今朝の産経第三社会面に、3年に一度の朝鮮総連全体大会の記事が載っていました。それによると、今回の大会には友党だったはずの社民党や、かつて北朝鮮との太いパイプを誇っていた公明党からも議員の出席者はなかったようですね。最近は北朝鮮本国からも相手にされていないとの噂も出ている総連ですが、凋落著しいことが分かります。大会当時に北朝鮮が地対艦ミサイルをぶっ放したのも、祝砲というより大会に水を差すようなものだし…。まずはその記事を紹介します。
 

政党の来賓、出席なし 朝鮮総連の全体大会始まる
[ 2007年05月26日  東京朝刊  社会面 ]


 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の第21回全体大会が25日、東京都北区の東京朝鮮文化会館で2日間の日程で始まった。朝鮮総連の最高意思決定機関で、3年おきに開催。26日には今後3年間の活動方針や幹部人事などが決まる予定。

大会にはこれまで、自民党を含む日本の各政党関係者が来賓として出席するのが通例だったが、今回は日本と北朝鮮をめぐる関係が改善せず、昭和48年に失踪(しっそう)した渡辺秀子さん=当時(32)=の子供2人の拉致事件で、傘下団体が強制捜査を受けたことなどもあってか、政党からの出席者はなかった

徐万述議長は「朝鮮総連、在日同胞に対する弾圧と民族差別、人権侵害に反対する運動を力強く展開する」と基調報告した。

大会には地方の支部や商工、民族学校関係者などの代議員約2000人が参加した。

 …3年前の全体大会では、総連はこの世の春を迎えたような雰囲気だったのですが、随分と様変わりをしたようです。目にははっきりと見えなくても、世の中は着実に変わっているということでしょうね。あのときには、歴代自民党総裁として初めて小泉前首相があいさつ文を送り、総連関係者は「総連が大使館として認知される日も近い」と喜んでいたと聞きますから。

 今朝の記事は私はタッチしていませんが、3年前の記事にはかかわっています。このときは、1面に本記記事、政治面にその関連記事が掲載されました。1面はどうだったか忘れましたが、政治面の記事は私が書いたものです。今読み返してみると、2度目の訪朝を総連ルートに頼った小泉前首相に対して批判的なものになっていますね。私は拉致被害者の一部を帰国させた小泉氏の実績は評価していますが、彼の北朝鮮や拉致事件に対する姿勢、言動には大きな疑問と不信感を持っているのです。

 

総連で首相挨拶代読 拉致未解決のまま“友好姿勢”先行
[ 2004年05月29日  東京朝刊  1面 ]


 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の第二十回全体大会が二十八日から都内で始まり、自民党を代表して甘利明筆頭副幹事長が出席、党総裁としての小泉純一郎首相挨拶(あいさつ)が代読された。朝鮮総連大会で党総裁挨拶が披露されるのは初めて。北朝鮮による日本人拉致事件や核・ミサイル問題の解決が見通せない中で首相主導の“友好ムード”が先行した格好だ。

大会では徐萬述朝鮮総連中央常任委員会議長が午前中に「(日朝平壌宣言以降)日本の右翼勢力と反動的な一部のマスコミが拉致問題を極大化することによって、反共和国、反朝鮮総連の異様な雰囲気が醸し出された」と報告。

午後になり甘利氏のほか民主党の藤田幸久衆院議員、公明党の高野博師副幹事長(参院議員)が出席した。

甘利氏が「小泉総裁のメッセージを預かってきた」と登壇すると会場からは拍手が起きた。

代読された挨拶では、首脳会談の成果として(1)平壌宣言履行の再確認(2)一部の被害者家族の帰国と安否不明者再調査の約束(3)コメ、医薬品の人道復興支援(4)在日朝鮮人への差別解消-が報告され、「国交正常化の実現に向け、最大限努力を払っていきたい」との首相の意向が表明された。

朝鮮総連の前回の全体大会(三年前)には甘利氏が、前々回の六年前は森喜朗総務会長(当時)が出席したが、首相挨拶の紹介はなかった。

大会は二十九日閉幕する。

首相挨拶 朝鮮総連大会で紹介 正常化焦る?「融和」色濃く
[ 2004年05月29日  東京朝刊  総合・内政面 ]


 ■「拉致」反省ない総連…施設非課税復活を期待

二十八日の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の全体大会で、昭和三十年の総連結成以来初めて、現職首相である小泉純一郎・自民党総裁の挨拶(あいさつ)が紹介された。会場は歓迎ムード一色となったが、日朝関係では拉致被害者家族五人の帰国こそ実現したものの、拉致・核・ミサイル問題など諸懸案の大半は手付かず。自民党総裁としての挨拶とはいえ、首相が日朝友好に“前のめり”の姿勢を強めることに、周囲は危惧(きぐ)を深めている。

「首相は“制裁法”は発動せず、在日朝鮮人を差別することなく友好的に対する旨を表明した。これは、朝日両国関係をめぐる環境の大転換を意味する」

徐萬述・朝鮮総連中央常任委員会議長は大会報告でこう述べ、今月二十二日の日朝首脳会談について評価してみせた。

首相は首脳会談の席でも、「日本は今後、在日朝鮮人に差別を行わず、友好的に対する」と約束した。総連側はこの発言を、政府が総連に対する行政措置などで配慮を加えると表明したものと受け止めている。

「総連関係者の一人は、『首相のあの発言で、全国の朝鮮総連会館はまた(非課税扱いの)大使館扱いになる』と喜んでいた」。公安筋はこう証言する。一昨年九月に金正日総書記が拉致を認めて以降、全国の総連関係施設が「公共性が薄い」などの理由で自治体からそれまでの税減免措置を取り消されるケースが相次いだが、元に戻るとの期待が生まれている。

これは、佐賀市が首脳会談に前後して朝鮮総連と在日本大韓民国民団(民団)の佐賀県本部の土地・建物について、固定資産税と都市計画税を全額免除すると通知したことと符合する。

また、貨客船「万景峰92」を想定した特定船舶入港禁止法案の行方も不安視されている。自民党の安倍晋三幹事長は今国会で、対北朝鮮の最も有力なカードとなる同法案を成立させる考えだが、実際に法案の扱いを決める参院国対関係者は「官邸は今国会では(成立は)やりたくないと聞いている」と漏らす。

そもそも、国民の一番の関心事である拉致事件について、総連は長年「捏造(ねつぞう)」としてきたが、この日の徐議長の挨拶でも「日本の右翼と反動的な一部のマスコミが極大化した」と反省はみられない。従来の「総連が組織として関与した事実はない。(内部)調査する必要は感じていない」(南昇祐副議長)との姿勢も崩していない。産経新聞はこの「反動的な一部のマスコミ」とされたのか、会場内での取材は拒否された。

今回の総連全体大会での首相挨拶は、官邸が主導。官邸から党幹事長室に出席要請があったのは前日の二十七日。安倍幹事長は出席を辞退、甘利明筆頭副幹事長に白羽の矢が立った。その甘利氏にも挨拶文が渡されたのは当日の二十八日になってから。甘利氏によると、代読後、徐議長らと握手した際、「小泉総裁に感謝の意を伝えてほしい」「くれぐれもよろしく」と声をかけられたという。

ただ、総連は破壊活動防止法の適用も検討される公安調査庁の指定団体でもあるだけに首相の姿勢には反発も強い。民主党拉致問題対策本部長の鳩山由紀夫元代表は「首相は北朝鮮との国交正常化を焦っているとしか思えない。拉致が解決しないまま食糧支援などを約束する大失態を演じた日朝首脳会談が、成功だったかのように見せかけたいのだろう」と指摘している。

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 朝鮮総連が直接・間接的に関与した主な事件・事業≫

 ●傘下のパチンコ業者や朝銀信組を通じて不正資金をプールし、貨客船「万景峰92」などで北朝鮮に送金

●日本での対南(韓国・日本)工作活動

●日本人拉致事件の幇助(ほうじょ)

●傘下の商社、貿易会社などによる軍事転用物資やココム(対共産圏輸出調整委員会)違反物品の北朝鮮への不正輸出

●非公然組織「学習組」による在日朝鮮人の組織化

●北朝鮮に不利な報道をしたマスコミへの集団抗議

        

【小泉・自民党総裁挨拶(全文)】

この度の朝鮮総連第二十回全体大会開催に際し、自由民主党を代表して、祝意とごあいさつを申し上げます。

私は二十二日、平壌を訪問し、金正日国防委員長との間で日朝首脳会談を行いました。

今回の首脳会談においては、金正日委員長との間で、日朝関係や核、ミサイルなど北東アジア地域の平和と安定にかかわる安全保障上の問題などにつき、大局的かつ率直な議論を行いました。この中でも、特に皆様に対して以下の四点をご紹介したいと思います。

第一に、今回の首脳会談の結果、今後の日朝関係を進めていく上で、日朝平壌宣言がその基礎であり、同宣言を双方が誠実に履行していくことが再確認され、国交正常化に向けて、互いに努力していくことを申し合わせました。

第二に、日朝間の重大な懸案の一つであった拉致問題について、一部とはいえ被害者ご家族の帰国が実現し、また、安否不明者の真相究明につき、白紙に戻し、直ちに調査を再開するとの約束がなされるなど、一定の前進が得られました。

第三に、わが国として国際機関を通じ食糧二十五万トンおよび一千万ドル相当の医薬品などの人道支援を行う考えであることを表明しました。

第四に、私は、在日朝鮮人の方々に対して、差別などが行われないよう、友好的に対応する考えを伝えました。

わが国と朝鮮半島は、歴史的・地理的に密接な関係にあり、朝鮮半島の安定、わが国と同半島との良好な関係は、わが国自身の安全保障、北東アジア地域の平和と安定に極めて重要な意味を持ちます。このような観点から、今回の首脳会談で得られたこれらの成果は、わが国を含む北東アジア地域における安全保障環境の改善に資するものであったと考えています。

私は、今回の首脳会談の結果を踏まえつつ、日朝間の諸懸案の解決に向け早期に具体的な前進を図り、もってわが国と朝鮮半島との更なる関係の改善、ひいては日朝国交正常化の実現に向け、最大限努力を払っていきたいと考えています。
 平成十六年五月二十八日 自由民主党総裁 小泉純一郎

 …この翌年の2005年5月25日に都内のホテルで開催された朝鮮総連の50周年祝賀レセプションについても、産経は会場に入れてもらえませんでしたが、私は入り口あたりをうろうろちょろちょろして様子をうかがいました。手元に当時のメモが見つからないので名前は残念ながら紹介できませんが、このときはやはり小泉氏のあいさつを自民党の佐田玄一郎氏が代読し、公明、民主、社民、共産各党の国会議員が出席していました。

 会場に入れずとも、テレビ司会者の田原総一朗氏が会場に入っていく姿は目撃できましたし、入り口に飾られている複数の新聞社(朝日、毎日など)やテレビ局幹部の名前が記されたお祝いの花輪も見ることができ、「ふーん、やっぱり総連はマスコミにも根を張っているんだなあ。しかし、花輪まで送る関係って一体…」と思ったのを覚えています。

 今回の全体大会はのぞきに行っていないのでよく分かりませんが、国会議員が出席しなかったぐらいですから、総連の影響力も資金力も格段に落ちているとはいえるでしょう。地味かもしれませんが、これも安倍政権効果かな、と思います。今朝の産経には、総連中央本部が東京都に固定資産税などの滞納延滞金を完納したという記事も載っていました。これも、世の中の正常化の一つの表れだと考えたいところですね。