2006年08月

 

 昨日の産経第3社会面(東京版)には、ベタ扱いで「JR総連など講談社を提訴」という記事が載っていました。週刊現代が「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」との連載記事を載せたことに対し、JR総連とJR東労組などが損害賠償と謝罪広告掲載を求めているという内容です。

 

 当ブログでも先日、政府がJR東日本と革マル派(日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派)の関係をどう見ているかを紹介しましたが、週刊現代さんも当然、こうした訴訟は織り込み済みで記事を掲載したものだと思います。この週刊誌の記事は、「そうかな?」と疑問を感じることも多いのですが、今回の件ではその勇気を称賛したいですね。

 

 と、そんなことを思いながら、いつものように国会横の議員会館をうろうろしていたところ、JR連合(日本鉄道労働組合連合会)が関係議員らに送った手紙を入手できました。興味深い中身だったので、紹介します。

 

 《私たちは、JR各社・JRグループ各社の労働組合で約7万5千人の組合員を組織する、JR連合です。(中略)

 さて、講談社発行の「週刊現代」では、7月15日発売号(7月29日号)より「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」と題した特集記事の連載を開始し、8月28日には、第6回の記事が掲載された「9月9日号」が発刊されました。

 現在、JR各社の労働組合には、JR連合と、JR総連(7万1千名)、国労(1万7千名)の産別が存在しています。私たちは安全・安心の輸送を提供するためにも、JR連合を機軸に労組を一元化し、労政を健全化する「民主化闘争※」を推進しています。

 JR総連は、日本最大の輸送機関であるJR東日本の最大労組、JR東労組を中心に組織されていますが、私たちは、鉄道の安全問題、国家の治安問題との観点から、かねてより、その内部に極左暴力集団「革マル派」が浸透し、組織を支配しているという由々しき事態を各方面に訴えてきました。

 また、JR総連が多数派を占めるJR東日本などでは偏向した労務政策が行われ、結果的に、革マル派の浸透を許していることを深く憂慮し、労使関係の正常化を強く求めています。

 「週刊現代」の特集記事の内容は、私たちの経験や知識からみて、すべて真実であると考えます。(後略)

 

 ※民主化闘争 JR東労組は公安調査庁からも革マル派疑惑を指摘されるような異常な労働組合でありながら、JR東日本会社は、JR東労組一辺倒の労務政策を行っています。JR東日本エリアに健全な労使関係の構築と民主的な労働組合作りをめざして、JR連合は「民主化闘争」に取り組んでいます》

 

 なるほどなるほど。前回も書きましたが、通勤通学に欠かせない中心的な公共交通機関が、左翼過激派の強い影響下にあるという事実には、やはり慄然とせざるをえません。JR連合のいう通り、一刻も早く正常化されることを望みます。

 

 ちなみに、その革マル派の機関紙である週刊「解放」8月28日号には、最高指導者だった黒田寛一氏の追悼記事が載っていますが、「日本反スターリン主義革命的共産主義運動」「俗流トロツキストとの思想闘争」「スターリニスト平和擁護運動」などと、用語が難しくてさっぱり理解できませんでした。

 

 ただ、その「解放」の中で「安倍晋三『美しい国へ』の反動性を暴露」という見出しの記事はかろうじて、なんとか言っていることはわかりました。「政府・支配階級はネオ・ファシズム支配体制(国家)のもとに絶えず被支配階級である労働者人民を、日本国家に帰属する『国家のための国民』として強権的に統合するために、『中国脅威』論や『北朝鮮脅威』論をあおりたてつつ…」だそうです。

 

 まあ、こんなことばかりまくし立てているうちは、これ以上、発展したり、国民レベルで影響力を増したりすることはないでしょうね。一体、何のことやら…。

 

 

 今朝の新聞各紙は、山形の加藤紘一事務所を放火した男が容疑を認めたと報じ、産経には加藤氏の「卑劣な犯罪で許せない。言論には言論で反論すべきだ」とのコメントが掲載されています。それはおっしゃる通りでしょう。

 

 ただ、こっちはニュース価値がないと判断されたのか、加藤氏が昨日、外国人特派員協会で行った講演と質疑については、ほとんどの新聞が取り上げていませんでした。しかし、この中で加藤氏は、特派員たちに大きな誤解を与えかねない「誘導発言」をしていました。

 

 なるほど言論の自由は大切です。私とて、報道機関の末席に連なるものとして、暴力で言論が制限されることは望みません。だけれども、加藤氏の言論の質はどうなのでしょうか。これは、靖国神社や、首相の靖国参拝を評価する陣営にとっては、言論という名の一つの暴力ではないかと感じたので、紹介したいと思います。以下は、加藤氏と特派員らによる質疑応答の部分です。

 

 Q 靖国神社を米国はどう見ていると思うか

 

 加藤氏 私は、米国の対日政策は東海岸にいる20人ほどの学者、ジャーナリスト、元国務省の人など、スペシャリストの意見で決まっていくと思う。その中で一番、影響力があるのは、現実にはアーミテージだし、働いているのはマイケル・グリーンやジェラルド・カーチスらだが、私が見る限り、彼らは全員、靖国を批判し、オープンに新聞寄稿などで明らかにしている。ブッシュは小泉に一番支持しているが、小泉が変わると、ブッシュの優しさも消えていく可能性がある

 

 …はぁ?アーミテージ前国務副長官やグリーン前国家安全保障会議アジア上級部長が靖国に反対ですって?。ここまでくると、プロパガンダというより、ほとんどデマゴーグの世界だと感じます。それとも、加藤氏の目には、本当に世界はそのように映っているのでしょうか。

 

 アーミテージ氏は産経新聞に対し、次のように語っていますね。

 

 《小泉首相の靖国参拝は日中関係を難しくした理由や原因ではない。ブッシュ大統領の「日中関係は単なる神社への参拝よりずっと複雑だ」という言明の通りだ。中国は、靖国を日本への圧力につかっているため、日本がもしこれまでに靖国で譲歩したとしても、必ずまた別の難題を持ち出し、非難の口実にしただろう》(7月20日付)

 

 また、グリーン氏は産経新聞にこう語っています。

 

 《中国が日本の現首相だけでなく次期首相にも靖国参拝の中止を要求し、中止しなければ日中首脳会談に応じないとしたことは、日本の首相へのリトマス試験を突きつけたものであり、悪い間違いだ。中国は対日関係で貿易、安保、領土など多数の懸案があるのに、靖国というただ一つの争点だけを理由に日本に高圧的な要求をぶつけ、2国間の関係を悪化させ、首脳会談をキャンセルしたことは重要な外交手段を自ら奪うことになり、大きなミスだ》(6月8日付)

 

 加藤氏の言い方はあいまいで、「彼らは全員、靖国を批判し」の靖国とは、首相の靖国参拝のことなのか、靖国神社そのもののことなのか不明ですが、どちらにしろ不正確な発言です。

 

 確かに、アーミテージ氏は靖国神社の戦史博物館「遊就館」については「一部展示の説明文は米国人や中国人の感情を傷つける」と批判ともとれることを述べていますが、あくまで靖国自体を批判しているわけではありません。

 

 一方、グリーン氏は「遊就館は私も何度も見たが、フランス、イタリア、米国などの軍事博物館と1点を除いてほとんど変わりがない。その1点とは、日米戦争や日中戦争の原因についての記述が主流派の歴史観とは異なるという点だ」と非常に気を使いながら指摘するにとどめています。グリーン氏は「首相の靖国参拝のために日本がアジアで孤立しているという見解には同意しない」とも話し、加藤氏の世界認識とはほど遠いところにいる人物です。

 

 さらに、加藤氏がもう一人名前を挙げたカーチス氏は、米民主党系学者が集まるコロンビア大教授であり、ブッシュ米政権にそれほど影響力があるとも思えません。となると、加藤氏は一体、何を発信したいのでしょうか。これが自民党幹事長まで務め、一時は首相の座に最も近かった男の言うことでしょうか。あまりに軽い…。

 

 同じ講演で、加藤氏は日本社会について「発言が自由でなくなった社会に少しなったと思う。最近私がよくテレビに出ると言われるが、私がオンレコで自由にしゃべる数少ないケースだから、コメントが求められる」とも語っています。

 

 でも、加藤氏は、上に記したようないいかげんな話を「自由」に発言していますよね。ある保守系の政治評論家は、「これまでに左翼からぶっ殺すとか家に火をつけるとか何度だって言われたが、気にしない」と言論活動にあたっての覚悟を当然のように話していました。今まで、左翼・リベラルのいいかげん発言が、メディアの主流派であったため、甘やかされてきただけではないのでしょうか。

 

 何度でも書きますが、加藤氏は中国で行った講演でも、「靖国神社にはA級戦犯の『位牌』が祀られている」と事実ではない話をし、中国政府の対応をミスリードしてきた人物です。神社に位牌があると認識しているようなレベルで、靖国についてこれ以上語ってほしくないのです。

 

 また、加藤氏の言葉は、党内に自分と同じような考え方の人間がたくさんいるが、現在は発言を控えているかのようなニュアンスですが、それもどうでしょうか。

 

 7,8年前、当時は無役だった安倍晋三氏と加藤氏の政治思想について話したとき、安倍氏がこう言ったのを鮮明に覚えています。

 

 「自民党の加藤さんより下の世代に、加藤さんみたいな考え方の人はほとんど見当たらないだろう?だから、私は将来を楽観しているんだ」

 

 その安倍氏が首相の座につこうとしています。新しい時代が始まるのですから、加藤氏にはせめて、後輩たちに迷惑をかけずに退場していただきたいと心から思います。なにとぞよろしくお願いいたします。


 訪中している北朝鮮による拉致被害者の「家族会」と「救う会」のメンバーと、中国の研究機関関係者らとの意見交換会がすべてキャンセルされました。極めて非礼で不愉快な話ではありますが、ああ中国ならそんなところだろうな、と妙に納得もしてしいます。


 小泉首相の初訪朝時に金正日が拉致を認めるまで、朝日新聞は拉致被害者を北朝鮮の言うままに「行方不明者」と書いていましたし、社民党議員をはじめ多くの国会議員たちはこの重大問題に全く無関心でしたから。

  

 そんなことを考えながら手元の資料をがさごそひっくり返していたら、公明党が平成15年ごろ、全国の関係者に配布したレジュメ「拉致事件と日本共産党の責任」(No.1)と「北朝鮮帰国事業と日本共産党の責任」(No.2)が出てきました。ありていに言って、これを用いて共産党を批判・攻撃しなさいという手引書のようなものですね。

  

 それによると、No.1の方は次のような内容です。

  

1.      被害者の心情を踏みにじった共産党

(1)   政治に解決を求める以外に方法のない被害者の心情

(2)   「日本共産党は拉致問題を国会で真っ先に取り上げ、取り組んできた」(赤旗)との「手柄話」に対する関係者の怒りの声

2.      拉致事件の解決を妨害し続けた共産党

(1)   拉致事件の解明を実質的な理由とする兵本達吉氏に対する除名処分

(2)   拉致事件を〝迷宮入り〟させようとする共産党幹部の不可解な発言

3.      共産党が拉致問題解決を妨害する理由

(1)   社会主義、共産主義に対するイメージダウンにつながる

(2)   北朝鮮がそのような「危険国家」であることが国民の前に明らかになれば、有事法制が必要だという国民世論が芽生え、共産党のとる政策と逆行する

(3)   共産党は水面下で朝鮮労働党と関係修復に動いており、共産党が拉致事件の解明をすれば、北朝鮮との関係がこじれてしまう

  

 また、No.2の方は次のような構成です。

  

1.      そこは地上の楽園ではなく「凍土の地獄」だった

2.      在日朝鮮人を「死の国」に送還しつづけた共産党

3.      日本共産党の責任

4.      日本共産党と朝鮮労働党は「兄弟党」であった

(1)   日本共産党員で占められた朝鮮総連幹部

(2)   訪朝の際における宮本団長の挨拶

(3)   〝関係修復〟に動いた日本共産党

(4)   〝兄弟党〟だからといって帰国者の安否に目をつむり〝関係修復〟といって拉致被害者の救済に手をこまねいた共産党

  

 現物は、上のような章立ての中に、横田夫妻の言葉や兵本氏の証言、新聞報道からの抜粋が入っています。宮本顕治氏の訪朝時の言葉としては「心からの兄弟の挨拶をおくります」「両党は共通の敵に対する闘争の中で、互いに支持しあい、戦闘的な友情によって深く結ばれているマルクス・レーニン主義の党であります」「我々は、今後とも反動勢力の圧迫に対し、在日朝鮮人の皆さん方の正当な民族教育を受ける権利及び往来の自由、帰国の自由のために闘うつもりであります」などを紹介しています。

  

 いやぁ、なかなか激しい内容ですね。公明党と共産党の関係がよく分かります。一方の共産党側も、「しんぶん赤旗」(15422日付)などで、「北朝鮮問題『反省なし』は公明党です」「自分のことは語らず 共産党の悪口ばかり」として公明党に次のように反撃を加えていますね。

  

 《公明党はどうか。1989年、同党国会議員6人が韓国大統領あてに、日本人拉致実行容疑者・シン・グァンスの釈放を要望しました。これこそ、拉致問題解決の妨害ではありませんか》

 

 《公明党の浜四津敏子代表代行は、「北朝鮮と日本共産党は兄弟で仲良し」(20日、東京)などとでたらめな演説を行っています。事実はまるで逆です。北朝鮮は金日成(いまは金正日)個人崇拝体制で、「国民が主人公」の社会を目指す社会主義とは縁もゆかりもありません》

 

 《一方、公明党は、1972年に竹入委員長が訪朝し、金日成の個人崇拝体制を賛美。金正日の総書記就任の際に、藤井富雄「公明」代表が「故金日成閣下の魂を継承され、金正日閣下の指導体制の下でのご繁栄」を願う祝電まで送っています。公明党こそ、まるで兄弟のように個人崇拝体制を賛美した「仲良し」だったのです》

  

 まあ、どっちもどっちのような気もします。自民党も、小沢一郎氏の師匠だった金丸信氏が訪朝して感激の涙を流したり、まったく無意味だったコメ支援を延々と続けてきたりした経緯がありますね。本当に、北朝鮮にかかわったらろくなことがありません。

  

 かつてわが国内がこういう体たらくだったことを思い起こせば、ましてや北朝鮮の本当の兄弟国である中国が拉致被害者家族らにとった無礼な対応も、さもありなんだと考えたわけです。もちろん、それはそれとし、中国のこのやり方は、やはり心に刻んでおこうと思っていますが

  

 沖縄・渡嘉敷島で昭和20年に起きた住民集団自決について、那覇市在住の照屋昇雄氏が、60年以上たって「軍命令は創作」だったと勇気ある証言をしてくれました。ろくな根拠もなしに軍による強制と記述している歴史教科書の一刻も早い訂正が求められるところですね。久しぶりに心からうれしいニュースでした。

  

 旧日本軍の行為については、ほかにも南京事件のように誇大というのもバカらしいほどめちゃくちゃな宣伝工作が行われている問題もありますね。その中でも、日本人自らが世界における日本のイメージを「セックススレイブの国」に貶めたのが、平成5年に当時の河野洋平官房長官が出した慰安婦関係調査結果発表に関する内閣官房長官談話、いわゆる「河野談話」でした。

  

 これは、元慰安婦とされる韓国女性からの聞き取り調査のほかは、資料も根拠もなしに旧日本軍に慰安婦調達の強制性を「政治決断」だけで認めた最悪の談話でした。河野氏や当時の宮沢首相は、韓国の要請にしたがって強制性を認めることで、この問題に決着がつくと愚かな判断を下し、すべての日本人に耐え難い恥辱の烙印を押しました。


 私は正直言って、もし地獄というものがあるのなら、河野氏は間違いなくそこに行くだろうと思っています。過激なようですが、それぐらい怒っています。以下がその河野談話の要旨です。

  

《調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接、あるいは間接にこれに関与した。当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。(平成5年8月4日)》

  

宮沢氏や河野氏のナイーブな政治判断とは裏腹に、韓国はその後、国際社会で日本軍による慰安婦強制連行・慰安婦の性奴隷化という虚構を撒き散らし、現在のノムヒョン大統領に至っては、日韓基本条約を無視して「日本は賠償すべきは賠償しなければならない」とまで妄言を吐きました。さすがに、日本政府は相手にしていませんが。

  

さてそこで、河野談話ができる際の事務の官房副長官(官僚のトップ)だった石原信雄氏に対し、産経新聞が昨年7月に行ったインタビューの詳録を紹介したいと思います。これは紙面化されていますが、字数の制限がある紙面からあふれた分まで伝えることで、あるニュアンスを感じ取っていただければと考えました。埋もれさすには惜しい内容だと思うのです。

  

Q  慰安婦と政府のかかわりを示す資料はあったのか

  

石原氏  国外、国内、ワシントンの公文書館も調べたし、沖縄の図書館にも行って調べた。それこそ関係省庁、厚生省、警察庁、防衛庁とか本当に八方手をつくして調べた。当然といえば当然だが、日本側の公文書では、慰安婦といわれるような女性を強制的に募集するような文書はない。八方手をつくしたがそんなものはない。日本政府が政府の意思として韓国の女性、韓国以外も含めて、強制的に集めて慰安婦にするようなことは当然(なく)、そういうことを裏付けるデータも出てこなかった。(慰安婦の)移送・管理、いろんな現地の衛生状態をどうしなさいとかの文書は出てきたが、本人の意に反してでも強制的に集めなさいという文書は出てこなかった。当たり前で、国家意思としてそういうことはありえない。(中略)少なくとも、政府の意思として動いた人にそういうことはなかったと思う。文書にないんですから。ただし、戦争が厳しくなってから「(軍が人数を)割り当てした」「軍の方からぜひ何人そろえてくれと要請があった」と、そういう要請はある。それは、従来であれば、業者の人たちが納得ずくで話し合いで本人の同意のもとに数をそろえた。ところが、戦争が厳しくなってからどうも、ノルマを達成するだめに、現地判断で無理をしたのが想定された。(中略)(韓国女性に)ヒアリングした中には、意に反して(慰安婦)にされたと涙ながらに話した人がいた。

  

Q  意に反するといっても、親が本人に黙って業者に売ったケースもありうる

  

石原氏 そこはああいう戦時下のことだから。しかも個人の問題だから、親との話がどうだとかはこれは追究しようがない。(中略)裏づけ、本人の親と会うとか、当時の関係者と会うとかそういう手段はない。もっぱら本人の話を聞くだけだ。

  

Q  これで日韓間の騒動が収まるとの政治判断によって、かえって問題は大きくなった。訴訟を起こした韓国女性のいう自らの経歴も二転三転している

  

石原氏 我々はできるだけ客観的事実を聞き取るための条件設定努力を続けたけど、それは限界がある。こっちに捜査権があるわけじゃない。誰がどうだったか、金銭関係はどうだったかとか調べることはできない。それは不可能だ。そこは日本政府の意を受けて強制したかどうかは分からない。(中略)我々は、当時の関係者として、いかなる意味でも日本政府の意を体して日本政府の指揮命令のもとに強制したということは認めたわけじゃない。

  

Q  河野談話からは、甘言、強圧の主体が誰かが欠落している

  

石原氏 普通の談話であれば、物的証拠に基づく手法ではああいうものはできない。だから、論者によっては当然、そこまでいかないのになぜ強制を認めたのかという批判はあるでしょう。あの当時、「絶対強制なんかなかった」「とんでもない話だ」と反対意見もあったし。だけども、本人の意思に反して慰安婦にされた人がいるのは認めざるをえないというのが河野談話の考え方、当時の宮沢内閣の方針なんですよ。それについてはいろいろとご批判はあるでしょう。当時からあったが。

  

Q  石原さんは反対しなかったのか

  

石原氏 私は補佐役だから、弁解なんかしない。過程はいろいろあるが、政府として内閣として補佐にあたった以上は私は全責任を負わないといけない。個人的にどうだとか言ってはいけない、組織の人間としては。まとまるまでは中で議論があったが、まとめた以上はそこにいた人間は逃げられない。

  

Q  河野談話が出された結果、国連人権委員会などでも「セックススレイブ」という言葉が使われるようになった

  

石原氏 それはもちろん、そういうことに利用される可能性は当然ある。限られた状況の中で意に反した人がいたと認めれば、やはり訴訟している人たちは一事が万事、すべてが強制だと主張しているが、それを認めることになるというリスクは当然、あの談話にはあるわけだ。それは覚悟した。そういう風に言われるだろうと。だから出すべきでないという意見も中にはあった。だけど、政府として決めたんだから、我々関係者は少なくとも弁解がましいことはいえない。

  

Q  宮沢首相の政治判断か

  

石原氏 それはそうですよ。それは内閣だから。官房長官談話だけど、これは総理の意を受けて発表したわけだから、宮沢内閣の責任ですよ、もちろん。

  

Q  国家賠償請求につながるとは思わなかったのか

  

石原氏 全く想定していない。それはもちろん、あの談話をまとめるにあたっては外務、財務、法務省すべて関係者は承知している。われわれはあの談話によって、国家賠償の問題が出てくるとは全く想定していなかった。当然、当時の韓国側も、あの談話をもとに政府として要求するということはまったくありえなかった。(中略)慰安婦問題はすべて強制だとか、日本政府として強制したことを認めたとか、誇大に宣伝して使われるのはまことに苦々しくて仕方ない。もちろん、こういうものをいったん出すと悪用される危険はある。外交関係とはそういうものだから。だけど、あまりにもひどいと思う。(中略)それが(韓国は)今日まで、いろんな国際会議で日本政府が政府の意図で韓国女性を強制的に慰安婦にしたと言っているが、全く心外そのものだ。(後略、おわり)

  

すいません。これでもところどころ端折ったんですが、随分と長くなりました。石原氏は、慰安婦問題で二度、産経新聞の取材に応じてくれた(二度とも私はその場にいました)こともあり、少なくとも彼の誠意と善意は本物だと感じています。一方、この問題の主役である河野氏は、産経新聞のインタビュー申し込みに応じようとはしません。朝日新聞のインタビューには応じ、自己弁護と自己正当化を試みていましたが。

  

インタビューを通じ、実は事務方の石原氏は河野談話に反対だったことが浮かんできますが、彼は「批判は甘んじて受ける」というスタンスですね。一方、無意味どころか有害な韓国との政治取引で日本と日本人の名誉に深い傷を負わせた河野氏は反省もせず、今日まで反日言動を繰り返しています。河野談話が、仮に善意や過去への贖罪意識からできたものだとしても、私はやはり許すことができません。

  

別に河野氏やその類の人に向けた言葉ではないかもしれませんが、ニーチェの次の言葉で締めくくりたいと思います。

  

《まことに、わたくしは、同情することにおいて至福を覚えるような、あわれみ深い者たちを好まない。彼らにはあまりにも羞恥心が欠けている。》

《ああ、同情深い者たちにおけるよりも大きな愚行が、この世のどこで行われただろうか?また、同情深い者たちの愚行以上に多くの悩みをひき起したものが、この世に何かあっただろうか?

 昨日は、静岡市にある民間の勉強会「日本の歴史に学ぶ会」さんに招かれ、分不相応・傲岸不遜にも「講演」をしてきました。神社の社務所で静岡県立大の学生さんら20数人を前に、怪しげな与太話を思う通り好き勝手にしゃべっただけなのですが、その記事が今朝の産経新聞静岡県版に写真入りで掲載(やっぱり太っているなぁ)されていました。

  

 見出しは「日本政界と中国」「本紙記者が講演」‥。自分のことながら全く偉そうです。まあ、いつもこのブログで書いているような親中派政治家への疑問や中国の対日工作、小泉首相の靖国参拝の意義や次期安倍政権への期待などを脈絡なく語らせてもらっただけなんですけどね。加藤紘一、山崎拓、谷垣禎一、河野洋平、中曽根康弘、二階俊博、片山さつき、猪口邦子、後藤田正晴の各氏に名ヒールとして「友情出演」していただきました。ありがとうございます。

  

 もとより他人様に高説をたれる身分でもなければ、わざわざ時間を割いて話を聞いてもらうほどの中身もありはしない人間ですが、昨日は主催者の方々に「先生」とも呼ばれました。「先生」‥。私も政治家に対しては、「さん」と言わずに「先生」と呼びかけることはありますが、自分が「先生」と呼ばれたのは生まれて初めてでした。

  

 さすがに恥ずかしいし、そういう立場でもないので「私なんかを先生と呼ばないでください」と頼んだのですが、主催者の方々は若輩者の私に対して「何かを教わるときはみんな先生だから」とひたすら丁寧なのでした。物好きにも私の話を聞きにきた学生さんたちも、熱心にメモしてくれたり、私の与太話を笑みを浮かべて聞いてくれたり。あまり縁がなかった静岡に好意を抱きました。単純ですが。

  

 質疑応答では、学生さんから「警視庁の外事課、防衛庁の情報本部、内閣情報調査室などの情報機関の連携はとれているのか」などと鋭い質問も飛んできました。自分が学生のときには、そんなこと知りもしないし、考えもしなかったろうなとひそかに感心しました。私の回答にどこまで納得してもらえたかは分かりません。

  

 主催者方との夜の酒席も勉強になる話が多く、特撰越の寒梅もとてもおいしく、楽しくすごせました。この場を借りてお礼を申し上げます。

  

 ある程度長く新聞記者をやっていると、こういう機会もめぐってくるという、ただそれだけのお話でした。これまでも、二度ほど自衛隊の小平にある学校で、「マスコミ対応」などについて話をする機会はありましたが、今回の経験はとても新鮮でした。昨日のうちに報告したいと思っていたのですが、泊まったホテルからはどうやってもインターネットにつながらず、エントリをさぼる結果となったことをお詫びします。

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