2012年05月

 

 今夜は東京都内で民主党の仙谷由人政調会長代行のパーティーがありました。で、そこで輿石東幹事長が、旧社会党当選同期生としてあいさつしたのですが、その内容に笑いが止まりませんでした。輿石氏はこう述べたのです。

 「私とちっと似てるところがあるかもしれない。あまりマスコミを好きではない。まあ私よりずっと品がいいし、愛嬌がいい

 アハハハハ……あの言わずもがなの挑発、暴言でまとまるものもぶち壊し、その必要もないのに我田引水、牽強付会な議論をふっかけ、無意味に法律用語を駆使してシロをクロといいくるめて相手を納得させるどころかかえって激昂させた自称「乱暴副長官」様であり、師匠格の坂野潤治東大名誉教授に「インテリやくざを気取っている」と言われた仙谷氏が「品がいい」ですか。

 私は仙谷氏の事務能力は否定しませんが、いつも「それにしてもこの下品さ、表現上の露悪趣味は何とかならないものか」と思ってきました。でも、それも輿石氏に言わせると「私よりずっと品がいい」となるわけですね。これが笑わずにいられましょうか。

 まあ確かに輿石氏は、76歳にもなりながら番記者に「★☆×★☆×」と子供の口ゲンカのようなことを言ったり、質問にも「お前らに▽△◯理由はない」とけんもほろろだったりと、お世辞にも上品だとは言えませんが、仙谷氏が「品がいい」ねえ。

 愛嬌がいい、という方はかろうじて分からないでもないですけどね。言われてみたら、仙谷氏にはいたずらっ子みたいな部分もあり、受け取りようによってはそれが愛嬌と見えなくもないと言えないこともないのは必ずしも万人の否定するところではないのではないかと思うのは私だけでしょうか、という人がどこかにいても不思議ではありませんから。

 仙谷氏のすぐ「おごりたがる」「仕切りたがる」というお山の大将的な性格も、幼児性と受け止める人もいれば、ガキ大将時代の童心を忘れていないとほほえましく見る人も、そりゃ、人生いろいろですからね。

 輿石氏とすれば、本日の小沢一郎元代表との会談で、野田佳彦首相との三者会談をセットし、気分が高揚しているのかもしれません。でもこの会談は、野田首相に小沢氏を切る覚悟があるならば、手続きの一環として意味があるでしょうが、その強い意志がなければ小沢氏サイドにいいように振り回される結果を生むだけでしょう。

 この三者会談の話をテレビニュースが(そしておそらく明日の新聞も)大きく取り上げていることに関して、多くの人の反応は「何で同じ党の政治家同士が会うことをこんなに大げさに。バカみたい」というものだろうと思います。私自身も心底そう思いますが、この実につまらない儀式が、実際問題として野田政権の行方を占うものであるのも事実であり、ジレンマを感じるのです。

 私自身は現在、消費税を上げるべきではないと考えていますが、かといって小沢氏や、野田首相と小沢氏の間で風見鶏のように振る舞い、鳥なき里のコウモリよろしく権勢を欲しいままにする輿石氏らの跳梁跋扈、百鬼夜行を応援する気にはなれません。だってあまりに「品がない」もの。

 

 

 天気予報通り、あいにくの曇り空でしたが、自宅の集合住宅からもなんとか金環日食が見えました。目に悪いと知りつつ、ついつい、肉眼で見てしまいました。なんだかワクワクしました。

 

   

 

 

 もう二度と見ることのないであろう天文ショーを楽しみながら、月と太陽の大きさの天の配剤や、生命の源である熱核融合反応に思いを致しました。核エネルギーが自然に反するなどと、よくも言えたものだなとも。

 

   

 

 

  きょうもまた、特筆すべきことのない平凡な一日が始まるわけですが、そんなありふれた日々がそれ自体、奇跡であるように感じます。ここにこうしてあるだけで……

 

   

 

 さて、きょうは衆院で社会保障と税の一体改革特別委員会の自民党質問があります。野田佳彦首相が実際のところ何をどう考え、どの程度の覚悟を持っているのか、一端でもうかがえることを期待します。

 

  東電福島第一原発事故を検証する国会の事故調は28日、いよいよ最高責任者だった菅直人前首相の参考人聴取を行う運びとなりました。菅氏のことですから、言を左右に自分勝手な言い逃れを続けるでしょうが、いかに隠したいと思っても真実は言葉の端々からこぼれ漏れてくることでしょう。

 

 あの原発事故で、東電や原子力安全・保安院などに大きな責任があるのは当然です。そしてそれは現在も多方面から厳しく追及されています。しかし、現場をかき回し、事故被害を拡大し、本来はもっと迅速に行うべきだった住民・被災者支援をろくに考えなかった首相官邸中枢の責任は、今よりもっと注目されるべきだと考えます。

 

 なぜなら、菅氏をはじめ当時の政治サイドの責任者たちは、今ものうのうと要職に就き、しかも自分に都合のいいメディアを使って自己正当化と自己美化に努め続けているからです。それを見逃し、水に流すことはお天道さまが許さないと思います。また、トップと官邸がどう動き、そのどこに問題があったかをきちんと検証することは、何より大事なことでしょう。

 

 ……と、前置きのつもりがつい長くなりましたが、本日は原発事故とは関係のない読書エントリです。重度の活字中毒者である私は、手元に読む本がきれると、電車の中吊り広告でも定食屋のお品書きでも繰り返し読むはめに陥ります。

 

 というわけで今回は、前回に続き文庫化された村上春樹氏の「1Q84」のBOOK2(新潮文庫、☆☆☆★)に手を出したところ、続きが読みたくなって単行本のBOOK3も買ってしまいました。この中に出てくる「牛河」という登場人物が、一時期かかわったある知人を連想させてつい引っ張られました。

 

     

 

 それにしても、この本はBOOK3で一応完結なのでしょうか。リトルピープルがつくっている最中の空気さなぎなど、まだどうなるか分からない謎が残されているのですが……。まあいいや。とにかく、村上氏は本当に上手い作家であると再確認しました。

 

 で、ベストセラー作家、東野圭吾氏の作品をいまさらのように初めて読んでみました。あらゆる悩み相談に応じる雑貨店を舞台にした「ナミヤ雑貨店の奇跡」(角川書店、☆☆☆★)は、5つの章(エピソード)で構成され、それがすべてつながっていて、中盤以降どんどん盛り上がっていきます。

 

     

 

  なるほど、この作者の本がよく売れているのがよく分かりました。私もちょっと涙腺を刺激されました。作者の狙い通りなのでしょうが。

 

 次の作者の長崎尚志氏は、あの傑作「MASTER キートン」の原作者の1人だというから、期待しないわけにはいきません。「闇の伴走者 醍醐真司の猟奇事件ファイル」(新潮社、☆☆☆★)はずばり、漫画業界を舞台にしていて、今まで読んだことのない作者論なども展開され、興味深いものでした。

 

     

 

  でもこれ、次回作の存在をにおわすような終わり方になっていますが、主人公が元漫画編集者だし、次があるとしたらどんな話にするのだろうかと、余計なことを考えました。

 

 小路幸也氏の「東京バンドワゴン」シリーズはこの「レディ・マドンナ」(集英社、☆☆☆)で第7弾です。巻末に「あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ」とある通り、ホームドラマの王道を小説化したかのようで、しみじみと楽しめます。

 

     

 

  帯の「ハチャメチャナンセンス料理小説集」という文句にひかれて手に取った多紀ヒカル氏の「神様のラーメン」(左右社、☆☆☆)は、読んでいてその不条理ぶりがかつて愛読した筒井康隆の短編集を想起させる本でした。73歳のデビュー作というのもいいですね。

 

     

 

  これ、けっこう面白いと素直に思ったのですが、次回作もいつか出るのでしょうか。気になるところです。

 

 佐藤雅美氏の「縮尻鏡三郎」尻図もこの「夢に見た娑婆」(文藝春秋、☆☆☆)で同じく第7弾でした。まあ、毎回紹介しているのでこれ以上、内容については触れませんが、佐藤氏は相変わらずいいです。納得感があります。

 

     

 

  最後に、今回はかつて愛読書として紹介した内海隆一郎氏の作品を突然読み返したくなり、7冊ばかり再読しました。どれももう、5、6回は読んだものばかりなのに、間に数年おくと適度に話を忘れているのでまた楽しめます。

 

      

 

 市井に生きる人々の哀感と優しさを、ごく短い作品にまとめてあり、通勤・帰宅途上に4~5作ぐらいずつ読むことができます。内海氏の作品は最近では、あまり書店では見かけなくなったので、大事にとっておこうと思います。おすすめです。

 

 それにしても野田佳彦首相はふらふらしていますね。自民党にすり寄り、小沢一郎元代表に秋波送り、どちらからも足下を見られ、頼みの輿石東幹事長にはいいように手玉にとられ、ただ言葉の上で「命懸け」を強調するばかり。国内情勢から逃げるように外遊を繰り返しては何の成果もなく帰ってきて……。

 

 さあ、きょうは休みなので久しぶりに映画でも見ようかな、と。

 

 

 

   さて、昨日は東電福島第一原発事故を検証する「国会事故調」が開かれ、海江田万里元経済産業相が参考人として証言しました。それについては、今朝の新聞各紙が取り上げていますね。私もインターネット中継を途中から見たのですが、海江田氏は奥歯にものが挟まったような表現で、実に言いにくそうな表情をつくりながらも、菅直人前首相の対応をしっかり批判していました。

 また、委員側がこれまでの現場関係者からのヒアリング結果を踏まえ、菅氏が吉田昌郎所長に繰り返し電話をしたことが、いかに現場の作業にとって邪魔だったかについて、こんな表現を使っていたのが印象的でした。

 「当時、命懸けで炉を守り、必死だった現場にヒアリングする限りでは『どうして必死に取り組んでいるのに、官邸から電話がかかって対応しないといけないのかと感じた』と」

 「まさに飛行機が落ちそうという中で、運転している人たちが、命もなくなるかもしれないと必死にサイトを何とかしようとしているときに、『どうして飛行機が飛ぶのか、落ちるのか』というレベルの質問がきて迷惑だったというニュアンスの発言もあった」

 ……以前のエントリでも触れましたが、吉田氏らにしてみれば、菅氏や当時の細野豪志首相補佐官らから繰り返し「つまらない電話」(国会事故調委員の表現)がかかってくるのは、作業の妨げであり、かつ重度のストレスを覚えるものだったことでしょう。いくらアレでも一応、日本の首相なのだから対応しないといけないし、それはきっととても不快な内容だったろうと思います。

 なので海江田氏もこの日の事故調で、「原災本部長(菅氏)は、大変大きな権限を持つので、それは抑制的に使わなければならない」と述べ、菅氏のやり方を批判していました。また、「大臣として、それを見聞きしたらやめさせないのかという指摘は本当に反省点た」とも語っています。

 ここで私が興味を覚えたのは、中国の古典好きの海江田氏が「その意味では、私は(菅氏に)折檻をしなかったのは私の不徳の致すところだ」と述べたことです。

 手元の岩波国語辞典によると「折檻」とは、「きびしく叱ること。肉体を苦しめてこらすこと」とありますが、もともとは「君主をいましめること」という意味だったのですね。ただ、昨年の事故当時、菅氏に怒鳴り散らされた海江田氏が真っ青な顔をうつむかせて官邸を出て行く姿がたびたび目撃されていることを思うと、海江田氏に菅氏を折檻することはもともと無理だったのではないかという気もします。

 事故調では、315日早朝に東電本店に乗り込んだ管氏に厳しく叱責された東電側が「違和感があった」と証言したことも質問に出ました。これに対し海江田氏はオブラートに包みながらもこう答えています。

 「初めて菅首相の演説を聞く方は、違和感を感じて当然だ。もう少し、別な表現があるだろうと思う。私は菅首相とは古い仲でありまして、まあそういうことであります」

 まあ、海江田氏は昔から菅氏の怒鳴り方は普通ではない、尋常ではない、正常ではない……ということを知っていたというわけですね。いまさらながらにコミュニケーション機能不全のトップをいただいた不幸に思いを致すしかありません。そもそも折檻を聞き入れるような相手ではないでしょう。

 あと、海江田氏の証言で関心を覚えたのは、①緊急事態宣言の発令が遅れたのは「菅首相の理解を得るのに時間がかかった」→原発周辺住人への事故周知が遅れる②312日の菅氏の原発視察の理由について「それは分かりません」→やはり担当相にも意味不明の視察だった③東電がベント(排気)をためらったという当時、官邸がばらまいた情報について「実際はそうではなかった」→菅氏とその周囲側の勘違いまたは情報操作だった④東電側から「全員撤退」という連絡があったかは「全員ということは言葉としては覚えていない。私は当然、頭の中で全員だという認識をした」→早とちりだとの疑惑ぬぐえず……などでしょうか。

 さあ、国会事故調の参考人招致は次は枝野幸男官房長官(当時)、そして本丸の菅氏へと続きます。2人とも、正直に話すとは思えませんが、厳しい追及で矛盾を暴き、真相に近づいてほしいと期待しています。

 

 

 さて、中国が堂々と内政干渉を働いて日本側にやめさせようとした世界ウイグル会議の代表大会をめぐってのできごとです。14日から始まったこの大会には、日本の国会議員5人が参加しましたが、その人たちに駐日中国大使さまから、厳しい「ゲンメイ」のお手紙が届きました。

 

 チベットとウイグルをめぐり「後ろ向き」で「中日関係の妨げ」となる動きがあるとして釘を刺した上で、中国政府が作成したチベットとウイグルに関する資料を送付してきたとのことです。そこでせっかくなので、そのコピーを写真で紹介することにしました。

 

   

 

 チベットに関する資料には、チベット亡命政府について次のように書いてあります。日本の国会議員はこれを読んで勉強して、そのまま鵜呑みにして素直に言うことを聞きなさい、というわけですね。

 

 「組織的に、綱領を掲げて『チベット独立』の実現を目指し、中国の分裂を企む政治組織で、中国の憲法と法律に完全に違反しており、世界中でいかなる国もこれを承認していない。ダライは単なる宗教法人ではなく、宗教を隠れ蓑にして、長年、中国の分裂を企み、チベット社会の安定と民族の団結を破壊しようとする政治亡命者であり、『チベット独立』を企む政治グループの総頭目である。ダライは世界各地を回り、その根本的目的は説法でも、友愛・平和を広めることでもなく、宗教を隠れ蓑にして『チベット独立』の主張をばらまき、中国と関係国との関係を壊すことにある。(中略)われわれは国会議員の皆さんがダライとロプサン・センゲの中国の分裂を図る反中国の本質をはっきり見抜き、『チベット独立』勢力を支持せず、舞台を提供せず、いかなる形でも接触しないことを希望する

 

  

 

 次に、ウイグルに関する資料です。やはり、テロ組織だの何だのとくそみそに書いてありますが、これを我が国の選良たる国会議員はそのまま拝聴し、ありがたがらねばならないのでしょうか。それにしても、紀元前1世紀から中国の一部という主張は、中国という国の本質を図らずも表していますね。王朝が違おうと支配民族が違おうと、歴史上、一度でも版図にあったものは永遠に中国のものだという思想のようです。

 

 おそらく本音では、ユーラシア大陸とその周辺の島々はすべて中国のものだと考えているのでしょう。ホント、迷惑というか厄介な国ですね。資料にはこうあります。

 

 「『東トルキスタン』勢力は新疆を中国から分離し、政教一致の『東トルキスタン』国家を作る目的を達成するため、民族対立をあおり、民族分裂を鼓吹し、国際テロ勢力と結託し、中国の内外、特に新疆地区で数多くの暴力テロ活動を画策している。『世界ウイグル会議』は『東トルキスタン』のテロ組織『世界ウイグル青年会議』および『東トルキスタン民族代表会議』などの組織が統合したものである。この組織は徹頭徹尾、中国の分裂を企む反中国組織であり、『東トルキスタン』はテロ組織と緊密に連携している。この組織のいわゆる議長のラビアは中国国内で国の安全を脅かす罪を犯しただけでなく、脱税などの経済犯罪行為もあり、中国の司法機関から法に基づき判決を受けた犯罪人である。(中略)日本政府がこれ(世界ウイグル会議代表大会)を認めれば、それは中国の内政に対する干渉であり、中国の安定と安全利益を損なうだけでなく、日本自身の安全にも害がある。われわれは議員の皆さんがラビアとドルクンらの中国の分裂をはかる反中国および暴力テロの本質をはっきり見抜き、いかなる形だも接触せず、『世界ウイグル会議』に対し、いかなる支持もしないことを希望する

 

   

 

 身近なテロ国家である北朝鮮の肩を持ち、日本の領土・領海を虎視眈々と狙い、数百発の弾道ミサイルを日本に向けている国が何を言っても説得力はありませんね。

 

 まあ、あれだけ大きな他民族国家を力ずくで維持していくのが大変なのは実際そうなんでしょうが、こんな公然と内政干渉されてもしらけるばかりです。それにしても、「日本自身の安全にも害」という文言など、まるで脅迫文ですね。やだやだ。 

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