本日は角度を変えて、福島第1原発事故に対する当時の政府対応に対し、海外の専門家はどう見ているかについて、最近の新聞記事を引用して少し触れようと思います。ここのところ取り上げている菅直人前首相とその周囲にいた政治家たちの「過剰な介入」(民間事故調の調査報告書)のあり方を考える上で、一定の参考になると思います。

 

 《スウェーデン保健福祉庁長官のラーシュ・ホルム氏は、(政府の対応は)一義的に収束の責任は事業者にあるとする国際原子力機関(IAEA)の原則に反していたと疑問視。「トップがすべてを判断することはリスクが高い。首相が判断を間違えても誰も進言できない(ホルム氏)との指摘もあった。》(政府の事故調会合で、25日付東京新聞)

 

 《米原子力規制委員会(NRC)のメザーブ元委員長は、原発外での対応について「トップで判断するより、必要な機関への権限委譲でもっと適切な決定ができた可能性がある」と指摘した。》(国会の事故調で、28日付毎日新聞)

 

 《(メザーブ氏は)菅直人首相(当時)が格納容器のベント(排気)を指示するなど事故の初動対応が首相官邸主導で行われたことに、「米国では大統領が意思決定することは考えられない」と述べ、指揮系統のあり方に疑問を示した。》(同、28日付東京新聞)

 

 ……まあ、つまるところそういうことでしょうね。朝日新聞は昨日の朝刊で、なぜか他紙から丸一日遅れて「民間事故調 菅氏の原発対応を批判」と書き、事故調委員長の北澤宏一・科学技術振興機構顧問が記者会見でこう述べたことを紹介しています。

 

 「官邸主導による目立った現場への過剰介入があった。そのほとんどは有効ではなかった」

 

 また、民間事故調の調査報告書には、班目春樹原子力安全委員長が、怒鳴り散らす菅氏の弊害について次のように証言していることが記されています。

 

 「私としてはもっといろいろ伝えたかった」「菅首相の前で大きな声で元気よく言える人は、相当な心臓の持ち主

 

 班目氏の言い訳ととれなくもありませんが、政府の公文書管理委員会が29日まとめた「議事録未作成問題」に関する関係省庁ヒアリング調査でも、同様の回答がみられます。今朝の産経新聞で、半沢尚久記者はこう書いています。

 

 《高圧的に〝政治主導〟を振りかざす菅直人首相(当時)ら政府首脳陣におびえ、録音の許可さえ切り出せなかった官僚の萎縮ぶりを浮き立たせた。

録音する了解を本部長からとることは困難な状況だった」。原子力災害対策本部の担当者はこう証言した。本部長とは菅氏を指す。「事務方でメモを作成していたが、本部員の確認を経た正式な議事概要は作っていなかった」との釈明は、首相や閣僚ら本部員が議事録作成を了解しなかったこと暗示している。》

 

 ……まあ、これも官僚が情けないということは言うまでもありませんが、いくら菅氏らが言い繕っても、同時に、原発事故対応での数々の不手際や失敗のかなりの部分は、菅氏の属人的問題に起因することは否めないということは明らかだと思います。

 

 読売新聞が出した「亡国の宰相」という本の帯に、「天災を人災に変えた」とありましたが、菅氏を今になっても擁護したり、持ち上げたりする人は、いったい何をどう見てそう言っているのか不思議でなりません。