2008年01月


 冬は嫌いだとたびたび表明してきましたが、その理由の一つに静電気があります。きょうは飲み物の自動販売機に100円玉を投じようとしてはパチッ、パソコンのキーボードに触ってはパチッ…で、たまったものではありません。体質もあるのでしょうが、何とかならないものでしょうかね。

 さて、冬=寒い、ということで本日はプーチン大統領が示した、日本人拉致事件への反応ぶりに関するエピソードを紹介します(こじつけがすぎますね)。元政府関係者から聞いた話で、妙に納得させられたものですから。

 それはまだ、小泉氏が首相時代のことでした。当時、小泉氏が各国首脳に拉致事件について説明すると、ほとんどの首脳は「それはひどい」「お気の毒だ」などと顔をしかめるいう、まあ常識的な反応だったそうです。ところが、元政府関係者の目撃談によると、プーチン氏はちょっと違ったと言います。

 小泉氏が、北朝鮮が行ってきた拉致事件についていくら説明しても、プーチン氏は例の無表情を崩さず、黙ったままだったそうです。で、小泉氏が一通り話を終えた後、プーチン氏が初めて口を開いて聞いたのが、「それで、北朝鮮はどういう人間を拉致したのか」という疑問でした。

 そこで小泉氏が「ごくふつうの、一般の人だ」と答えたところ、プーチン氏は初めて驚いた顔をして、「軍人や科学者ではないのか。理解できない。では一体何のための拉致なんだ」と強い関心を示したというのです。初めて興味を覚えたかのように。他の国の首脳とは、反応する場所が全然異なります。

 まあ、プーチン氏の経歴がそうさせたのでしょうか。プーチン氏は悪名高い情報機関、KGB(ソ連国家保安委員会)に勤務し、東ドイツなどで諜報活動に携わっていたとも言われていますし、KGBの後身であるFSB(ロシア連邦保安庁)の長官まで務めた人物ですからね。元政府関係者は「プーチン氏は昔、自分でも西側からの科学者拉致などに関わっていたのかもしれないな」と冗談めかして言っていましたが…。

 18日のエントリ「福田首相と安倍前首相の施政方針演説を比べてみました」でも触れましたが、福田氏は安倍氏が繰り返し明言していた「拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はありえない」という言葉を使わないようにしているようです。これが単なる政治家としてのスタイルの違いであればいいのですが、福田政権になって明らかに閣僚の発言や政府文書に「国交正常化」という言葉が使用されることが増えています。

 北朝鮮が、日本政府が認定した拉致被害者や、特定失踪者以外の北にとって都合のいい人物を数人帰して、「これですべてだ」と言ってきたときに、福田政権が一気に国交正常化に前のめりにならないだろうかと懸念しています。最近、北をめぐって山崎拓氏や田中均氏といった、かつて対北融和派としてその名をとどろかせた「昔の名前」が動いているという話を耳にすることがあり、ぼんやりと不安を覚えているところです。


 本日は、23日開催の民主党「次の内閣」でネクスト大臣たちに配布された「169回通常国会の論戦ポイント」の中から、私が関心を覚えたものをちょっと抜粋して紹介します。各法案や政策への民主党の考え方、スタンスと、国会でどう追及するつもりであるかが何となく分かると思います。いつもは長々と前ふりを書く私ですが、きょうは(ろくに働いてもいないのに)ちょっと疲れ気味なので早速…。

 ■人権擁護法案焦点法案
  ・政府は、2002年に提出され2003年に廃案となった政府案の再提出を検討しているが、与党内に反対意見があり、その後再提出していない。民主党は、人権委員会のあり方について、国連人権小委員会の提案する原則(パリ原則)に則った独立性を確保すること、報道機関を特別救済手続の対象から除くこと等を盛り込んだ民主党案を2005年に提出した(解散により廃案)。党部落解放推進委員会などと意思疎通を図りつつ対応を検討中

 ■民法の一部を改正する法律案(選択的夫婦別氏等法案)
  
・婚姻制度に関し選択的夫婦別氏制の導入、婚姻最低年齢及び再婚禁止期間の見直し等を行い、相続制度に関し、摘出(※ママ、嫡出の間違いか)でない子の相続分を摘出である子の相続分と同一とする等の措置を定める。
  ・累次に渡り提出してきた法案であり、参議院で再提出、審議入りも検討課題。
  ・自民党内では慎重論も多く、家族観について意見が分かれている。

 ■教員数拡充法案
  ・行革推進法で定める教職員数の削減、及び人材確保法の見直し規定等を削除し、少人数学級編成の推進、教職員数の拡充を図るもの。
  ・政府は、08年度予算で「行革推進法を改正しない範囲内での措置」として、教職員数1195人増を決定し、閣法の提出も予定しているが、不十分で、数合わせ・場当たり感は否めない。民主党は、教育現場からの要望に応え、子どもと向き合う時間を増やすべきとの考えから、昨年11月に、衆議院へ法案を提出した。

 …まだいろいろとあるのですが、きょうは根気が続かないのでこの程度でお茶を濁したいと思います。人権擁護法案は「焦点法案」という位置づけです。この「論戦ポイン」トには外国人地方参政権に関する記述はありませんでしたが、公明党の北側幹事長は昨日の記者会見で次のように述べていますし、引き続き要注意ですね。

 《記者 民主党が外国人参政権の付与について、党内でまとまり次第通常国会に法案を出す準備をしている。公明党は、外国人参政権を必要と主張し、今も法案が継続審議となっているが、公明党として民主党が法案を提出することにどのような感想をお持ちか。

 北側氏 いや、もうぜひね、党内まとめていただいて提出してもらいたいと、期待をしてます。これまでは、民主党の中も両論あったんですよ。なかなか民主党の中も反対論おっしゃる方もいらっしゃったわけですね。これも、単に政局の道具に使うというのではなくて、政策論、また、我が国の開かれた社会というものを、示していくという観点からも、私はぜひ、この永住外国人の地方選挙権付与法案、わが党が今、議員立法で提出しているこの法案についてはね、早く成立ができるように私どもとしては、期待をしております。そういう意味で民主党の中でどういう案をまとめられるか分かりませんが、まとめていただくならばこれは私たちは歓迎でございます

 記者 法案提出した場合は成立に向けて民主党と…。自民党にも反対勢力があると思うが

 北側氏 自民党内にもですね、私はもう今までも言ってます。自民党のしかるべき方々に、この法案についてさまざまな理由を申し述べましてね、ぜひ、早く成立できるように、党内の論議をしていただき、まとめていただきたいということは申しあげてい
るつもりでございます。特に、森元総理にも直接私自身、申しあげたこともございます。

 記者 自民党を説得していく?

 北側氏 もうぜひ、自民党内についてもご理解がいただけるようにお願いしたい思ってます。》

 …話はまた飛びますが、きょうは新テロ対策特別措置法に基づきインド洋に派遣される護衛艦「むらさめ」が海上自衛隊の横須賀基地から出稿し、長い旅路につきました。出港行事には、石破防衛相や安倍前首相のほか、この法律に反対した民主党議員たちも出席しましたが、指揮官の佐伯精司1佐のあいさつが「現場の自衛官としては、随分と思い切ったものだった。よほど腹に据えかねていたのだろう」(行事出席者)という内容でした。佐伯1佐はこう述べました。

 「淡々、粛々と適正な活動に努め、国民の期待と付託に応えられるよう精一杯努力する。(活動中断で損なわれた)信頼回復に全力を尽くします。(民主党の小沢代表らに補給活動は)憲法違反と言われたが、われわれにも意地と誇りがあります

 わざわざ出港を見送りにきた心ある民主党議員たちは、きっと居たたまれない思いがしたでしょうね。自衛隊派遣を憲法違反とまで明言しておきながら、本会議採択欠席後の記者会見では「重要な法案ではない」と言い放つような、いいかげんな代表を持つと、苦労が絶えないことと同情します。まあ、福田首相も「ちょっと用がある」とかで出席しませんでしたが…。
 


 まずは速報からです。本日の参院代表質問では、自民党の鶴保議員が人権擁護法案の推進を求める質問をする予定が入っていたので、われわれ産経の記者は福田首相が何と答弁するか「じーっ」と見守っていました。結論から言うと、福田首相は明確な方針を示すことを避け、うまく「逃げ」ました。施政方針演説でも人権擁護法案に関する記述がなかったので、波風が立つのを避けているのだろうと思っていましたが、やはりそのようです。福田氏はきょうの答弁で、次のように述べました。

 「わが国において子供や老人、女
性に対する暴力など差別、偏見など、数々の人権問題が存在すると言わざるを得ず、人権の擁護は重要な課題です。
人権擁護を推進するための法整備については人権擁護推進審議会の答申や、人権擁護施策推進法の付帯決議などをうけ、与党内においても様々なご議論がなされておりますが、政府としてはこうした議論を踏まえつつ、引き続き真摯な検討を行ってまいります」

 人権擁護は大切だと思うけれども、私としてはいらぬ反発は買いたくないので、とりあえず様子見をします、という意味ですね。古賀選挙対策委員長や二階総務会長ら、推進派は拍子抜けしたかもしれません。まあ、首相が自ら旗を振らなくても、法務省と党側でお膳立てするつもりなのかもしれませんが。

 私は昨日のエントリでは、福田氏の外国人参政権問題へのやはり「あいまい」な答弁を紹介しましたが、今のところ、衝突を嫌うこの人の性格がいい方に出ているようです。福田氏は就任早々にも、小泉政権時代に自分が言い出したことであり、本来ならばぜひ実現したいであろう靖国神社に代わる無宗教の国立追悼施設建設について、「反発が大きい」として封印しています。

 おそらく官房長官時代の経験から、自分が何を言ったり取り組んだりしたら保守派から攻撃を受けるかがよく分かっているのでしょうね。察するに、保守派の積極的支援は得られなくても、敵に回すところまでにはいきたくないというところでしょうか。いよいよもって、この人が何をしたくて首相をやっているのかは分かりにくくなっていますが、まあ、希望通り安倍前首相より一日も長く首相を務めるためにはひたすら各方面にクリンチ作戦、なのかもしれません。私としても、この人が下手に持論の女系天皇実現などに動きだしたら面倒なので、何もしないでいてくれる分にはありがたいと感じています。

 さて、毎度のことながら前ふりが長くなってしまいました。私は今月11日のエントリ「外国人地方参政権アンケートに対する国会議員の回答」で、在日本大韓民国民団などが実施したアンケート調査について紹介しました。ただ、そのときは字数制限の問題と、私のものぐさな性質とから公明党と民主党の議員の回答を中心に書いたので、きょうは補足する意味で、共産、社民両党議員と無所属議員の答えを掲載しようと思います。いかにも、という感じです。

 質問 (外国人地方参政権が)日本で実現しない理由は何だと思いますか?

【社民党】(敬称略)
 ・阿部知子 「在日コリアンに対する差別意識とそれをあおる一部政治家」
 ・辻元清美 「排外主義が根深く残っているから」
 ・又市征治 「韓国・朝鮮人、中国人等に対するいわれなき偏見、植民地主義的蔑視、帝国主義的歴史観。それを再生産してきた文部省の教科書検定等」

【共産党】(敬称略)
 ・笠井亮 「政府自民党のなかに日本の政治に対して(米国を除く)外国人には口出しさせないという排外主義が根強く残っていること、より根本的には韓国をはじめアジアの人々に多大な惨禍をもたらした日本の侵略戦争への反省がなく、そればかりか安倍政権になって日本の侵略戦争は正しかったと主張する勢力が政権の中枢を握ったことが、定住外国人の地方参政権の実現をより困(※ここで文字切れ)」
 ・穀田恵二 「自民党が反対しているからだと思います」
 ・佐々木憲昭 「自民党・民主党の国会議員の中に、外国人の参政権付与に反対する議員が多数いるため。彼らの主張は『参政権は国民にのみ与えられるべきであり、日本国籍を得て、参政権を行使すべき』というものです。しかし、現在の日本には、多くの地域で在日の方々も含め定住外国人が地域社会を構成し支えているという現実があります。固有の権利として、早急に地方参政権は付与されるべきだと考えます」
 ・日森文尋 「一部日本人の偏狭な民族主義及び排外主義」
 ・井上哲士 「自民党の抵抗。国政への参政権も付与するとの誤解が広くある」
 ・紙智子 「最大与党の自民党とその流れを汲む保守系議員の反対が強く、野党が立法提案しても、審議入りさえ出来ない状況がある」
 ・仁比聡平 「日本共産党などが提出してきた永住外国人に地方参政権を付与する法案が成立しなかった理由は、『日本会議』国会議員など法案に反対している議員が大きな影響力をもっている自民党が反対していることです」
 ・山下芳生 「与党が法案審議を認めないため」

【無所属】(敬称略)
 ・糸数慶子 「単一民族・単一国家という観念を持っている」
 ・川田龍平 「自民党の無理解が直接的な理由だと思う。国連を巻き込んだ運動が必要かもしれない」

 …共産党の人たちはもう少し理論武装をしているのかと思っていたら、意外と論理が飛躍しているように感じました。この手の人たちは、自分たちと同じように考えない人は偏見と差別意識に凝り固まった腹黒い人だと、それこそ偏見に曇った色眼鏡をかけ、一方向しか見えない斜眼帯をつけ、特定電波しか耳に入らないイヤホンをつけて思いこんでいるのでしょうね。保守派は差別意識を持っていると決めつけるその考え方こそが、多様なものの見方を認めない差別意識の表れのような気もします。

 あまり愉快ではない内容について紹介しましたが、何かの参考になれば幸いです。きょうは都心でも雪が降り続くなど特に寒いですが、風邪などめさないよう、ここを訪問してくださった皆様方もご自愛ください(ずっと風邪を引いている人間が言っても説得力はありませんが)。


 昨日は、昨年12月26日のエントリ「来年に向けた一つの希望の光、国家基本問題研究所」で紹介した保守系シンクタンク、国家基本問題研究所(桜井よしこ理事長)が日本外国特派員協会で初の記者会見を開いたので、私も行ってきました。会見では、米国による北朝鮮のテロ支援国家指定解除に反対する緊急提言が出されたのですが、それについては今朝の産経3面に記事が載っているので省きます。イザニュースでもアップされているので、興味のある方はご参照ください。

   

 写真は、会見に臨む桜井氏です。笑みを絶やさず、それでいて鋭く、気迫のこもった言葉を発していました。いつもながらさすがたなあ、と感心します。外国人特派員らの少し意地悪で斜に構えたような質問に対しても、実例を引きながら、相手が理解しやすいようにうまく答えていました。ふつうの人には、なかなかできることではないと思います。写真をもう一枚掲載します。

   

 左から副理事長の田久保忠衛氏、企画委員で福井県立教授の島田洋一氏、桜井氏、拉致被害者家族会の増元照明事務局長に司会の男性です。増元氏はゲストスピーカーという位置づけでしょうか。

 この会見に関する記事は、紙面スペースの都合で、都心などに配布される「後版」から私が重要だと思う記事の末尾部分が削られてしまったので、その部分をここに再掲しておこうと思います。以下がそれです。

 《会見で企画委員の島田洋一福井県立大教授は、昨年11月に拉致被害者家族らと訪米した際、米政府元高官から「ライス国務長官やヒル国務次官補はブッシュ大統領に『安倍晋三前首相は拉致問題にこだわりが強いが、福田康夫首相はそうではない。指定解除しても(日米関係が)シリアスになることはない』とアドバイスしていた」と聞いたエピソードを明かした。》

 北朝鮮が予想通り、昨年末までに行うと約束した核計画の申告を履行しなかったため、テロ支援国家指定解除はいま、若干遠のいた感がありますが、ライス氏やヒル氏がこういう状況では、決して油断はできませんね。米国も福田氏をはじめとする日本政府の姿勢、反応を観察していますね。記者会見後、私は島田教授にこの「米政府元高官」はだれであるか名前を聞いたのですが、先方が「名前は出してくれるな」という条件の下に話したことだそうで、残念ながら私も書けません。

 あと、フリージャーナリストの日本人男性との質疑応答が、個人的に興味深かったので、ちょっと紹介したいと思います。やりとりを聞きながら、言論に携わる覚悟が果たしてあるだろうかと考えさせられたのもので。でも、壇上の「歴戦の勇士たち」には、軟弱に聞こえる質問だったのかもしれません。

 男性 小泉訪朝は日本の空気を大きく変えた。国の安全保障だとか、国家とは何かという意識が高まったし、それはよかったと思う。ただ、一方で、北朝鮮に融和的なことを言うと「反日」というレッテルを張られるリスクも出てきた。私の知人にも萎縮して本心が言えないという人がいる。偏狭なナショナリズムではないか?

 田久保氏 日本はどんな言論も自由であり、問題はそこに節度があるかどうかだ。「反日」と言うのは節度を超えていると思う。ただ、私は評論家活動を始めた初めから「右翼」と言われてきたが、自分では「右翼」とは思っていないし、肩身が狭い思いもしたことがない。

 西岡力企画委員 小泉訪朝前に、拉致問題について書くと身の危険があった。私は脅迫状も脅迫電話ももらった。それは許せない行為だ。しかし、言論活動をしていればレッテルを張られるぐらいは当然だ。それぐらいの覚悟がなければ、言論活動をしなければいい。

 増元氏 私たちのところにもいろいろなことを言ってくる人たちはいる。いろいろな意見を言っていい。それに対する反論もあって、切磋琢磨して言論の質を高めていけばいいのではないか。北朝鮮に行って、当局に対して「日本では本心が言えない」という人もいるようだが、それは本当はそれほどそうは思っていない、ということではないのか。(※増元氏のコメントは、メモがうまくとれていないので文言は正確ではなく、発言の趣旨ということで理解してください。すいません)

 …桜井氏も含め、回答者はみな、あまりにも排他的で簡単にレッテルを張るようなやり方はよくないとしながらも、自分の意見を世に問う際の覚悟を示しているように感じました。私はやりとりを聞きながら、昔はいわゆるリベラルっぽいことを言っていれば、世間からほめられこそすれ批判されることはなかったから、リベラル・左派の人たちは慣れていない人も多いのだろうなあという感想を持ちました。

 私が産経に入社し、地方支局(仙台)で勤務していた17年ほど前には、今以上にマスコミ現場は左派一色でしたから、悪気のあるないは別として、随分とバカにされたりからかわれたりしたものでした。夏の甲子園の地方予選で国歌斉唱がある際、記者で立って歌うのは私一人でしたから指さされて笑われましたし、首相らの靖国神社への参拝や玉串料の県費支出を違法とした岩手靖国訴訟では、靖国参拝に反対する原告側の主張はおかしいと言っていたのは当時の県警記者クラブで私一人でした。

 このときは、地元紙のベテラン記者から「だから君はバカなんだ」などとも面と向かって言われたものでしたが、田久保氏と同じように、こっちは少しも間違っているとは思いませんでしたし、それで自分の考え方を隠そうなどとは露ほども考えませんでした。不愉快な記憶はたくさんありますが…。まあ、いま、時代は政治情勢などで一部逆行しかけている部分もありますが、この10数年、特に小泉訪朝以降、だいぶ変わり、前に進んだのも確かですね。記者会見の場でメモをとりつつ、頭の中ではそんなことを振り返っていました。

 会見の最後に桜井氏は、シンクタンク立ち上げの手応えについて聞かれ、「最初は小さな一歩に過ぎないが、これから10年、15年、20年かけてしっかりした立派な研究所に育て上げたい。最初の一歩としては十分な手応えがあった」として、日本の国益に寄与する存在としてきたいとの豊富を述べていました。国家基本問題研究所は、今回の緊急提言を日米の全国会議員に送付したそうです。日本の将来のたる、研究会の今後の活動が期待されます。

 

 さて、事態は風雲急を告げてきました。何のことかというと、このブログでもたびたび取り上げてきた永住外国人に対する地方参政権付与法案の動きについてです。この問題をめぐっては、民主党の小沢代表が18日、韓国の李明博次期大統領の特使として来日していた李相得国会副議長との会談で「以前から早く実施すべきだと考えている。党内で早くまとめて実現したい」と述べるなど、民主党から国会提出、成立を目指す動きが相次いでいます。

     

 

 この下手な写真は、外務省に高村外相を表敬に訪れた際の李副議長の一行です(外務省大臣室)。ノム政権の韓国要人が来日した際に見せていたピリピリしたような緊張感はまったく感じられませんでした。

 

この問題について、21日の東京新聞は「外国人参政権付与へ動く民主 小沢氏、自公分断狙う?」と報じていました。《永住外国人への地方参政権付与は、与党では公明党が積極的に取り組んできたが、自民党内の強い反対に遭い実現していない。民主党が参院に法案を提出すれば、理屈の上では「公明党も反対できない」(若手)ため、与党の亀裂が期待できる》という内容でした。まあ、それだけではないでしょうが、そういう部分もあるのでしょうね。

 

 それでは、自民党総裁である福田首相はどう考えているのか。福田氏は22日の代表質問で、民主党の鳩山幹事長の質問にこう答えています。

 

 「この問題は、我が国制度の根幹に係る重要な問題でございまして、各党各会派において、議論を進めていただきたいと考えております

 

 この言葉は、福田氏が「自分としては特にどうしたいということはないから、強い反対があるかないかなど、党内外の議論の成り行き、情勢に任せるよ」という立場を示したものだと理解しています。この問題で福田氏が自ら賛成なり反対なりの旗を振ることはしないだろうと思います。となると、東京の記事にもあるように、公明党の対応が気になるところです。そして、ここからが本題です。

 

 弊紙の記者が公明党の某幹部に対し、民主党が外国人参政権付与法案を提出した場合、公明党はどうするつもりかと聞いたところ、この幹部はこう言い放ちました。

 

 「賛成するよ。これは(参政権付与を実現する)チャンスだと思うから。自民党議員も半分は賛成するだろう

 

 これは、まだ公明党内の幹部会などで正式決定された方針ではなく、あくまでこの幹部の意見だそうですが、とはいえ、党内の「雰囲気」を反映してはいるのでしょう。いよいよ恐れていた事態が近づいてきたのかもしれません。

 外国人参政権問題をめぐっては、自民党内は賛否が割れていますが、党議拘束をかけなければ、半数の議員は賛成に回るという読みです。確かに、党総裁たる福田氏に確たる意思や方向性がないうえ、ねじれ国会において民主党への協調を示すためには、党議拘束をかけずに自由投票に任せた方がいいという判断が働く可能性は高いと思います。結果的に、与党に亀裂を入れようという民主党の思惑は外れるかもしれませんが、そんな政局的な駆け引きよりももっと深刻な事態招くことになりかねません。

 

 一方の民主党内はというと、この法案に反対する議員は少なからずいますが、外国人参政権付与は民主党結党以来の基本方針であり、かつ小沢氏サイドからの締め付けも強いでしゅうから、こちらは賛成の党議拘束がかかった場合、反対を貫き造反するのは難しいでしょう。となると、「民主党+公明党+自民党の半数=余裕で過半数」という数式(?)が成り立ちますし、共産党や社民党も賛成するでしょうから、この法案は成立してしまうのです。

 また、現在検討が進められている人権擁護法案の見直しでは、人権擁護委員の資格に国籍条項がないことに批判が強かったことを考慮して、就任の条件として「地方参政権を持つ者」を付け加えようとしていると伝えられています。しかし、外国人参政権が実現してしまえば、結局、人権擁護委員には在日朝鮮人、韓国人も就任できることになります。この二つの法案はまさしくセットで考えないといけないと感じています。

 とうとう、反対の声を政府、各政党、市町村レベルから国会にいたるまでの各議員に届けなければいけないときが来たのかもしれません。まだ各党、各議員の動きの詳細は分かりませんが、そういう危機感が高まってきました。

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