2011年06月

 

 今朝の産経2面に、《「退陣時期22日までに」 21世紀臨調 首相に明言迫る》という3段見出しの記事が載っていました。菅直人首相は、もともとあまり仲のよくない日本経団連だけでなく、支持母体の連合からも退陣を求められていますが、これまで民主党に優しかった21世紀臨調にまで、愛想を尽かされたようです。当然ですが。

 記事には、以下のように書いてありました。

《有識者でつくる「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)の幹事会は16日、菅直人首相に22日の国会会期末までに、退陣時期を明言するよう求める緊急提言を発表した。大連立構想では「民主党が自民党に首相の座を譲るなど大胆な検討がなされてもいい」とした。

 提言は(1)首相の責任(2)民主党代表選のあり方(3)政策協議と国会の仕組みづくり(4)連立協議-の4点を指摘した。

 民主党はマニフェスト(政権公約)や政治主導という言葉の信頼性を失わせたと断罪。菅首相には「事態収拾の道筋をつける責任がある」とした。(後略)》

 

 で、私が興味を引かれたのは、この21世紀臨調の共同代表で、ありていに言えば悪夢の政権交代をあおった民主党シンパ学者の一人である東大元総長の佐々木毅氏が、民主党政権のことをクソミソに言っていることでした。佐々木氏は例えば、政権交代前の2009年2月には当時の自公政権(麻生政権)についてこう酷評していました。

 

 「政権と政権党内部はメルトダウンの様相」

 

 「政権を持続させることは国民の利益と両立しえない」

 

 …まあ、当時の自民党がかなりひどい状態に陥っていたのは事実ですが、それでは民主党政権になったら本気で日本がよくなるとでも考えていたのか。私は10年近く前だったか、この人が民主党の勉強会で講演し、質疑に応じる様子を取材したことがありますが、ひたすら偉そうなこの人に対し、議員たちはただ「ご説ごもっとも」と平伏して聴き入っていました。なので、民主党政権になったら、自分の思う通りになるとでも思っていたのでしょうか。

 

 前置きが長くなりましたが、というわけで、昨日の佐々木氏の記者会見での言葉を紹介します。どれだけ立派な学者か知りませんが、少なくとも、先見の明は全く持ち合わせていなかったようです。以下がそれで、もちろん現在の自民党など野党側にもいろいろと注文をつけていますが、それよりも民主党政権に対する失望、焦燥などがけっこう伝わってきます。

 

佐々木氏 私から総論を簡単に説明する。日本の政治はもはや先進国の政治には値しない。極めて深刻な状況にある。政党政治は競争を必要な要素として含んでいるが、状況に応じて一定の協力も当然しながら、競争していくという仕組みだと思っているが、日本の場合は二院制の制度的な不具合もあり、とかく競争、対決に傾きがちな傾向にあることは現在までのところ明瞭で、いわゆるねじれの問題にかかわっていることは言うまでもない。

それを乗り越えるためには政党自身が求心力を持って、交渉力を高めていくことが必要だが、政党自身の求心力も解体、弱体化しているので、結果として政権は動きがとれなくなっているという状態にある。こうした事態において衆参両院議長が建設的なイニシアティブをとってもらうべきと考えているが、それが見えないというのも我々にとっては極めて異様な感じだ。

民主党について言うと、政権統治、政党自己統治、この2つにおいて深刻な失敗を犯したと考えている。結果としてマニフェストの信用、総理、政治主導の権威、あり方を極めて深刻な事態に陥れたと考える。これら一連の事態は本来であれば下野に値するものと言わざるを得ない。
 仮に光明を見出そうとすれば、次回の代表選で、これを民主党としては最後の代表選であるかのような、断固とした覚悟を持ってマニフェストの見直しその他、新たな形での党の求心力を高める最後の努力をする、そういう段階に今あるのではと考えている。連立とかはその先の話だろうと思っている。

大連立という言葉がたいへんもてはやされているので。いろんな形で国会を含めて機能する政権を作ることが目的だから、いろんな形があっていいだろうと。さまざまな知恵が工夫されるべきだろう。そこで衆参議長に活躍いただく余地があってがいいんじゃないかと考えているが、(現状の大連立を巡る動きは)目的も定義も手続きもあいまいなものが、話が広がっているように見える。

端的に党内をまとめられないのに大連立が成し遂げられるかということについて我々は極めて懐疑的であると申し上げたい。野党についても問題がある。先の不信任案にしても「そういうことをしている場合か」という国民の意向がしばしば表明された。ひたすら首相の退陣さえ求めていればいいということについては、国民の納得が得られない事態が近づいているように我々には見受けられる。

結果として与野党合作で政党政治の自滅につながるようなことをおやりになっているのではないかとたいへん憂慮している。最終的には国民に戻ってくるわけで、日本政府の評価に対する国際的なダメージは極めて深刻だと思うが、これ以上それを続けるわけにはいかないと思う。その意味で、民主政治の在り方そのものについて、ないものねだりをするとか、そういった従来の態度を改め、あるいは反省しながらもう一度しっかり見つめ直すべき段階に来ているのではないかと。とかく政権批判していれば前に進むような簡単な状態ではないことはもはや明らかだと思う。

 

【質疑】

記者 緊急提言をなぜこの時期に発表したのか。また、「首相は会期末までに退陣時期を明言しろ」と。当初の6月22日を前提に提言しているのか。

 

佐々木氏 当初の会期末を念頭においた文章だ。いよいよ政治の話題の水準がますますひどくなってきている感じが。ここでモノを言わないわけにはいかないということで準備をしていたが、その間にこういう事態になったということだ。特定、具体的なことはちょっと申し上げにくい。そういうことだ。

 

記者 野党の姿勢、自民について。菅首相では協力できないと言っているが、協力姿勢をどう取ればいいのか。

 

佐々木氏 実際、まだ衆院議員の任期は2年ぐらいある。解散総選挙がいずれ行われるにしても、本当に今のような二院制で持つのかということは、与党だろうと野党だろうとまじめに考えてもらわないと国民はたまったものではないということについて、野党第一党がどのような考えを持つのかをもう少し、内部的に詰めたお話を聞きたいという感じは持っている。

 

記者 「国民の自覚」という項目は「メディアの自覚」と言い換えるべきだと思うが、政治報道への注文を。

 

佐々木氏 私たちの世代だと、メディアは長期政権があったから政権に距離を置くスタンスを強く取ってきた経緯がある。それが(引っ繰り返った時に)どうするかという問題は課題としてある。

盤石の政権があって批判的に見る場合と、現在のように盤石とは違う状況になった時にどうするのかと。その辺は議論する余地はある。もちろんメディアは権力を批判的に考察する任務があることは、我々も思うが、敢えて言えば、すごい人が出てくると世の中が何変わるみたいな話はそろそろ卒業していただかないと。青い鳥を求めてさまよっているみたいな感じは長期的に見て果たしてプラスかなあということは端々ににじみ出ている。

 

記者 提言で「自民党に首相の座を譲れ」と。2009年の総選挙で現政権を選んだ。総選挙を経ないで変えることをどう理解したらいいのか。

 

佐々木氏 ある意味で覚悟を求めた文書だ。非常にすごいスピードで連立の話を色々出してくるような場合、どこまで覚悟があって、そういう話をしているのかなあという時に、このぐらいのことを頭の中に入れておいてもらわないと話が上滑りになりはしないかということで。

 

 …一つ、私が佐々木氏に共感を覚えたのは、民主党政権が「政治主導」という言葉を貶めたという指摘です。この点は私も、鳩山前政権時代からかねがねそう感じ、また書いてきたことでもあります。

 

 鳩山、菅と2代続いたあまりにも愚かでどうしようもない「政治主導」によって、本来、政治主導という言葉が持っていたはずの理想や目的は穢され、今となっては迂闊に「政治主導」などと口に出すのは恥ずかしいほどになってしまいました。この罪は重いと考えます。

 

 あと、記者会見では曽根泰教慶大教授も以下のように語っていたので付け加えておきます。でも、最近は完全な開き直りの境地へと解脱し、もはや誰の声も耳目に届かない善悪・美醜・真偽の彼岸へと旅だった菅首相には聞こえないでしょうが…。

 

 曽根氏 一言で言えば今の民主党は政権の体をなしていない。本来であればこの状況で解散総選挙を行って、出直すのが筋だろうと思う。しかし現状、総選挙が難しい状況では、事態収拾の道筋をつけるために、その責任を首相が取るべきである。首相は会期末までに退陣時期を明らかにし、明らかにすることによって代表選から与野党協議、首班指名に至る手順、道筋を早急に決定し、国民に示す必要がある。

 

 

 

 「お遍路に行きたいな、次の寺が『延命寺』と言うらしいんだよ」

 

 菅直人首相は8日に民主党の若手議員と飲み会を開き、こう言って笑っていたそうです。菅首相は四国霊場88カ所巡りで、53番円明寺(松山市)まで参拝済みで、次が「延命寺」(今治市)にあたるとのことですが、いやはやなんとも…。

 

 首相の椅子に座ると、周囲の追従や都合のいい情報しか耳目に入らなくなり、自我が肥大した揚げ句、自分がいなけりゃ地球は回らない、まして日本は沈没してしまうという妄想に囚われると言います。11日に岩手県釜石市を視察した際には「決然と生きる」と寄せ書きしたそうですが、もう何が何やら分からないのでしょう。

 

 こんな状態を「裸の王様」というのでしょうね。菅首相は党内からの「やめてけれ」「やめてけれ」「やめてけ~れ、カンカン」の大合唱もまるで聞こえない様子で、お盆以降も続投する構えを示しています。まさに、のれんに腕押し、糠に釘、であります。

 

 そこで本日は、ここ1週間ばかりの新聞記事・通信社の記事の中から、「辞めろ」というのが当たり前の野党議員を除く、与党・関係者の早期辞任要求のコメントを集めてみました。もちろん、これは氷山の一角に過ぎませんが。

 

6日

 日本経団連・米倉弘昌会長「自分が捨て石になり、日本の復興のために尽くしてほしい」(記者会見)

 仙谷由人官房副長官「自民党や公明党に話して、内々の合意ができれば(退陣は)早い方がいい」(BS番組)

 西岡武夫参院議長「菅首相が辞めるタイミングは2つ。即刻お辞めになるか、赤字国債を発行するために必要な特例公債法案を6月中成立させてから。それ以外にはない」(記者会見)

 

7日

 大畠章宏国土交通相「早急に一つの結論をつけることが大事ではないか」(記者会見)

 民主党の樽床伸二元国会対策委員長「政治空白を1日でも短くし、新しい態勢を早期につくるべきだ」(会合)

 民主党の旧民社系グループの田中慶秋衆院議員「赤字国債発行法案成立を花道にすべきだ」(会合)

 民主党の安住淳国対委員長「(党代表選は)7月上旬もあるだろう」(自民党の逢沢一郎国対委員長との会談で)

 民主党の平田健二参院幹事長「2次補正どころではない。やらなければならないのは、民主党の新しい代表を早く決めることだ」(記者会見)

 民主党の渡部恒三最高顧問「一番いい姿は早く辞めたいと(首相が言うこと)」(記者団に)

 前原誠司前外相「トロイカの皆さんは民主党を政権交代に導いた功労者だが、そろそろ力を借りなくともわれわれの世代が、若い世代と一緒にやっていく形に変えたい」(BS番組)

 

8日

 民主党の輿石東参院議員会長「(菅首相が主張した)12月まで(国会会期を)延長という話もあったが、もう一度、きちっと考え直さなければならない」(党参院議員総会でのあいさつ)

 民主党の岡田克也幹事長「幹事長の仕事は2つ。(首相を)徹底的に支えることと辞めどきを間違えないようにすることだ」(会合)

 

9日

 渡部氏「首相は1日でも、1秒でも早くお辞めになるべきだ」(記者団に)

 

日

 連合の古賀伸明会長「この状況が続けば政治空白が1日1日とつながっていくことを懸念している」(菅首相との会談で)

 

日

 仙谷氏「次のステップを踏むために身を投げ出していただくしかない。ある種のけじめをつけないといけない。政治が第2ステージに入っているのに、本人が無理に頑張り抜くと、本人のためにも良くない」(BS番組)

 藤井裕久首相補佐官「(2次補正予算案の処理は)これは今の首相じゃないのかもしれない」(民放番組収録)

 前原氏「特例公債法案成立など財源の道筋を示す意思がないなら、1日も早く辞めてもらいたい。政治空白が生まれる」(記者団に)

 民主党の川内博史衆院議員「混乱の原因は菅さんだ。新体制をつくるべきだ」(民放番組)

 

日

 仙谷氏「(6月いっぱいがめどかとの質問に)その辺で収斂していくのかなと感じている」(記者団に)

 仙谷氏「菅首相が辞めることで公債発行特例法案の成立を(野党に)約束してもらうことが重要だ」(民放番組)

 安住氏「公債法案を菅内閣で成立させるため、首相に早晩、決断してもらう環境づくりをしたい」(NHK番組)

 渡部氏「早ければ6月、遅ければ7月だ」(記者団に)

 

 …まあ、ざっとこんな感じです。こうしてみると、もともと菅首相の女房役であり、いまも菅内閣の高官である柳腰姐さんが強く早期退陣論を発信しているのが分かりますね。身近な場所で菅首相を見てきただけに、そのダメさ加減がよく理解できているのかもしれません。

 

 ところで、昨日は新聞休刊日だったもので家族とドライブし、あるお寺に立ち寄ったところ、こんな御守りを見つけ増した。買い求めて菅首相にプレゼント…するわけもなく、「なんだかなあ」とつぶやきつつその場を立ち去った次第でした。

 

     

 

 それと、講演会の告知を依頼されたので、ここに掲載しておきます。菅政権の突出した「卑怯」について、当事者の貴重な証言が聞けることと思います。

 

 

 

 

 一色正春さん講演会開催

 

平成23年7月14日(木)、一色正春講演会「一人ひとりに考えてほしい、日本再建への針路~“sengoku38”からのメッセージ」が開催されます。

真実が闇に葬り去られる危機に、男は“sengoku38”になった。その後、5ヶ月にも渡る、1人きりの戦い。そこで見えてきた政権の悪意、既存メディアの情報操作。

政権が、「本当に大切なこと」を覆い隠そうとする理由とは?

尖閣、竹島、北方領土日本を取り巻く外敵とは?

外敵との摩擦を恐れる政権日本が抱える内なる敵とは?ぜひお聞き頂きたい講演会です!

会場は練馬文化センターつつじホール(練馬区練馬1-17-37。西武池袋線練馬駅から徒歩1分)

 

18:30受付開始、19:00講演開始。

 

進行:上島嘉郎(別冊正論編集長)。

 

参加申し込み締め切りは7月5日(火)入金(1000円)分まで。定員以上に達した場合を除き、一旦入金いただいた入場料はお戻しできませんので、ご了承ください。

 

主催:産経新聞サービスセンター練馬区支部会。

 

お問い合わせ先:03(3924)3881

 

 

 本日は、人は過度のストレスを受け続けると、過剰適応からなのか、ときとして奇妙に倒錯した心理に陥ってしまうというお話です。

 

 よく言われる例として、虐待を受けた児童や家庭内暴力を振るわれ続けた妻がすべて自分が悪いと思いこむとか、誘拐・監禁の被害者が犯人を味方だと信じ込むとかありますね。まあ、「何とかして状況を把握、理解、納得したい」という人間の心理が、極限状況にあって、間違った結論でも何でもいいから一つの解答を求めるのかなと、そういう気がします。

 

 いったい何でこんなことを言い出したかというと、昨日の自民党のグループ「のぞみ」の会合で、山本有二会長が逆説なのか何なのか、次のようにあいさつしたことを知ったからです。

 

「特に私が感心をするのは、菅直人首相の粘り腰、権力の座に執着するがごときその強さ、私は一定の政治家として高い水準の力を持っていると逆に思っている」

 

 これは、どうなのでしょうね。山本氏の本心なのか、あるいは痛烈な皮肉なのか、私は直接その場にいて確かめたわけではないので分かりません。

 

 ただ、この例に限らず、辞意をちらつかせて内閣不信任決議案を否決に持ち込み、否決されるとただちに手のひらを返した菅首相の恥も外聞もなく、身も蓋もない国民不在の居座り戦術について、「したたか」であるとか「タフ」だとか、一定の評価をする声があるのは事実のようです。

 

 政治家の「しぶとさ」「生命力」を、実態以上に高く買い、称賛する声がけっこうありますが、私は度を超した保身・延命力を評価するのは、切っても切っても再生するプラナリアや、摂氏150度以上の高温下でも、マイナス150度以下の低温下でも生存可能なクマムシの類を尊敬し、崇拝するようなものだと思うのです。

 

 まして、菅首相の場合は、本当に強いと言うより、人の心を持たない無神経と鈍感さゆえに、ことの重大性も何も分からず、ただ無為徒食の日々を過ごしているだけですから。菅政権の1年間を振り返る各紙の総括記事の見出しをみると、

 

 産経「失政、居直り、不毛な〝功績〟」

 朝日「菅政権 乏しい実績」

 日経「菅内閣 成果乏しく」

 毎日「言いっ放し 菅政権」

 読売「〝有言不実行〟乏しい成果」

 

 と見事に足並みがそろいました。誰がどうひいき目に見ても、居座って偉そうな口をたたいていただけで、仕事らしい仕事はしておらず、何の結果も残していないからでしょう。こんなのが、ただ、しぶといだけで評価されていい道理はありません。むしろ、日本にとって必要な政策も進まず、法案も通らない現状は、菅首相による人災そのものです。この現実は直視しなければなりません。

 

 本日の参院予算委員会で、菅首相の実際について、自民党の義家弘介氏がうまい指摘をしていたので、紹介します。

 

「菅首相の辞める辞めないのドタバタの中で、鳩山由紀夫前首相が『ペテン師』『詐欺師』と、ルーピーがライヤーを叱ったわけですけれども、まさに、古典的詐欺のパターンだと思えてなりません。よくある古典的詐欺で、消火器の詐欺ですけれども『消防署の方から来た者ですけれども、消火器買っていただけませんか』と。問題になったら、『いやいや、私は消防署の人間だと言った覚えはない。消防署の方角から来たといって買ってもらったんだ』という言い訳をしているに等しい」

 

 …菅首相のやり方、政治手法を実に上手に言い表しています。本当に子供の教育に悪い政権です。

 

 ただ、私は最近つくづく思うのです。これは新聞紙面やこのブログを通じた不特定多数のみなさんとのコミュニケーションでも日常の知人との会話でも同じなのですが、極端すぎるもの、あまりにひどすぎる事実は、なかなか相手に伝わららないものですね。

 

 「まさかそれほどではないだろう」「常識的にそれはない」「誇張じゃないか」と思われるのも無理はないのでしょう。菅首相のように、ふつうの人の想像を絶するような無能、無見識、心のなさは、ありのままを描いても伝わらないものだと感じています。情報の受け手の良識が、かえって「それはちょっと違うだろう」と判断してストップをかけてしまうのでしょうね。

 

 そして、それに助けられて、菅首相のような人モドキがのうのうと生き延びると。やはり、私は原生動物の類の生命力をうらやましいとも思いませんし、それを評価したり、ほめたたえたりしようという気にはなれません。

 

 

 もう、菅政権や民主党のことはあまり触れたくもないのですが、それでも日本の前途を左右する立場にいる人たちのことなので、無視してそれで済ますわけにはいきません。

 

元祖ペテン師にペテン師よばわりされるペテン師によるペテン政権の命脈も、ようやく尽きようとしているように見えますが、ペテン師が今どんなペテンを企み、仕掛けようとしているか分かったものではありませんね。

 

 一つ言えることは、ペテン師がこの先、どんなことを言おうと、みんな「もう騙されるもんか」と身構えているので、誰も何も信じず、動こうとせず、ペテン師が本当に消え去るまでは政治はいよいよ動かないということです。

 

 で、そんな中にあって、かつてペテン師を支え、今は疎まれている柳腰姐さんが再び存在感を発揮しています。次の首相は現在、前原誠司前外相か野田佳彦財務相かという下馬評で、どちらが首相の座を射止めても柳腰姐さんが幹事長になるのではないか、という見方が出ています。

 

 いや、それどころか、パワーバランスの妙にうまく乗じさえすれば、この「地球市民」を夢見るほっそりとした誘うような腰つきが色っぽい首相が誕生してしまうかもしれません。悪夢は続きます。ホント、いつになったら覚めてくれるのか。

 

 そこで本日は、柳腰姐さんの著書「想像の政治 政治の創造」から、この少々、下品な、あるいは悪ぶっている人物の言葉を引き、その思想を知る参考にしてもらおうと思います。この本、現在ではけっこう稀少本のようです。

 

 《私たちが若かりし頃、社会主義を夢見たのは、資本主義社会には、飢える自由と抑圧される自由しかなく、腐臭紛々たる権力闘争がはびこり、人々は一人ひとり利己的に分断させられ、競争に駆り立てられていると認識したからであり、社会主義社会には個人の完全な自由がもたらされ、その能力は全面的に開花し、正義が貫徹しているというア・プリオリな思いからであった》(P14~15)

 

 …時代の病だったのか、人間理解や社会理解がとてつもなく浅かったのか。何がア・プリオリなんだか。

 

 《生徒会民主主義で育ち、人権尊重をかけがいのない価値であることを体得している世代が一人ひとり自立して政治を想像し、創造する時期である》(P26)

 

 …「生徒会民主主義」ですか。ふむふむ。民主党政権を見ていると、何やら妙に納得できるような気がします。

 

 《私は、国際機関にある程度の国家主権を移譲していくことが時代の流れだと考えている。(中略)自衛隊が国家権力と切り離されて、日本の戦力・軍隊ではなく、世界の警察として機能するというなら、それでいいのではないかと思う。昨日までの自衛隊の基地に国連旗が翻り、今日から日本の権益と切り離された国連軍になるのなら、けっこうではないか》(P95~96)

 

 …どこか政敵であるはずの小沢一郎元代表の考え方と共通する「空論」ですね。

 

 《1945年8月15日の時点で主として38度線以南からサハリン(旧樺太)に強制連行され、そこで生活していた韓国人は約4万3000人いた》(P103)

 

 …でたらめ。実際は徴用以外でサハリンに来た人が大部分。

 

 《65年日韓条約の存在(サハリン残留韓国人問題はこの対象外というのが法的にも素直な解釈であろうが)もある》(P106)

 

 …めちゃくちゃ。まあ、柳腰姐さんは、日韓基本条約締結の反対デモに参加していた人ですからねえ。

 

 と、ここまで書いたところで本業の方の仕事が入ったのでこれまでとします。しかしまあ、ペテン師の辞任表明を受けて、「一難去ってまた一難」ならぬ「国難去ってまた国難」という感じですね。

 

 

私は今回の菅直人首相による「退陣詐欺」を受けて、昨日のエントリで「各紙の社説・論調もこれから菅首相の退陣を求める方向に大きく舵を切っていくことでしょう」と書いたのですが、きょう、朝日新聞の朝刊を読むと早速、朝日が菅首相に厳しく矢を放っていました。ははは。笑ってしまいます。

 

 1面では、もともと菅首相の指南役だとも目されていた若宮啓文主筆が「首相は潔くあれ」という論文を書いていました。そこにはこうありました。

 

 《こうなった以上は潔く早期退陣を鮮明にし、政治の局面転換を急ぐよりあるまい。》《ここで居座っても思いは遂げられまい》《6月末には復興構想会議の第1次提言も出される。それも首相が退陣の目安とする復興への「一定のメド」と考えてはどうか》

 

 また、社説は「菅さん、それはない」という題で、次のように書いています。

 

 《与野党議員を欺いた発言に、「菅さん、それはないでしょう」というしかない》《いったん辞意を口にした首相が、退任時期を示さないまま地位にとどまり続けるのは無理がある。政治不信をさらに膨らませるだけだ》

 

 …菅首相の応援団の主要な一角が崩れました。はい、弊履のごとく捨てられました。これも自業自得としかいいようがありませんね。菅氏は今後、政治的にのたれ死にしていくのでしょうが、もう骨を拾おうという人も出てこないのではないでしょうか。

 

 今朝の産経にも書きましたが、私はもともと、メディアが「いまこの時期に首相を代えている場合ではない」と主張することに強い疑問を覚えていました。だって、それは裏返せば「首相なんて誰がやっても変わらない」という政治的ニヒリズムの表明でしかないわけですから。そして、少なくとも政治の現場を知る者であれば、首相が代われば政治は大きく変化することをよく知っているはずだからです。

 

 ただ、これだけ露骨なペテンを働いたにもかかわらず、共同通信が2、3日両日に実施した世論調査では、菅首相が「辞めるのは当然」(48.1%)と、「辞める必要はない」(45.1%)が拮抗していました。

 

 その原因は、私が考えるに一つには、2日の時点では、菅首相のペテンの裏舞台が国民に十分に周知されていなかったことがあると思います。不信任決議案が否決されたのだから、続投は当然だと素直に受け取った人も少なくなかったことでしょうし。

 

 そしてまた、それ以上に重要な要因が二つあると思うのです。

 

 それはまず、菅首相の前任者がルーピーこと鳩山由紀夫前首相なので、どれだけ愚かで卑しい振る舞いをしても、ついついみんな「ルーピーよりましだろ」と思いがちだということがあります。菅首相の無意味で有害な言動も手伝って収束が遅れている原発事故にしろ、「もし首相がルーピーだったら…」と考えると、空恐ろしくなって菅首相でいいかも、と考える人もいるでしょう。私は必ずしもそうは思いませんが。

 

 また、次に考えられるのは、今回の民主党内のゴタゴタにしても、菅首相が対立しているのが主に「小沢一郎氏とその取り巻き」と見られていることが大きいのではないでしょうか。そしてそれにルーピーズが加わっていると。菅内閣の閣僚の一人は、昨年九月の代表選で菅首相に投票した理由についてこう述べています。

 

 「決して菅がいいと思ったわけではない。どっちの悪魔を選ぶかの選択だった。究極の選択だった」

 

 この代表選は当時、「赤(菅首相)と黒(小沢氏)」の戦いといわれましたが、鳩山氏と小沢氏のペアはいわば「バカと黒」です。これでは相対的に菅首相でもいいや、という結論になるのも無理はありません。

 

 民主党はここ何年も、この鳩山、小沢、菅各氏の「トロイカ」体制で党を運営し、これに輿石東参院議員会長を加えて「トロイカプラスワン」などと呼ばれてきたわけです。いかに最低か、今こそ万人の目にも明らかになったことでしょう。ちょっと遅すぎた、いや大いに遅すぎた点は否めませんが。

 

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