さきほど国会議員会館をうろうろしてきたら、やはり議員たちの話題は今国会最大の焦点となっているガソリン税などの暫定税率を担保する歳入関連法案の扱い、行方に集中していました。ある自民党議員は今の国会の雰囲気について「にわかに空がかき曇り…」と表現していましたが、与野党の対立の構図がいよいよ明確化し、緊張感が高まっているのでしょう。今朝の産経は「国会は展望が開けぬ闇の中に突入する」と書いていました。

 さて、これはこれでとても重要な局面ではありますが、ここで紙面と同じようなことを書いても仕方がないので、きょうも外国人地方参政権付与問題についてをテーマにします。私は1月9日のエントリ「文書入手・民主党の外国人参政権実現の動きが始動しました」で、民主党内で「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」の参加呼びかけが始まったと書きました。その外国人参政権推進派議連の初会合が、あす30日に開催されることになりました。

 前回のエントリでは、この議連の呼びかけ人として千葉景子、津村啓介、川上義博、白真勲の4氏の名前を紹介しましたが、その後、呼びかけ人には岡田克也元代表が加わっています。未確認情報ですが、岡田氏が会長、鳩山幹事長が顧問に就任するほか、前原誠司副代表も参加すると聞いています。執行部、幹部クラスを表看板にすることで、党内の締め付けを図っているのでしょう。50人以上の参加を目指すそうです。

 一方、この推進派議連に対抗して、同じ30日には、外国人参政権付与に慎重・反対派の初会合も開かれます。たまたま偶然同じ日になったのか、わざとぶつけてきたのかは分かりません。とりあえず、25日現在の呼びかけ人は次の25人で、以下の通りです(敬称略)。

 《石関貴史、市村浩一郎、大島敦、岡本充功、河村たかし、北神圭朗、吉良州司、小宮山泰子、近藤洋介、神風英男、田名部匡省、田村謙治、長島昭久、西岡武夫、牧義夫、松野頼久、松原仁、三谷光男、水戸将史、山根隆治、吉田泉、笠浩史、鷲尾英一郎、渡部恒三、渡部周》

 こちらは、党最高顧問の渡部氏や閣僚経験者の西岡氏を「旗印」に押し立てて推進派議連に対抗しようとしているようです。ただ、この慎重派議連は執行部や同じく推進派の小沢代表にもかなり気を遣っているようで、「勉強会のお知らせ」には次のようにありました。ちょっと分かりにくい婉曲な表現ですが、小沢氏の意向や党内情勢を考えるとこういう配慮も仕方がないのかもしれません。

 「さて、最近の新聞報道にもあるように、継続審議となっている『永住外国人地方参政権付与法案』をめぐる党内論議が始まろうとしております。そこで、この問題について今一度勉強する機会を設けることといたしました。私どもは、『付与』に慎重な立場をとるものの、今回の勉強会は先に結論ありきではなく、ましてや政局絡みの思惑でもなく、ぜひ、多くの先生方にこれまでの党内論議の経緯や基本的な論点などを改めてご確認いただき、今後の党内論議でのご参考にしていただきたいと考えております。国会議員として賛否の判断を下す上で、いずれにせよ知っておかなければならない諸問題を整理し理解しておくことは重要だと考えます。意のあるところをお汲み取りいただき、一人でも多くの先生のご参加をお願いします

 …私は、意のあるところを汲み取りたいと思います。民主党では、平成16年11月にこの外国人参政権付与法案を再提出するために政治改革部門で意見交換をするも結論は出ず、その後は3年以上にわたり、この問題について党内議論は行われていないといいます。

 この外国人への参政権付与問題をめぐって、東京新聞は「小沢氏、自公分断狙う?」(1月21日)、朝日新聞は「与党結束 揺さぶる火種」(1月24日)と与党間の亀裂を強調していますが、読売新聞は「民主に火種」(1月29日)という見方も出ています。まあ、3年以上も党内で意見交換していないのならば、ここは法案提出を急ぐよりも、党内で推進派と慎重派が徹底的に議論し、まずは国民が納得できるようなコンセンサスをつくってほしいものだと思います。

 それをしないでいきなり提出となれば、それは国のあり方の根幹にかかわる問題を政局に利用したと指摘されても仕方がなく、将来に禍根を残す愚行だと批判されるでしょう。少なくとも私はそう批判します。いずれにしろ、明日の二つの会合に何人が集まり、だれがどんな発言をするか注目したいと思います。

         

 おまけの写真です。冷たい雨が降る首相官邸前で、ただ「ああ、信号は赤だな」と思ったら、無性にその瞬間を写真に収めたくなったもので。心象風景、といった大層なものではありませんが、現在の気分に妙にしっくりきたのです。日本の政治情勢にも、早く暖かい日差しと青い空を見たいものです。