2011年09月

 

 本日、ある文章を読んでいて、発作的に政治知識テストを実施したくなったので、お時間のある人、興味のある人はおつきあいください。私はこの文章から「日本の政治って」「人間って」……と、何の益もないつまらない感慨に囚われてしまったので、同じ思いを他者にも味わってもらおうと用意しました。

 

 【問題】ある指導者が発表した次の文章を読んで、「A」「B」にあてはまる人物を想定し、質問に答えよ。

 

 《腹囲が85センチメートルを超えると「メタボリック症候群」に注意しなければならないように、(中略)膨らんだ衆院で300を超える大勢力は、必ずその体質に病弊があらわれるだろうと予測した。

その兆候は確実に見えつつある。A発言をはじめとする相次ぐ閣僚の失言は、おごりと気の弛みのせいだろう。国会論戦が本格化すれば、不適格閣僚が居並ぶB内閣はもっとボロを出すに違いない。政治とカネに関しても自らがしっかりと襟を正しながら、徹底して疑惑追及すべきだろう。

いずれにしろ、B総理の任命責任が厳しく問われる》

 

【1】       Aは次のうち誰か

 

(1)鉢呂吉雄前経済産業相  (2)松本龍前防災担当相 (3)柳田稔元法相 (4)前原誠司元外相 (5)柳沢伯夫元厚生労働相 (6)福島瑞穂元消費者担当相

 

【2】       Bは次のうち誰か

 

(1) 鳩山由紀夫氏 (2)菅直人氏 (3)野田佳彦氏 (4)麻生太郎  (5)福田康夫氏 (6)安倍晋三氏

 

【3】       この文章を書いた指導者は何が言いたかったのか、あるいは何を示したかったのか。以下から選べ

 

(1)        「失敗したっていいじゃないか人間だもの」は名言である

(2)        私は類い希なブーメラン投げの名手である

(3)        私は自虐ネタで笑いをとるのが好きである

(4)        歴史は繰り返すという真理を国民に広めたかった

(5)        まさかこんなことになるとはつゆにも思わなかった

(6)        昔も今も私は何も考えていない

 

 

 

 

 

 

 ※ヒント・出典は夕刊フジコラム、答えは………ドングリがお池にはまると出てくる人にでも聞いてください。それにしても、就任後国会を8日間で閉めた前首相が批判を浴びたんだから、4日間で閉じればなんと言われるかぐらい、分かりそうなものですが。やはり、「不完全内閣」という自覚が強くあるのでしょうね……。

 

 

 きょう、臨時国会が開かれて野田佳彦首相が所信表明演説を行ったわけですが、ああ、この人はやはり菅直人前首相を反面教師にしているなあ、という印象を濃くしました。野田首相は菅氏があまりにもアレだったので、今後、何をやってもやらなくても「まあ、アレよりはましだし……」と許されてしまう局面が多々ありそうです。きっと、そういう点もご本人は計算しているのでしょうが、実際やりにくい。

 

 で、野田首相は演説の冒頭部分で、こう述べました。

 

 「政治に求められるのは、いつの世も、『正心誠意』の四文字があるのみです」

 

 これを聞いて「もしや」と思ったのですが、政府筋によるとやはり、これは勝海舟の次の言葉からとったものだそうです。

 

 「政治家の秘訣は、ほかにはないのだよ。ただ正心誠意の四字しかないよ」

 

 どうして私がこの点が気になるかというと、実は私も勝海舟の言葉のまさにこの部分を64日付の産経コラム「政論 死して屍拾う者なし」で引用していたからです。私はこの言葉を、国会で「誠がない」「信がない」「心がない」と批判されていた菅氏を批判する文脈で引用したのでしたが、全く同じところを野田首相が使ったのに興味を覚えたのでした。

 

 また、野田首相は演説でこう語った部分では、衆院本会議場がどうしてかどよめきました。

 

 「議会制民主主義の要諦は、対話と理解を丁寧に重ねた合意形成にあります」

 

 これも、「議会制民主主義とは期限を区切った独裁を認めること」が持論で、実際に国会でもそう答弁した菅氏と正反対のことを言っていると受け止めました。まあ、菅氏の逆をいけば、そうそう間違うことはないでしょうが、菅内閣の一員だった野田首相は、どんな思いで菅氏の言動を見つめていたのか。

 

 野田氏は829日の民主党両院議員総会では、こんなセリフも発していました。

 

 「思惑ではなく思いで、下心ではなく真心で、政治を前進させるときだ」

 

 これを聞いたときも、私は「これは菅氏への皮肉ではないか」と感じたのです。というのも、私は515日付産経コラム「日曜日に書く 心は見えずとも思惑は…」でやはり菅氏を批判してこう書いていたからです。

 

 「永田町ではこれをもじり、菅直人首相を当てこすったこんな言葉が流通している。『心はだれにも見えないけれど下心は見える』『思いは見えないけれど思惑はだれにでも見える』」

 

 野田首相の言葉は、私からみれば、そのまま菅氏への批判となりますし、実際、私と同じように感じる人もいるのではないかと思います。野田首相の党幹部・閣僚人事は問題だらけだと思うし、これからもどんどんボロが出そうですが、私もつい「アレよりはましだな」という野田首相の得点でも何でもない当たり前のことについとらわれそうになります。

 

 輿石東幹事長はきょうの党代議士会で「マスコミ対応を含め、情報管理に徹底してまいりたい」と堂々と述べていましたし、野田政権について今後もいろいろな角度から問題点を指摘していかないといけないと考えています。前任者も前々任者もあまりに常軌を逸していたため、野田首相がついまともに見えてしまうという陥穽に落ちないよう、気をつけたいと思います。

 

 

 日教組の組織内議員である鉢呂吉雄経済産業相が、福島第1原発視察から帰京後、記者に「放射能をうつしてやる」とふざけて防災服をすりつけたという心ないエピソード(ご本人はよく覚えていないとのこと)から、先日、福島市在住の読者から私宛てに届いた手紙を思い浮かべました。

 

 放射能不安から仕事の契約がキャンセルされ、賃貸中の店舗の家賃収入も絶たれ、国税庁に納税の相談をしようと電話をかけるとぞんざいに扱われ……。手紙にはこう書いてありました。

 

 「私は甘えているのではありません。ただ無理に無理をしてがんばっている福島県民に何の保護も受けられない人もいることを知って、考えてもらいたいのです」

 

 そして、東京の電車内で次のような会話を耳にし、怒ることもできないほど打ちのめされたというのです。私もショックを受けました。

 

 「福島を東京のごみ置き場にしてしまえばいいのにね」「(そうしたら)年金も削られないかもね」

 

 ……軽口、冗談のたぐいなのでしょうが、やはり口にしていいことと悪いことがありますね。自戒も込めて言えば、想像力の欠如は罪だと思います。菅直人前首相は在任中、「歩く姿は風評被害」といわれるほど、無責任で場当たり的な発言を垂れ流し続けましたが、野田内閣の閣僚もアレに似たようなものでは困ります。

 

 政治家、特に責任ある首相や閣僚は、自分の発言が相手にどう受け取られ、どんな影響を及ぼすか当然、考えてしゃべってもらわないといけませんね。鉢呂氏は大臣と呼ばれるようになって舞い上がっていたのか何だか分かりませんが、あまりに軽い。「いいじゃないか、人間だもの」とはいきません。

 

 もううんざりなのですが、野田内閣の閣僚からはこれからも問題発言が飛び出しそうで、嫌な緊張を強いられます。藤村修官房長官は昨日のインタビューで早速、野田佳彦首相の持論であった集団的自衛権の政府解釈の見直しを否定しましたし、とにかく安全運転を心がけているようですが、菅氏のように最後まで「無免許」運転というようでは、安全も何もあったものではありませんね。

 

 ※追記

 自民党の石破茂政調会長がきょう、記者団に次のように述べていたので掲載しておきます。こういう反応が出ることを、どうして理解できないのか。やはり、石破氏の指摘するように、人間としての問題なのか……。

  

石破氏 経産大臣とか、政治家以前の問題で、人間としてどうなんだいということだと思う。辞任なさるか、そうでなければ総理が罷免をするか、そうでなければ(国会は)動きません。それはわれわれ党利党略で言っているんじゃなくて、この原子力災害からの復旧復興ということが野田内閣の最優先課題であり、国家の最優先課題です。

それを扱う経産大臣が、今ね、福島の子供たちがあちこち行ってどうやっていじめられているか。放射能来たぞっていじめられてみんな泣いているわけですよ。そういう子供たちや、あるいは農産物が風評被害で売れない人たちや、水産物が売れない人たちや、そういう人たちの気持ちを少しでも考えたら、絶対そんな行動に出ない。絶対出ない。それはうっかりしていたとか、配慮が行き届かなかったとかそんな話じゃなくて、そもそもそういう気持ちがないってことです。

被災者の気持ちが分からない人が、どうしてこの原子力災害の復興が担えるのか。私はそれは考えなくても分かることだと思う。これ以上もう論評したくないし、あまりに悲しいなという思いがします。

 

 

 

 まあ、どうでもいいような話なのですが、社民党を離党して無所属となっていた辻元清美前首相補佐官が、民主党入りするようですね。既定路線ともいえますが、昨日の記者会見で社民党の福島瑞穂党首がお怒りでした。ご自身も、鳩山内閣で閣僚だったくせに、よく言うよ、という気もしますが。

 

福島氏 先日沖縄に行ったら、沖縄のその場にいた女性たちと話をしていたら、彼女たちの方から辻元さんの話になった。「一生懸命応援して支援したのに裏切られた」と言って皆さんとても激怒していた。それは沖縄の女性たち、基地の問題、いろんなことについて裏切られたというので大変激怒をしていた。私はその通りだというふうに思う。

応援してくれた人や支援してくれた人や平和や基地で頑張るということを応援した人たちを裏切っていくことが、それは本人にとっても、1人の政治家としてもいいことではないと思う。だから理念よりも権力に近寄るという方を選択するというふうに思っちゃうんですね。でも理念はやはりとても大事で、平和とか基地とかいろんなことはとても大事なわけで、そう思う。

 私は彼女の一番いいところは権力に切り込んでいくところだというふうにずっと思っていた。その一番いいところを売りさばいてしまったら、本当にいいところがなくなっちゃうじゃないか。

 

 ……でも、旧社会党から民主党に鞍替えして栄耀栄華を楽しんでいる人は別に珍しくありませんから、辻元氏としては「私だけじゃない」と言いたいところでしょうね。だって、今をときめく輿石東幹事長も横路孝弘衆院議長も、鉢呂吉雄経済産業相も仙谷由人政調会長代行も赤松広隆元農水相も細川律夫前厚生労働相も松本龍前復興担当相も大畠章宏前国土交通相も岡崎トミ子元国家公安委員長も千葉景子元法相も、みんな社会党出身ですし。

 まあ、民主党は派閥の跡目争いに敗れた自民党旧田中派の面々と、それと地下茎でつながっていた旧社会党から逃げ出した連中が中心となってできているような党ですからね。こんなものでしょう。

 

とはいえ、将来は首相を目指すという辻元氏という人が、かつてどんなことを述べていたかを知っておくことは無意味ではないだろうと思います。そこで、辻元氏が村山富市元首相をインタビューする構成の「そうじゃのう… 村山富市『首相体験』のすべてを語る」(第三書館)から、いくつか言葉を拾ってみました。

 

  《天皇制について、私は個人的に反対。やっぱり抵抗があるというか、気持ち的に、何か天皇というのは……》(P65)

 

 《(村山氏が日米安保堅持と述べたことについて)でも、あれ、言い直したほうがよかったかもしれない》(P112)

 

 《テレビで見ているほうは、やっぱり村山さんが自衛隊の前で敬礼とかしちゃって、私なんかすごくショックだったんです》(P123)

 

 《私なんかが見ていたら、今、参議院に何期も通っていらっしゃる方とか、労組の上がりみたいに来ている方の中には、かえって世間知らずというか、自民党のほうがずっと市民的だったりするのにびっくりしたんですね》(P183)

 

 《この社会民主党という名前、私は好きなんです。社会民主主義にのっとった党ということで》(P215)

 

《なんか今では社民党のほうが新しい感じですけども。民主党のほうは労働組合が皆びたっとくっついている感じで、昔の社会党みたいな感じに私は受け取れるんですが》(P218)

 

 《何もかも総花的に同意した風を装って(某民主党のように)見かけ上の統一を強調するのではなく》(P234)

 

 ……私は一昨年97日付で外務省から官邸担当に異動になったので、今の部署ももう丸2年以上がたちました。その間、首相は鳩山、菅、野田と変わりましたが、もう飽き飽きしたというのが実感です。かといって、自民党も人材不足は否めませんし、小選挙区制のもとでは難しいと分かっているものの、政界再編が必要だなあとそう感じています。

 

 「事の上にて、機会というべきもの二つあり。僥倖の機会あり、また設け起こす機会あり。世人の唱うる機会とは、多くは僥倖の仕当てたるを言う。真の機会は、理をつくして行い、勢を審かにして動くというにあり。大事に臨んでは、是非機会は引起さずんばあるべからず」

 

 大西郷は、こう語ったといいますが……。

 

 

 さっき野田内閣の副大臣・政務官名簿が発表されたのですが、文部科学政務官に神本美恵子参院議員が、首相補佐官に水岡俊一参院議員が起用されていました。神本氏というと、福岡県教職員組合女性部長、日教組文化部長などを歴任したばりばりの日教組議員であり、自身のホームページでは、慰安婦問題で間違った事実認識に基づいて日本に公式謝罪を要求した米国のマイク・ホンダ下院議員と撮った写真を誇らしげに公開している人物です。また、水岡氏は元兵庫県教職員組合書記次長であります。

 

 いよいよ文教行政の本丸、そして官邸そのものに日教組が乗り込んできたわけです。日教組のドンである輿石東幹事長が押し込んだのだか何だか、とうとうここまで来たか、と戦慄を覚えました。「資源のない日本は教育立国を目指すしかない」と常々語っていたという野田佳彦首相は、いったいどういうつもりなのか。

 

 この人も、首相になれさえすればそれでいいというタイプの政治家だったということでしょうか。仮に内部に取り込んでこそそうした勢力を抑えられるという計算があるとしたら、それも甘い。まあ、輿石氏の言うがままか、何も考えていないというのが実態でしょうが。

 

しかしまあ、日本国民全体における保守派の数はせいぜい2割程度でしょうし、日教組議員が文科省に入るということにこうして懸念を表明しても、あまりピンとこない人の方が多いのでしょうね。これからの道のりも遠くまた険しいものとなりそうです。

 

 さて、ここでいきなり話は飛びますが、きょう雑誌「明日への選択」(9月号)を読んでいたところ、拉致被害者「救う会」副会長の島田洋一福井県立大教授のインタビュー記事が載っていました。7月中旬に拉致議連などと訪米した際のエピソードが語られていたので、その中でちょっと興味を覚えた部分を紹介します(下線は阿比留)

 

 島田氏 今回会ったカート・キャンベル国務次官補は、対北朝鮮政策について、ヒラリー国務長官の一番の助言者ですが、日本の反発を招いただけで何も達成できなかったヒル(ブッシュ政権時の国務次官補)の轍を踏んではならないとの意識はあるようです。(中略)

 ライス・ヒル路線とは終始相容れなかったドナルド・ラムズフェルド元国防長官にも会いましたが、彼は最近出した回顧録にこう書いています。北朝鮮に対しては、徹底的に圧力を加えれば、クーデターを通じたレジームチェンジ(体制転換)が可能であり、自分はその立場から制裁強化を推してきた。ところが、せっかく追い詰めたところで、一知半解のライス・ヒルが独善的に事を進めようとして、リチャード・ローレス国防副次官のような本当の朝鮮問題のプロを外し、揚げ句の果てに大失敗してしまったと。このラムズフェルドの指摘はアメリカ保守派の共通認識といえるでしょう。

 

 ……まだまだ興味深い証言は続くので、関心のある方は「明日への選択」を手にとっていただきたいのですが、これを引用したのは2日付のサンケイ・エクスプレス(EX)に同趣旨といえる記事が載っていたからです。EXの記事は、ディック・チェイニー前米副大統領の回顧録を紹介してこう書いていました。

 

 《チェイニー氏は回顧録で、ブッシュ政権2期目の国務長官だったライス氏が2008年に北朝鮮を訪れ、金正日総書記と会談する計画を立てていたことを暴露。北朝鮮を6カ国協議につなぎ留める見返りとして、テロ支援国家指定を解除するなど、北に弱腰な外交政策を推し進め、ジョージ・ブッシュ前大統領の「判断をミスリードした」と論じた。さらにライス氏について「(北朝鮮との)合意が目標になっていたようだ」と指摘し「(0810月に)テロ支援国家指定を解除した時は、核不拡散の分野で達成したことを大幅に後退させた悲しい瞬間だった」と厳しく批判した。》

 

 ……左派・宥和派の主張と論理に引きずられ、いろいろと判断を誤るというのは、日本だけの病ではないようですね。首相批判も政権批判も飽き飽きしたので、そろそろ何かしら称賛できる人が登場してこないかという切ない願いもあったのですが、やはりそれは無理というもののようです。

 

 「北風と太陽」という寓話は、子供のころ、初めて読んだときから「太陽と北風を同じ土俵で競わせるこの設定は無理があるだろう」と感じていましたし、とても太陽政策をとるような気分ではなくなってきました。

 

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