2011年12月

 

昨日のことですが、菅直人前首相はTBSの番組に出演し、MSN産経ニュースによると、政府が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を活用しなかった問題についてこう述べました。

「経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長(当時)から『SPEEDI』という言葉を(事故当初に)聞いたことを思い出せない」

 「思い出せない」って……。そして、菅氏はその上で「放出された放射性物質はどこにたまりやすいか。早い段階で的確に判断して逃げる範囲を決められなかったのは最終的に私の責任で、申し訳ないと思っている」と陳謝したそうです。

 

 まあ、これが国会答弁でも記者会見でも「首相としてやるべきことはやった」と何度も胸を張ってきた菅氏の実態ですね。何をやってきたんだか。この人についてはもう触れたくもないのですが、前回のエントリで鳩山由紀夫元首相に言及してしまったので、毒を喰らわば皿までの心境で取り上げました。

 

さて、新聞紙面では以前書きましたが、私の取材では、SPEEDIについて保安院と文部科学省に「勝手に情報を出すな」と3月17日に指示したのは当時の枝野幸男官房長官(現経済産業相)です。そしてこの日、東電福島第1原発から比較的離れているにもかかわらず、後に全村避難となる飯舘村付近で高い数値が観測されていたそうです。

 

これは、事実関係を知る政府関係者が証言したものですが、だとすると、SPEEDIの不活用どころか隠蔽になりますね。政府関係者は「まあ、震災発生直後の大混乱期で枝野さんも混乱していたから…」とかばいはしまたが、官邸内ではその後、SPEEDIについて「官房長官の指示とはいえ、早く公開した方がいいのではないか」と何度も議論されていたそうです。

 

 というわけで、前振りが長くなってしまいましたが、私は昨日、福島市飯野町の福島市役所飯野支所内にある飯舘村の飯野出張所(避難後の村の拠点)に行き、菅野典雄村長に話を聞いてきました。菅野氏にインタビューするのは4月末か5月頭ごろに行って以来、2度目です。

 

     

     (※飯野支所内の看板はささやかなものでした。)

 

 村の現況その他いろいろと聞きました。できるだけ村にとどまることを模索した菅野氏に対し、以前は多かった激烈な批判メール(「村民をモルモットにするな」など)が減り、だんだんと励ましが増えたそうです。その中で、菅野氏が菅氏に対して、こう吐き捨てたのが印象的でした。

 

     

 

 「菅さんよ、首相を終えたのなら、四国にお遍路に行くんじゃなくて、仮設住宅を歩くのが普通じゃないかと言いたい。悲しいですね……」

 

     

     (※飯舘村が隣接する川俣町で建設を進めている村立小学校の完成予想図。村長室に掲げられていました。

 

 菅野氏は、前回話を聞いたときも、菅首相(当時)をはじめとする菅政権の「心のなさ」を批判していましたが、やはりその思いに変化はないようでした。ごく当然のことだと思います。しかし、こうした被災地の声も、菅氏には決して理解できないのだろうなとも感じました。なにせアレだから

 

     

(※飯野町のあちこちで実をつけている柿が立派なので、写真に収めたところ、なんかちょっとシュールな感じに…)

 

 

 さて本日は、参院の「沖縄及び北方問題に関する特別委員会」が来年1月に予定している沖縄視察をめぐり、当初予定されていた自衛隊機による尖閣諸島の上空視察が、民主党の理事による強硬な反対で取りやめになりそうだという問題について書きます。

 

 これは、同委員会に所属するみんなの党の江口克彦最高顧問が明かした怒りの告発です。江口氏によると、視察は1月17日から19日までの予定で、二日目に那覇から宮古島へと向かう際に、尖閣諸島の上空視察が組まれていたそうです。

 

   

 

 ところが、同委員会の民主党理事である相原久美子氏(自治労議員)が先日、江口氏を訪ねてきて、「こういう視察日程にしたい」と新しい視察スケジュールを提示してきました。それには、当初あった尖閣諸島の上空視察が抜け落ちていたため、江口氏がなぜかと尋ねると、相原氏はこう言い放ったそうです。

 

 「中国を刺激するからやめる!!

 

 これに激怒した江口氏でしたが、新日程にはこのほかにも多々納得がいかない点がありました。視察先をみると、「県庁」「那覇市母子生活支援センター」「宮古島メガソーラー実証研究設備」「製糖工場」「沖縄県立宮古病院」……などとあるのに、肝心の名護市辺野古もなければ、名護市長や沖縄県知事との会談もセットされていません。

 

 江口氏が相原氏に、「名護市長との会談や辺野古視察はないのか」と聞くと、相原氏は「その予定はない」とのことでした。さらに、「県知事には会わないのか」とたたみかけると、「会おうとは思う」みたいなはっきりしない態度だったそうです。そこで、江口氏が県知事秘書室に確かめたところ、「そんな連絡はないし、知らない」との回答でした。

 

 江口氏は、「これでは物見遊山ではないか。一体何のために行くのか」と怒り心頭に発し、相原氏に尖閣視察などを加えるよう再考を求めましたが、それっきり、もう国会も会期末だというのに返事はこないとのことです。

 

 そこで江口氏は、同委員会の自民党の理事にも話をし、やはり尖閣視察などを入れるように働きかけましたが、自民党理事も「民主党側に言ったが、返事が来ない」と当惑していたと言います。江口氏は、私にこう語りました。

 

 「民主党政権の外交は『ひれ伏し外交』であり、あまりに腹立たしい。国民のことを考えていない。亡国の政党だと思う。民主党政権で日本がよくなる可能性は、ない。今の日本を不幸にしているのは民主党政権そのものだ」

 

     

 

江口氏の民主党政権批判は激烈でしたが、私には頷けるものでした。ちなみに相原氏に関しては、2007年8月11日のエントリ「解放新聞と自治労と『戦争ができる国』」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/263931/)でも取り上げているのでご参照ください。

 

それと、話は飛びますが、鳩山由紀夫元首相の破壊力は健在ですね。彼が何か口にするたびに手順・手続きは吹っ飛び、物事はぶっ壊れ、すべてが水泡に帰していきます。きょう、彼が国会で演説するのを久しぶりに見て、「ルーピーー!」と大声で叫びたくなりました……。

 

 

 今朝の新聞各紙は、総務省が11月30日付の官報で公表した平成22年分の政治資金収支報告書(同省所管の中央分)に関する記事をあれこれ載せています。まあそれは、新聞を手にとってもらえば(ウェブニュースでも)分かるので、関連して私が気になったことを記しておきます。

 

 それによると、「民主党の小沢一郎元代表が幹事長だった1月から5月にかけて、使途を明らかにする法的義務がない『組織対策費』として計8億9700万円を党本部から幹部4人に支出していたことが判明した」とあります。

 

 内訳は、佐藤泰介財務委員長に8億6700万円

 

     輿石東参院議員会長に2000万円

 

     山岡賢次国対委員長に500万円

 

     石井一選対委員長に500万円

 

 となっています。この数字を見てピンときた人がいるかどうか分かりませんが、実はこれは昨年9月7日の私のエントリ「夕刊フジに届いた『怪文書』と組織対策費」(http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1784440/)の中で、「怪文書」として取り上げた資料に記されていた数字とぴたり一致します。資料は写真も掲載していますので、関心のある方はご参照ください。

 

 ちなみに、佐藤氏は元愛知県教職員組合委員長であり、山梨県教職員組合委員長出身の輿石氏とはツーと言えばカーの間柄ですね。

 

 当時は菅直人前首相と小沢氏が争った民主党代表戦の最中でした。夕刊フジに届いた差出人不明の「怪文書」は19年~22年分の民主党の組織対策費の支出一覧で、党の経理帳簿からのコピーとみられましたが、真贋は分からないので「怪文書」として掲載しました。

 

 それが、未公表だった22年分の数字まで符合したわけです。先のエントリをアップした際には「『怪文書』の域を出ないトンでも資料でしょうが…」とのコメントもいただきましたが、これでかなり信憑性は高まったと言えるでしょう。まあこれは、当時の菅陣営によるよくいえば内部告発、ありていに言えば小沢陣営へのネガティブキャンペーンということでしょうね。

 

 でも、この政党の官房機密費ともいわれる組織対策費については、菅政権時代の財務委員長だった小宮山洋子現厚生労働相もまともに情報公開しませんでした。実態が表に出ると、小沢陣営だけでなく、党全体がダメージを受けることを心配したのだろうと推測しています。

 

 新生党、新進党、自由党、民主党……と、小沢氏が党のカネを握って支出した計100億円もの組織対策費が、報告書上は受け取ったことになっている政治家当人も身に覚えもなく、何に使われたか分からないまま闇に消えていることはこれまで何度も書いてきました。

 

 もちろん、この組織対策費は民主党だけでなく、自民党も支出しているわけです。ここらで、こんな不透明な政治資金の使い方はやめるよう、与野党で合意し、政治資金規正法改正につなげてほしいものです。

 

 ちなみに、見通しのないただの空想ではありますが、私は国会議員の歳費と公設秘書数は倍増し、その代わりに議員定数の大幅削減(議員を減らせば国会の衛視などの定員も減らせます)と政治資金規正法の規定・罰則の強化、厳罰化を図るべきだとの考えです。

 

 小沢氏自身もかつて「政治にはカネがかかるものだ」と強調していましたが、現行の歳費・手当だけでは私設秘書を何人か雇って地元などに事務所を置き、後援会報を発行するような余裕はありません。

 

 政治家が、ヘンな誘惑にかられたり、金策に走り回ったりせずに国政に専念できるような制度整備も必要だと思います。まあ、実際はなかなか理解の得られる話ではないし、実現困難なことはよく分かっていますが。

 

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