内閣法制局の説明と矛盾しているにもかかわらず、こうした点に目を閉ざしている同局の姿勢は、正に非難に値する。いずれにせよ、内閣法制局の憲法の番人としての良心を「政治主導」の下踏みにじったものであり、内閣法制局の歴史に大きな汚点を残すことになった。

 

5 心配される委縮効果

 通達が発せられた後、全国で様々な委縮効果が生じている。通達の趣旨に照らしても全く問題のない行事に以前出席していた自衛隊員が出席しなかったり、前国会議員が招待されなかったりしている。今、当プロジェクトチームは、こうした委縮効果について全国調査を行っている。

 

 もし、従前国会議員が出席していた行事に、国会議員が招待されなかったり、挨拶を拒否されたりしていることが判明したならば、それは重大な政治活動の妨害であり、見過ごすことのできない問題に発展するであろう。

 

 防衛省は、文書課長通達で、自衛隊施設内で行われる行事における民間人の挨拶の内容について逐次報告を求めており、こうしたことが委縮効果を大きくしている。この通達も次官通達と併せて即時撤回すべきである。

 

 忠実に職務に精励する自衛官は、大臣の依命通達であるこの通達に従わざるを得ず、誠に気の毒な立場にある。この通達の実施に当たり、政党や民間団体の指弾を受けるのは、現場の自衛官である。早期にこの異常な通達を廃止させ、自衛官に安心して本来の職務に専念してもらうようにしなければならない。

 

6 通達の即時撤回を求める

 以上見てきたように、この通達は、その形式、内容ともに極めて異例であり、民間人の言論の事前抑制を内容に含む憲法違反の通達であって、即時撤回以外に違憲状態を解消する方法はない。

 我が党は、この旨、北沢防衛大臣に申し入れ、速やかな善処を求めていく。

 

 …この申し入れ書、首相官邸サイドは官邸内での受け取りを拒否し、芝首相補佐官は別の場所で受け取ったとか。まあ、何かの参考にしてください。世の中いろいろありますねえ。

 

 

 本日はふと思い立ち、2月に入ってからの新聞各紙のベタ記事、ミニ記事で目を引いたものを見繕い、一言コメントをつけてみました。だからどうだということはありませんが、けっこう小さなベタ記事も面白いものです。

 

 1日付産経ベタ「歴史にも『疎い』!?首相が答弁を訂正」…《首相は、約20分後に自ら発言を求め「満州族というべきところを蒙古族といったことを訂正する」と述べた》→これ、菅氏は本当に清王朝は蒙古族の王朝だと勘違いしていたのではないかと。

 

 1日付東京ベタ「柳沢氏の起用『矛盾しない』枝野官房長官」…《枝野氏は「別に柳沢さんの人格や能力を否定して不信任案を出したわけではない。その時点における国務大臣としての言動に対し、野党として姿勢を示した」と述べた》→安倍内閣の厚生労働相だった柳沢伯夫氏の「女性を産む機会に例えると」という発言が、言葉狩りにあったのはもう恩讐の彼方なのか。

 

 2日付産経ミニ「革マル系労組から献金『断る』」…《枝野氏は1日の衆院予算委員会で「今後は『李下に冠を正さず』ということもあり献金などは断らせていただく」と述べた》→この問題を産経が昨年6月に報じた際には、枝野事務所は「政治資金規正法にのっとり、適性に処理している」としか答えなかったというのに。

 

 2日付朝日ベタ「拉致問題で外相 直接協議に意欲」…《前原誠司外相はこれまで2回、北朝鮮を訪問した経験があることを明かし、拉致問題を進展させるため北朝鮮との直接協議を目指す姿勢を強調した》→前原氏は京都府議時代、地元の織物会社が北朝鮮に工場をつくる際に助言だかお手伝いだかをしたそうですが…。ハニトラ写真の件など、とかく北との関係がうわさされる人ですね。

 

 2日付毎日ベタ「藤井氏『活動費 知らない』」…《藤井裕久官房副長官は1日の衆院予算委員会で、旧自由党幹事長だった02年当時、政党交付金を含む約15億円が藤井氏あてに「組織活動費」などの名目で支出されていたことについて「知らない。私はお金を受け取っていない」と関わりを否定した》→藤井氏は相当、小沢一郎氏に対して含むところがありそうですね。

 

 3日付東京ベタ「『与謝野氏転身理解できない』鳩山前首相」…《民主党の鳩山由紀夫前首相は二日、都内で講演し、入閣した与謝野馨経済財政担当相について「ある日突然、自分が批判していた党に協力する立場は、政治家として全く理解できない」と批判した》→鳩山氏周辺によると、鳩山氏は自分を「平成の脱税王」と読んだ与謝野氏のことは決して許さないだろうということです。鳩山氏も鳩山氏ですが、そんな党内に波紋を広げる人を起用する菅氏も菅氏ですね。

 

 4日付毎日ミニ「民主党マニフェスト『一部の人作成』桜井副財務相」…《桜井充副財務相は3日の会見で、民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた最低保障年金制度の創設に必要な額が試算されていないことについて、「アバウト(大まか)な数字ですらなかったことに驚いている。マニフェストを作った人たちにきちんと説明してもらいたい」と苦言を呈した》→まあ、こんな声が内部から公然と漏れだしたら、政権崩壊は近いでしょうね。

 

 4日付日経ミニ「小沢氏『3月解散あり得るぞ』」…《小沢氏は同行した民主党衆院議員に「3月に衆院解散があり得るぞ。菅さんは首を差し出す人じゃない」と述べ、2011年度予算関連法案が成立しなかった場合、菅直人首相は内閣総辞職を選ばず、衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方を示した》→まあ、確かに菅氏の往生際の悪さはその通りでしょう。ぜひ解散してもらいたい。

 

 4日付日経ミニ「実績がほしい」…《「革命家という表現は一見格好いいが、そうじゃない。実務家として実績を歴史に刻める人でないといけない。おれは頑張りたい」(菅直人首相が辻元清美氏らとの会合で)》…結局、私利私欲、自分の名誉のことしか考えていないと。このままでは、歴史に「無能の人」という評価が刻まれそうですからねえ。

 

 5日付朝日ミニ「首相『死ぬ気でやれ』社会保障改革案づくりを鼓舞」…《「死ぬ気でやれ」――。菅直人首相が4日、社会保障改革案づくりを進める大塚耕平厚生労働副大臣に不退転の覚悟を迫った》→まず隗より始めよ、という言葉を贈りたいですね。自分はどうなんだと。

 

 5日付産経ミニ「小沢氏『参院選、どういうわけか大惨敗』」…《民主党の小沢一郎元代表は4日夜、熊本市内での同党議員のパーティーで「昨年の参院選で勝利するために鳩山由紀夫前首相と私が身を引く決断をしたが、どういうわけか大惨敗になった。ここから今日の国会の苦悩が始まっている」と、皮肉を交えて菅直人首相を批判した》→恩着せがましい。

 

 5日付産経ミニ「『民主への期待感消失』鳩山氏危機感」…《鳩山由紀夫前首相は4日、北海道根室市内での会合で「民主党自身に対する期待感が消えうせようとしている状況だ」と危機感を表明した》→そうさせたのはあなただろうに。

 

 5日付産経ベタ「市民団体が小沢氏告発」…《市民団体「政治資金オンブズマン」(大阪市)のメンバーらは4日、小沢氏と改革フォーラム21の会計責任者だった平野貞夫元参院議員に対する告発状を東京地検に送付した》→小沢氏の政治資金問題はそう簡単にはカタがつきそうにありません。

 

 5日付日経ミニ「首相は天才」…《「かねて言っていた政府や首相を追及する言葉が、ブーメランのように返ってきている。ブーメラン投げの天才だ」(みんなの党の渡辺喜美代表が、菅直人首相を批判)》→私も記事で、菅氏を「ブーメラン投げ」の名手、名人芸と書いたことがありますが、天才とは…。

 

 5日付読売ベタ「予算関連法案『年度内は困難』小沢氏」…《民主党の小沢一郎元代表は4日、2011年度予算関連法案について、「参院で過半数が割れている状況では本当に厳しい」と述べ、年度内成立は難しいとの認識を示した》→こうなることは分かり切っていたのに、菅氏も党執行部もどうしてこう危機感が薄かったのか。そのうちなんとかなるだろう~体質ですね。

 

 6日付朝日ミニ「非小沢、くだらない」…《前原誠司外相は5日、山梨県昭和町での民主党参院議員の会合で「私は非小沢と言われる。非常にくだらない分け方だ」と発言。同席した輿石東参院議員会長を「親小沢と言われるが、心から尊敬し、お世話になっている」と持ち上げた》→前原氏も、ポスト菅が見えてきたとあって、輿石氏にすり寄っています。そういえば菅氏も以前、輿石氏のことを「人生の師」と持ち上げていましたっけ。

 

 6日付産経ベタ「メディア攻撃1カ月 普通は死にたくなる 小沢氏弱音」…《強制起訴された民主党の小沢一郎元代表は5日、広島県尾道市で開かれた同党の会合で「普通だったら新聞、テレビに1カ月も攻撃されれば、大概の政治家は死にたくなる」と弱音を吐いた》→自分は大概の政治家ではないと。

 

 6日付読売ベタ「公約修正の動き 小沢元代表批判」…《民主党の小沢一郎元代表は5日、広島県尾道市で開かれた同党参院議員の会合で、党内の衆院選公約修正の動きについて「難しいからとやめてしまっては何のための政権交代か」と批判した》→本当に、いったい何のためだったのか。

 

 6日付朝日ミニ「『こき下ろすのが快感の人がいる』仙谷氏、野党を批判」…《民主党の仙谷由人代表代行は6日、さいたま市内で講演し、菅直人首相が求める与野党の政策協議について「単に(政権を)こき下ろしたり、なじったりするのが快感になる人がいて、なかなか協議の土俵に上がれないのがつらい」と語り、菅内閣の退陣や衆院の解散・総選挙を求める野党の姿勢を批判した》→自分たちがどうだったかは忘れて、こういう下品な物言いをする人がいるから協議が進まないのでしょうに。

 

 7日付産経ミニ「自民に戻れば80年代の英国」…《前原誠司外相は6日、神奈川県小田原市の集会で「民主党が期待通りのことをやってないからと言って自民党に戻せば(政権交代のたびに停滞した)1980年代の英国のようになってしまう」と強調。》→菅氏も鳩山氏も前原氏もそうですが、民主党のメインプレーヤーの人たちは、ことここに至っても、自分たちのやってきたこと、やっていることが正しいと信じているようなのが不思議でなりません。どうしたらそんな由来不明の自信が持てるのかうらやましい。

 

 …こうして見ていると、政治家たちがいかに政局的発言を繰り返しているかが分かります。マスコミはよく、もっと政策本意で記事を書けと読者や政治家に叱られるわけですが、読者はともかく、政治家はいつも自分がどううまく立ち回り、都合のいいことを発信しようかと虎視眈々であるものです。なので、どうしてもこっちもそれに引きずられます。

 

 特に、無役の上に刑事被告人となった小沢氏は、こうして常に発信を続けないと、存在感を発揮できず、影響力も維持できないので、マスメディアを非難しつつ、それを利用しようとします。まあ、こっちも分かっていて、乗せられているわけですが。すみません、どうでもいい話でした。

 

 

 さて、今国会では、民主党の先の衆院選マニフェストがデタラメなものであることが、改めて明確になっています。特に、民主党に政権の座が転がり込んだ大きな要因の一つである「年金」についての民主党案のほころびは、とても看過できません。

 

 民主党はマニフェストで、国民年金や厚生年金などを一元化させ、保険方式にあたる所得比例年金と全額税方式の最低保障年金(月額7万円)に再編すると約束していたわけですが、菅直人首相は昨日の衆院予算委員会で「数字の面ではまだ確定した案になっていない」とあっさり認め、一元化についても「難しさは認識している」と答弁しました。

 

 ねじれ国会を生じさせた4年前の参院選でも、民主党はこの年金問題を追及して勝利したというのに、菅首相はその肝心要の部分で白旗を掲げているわけです。私のように、この政権に懐疑的な人間でなくても、これでは何のための政権交代だったのだろうと疑問を持つのではないかと思います。

 

 そこで、問題点をあぶり出した衆院予算委での公明党の石井啓一政調会長の質問をダイジェスト(あくまで大意を押さえたダイジェストであり、正確な文字起こしではありません、あしからず)で紹介します。

 

石井氏 どのくらいの財源が必要だと考えているのか。民主党の最低保障年金は

 

 枝野幸男官房長官 最低限7万円は必要だろう、というのが民主党の案だ。

 石井氏 民主党の案を示す義務がある。最低保障年金、税方式でやるといくらになるのか民主党で示してください

 

枝野氏 民主党案ベースを基本として、与謝野さんのところで議論を始めている。議論の中で様々の案を検討することになっている

 

石井氏 今の官房長官の答えはね、若干のずらしがある。今の民主党の案そのまま示すんではなくて、これを変えた物を示してくる可能性がある。私たちは民主党案そのものがどうなのかちゃんと示しなさいと言っているんです。というのは、今の民主党案が、すばらしい案だったら私たちは賛成する可能性はありますから。

与党になってから1年5月も経っていますよ。かつて民主党さんが野党時代に具体的な数字を示さなかったのは、厚生労働省から数字がもらえないから示せないんですと言っていた。与党になったんですから、示すことが出来ますでしょう。ますは民主党のマニフェストのこの数字をきちんと示してください。

 

菅氏 つまりはどの程度の比例で、年金がいただける人のどの当たりまでに最低保障を乗せるかどうかと言うのは、率直に申し上げてまだ具体的な数字をこれまで固めておりませんでした。ですから、そう言う点では、数字の面では確定した案にはなっておりません。その上で、いま我が党なり、内閣として、本格的な案を4月に向けて作ろうとする場合には、もちろん民主党のこれまで申し上げていた、先ほど与謝野大臣も言われたようにいろいろな案について、すべてを土俵に乗せて議論したい。4月に向けて、一つの考え方を我が党の案をベースに致しますけれども、必ずしもそれが固定的に、この4月に提示する物に、そのままスライドすると言うことではなくて、幅広く検討していきたいとこのことを申し上げたところであります。

 

石井氏 2003年から7年間、何を議論してきたんですか民主党は。当初からわかっている問題でしょう、このことは厚生労働省から数字をもらわなくても議論できる話じゃないですか

 

菅首相 一元化というもの難しさは私たちも認識しております。これは、もう一つは公務員や色んな共済制度と今の厚生年金についても、確か、これについては、皆さん方も一元化という方向を、こちらの分の非保養者保険については言われていると思いますが、それ自体もなかなか制度的な過去の経緯等で難航しておりますが、いまご指摘がありました自営業者を中心とした国民年年金に入っている人との一元化というのは、おっしゃるとおり大変難しい問題を抱えております。

これについては一言で言えば制度設計によって、いろいろな選択肢があり得ると。例えば、お医者さんとかや弁護士さんとか、そういう皆さんは場合によれば、こう仕事をしている立場と雇っている立場と一体と見てそれを両方払うと言うそう言う選択もありますし、いやいやそうではなくて、やはり働いている立場ということだけを考えて、その分しか払わないという考え方もありますし、まさにそれはざまざまな選択肢があるということの段階でご指摘の通り、これまでのところまで出しておりませんでした。

 

 …なんかしどろもどろで回りくどく、わかりにくいのですが、「はぁ?」と感じた者は私のようなひねくれ者だけではなく、政府内にも少なくなかったようです。本日夕、財務省の桜井充副大臣は記者会見で、首相をはじめ党執行部を次のように暗に批判し、マニフェストについても疑念を示しました。

 

「正直言って、(政府・与党は)アバウトな数字は持っていると思っていた。出せなかったのに昨日、驚いた。あの当時マニフェスト作った人たちに、もうすこし説明してもらいたいというのが偽らざる気持ちだ。マニフェストにはこのことだけじゃなく批判はあるが、あれは、あの当時、ごく一部の人がつくったので、われわれは、情報が与えられないまま議論が進められているので、そのつくった人が出てきて説明すべきではと思います。

昨日、衆院予算委の議論を聞いていたとき、7万円を全額税でやるとどのぐらいがアバウトな数字かという議論で、数字が出なかったのに驚いているんです。消費税、だったらどれぐらいになるのか。もう一つ不思議なのは、目的税は置かないということで、やっていたはずなんで、消費税が全部年金目的税ってのも、すこし違うと思うんですが」

 

 …桜井氏もびっくりしたのかもしれませんが、マニフェストを信じて投票した国民はもっといい迷惑です。本当に、政権交代前も政権交代後も、いったい何をやっていたんでしょうか。これで今になっていきなり「与野党協議に応じないのは歴史に対する反逆だ」だの、「野党は社会保障の議論から逃げている」だの言われれば、そりゃ誰だってカチンときますね。

 

 もはや笑うしかない。

 

 

 本日は発作的に訪問者の皆さんに抜き打ちテストを実施したいと思います。テーマは「政治」であり、いかに近現代史に通暁した皆さんでも、簡単にはこれに正解することは難しいと思われる超難問です。

 

 

 ■以下は、ある首相経験者の講演内容を記したものである。文章を読んで、設問に答えよ

 

 《先ごろ開かれた◯◯党の党大会において、そのリーダーは、とにかく政権が交代すれば、すべてがうまく進むというような発言、アピールをされたように聞いています。

 △△党が国民によって選ばれた政権政党であり、その国民の信頼なくして政権維持はありえないし、そのために不断の努力をやらなければならないことは当然です。(中略)しっかりとした理念と時代認識も表さず、政権交代さえすれば何とかなる式の発言は、国民に対する愚弄であるとも思います。

 △△党に集う全員が原点に立ち返り、自分たちの正当性を確認し、改めて世に問うことこそ、今、最も必要なのではないか、と思っています。》

 

【問一】    文章中の「◯◯」と「△△」を埋める適当な言葉は何か

 

【問二】    この講演を行った首相経験者は誰か

 

【問三】    この講演を聴いた人々の感想に最も近いものは次のうちどれか

①「なるほど、首相経験者だけあって言葉に重みと説得力がある」

②「うーん、必ずしもそうとばかりは言えないのではないか」

③「お前が言うな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …しっかし、Mr.Loopyは言うこと為すこと、存在そのものができの悪いギャグのようですね。本日、日本外国特派員協会で行った講演後の質疑では、与謝野馨経済財政担当相についてこう批判していました。

 

「民主党を倒すという目的で『たちあがれ』という政党を作られて、その主張を支持しながらある日突然、その自分が批判をしていた政党に協力をするという立場は、政治家としてはまったく理解ができない

 

 …まあ、何ですね。与謝野氏も十分アレなわけですが、私はL氏の方がまったく理解できない。理解したくもありませんが。

 

 

さあて、本日の衆院予算委員会では、いろいろな論点が議論されました。菅直人首相の「疎い」発言、マニフェストの見直し、国民に信を問うべき時期、防衛事務次官通達による言論封殺、与謝野馨経済財政担当相や菅首相自身による過去の言動との不整合…など、いろいろと取り上げるべき問題ばかりでした。

 

 ただ、私としてはきょうは、自民党の柴山昌彦氏が追及した藤井裕久官房副長官と枝野幸男官房長官の問題について、ここで記録しておきたいと考えました。この二つとも、このブログで随分前(政権交代前も含め)から指摘していたことであり、いずれ問題化すると予測を記しておいたことだからです。

 

 以下、後輩の千葉倫之記者がIC起こし(以前はテープ起こしと書いてきましたが、もはやカセットテープを使用している記者は皆無となったので。ちなみに私はMDレコーダーを使っています)してくれたものを掲載します。本日の予算委はNHKがテレビ中継しているので、生でご覧になった方も多いと思いますが、文字で読むとまた別のわかりやすさがあります。

 

柴山氏 こちらのパネルをごらんください。これは平成14年、小沢さんが当時代表を務めていた自由党、今は民主党と合併しているが、自由党の政党交付金にかかる報告書要旨の抜粋です。申し上げるまでもなく政党交付金は税金でまかなわれるもので、使い途につき説明責任がある。この表を一見みて明らかな通り、ここの組織活動費。9億7900万円が藤井裕久氏へ。5億4190万円が藤井氏へ。この項目が金額的に突出している。藤井副長官、合計15億円超となるカネを何に使ったのか。

 

藤井氏 その内容は存じません。

 

柴山氏 次のパネルをごらんください。そのときの領収書の写しです。この下の欄に藤井裕久との署名捺印が見えるが、あなたのものではないのか。

 

藤井氏 まず今の前半申し上げましたが、私はそのお金を受け取っておりません。従ってそういう認識は全くありません。ですから、今の問題については、私としては、その認識が、まず領収書の認識がありません。

 

柴山氏 確認だが、これは領収書と書いたのをあなたは全くみずに署名捺印したということか

 

藤井氏 認識がありませんから、それが私が書いたものかどうかについては、理解…分かりません!

 

柴山氏 大変重要な答弁をした。私はあえて藤井裕久の後に押捺されているあなたのおそらく銀行届け出印だと思うが、プライバシーの観点から塗りつぶしている。もし印影が明らかになってあなたの実印、届出印なら、ぼうよう(?)されたと主張するのか

 

藤井氏 その紙は見たことがないので、何とも申し上げられません。

 

柴山氏 次のパネルをごらんください。しかもあなたは当時、自由党の幹事長であり、かつこの収支報告書にもある通り会計責任者だったはず。そしてこの隣にある収支報告書提出の際に添付される宣誓書、「この報告書は政治資金規正法に従って作成したものであって、真実に相違ありません」という書面に署名、捺印している。さっきの領収書と同じ筆跡に見えるが、あなたの字でないのか

 

藤井氏 その紙の中のその文字は、私は認識がありません。

 

中井予算委員長:藤井先生、この(柴山氏提出の)資料はお持ちなんですか)

 

藤井氏 はい、持ってます。

 

柴山氏 自分の書いた書面が真実かどうか、収支報告書、しかも幹事長かつ会計責任者という立場にありながら、その署名をしたかどうかを忘れるような人が官房副長官。許されないことだ。もう一回答えを。

 

藤井氏 知らないということを申し上げております。

 

柴山氏 奇しくも、平成16年ごろ、同じく小沢元代表の関連政治団体である改革フォーラム21の口座に、収支報告書に記載のない約15億円の入金があったと、昨年1月17日の日本経済新聞で報じられている。そして改革フォーラム21は一昨年の衆議院解散日である7月21日に、小沢氏が代表を務める民主党岩手県第4区総支部に、表に出ている額で3億7000万円の寄付を行い、翌日に同額が、今回問題となっている陸山会に流れている。陸山会からは小沢氏に近いとされる候補者91名に、8月17日の総選挙公示までに、計4億4900万円が提供されている。このように報道等で疑惑を持たれれば、その説明責任が生じるはず。あなたが15億円の使い途、どうしてもご存じないというなら、誰が知っているのか。

 

藤井氏 私が知らないということで、それ以上のことは分かりません。

 

柴山氏 あなたは当時、自由党の幹事長で会計責任者でありながら、その自由党が受け取っている政党交付金についての使途、しかも自分が領収書に自筆で署名、捺印しているものについて、使途について一切知らない、誰が知っているかも知らないというのか

 

藤井氏 これはですね、7、8年前に今と同じことをお答えしてます。それから爾来、7、8年間、同じようにお答えをいたしております。

 

柴山氏 表紙には事務担当者としての八尋護さんという方の署名があります。もう亡くなってます。しかし当時、同じ自由党の職員で、かつてあなたのところにいた高橋さんやトノナリりさん、女性の事務をしていた人がご存じないのか。今は民主党の職員になっているはずだ。

 

藤井氏 今の名前は全部、承知をいたしております。

 

柴山氏 では現在、民主党経理部にいる、トシナリヒロアキ氏、同じく民主党の第3控え室の高橋トヨカツ氏の参考人招致を求めます。

 

中井氏:理事会で協議します)

 

柴山氏 再度、確認。この署名捺印はご自分のものか。再度、答弁を

 

藤井氏 今申し上げましたようにですね、このお金はもちろん頂いておりませんし、それから今の内容も存じません。従って、これについての認識がないんです。ですから、それが、どうこういう私は、立場にありませんし、えー。

 

柴山氏 これがこの官邸の実態でございます。次の質問に写ります。ここにある質問主意書。わが党の佐藤勉衆院議員が昨年の4月27日に提出し、それに対する答弁書が閣議決定のうえ、5月11日に送付されてきた。枝野長官。昨年の5月11日当時、行政刷新担当大臣といして内閣にいた。間違いないか。

 

枝野氏 内閣府特命担当大臣行政刷新担当として内閣におりました。

 

 …私は、藤井氏が「使途その他を知らない」と言っているのは本当だと思います。藤井氏に限らず、小沢氏が党首を務めた政党の幹事長・財政責任者はみな、実は党のカネはほとんど触らせてもらっていません。民主党でも、小沢代表時代の鳩山由紀夫幹事長はそうでした(本人もそう言っています)。

 

 今回の強制起訴の件では、どうせ無罪になるだろうとか、形式犯であるとか、だからこの問題で騒ぐメディアがおかしいとか、私に言わせればチャンチャラおかしい論議が横行しています。

 

 本質はそうではないはずです。捜査容疑が何に絞られているかとかそういう問題ではなく、メディアやフリーの各記者が問題意識を持って問うべきは、そうした事件が生まれる背景にある、小沢氏の誰がどう見ても不透明かつ異様な政治資金のあり方にあると考えます。

 

 少なくともメディアは、検察でも警察でも当局が法的に問うかどうか以上に、たとえ法律には違反していなくても道義的・社会通念上に「おかしい」ことを指摘し、それを国民に示すことによって、国民の判断それ自体に委ねることが使命だと考えます。今回の小沢問題に関しては、あまりにも問題を極小化・矮小化し、政治資金収支報告書の不記載が大事か瑣事かという、それこそ些末な論議に流れていますが、小沢氏の抱える問題は、それ以上に複雑かつ多岐かつ深刻であることを押さえなければならないと確信します。

 

 さて、柴山氏は枝野氏については、私が産経紙面とこのブログで指摘していた資金管理団体だけでなく、地元・埼玉県に所在する政治団体についても掘り下げて質問していました。

 

柴山氏 この質問主意書はJRの労働組合に、日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派、すなわち革マル派が影響力を持っているかということについてのものだ。こう書かれている。革マルは共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団であり、これまでにも殺人事件等、多数の刑事事件を引き起こしている。革マル派はその組織拡大に重点を置き、周囲に警戒心を抱かせないよう、党派性を隠して基幹産業の労働組合等、各界各層への浸透を図っており、JR総連、および東日本旅客鉄道労働組合内には、影響力を行使しうる立場に革マル派活動家が、相当浸透していると認識している。今後も革マル派は、組織拡大に重点を置き、党派性を隠して基幹産業の労働組合等、各界各層への浸透を図っていくものとみられる。次のパネル。これは枝野長官の政治団体が平成8年以降、いまの答弁書にあったJR総連およびJR東労組からいくら献金を受け取ってきたかを示すものだ。1昨年の衆院選挙の年まで、一時中断の年もあるが、継続的に合計794万円のカネをもらっている。あなたが閣議決定に署名した答弁書で問題が指摘されたJR総連、JR東労組からこれだけの献金を受け取ることは、道義的に問題ないか。また、今後も献金を受け取るつもりはあるか。

 

枝野氏 私はあの、連合加盟の各産別といろいろな意味でおつきあいさせていただいておりますが、その連合加盟の各産別とおつきあいをする範囲内で、当該労働組合ともおつきあいをさせていただいてまいりましたが、それ以上でもそれ以下でもございません。今後については、李下に冠を正さずということもございますので、献金等のお申し出があってもお断りさせていただこうと思います。

 

柴山氏 次のパネル。李下に冠を正さずといったが、今後は、それを内閣の方針として各大臣に周知徹底するつもりはないか。

 

枝野氏 それぞれの政治活動、政治資金やその他のことについては、基本的にはそれぞれの政治家がそれぞれの責任でしかるべく対応されるものと思います。

 

柴山氏 閣議決定のうえ署名がされたということを念のためいっておく。パネルは枝野氏が平成8年の2期目の総選挙で、仮にYさんとするが、JR東労組大宮支部の委員長と取り交わした覚書。間違いないか。

 

枝野氏 だいぶ前のことでございますので、個別具体的に正確に記憶はいたしておりませんが、一般論として申し上げれば、連合に加盟する各組合とのお付き合いの範囲の中で、そこに示されているような、いわゆるひな形的な政策協定を結ぶことはあると思っておりますので、私の署名だと思いますので、そのような政策協定を結んだことがあるんだろうという風に思います。

 

柴山氏 一般論として慣例的にそのような協定書を結ぶと。しかしこの墨塗りした方。今いったように、Yさんというが、このころ、JR革マル派のリーダー的立場にあるLC会議のメンバーであり、職場から集めた革マル派のカンパを上納する財政担当者だった。そして、この書面を見ると、私、枝野長官だが、私はJR総連およびJR東労組の掲げる綱領を理解し、連帯して活動しますと明記されている。さらにこのYさんは、平成14年、方針に従わなかった組合の同僚を脅して脱会を強要したという、いわゆる浦和電車区事件で他の幹部とともに逮捕され、東京高裁まで有罪判決が出ている。枝野長官は、判決に先立つ平成18年11月に開催された、冤罪JR電車区事件から4年、7名の完全無罪を勝ち取る埼玉県集会に呼ばれて講演している。決して一般的関係じゃないじゃないか

 

枝野氏 あの、その協定書に書かれているような趣旨の内容のことについては、個別には名前は挙げませんが、他の労働組合等とも、あるいは労働組合以外の団体とも、一般的な政策協定として締結されることはあるという風に思っておりますし。それから今、黒塗りにされておられます部分の方について、詳細な記憶はございませんが、これは機関と私との間でしたものであります。連合加盟の産別組合との間で結んだものでございまして、たまたま当該、そのときのその立場におられた方が、どういう立場であったのかということは、少なくともその時点では存じ上げませんでした。また今の集会については、詳細について記憶はございませんが、一般的に私も柴山さんと同様弁護士でございますので、適正法定手続きについて、いろいろな場所で講演を頼まれて、その限りにおいてそういった講演をすることはあるかと思いますが、当該組合の活動そのものについての講演とか何かをした記憶はございません。

 

柴山氏 覚書が交わされた平成8年以降の長官と両組合との関係を見ると、実に8回にわたって新年会などの講演会に出席している。さらに昨夏の参院選で比例当選した田城郁議員はJR総連の政策調査部長であり、JR東労組の委員長や会長を歴任した革マル派創設者の一人である松崎あきらの側近だった。また、日本鉄道福祉事業協会の元理事長が業務上横領を行ったとされる刑事事件で、田城議員の講座にも入金があったとして捜索、差し押さえを受けており、田城議員はそれが不当であると国家賠償請求訴訟を提起したが高裁で棄却判決が出てすでに確定している。総理、間違いありませんね。

 

中井氏:知らなきゃ知らないで…)

 

菅直人首相 今お聞きになったこと、私自身、あの、承知をいたしておりません。

 

柴山氏 今述べたことは昨年10月12日に、同じく佐藤勉議院から出された質問主意書で、あなたがたの政府が閣議決定。総理、私は労組の健全な活動を否定するつもりはない。しかし、社会的にさまざまな問題が指摘される過激な活動を行う組織については、断固として政治や行政からの遮断を図るべきだと感じないか。

 

菅首相 まあ、あの、一般的に申し上げれば、私たち民主党は、いろいろな団体にご支援をいただいております。で、労働組合でいえば、いわゆる連合の皆さんにも多くご支援をいただいております。そういう中にたくさんの組合があるわけであります。そういう意味で、そういう皆さんとのお付き合いというのは、まあ基本的には、そういう党と連合との友好関係を背景に、あとは個々の議員なり候補者が判断することだと思っております。もちろん、その、今いわれたようなですね、組合に限りませんが、社会的に、何ていいましょうか、問題がきわめてあるということの団体との関係というのは、当然ながら、そこは気をつけなければならないと。このように思っております。

 

 …本日、答弁に立つ菅首相や閣僚らの額には、私にははっはきりと「恥」が刻印されているように感じられました。どこか後ろめたい人生を送っているもの、何かを誤魔化し、それを気にしながら、日陰を選んで歩いているような人たちのそれです。

 

 お天道さまの下を堂々と、大手を振って歩くリーダーを持ちたいものです

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