2008年09月

 

 前エントリ「中山国交相の辞任と日教組の味方、公明党」で日教組について取り上げたところ、実にたくさんのコメントをいただきました。実は昨日、少し体調を崩してパソコンに向かわずにいたところ、その間にもたくさんのコメントが寄せられ、返事を書くのが少々しんどい状況になってしまいました。

 

 私の日教組批判について、何か個人的感情(それも全くないとは言いませんが)ではないかというご指摘や、山梨県などの特殊事例で日教組全体を語るのは適当ではないのではというご意見に対しては、きちんと私の考えを述べておかなければならないと考えています。ただ複数の同種のコメントに似たようなことを繰り返して書くのはちょっときついので、過去エントリを紹介してその作業に替えたいと思います。私の趣旨に誤解もあるようなので、一つここで述べておけば、教職員にも思想・信条の自由があるのは当然ですが、その自由を侵害し、特定政党・個人の選挙応援に強制的に動員しているのは教組側なのです。それは、私自身、複数の山梨県の教員から直接聞いている話です。

 

 私は6月30日のエントリ「輿石氏の政治信条『逃げない、ウソつかない』と過去エントリ」で、輿石氏に関するエントリ20本を挙げているので、本日は、それとだぶらないように、主に日教組全体や山梨県教組以外について書いたエントリ20本をここに掲載します。もし関心がおありでしたら、読んで参考にしていただければ幸いです。

 

 いろんな角度から日教組の問題を取り上げているので、短いコメント欄での返事より、私がどうして日教組の存在をここまで重視し、批判しているのか分かってもらえると思うので。輿石氏について記した分と合わせて読んでもらえると、さらにありがたいです。合わせると40エントリにもなって大変ですが。

 

 ■2006年

 ・10/29 「注意すべきは教育委員会と教職員組合の一体化」

 ・11/08 「小林正氏のレジュメに学ぶ日教組の実態」

 ・11/13 「例示・北海道で行われた過激性教育」

 ・11/21 「北教組グッズって何?・日教組委員長のレジュメ」

 ・11/24 「産経記者が見た日教組教育研究集会」

 ・12/03 「教育基本法・参考人から外された小林正氏に聴きました」

 ・12/07 「中核、革マル、全学連に応援されてる日教組」

 ・12/14 「またも革マルと全学連に求愛されている日教組」

 ・12/26 「日教組の『やらせ』?・教育基本法の国会質疑想定問答集」

 

 ■2007年

 ・01/24 「読売GJ!北海道教組のいじめ黙殺」

 ・02/15 「日教組とゆとり教育をかばう毎日社説と北教組」

 ・04/02 「札幌市教組の民主党選挙応援の『司令書』」

 ・04/10 「お薦めの書『いいかげんにしろ日教組』と教育現場」

 ・05/08 「話題の書『日狂組の教室』を読んでみました」

 ・05/18 「教育3法案の衆院可決と世耕補佐官の祖父」

 ・06/15 「本日の参院議員会館の風景・お題『北教組』」

 ・07/13 「槙枝日教組元委員長『教育荒廃の責任の半分は日教組』」

 ・10/25 「全国学力テスト結果と日教組組織率に関連はあるのかないのか」

 

 ■2008年

 ・02/04 「惜しくも日教組にメスを入れられなかった教育再生会議」

 ・02/13 「作家、曽野綾子氏のコラムで思い出した日教組集会資料」

 

 …これらを読んだ上で、なお日教組という特殊な政治団体を批判するのがおかしいとお感じになる方には、もはや言うべき言葉は持っていません。前回のエントリでは、主に日教組の政治活動という側面について取り上げましたが、私自身、小学生のころに平和教育という名の反日教育を受け、一時は尊敬する先生たちが支持する社会党が一番立派な政党だという愚かな考えを植え付けられかかった者ですから、その洗脳集団としての恐ろしさも重々承知しています。

 

 中山前国交相はこの際、一般の人がまだまだ甘く見ている日教組の実態について繰り返し説明し、周知させる役割を担ってほしいものだと思う次第です。

 

中山前国土交通相(きょう辞任しましたね)の一連の発言が波紋を広げています。私も、野党やマスコミに揚げ足をとられたり、追及されてレッテルを貼られたりすると分かっているようなことを、何も注目を集める公式の場(就任インタビュー)で言うことはないと思いますし、この人は以前から言葉が軽いところがあるので、その意味では不適切だったと思っています。ただ、中山氏の発言の中で、日教組に関する指摘には、強い共感を覚えます。「日教組は日本の教育の『がん』だ」という発言は、まさに事実そのものであると思っています。

 

また、日教組は単にGHQによる日本の国力を長期にわたって弱めようとする占領政策をそのまま引き継いだだけでなく、県によっては県政全体を支配するような政治力を持ち、児童・生徒だけでなく、教職員の思想・信条の自由も押さえつけて特定の政党や個人の選挙運動をさせているということも、私は繰り返し書いてきましたね。私は、日教組は教員の労組というよりも、反日・左翼イデオロギーのもとに猛威を振るっている有力かつ有害な政治団体だと認識しています。その日教組の親玉が現在の民主党の参院議員会長であり、「次の内閣」副総理であることも周知の事実でしょう。

 

したがって、中山氏の発言は立場上、軽率のそしりは免れないにしても、特に日教組に関する部分については「その通りだ」と応援したくなるぐらいでした。そして、予想通り野党やマスコミは一斉に中山発言批判を展開していますが、その渦の中で私が気になったのは公明党の反応です。公明党の山口那津男政調会長27日の民放テレビ番組で、「まあ、ほんとに不適切極まりないですよ。とんでもない発言ですよ。日教組の人もね、大分県の人とも何の因果関係もないですよ」と語っていました。

 

はっきり言いますが、公明党はこれまでも日教組の味方をしてきました。ある幹部はかつて、オフレコで「知的レベルが高い住民は日教組を評価している」という全く見当外れのことも述べていました。何を根拠にそんなバカなことを思いこんだのか分かりませんが、彼らはそんなわけの分からないことを実際に言っているのです。そして何より許せないのは、3年ほど前、日教組の異様異常な政治活動を規制しようという機運が高まったときに、公明党がこれをつぶし、葬り去ったことです。当時の怒りは忘れられませんが、とりあえず、過去の産経記事を振り返りながら、経過を追ってみたいと思います。

 

地方公務員の政治活動制限自民、法案提出へ [ 20050407  東京朝刊  総合・内政面 ]

 

 自民党は六日、地方公務員や公立学校教員による選挙運動などの政治的行為を制限する目的で新たに地方公務員法などに罰則規定を設けるため、今国会に関連七法案を提出、成立を目指す方針を決めた。同党の「大阪市職員厚遇問題」と「山梨県教職員組合問題」の両調査チームが法案の改正要綱をまとめ、同日、武部勤幹事長に答申した。

現行法では、地方公務員と公営企業職員は選挙運動が禁止されておらず、罰則規定もない。公立学校教員も教育公務員特例法の「例外規定」により、政治活動が事実上、野放しになっている。

しかし、労使の癒着体質による大阪市の職員優遇問題や、山教組による組織的な選挙資金集めが発覚。「公務員の政治的行為を放任すれば、中立性が失われ、党派的な偏向を招く」(中谷元・副幹事長)として、政治的行為に対して懲役刑を含めた刑事罰が科される国家公務員並みの制限を設けることにした。(後略)》

 

…このときは、私もかかわってきた山梨県教職員組合の徹底した選挙活動問題と、大阪市職労の法外な諸手当・厚遇問題が国会でも取り上げられ、これらの官公労が強い影響力を持つ理由は、その選挙活動・集票力にあると指摘されていました。今はすっかり忘れられているようですが。

 

地方公務員 政治活動に罰則適用 自民改正案署名、寄付など禁止[ 20050514  東京朝刊  総合・内政面 ]

 

 山梨県教職員組合による選挙資金集めや大阪市の職員厚遇問題を受け、地方公務員労組が影響力を振るう源泉となっている政治活動に制限を加えるため、自民党が今国会に提出・成立を目指す教育公務員特例法など関連七法の改正案全容が十三日、明らかになった。政治的中立性が求められる地方公務員の行き過ぎた政治的行為について、国家公務員と同様に罰金、懲役などの罰則を適用するのが柱。成立すれば、官公労を有力な支持基盤とする民主党は打撃を被りそうだ。

改正の対象は教育公務員特例法のほか、地方公務員法地方公営企業労働関係法地方公営企業法地方独立行政法人法政治資金規正法公職選挙法-の六法。

山教組問題では、現職教員らによる学校内などでの資金カンパや選挙活動は「明らかに教育公務員特例法違反」(文部科学省)とされる。だが、同法には罰則を適用しないことを定めた「特例規定」があり、事実上、教員の政治活動は野放しになってきた。

また、大阪市の職員厚遇問題の背景について、自民党は「大阪市労連が組織を挙げて選挙運動を行い、(歴代の)市長誕生に貢献している。市長らは労組に過度に配慮し、健全な労使関係とはいえない状況がつくられてきた」(党プロジェクトチームの答申)と指摘。ところが、地方公務員や地方公営企業職員は、国家公務員には禁じられている政治団体への勧誘活動や、集会などでの政治的発言がほぼ認められている。

このため、地方公務員法改正案は三六条(政治的行為の制限)で、政党や政治団体の刊行物配布のほか、政治的目的のための(1)署名運動(2)集会などでの政治的発言(3)寄付金その他の利益提供-などを禁止。勤務自治体の区域外でも政治的行為の制限を適用する。

教育公務員特例法改正案は、公立学校教員らの政治的行為の制限について「国家公務員の例による」とする一方、処罰に関しては適用しないとしていた現行法一八条を削除。改正地方公務員法の規定で罰則を適用する。

自民党は週明け以降、改正案提出に向けて詰めの調整を急ぐが、改正案に対して「地方公務員の集会・結社や表現の自由を制約する」などの批判が出るのは必至だ。》

 

…この法案が実際に提出され、成立していたら、効果は少なくなかったろうと思います。日教組や自治労はそれでも抜け道を探して政治活動を続けようとしたでしょうが、「やらされている」だけの組合員が、政治活動を拒否する理由、根拠になっただろうと思うのです。残念です。次は私の署名記事です。

 

【潮流】官公労依存の民主 旧社会党の道たどる?[ 20050524  東京朝刊  総合・内政面 ]

 

 全国の自治体で次々とヤミ手当が発覚し地方公務員のあり方が問われる中で、民主党が自治労、日教組など「官公労」への依存体質ゆえに追い詰められている。大阪市の職員厚遇問題、山梨県教職員組合(山教組)の選挙資金集めなど官公労を背景に持つスキャンダルを奇貨として、自民党が地方公務員の違法・脱法的活動に本格的にメスを入れる構えをとっているためだ。旧社会党から引き継いだ票田が、逆に世論の逆風を引き寄せるアキレス腱(けん)となりつつある。

「これをやったら、郵政改革以上の大問題にならないか」

自民党政調幹部がこう漏らしたのが、二十四日に党の総務部会、文部科学部会などの合同会議で了承される地方公務員法改正案、教育公務員特例法改正案など関連七改正案。地方公務員の政治的行為を国家公務員同様に規制するものだ。

地方公務員や公立学校教員は政治的中立性確保の観点から、一定以上の政治的行為は禁じられている。ところが、現行法は罰則が適用されない「ザル法」で、選挙活動は事実上、野放し状態になっていた。

改正案が成立すれば、山教組の組織内候補である輿石東参院幹事長をはじめ、自治労の支援を受ける斎藤勁総務局長ら官公労の全面的支援で当選した議員が多い民主党にとって大打撃だ。岡田克也代表自身、地元の三重県教組の選挙応援を受けてきたが、今のところなぜか沈黙している。

自民党の改正案は違法行為の取り締まりに実効性を持たせるという趣旨なので、法令を順守していれば実害はない。そのため、表立っては反論しにくく、様子見を決め込んでいるようだ。

輿石氏は四月二十九日、連合山梨のメーデー式典で、「労働運動に対し、弾圧をかけてくる勢力が頭をもたげている」とあいさつしたが、記者団に「弾圧とは何を指すのか」と聞かれても答えなかった。一方、山教組は今月二十日の定期大会で「政治活動の強化」を確認しており、反省は見られない。

窮地を招いた責任は、旧弊に目をつぶり続けた民主党自身にある。

岡田代表は昨年十月、経済同友会の会合で出席者から官公労との密接な関係に懸念を示されると、「自治労や日教組と敵対しても物事はよくならない。彼らと一緒にこの国を変えていくという発想だ」と答え、党の体質改善を行う考えのないことを示していた。

それどころか、民主党「次の内閣」は教育基本法改正について日教組などと意見交換していく方針を決めている。教育基本法に違反する学校内での政治的活動を推進してきた団体から、基本法について意見を聴くというのだから、たちの悪いジョークといえる。

全国的に波紋を広げた大阪市職員厚遇問題に関しても、民主党内に大阪市職員出身で、市労連の支援を受けた衆院議員がいるせいか、「山教組問題同様、役員会や常任幹事会で取り上げられたことはない」(関係者)というありさまだ。

官公労との不透明な関係を明らかにし、改善しない限り、民主党は党勢挽回(ばんかい)どころか、かつての社会党のような衰退の道をたどりかねない。(阿比留瑠比)》

 

…記事に出てくる「郵政改革以上の大問題」と漏らした自民党政調幹部とは、もう時効だろうし、別に隠すほどでもないと思うので記すと、与謝野政調会長でした。この法案が、分かる人には、それだけ大きなインパクトを持って受け止められていたということがうかがえます。自民党内では、加藤紘一氏でから賛成の声を上げていましたし、逆に手足をもがれる輿石氏は慌てていました。

 

自民、地方公務員法改正案を了承 [ 20050525  東京朝刊  総合・内政面 ]

 

 自民党は24日の総務、文部科学両部会、選挙制度調査会の合同会議で、地方公務員の政治的行為に国家公務員と同様に罰則を適用する地方公務員法改正案などの扱いを両部会役員に一任し、事実上、了承した。公明党との調整などを経て今国会に提出する。会議では宮路和明副幹事長が、山梨県教職員組合の選挙運動について、現行の教育公務員特例法に罰則規定がなく「山教組は刑事罰のある公選法に引っかからないよう意識して活動している」と、悪質性を指摘した。》

 

 …この時点では、こうして順調に法案提出への手続きも進んでいたのですが。

 

早期の山梨県内での現地調査要望へ [ 20050622  東京朝刊  総合・内政面 ]

 

 山梨県民主教育政治連盟(県政連)の幹部を政治資金規正法(虚偽記載)の罪で山梨県警などに告発した2グループが21日、都内で会合を開き、当面は地方公務員法改正案などの提出、成立を求め、中山成彬文部科学相に、山梨県内での現地実態調査の早期実施を要望する方針を決めた。》

 

 …当時の文科相が中山氏でしたね。文科省(と背後にいる日教組)にからめとられている自民党文教族議員たちを押し切り、文科相として「ゆとり教育の見直し」を言ったのを立派でした。

 

選挙運動 「地方公務員も罰則」 首相、法改正に意欲[ 20051005  東京朝刊  1面 ]

 

 小泉純一郎首相は四日の参院予算委員会で、公立学校教職員や地方公務員による選挙運動について「国家公務員と同じように、地方公務員も公務員である限りは選挙運動をしてはいけない。国家公務員並みの罰則を設けることについて、きちっと対応しなければいけない」と述べた。地方公務員法や教育公務員特例法などの改正に強い意欲を示したものだ。

首相は「学校の教職員が生徒の親のところへ行き、選挙運動をしたらどうなるか。どういう政党が公務員に選挙運動をしろというのか、はっきりさせるため国会で大いに議論すべきだ」と、自治労や日教組など官公労を支持基盤とする民主党を暗に批判した。

地方公務員や公立学校教職員は政治的中立性確保の観点から、一定以上の政治的行為は禁じられている。ところが現行法は罰則が適用されない「ザル法」で選挙運動は事実上野放しになってきた。

自民党はすでに、山梨県教職員組合による半強制的な選挙資金集めや大阪市の職員厚遇問題を受け、国家公務員と同様に罰金、懲役などの罰則を適用する関連七法の改正案をまとめている。》

 

…この法案には、当時の小泉首相も賛同していました。彼の中での優先順位は高くなかったのでしょうが、あとで出てくる記事にもあるように、小泉氏は国会で2回も法改正に意欲を示していたのです。力のある首相が2回も国会答弁で意思表示したにもかかわらず、その後動きが止まったのは、まさしく公明党のせいでした。

 

改正地方公務員法 通常国会で成立を 首相が指示 [ 20051006  東京朝刊  総合・内政面 ]

 

 小泉純一郎首相は五日、首相官邸で、自民党の宮路和明総括副幹事長、中谷元副幹事長と会談し、公立学校教職員や地方公務員による違法な選挙活動に罰則を適用するため、地方公務員法など関連七法改正案を来年の通常国会に提出、成立を図るよう指示した。

首相は、「関連七法改正は公務員改革の大前提だ」と説明する宮路氏らに対し、「よく分かっている。ぜひ、しっかりやってくれ」と応じた。

自民党は今年五月、山梨県教職員組合による半強制的な選挙資金集めや大阪市の職員厚遇問題の背景に、官公労が選挙活動を通じて政治力を発揮している実態があるとして、関連七法改正案をまとめている。》

 

…産経はこの問題をフォローし続けていましたが、他のマスコミは無視するか、小さな扱いでした。ことの重要性、問題の軽重が分からないのか、内部に日教組や自治労のシンパが多すぎて触れたくなかったのか。

 

【主張】地方公務員 選挙運動に罰則は当然だ[ 20051006  東京朝刊  総合・内政面 ]

 

小泉純一郎首相は参院予算委員会で、地方公務員の選挙運動にも罰則を科す法改正に強い意欲を示した。

公立学校の先生や自治体職員は地方公務員法などで、選挙運動を禁じられている。この点は国家公務員も同じだ。しかし、国家公務員が選挙運動をすれば、国家公務員法などで懲役三年以下の刑事罰を科せられるのに対し、先生らが選挙運動をしても、行政上の懲戒処分を受けるだけで済んでいた。

これは明らかに法制度の不備といえる。当然、地方公務員法などにも罰則規定を設けるべきである。その法改正が遅れた原因として、教育委員会や自治体と、日教組、自治労など官公労の癒着が考えられる。

昨年夏の参院選で、日教組傘下の山梨県教職員組合(山教組)が校長、教頭、一般教員から半強制的に民主党候補の選挙資金を集めていたことが明らかになった。校長、教頭ら管理職と教職員組合が一体となった学校ぐるみの違法行為だった。

しかし、同県教育委員会は教員ら十九人を「教育公務員特例法違反の疑いを招きかねない紛らわしい行為」として違法とせず、給与や昇進に影響しない訓告・厳重注意にとどめた。このため、文部科学省は「県側による自浄作用は期待できない」として、異例の現地調査を行った。

また、大阪市では職員厚遇問題が発覚した。この問題を調査した自民党のプロジェクトチームは「大阪市労連が組織を挙げて選挙運動を行い、(歴代の)市長誕生に貢献してきた。市長らは労組に過度に配慮し、健全な労使関係とはいえない」と指摘した。

このままだと悪(あ)しき地方分権が進まないか心配だ。

小泉首相は「学校の教職員が生徒の親のところへ行き、選挙運動をしたらどうなるか。どういう政党が公務員に選挙運動をしろというのか。はっきりさせるため、国会で大いに議論すべきだ」と、官公労を支持基盤とする民主党を暗に批判した。

一方、民主党の前原誠司代表は「既得権益やしがらみと決別する」と強調し、五日開かれた連合の定期大会でも、「(労組と)是々非々の対応をする」と述べた。前原民主党の自浄努力にも期待したい。》

 

…主張が指摘しているように、前原氏は民主党代表でありながら、自治労、日教組といった官公労と距離を置こうと試みました。案外、これが前原氏がすぐつぶされた遠因だったのかもしれません。現在の小沢代表が官公労べったりどころか、官公労に党内支持基盤を置いているのとは対照的でしたね。

 

地方公務員の政治活動制限 自民、改正案了承 [ 20051013  東京朝刊  総合・内政面 ]

 

 自民党は十二日、選挙制度調査会と総務部会などの合同会議を開き、公立学校教職員や自治体職員が政治活動をした場合の罰則規定を設けた地方公務員法など関連法改正案を了承した。今国会への提出に向けて公明党と調整する。改正案は、国家公務員なみに政治活動を制限、違反者には三年以下の懲役か十万円以下の罰金を科す。山梨県教組による組織的な資金カンパや選挙運動、大阪市職員の「厚遇問題」を受け、党のプロジェクトチームが作成した。》

 

 …こうして自民党は正式な党内手続きを踏み、公明党との間でも、幹事長会談でいったんこの法案の提出・成立で合意したのです。ところが、そこで予期せぬ反応があり、公明党幹部らは前言を翻して「この法案は駄目だ」と言い出すのです。まさに党利党略からの裏切りでした。

 

 というのは、この法案が成立すれば、自治労や日教組の選挙運動が封じられるわけですが、同時に公明党の支持者にも動けなくなるという人がけっこういるということが分かったのです。公明党本部には「本気でこんなことやるのか」という抗議の電話が殺到したと言い、幹部らはそれにびびってしまったというわけです。どうしてかというと、公明党の支持者には地方の現業職公務員が多く、彼らもまた選挙活動を制限されてしまうという理由でした。バカらしい。同じ穴の狢だったと。

 

地方公務員法 首相、改正に意欲 選挙資金集め罰則も[ 20060209  東京朝刊  総合・内政面 ]

 

 小泉純一郎首相は八日の衆院予算委員会で、山梨県教職員組合による選挙資金集めに関連、「地方公務員も国家公務員もその使命に変わりはない。本来の職責に専念するのが筋だ。罰則を含めて、与党でもよく検討してもらいたい」と述べ、地方公務員法や教育公務員特例法などの改正検討を与党に促した。

民主党の輿石東参院幹事長を支援する目的の山教組の資金集めをめぐっては今年一月、甲府簡裁が政治資金規正法違反(虚偽記載)で、現職教員である山教組の財政部長(46)と山教組の政治団体、県民主教育政治連盟の会長(76)に対し、罰金(三十万円)の略式命令を出した。しかし、地方公務員法など関連法では、こういった事例での罰則規定はない。自民党内では国家公務員法並みの罰則規定を盛り込んだ改正案提出の機運が高まっているが、公明党は難色を示している。

また、地方公務員法は、勤務時間中に組合活動に専従する「在籍専従」制度も認めている。小坂憲次文科相は、在籍専従の山教組財政部長が政治団体の資金管理をしていた問題を受け、「制度の趣旨に沿った運用がなされていないなら問題だ。必要に応じて調査を行い、指導を厳しく行っていきたい」と述べ、実態調査を行う方針を表明した。札幌市の教員が、教員給与を受け取りながら任意団体の業務に従事していた問題では、「教員の長期研修の全国的な状況について調査、把握することが必要だ。不適切な事例が明らかになった場合は厳正に対応したい」と述べ、教員の研修に関する全国調査を行う考えを明らかにした。

宮路和明氏(自民)の質問に答えた。》

 

小泉氏はそれでも、国会でこう述べましたが、もう事態は動きませんでした。私も当時、公明党幹部に直接、「この法案には大きな意義がある」と意見したのですが、当初はそんなことは言っていなかったくせに「憲法に抵触する疑いがうんぬん」ともうこの法案には触れたくないという態度でした。自民党側は、それならば教育公務員に限定してはどうかとも提案したようですが、公明党は羮に懲りてなますを吹くようなもうこりごりという態度を変えませんでした。

 

この法案が成立していたら、昨年の参院選の結果も微妙に異なっていたのではないかと思います。日教組に味方する公明党は、日本にとってどういう存在であるのか。強い不信感を持って見つめざるを得ません。

 

 

 本日は、週刊現代2008/10/4号に掲載されたジャーナリストの松田賢弥氏の記事をちょっと「後追い」してみます。記事は、「小沢一郎の金脈を撃つ 夫人を利用した3億円〝隠れ資産〟を暴く」と題されたものです。どうやら連載のようで、次号に続きが載ると予告されていました。

 

 記事の内容はというと、ものすごく簡単に言うと、小沢氏の世田谷区深沢の豪邸近くに、小沢氏の和子夫人の名義の土地・建物(2棟)があり、そこに小沢氏の秘書たちが暮らしているというものです。それのどこがどう問題なのかは、詳しくは、現代を読んでもらうのがいいと思いますが、私は「この前聞いた話はこのことだったのか」と思い当たることがありました。

 

 先日、小沢氏の元側近と話をしていた際、小沢氏の資金管理団体「陸山会」が、同じく深沢に事務所費3億6500万円余を使って土地・建物を購入し、「秘書の寮」(小沢氏)を建設したことが話題になったときのことです。元側近はあっさりこう述べました。

 

 「秘書の寮なんて必要なはずがない。だって、陸山会の政治資金収支報告書には載っていないが、小沢邸から歩いていけるところに、すでに秘書が住む一軒家が複数あるんだから」

 

 これまで私は、産経紙面やこのブログで、支持者の浄財である政治資金(政党助成金も入っているようですが)で秘書の寮を建てるぐらいなら、秘書の給与を上げて好きなところに住めるようにすればいいじゃないかという疑問を記してきました。でも、近くにそんな家があるのなら、いよいよ何のために巨額の資金を投じて新たな寮なんて立てる必要があったのか。

 

 私が、なぜその建物は収支報告書に記載されていないのかと聞くと、元側近ははっきりしたことは述べませんでしたが、一言「和子夫人の存在もある」とだけ語りました。そのときは、それ以上のことは分からなかったのですが、今回、現代の松田氏の記事を読んで得心がいったという次第です。そこで私も、現地に行ってこの「秘書宅」を探し、自分の目で確かめてみることにしました(記事には住居表示、地番が書いてありませんでした)。

 

 まず、高級住宅街にあってもその広大さで一際目立つ、小沢氏の邸宅が下の写真です。表通り側の外観がこれですが、塀には自分のポスターが張ってありました。写真を撮っていたところ、ポリスボックスの警官に「記者さんですか?」と誰何されました。さすがに警戒厳重です。

 

 

 

 次の写真は、小沢邸を裏側から見た外観です。樹木が鬱そうと茂っていますね。写真では分かりにくいでしょうが、こちら側は、ぐるぐる巻きになった有刺鉄線が張り巡らされていて、剣呑な雰囲気でした。近寄り難い、怖い感じがしました。

 

 

 

 さて、現代の記事は、この小沢邸と秘書宅の位置関係について、こう書いていました。

 

 《その豪邸からゆるやかな坂道を登り、樹齢を重ねたケヤキが立ち並ぶ閑静な住宅街を2分も歩くと、小沢邸と同じ薄茶色の壁で覆われた邸宅がある。2階建てでバルコニーのついた瀟洒な建物が二棟、同じ敷地にある。》

 

 この描写を頼りに、秘書宅を探したのですが…。はっきり言って、方向感覚が悪い上に土地勘のない私は、探すのに相当、手間取りました。「ゆるやかな坂道を登り」とあるので、小沢邸の表通りの坂のことかと考え、見当違いの場所をうろうろしたせいもあります。けっこう時間をかけてやっと見つけたのですが、結局、小沢邸からは「3~4分」の距離にありました。

 

 

 

 上の写真がそれですが、「樋高」「木戸口」「玉置」と表札がかかっていました。あと、佐藤、川辺、加集の名前も書かれています。住宅地図を確かめると、さらに池田、今井、吉良という名前も記載されていました。松田氏は記事でこう書いています。

 

 《「樋高」は樋高剛元衆院議員、「木戸口」は木戸口英司元岩手県議のことで、彼らは小沢の元秘書だ。そのほかの住人も小沢の秘書。つまり、この豪邸は小沢の「秘書宅」なのである》 

 

 樋高氏というと、平成18年の政治資金収支報告書で、小沢氏の関係政治団体「改革国民会議」(元自由党の政治団体)と「改革フォーラム21」(元新生党の政治団体)の会計責任者として名前が書かれ、訂正印が押されて会計責任者はともに小沢氏側近の平野貞夫元参院議員に変更されていたという人ですね。ちなみに、平成19年の報告書によると、この2団体の資産は計18億円を超えています。

 

 

 

 この秘書宅を違う角度から見たものです。なかなか立派ですね。記事によると、小沢事務所はこの土地・建物について「(和子)夫人が個人で購入しその代金も夫人が支払っております」「事務所兼宿舎としても秘書が使用しており、したがって秘書からの家賃徴収もしておりません」と説明したそうです。ふむふむ。

 

 陸山会の収支報告書によると、この秘書宅と深沢に新築した「秘書の寮」のほかにも、保有不動産のうち、港区赤坂6丁目の部屋と港区赤坂2丁目の部屋、港区南青山2丁目の部屋がそれぞれ秘書の「事務所兼宿舎」として利用されているとあります。小沢氏の秘書数については、先日のエントリでも報告したように「公設秘書、私設秘書、書生、研修生、ボランティアなど多くの人間がかかわっているので一概に言えないが、20人前後」(小沢事務所)とのことでしたから、全員の住居の面倒を見ようと思えば、それはたくさんの物件が必要なのかもしれません。でも、繰り返しますが、何で給与を上げて賃貸でも何でも、好きなところに住まわせようとしないのか不思議です。

 

 さて、和子夫人名義の秘書宅については、法務局に行って不動産登記簿でも確かめてみました。それによると、この秘書宅は平成7年5月に和子夫人が銀行から2億3500万円借りて購入していました。このときの年利は2.675%とありますから、年に628万6250円もの利息がつくことになります。でも、和子氏は4年もたたない11年5月には弁済を終えたことが、抵当権が抹消されたことから分かります。きっと、庶民には想像がつかない資金力を持っているのでしょうね。いやはや。

 

  それにしても、たとえ夫の大事な秘書さんの住まい確保のためとはいえ、個人で多額の借金をし、高い利息を引き受けてまで借金して土地・建物を購入するという意図や気持ちがさっぱり分かりません。いや、購入の目的は別で、たまたま買ってから13年ばかり、秘書を住まわせているだけかもしれませんが。小沢氏も「秘書の寮」を建てるにあたって陸山会に数億円もの貸し付けを行い、利息をとっていましたが、何でそんなにしてまで不動産を買わなければいけないのか。

 

 秘書宅の広さがどれくらいかというと、2世帯住宅風のつくりの1棟は1階、2階とも99.30平方メートル。もう1棟は1階と2階が49.27平方メートルで、地下1階が52.07平方メートルとありました。地下は駐車場の分でしょうか。まあ、確かに住宅地図にある9人ぐらいは十分住めそうな広さです。

 

 これを「無償」としていることについて、松田氏は「事務所として使用する以上、和子が家を貸すことは政治団体に対する財政的な支援になり、事務諸費を徴収していなければ、政治資金規正法で禁止されている無償提供にあたる。事務諸費を徴収していない場合、和子による寄付が政治資金収支報告書に記載されていなければ、虚偽記載だ」などの疑問を指摘しています。非常に興味深く読みました。きょうのところは、ひたすら記事の「後追い」をするしかできませんでしたが、私も関心を持って引き続き見ていこうと思います。

 

 ともあれ、衆院議長に提出された資産等報告書によると、小沢氏はこの深沢の邸宅と岩手県水沢市の自宅のほか、静岡県の東伊豆や沖縄県の宜野座にも広い土地を持っているようだし、本当に不動産が好きなのだなあと改めて感じた次第です。実際どうなんでしょうね…。

 

 小泉純一郎元首相の政界引退のニュースが飛び込んできました。それに関するあれこれの分析や解説は別の機会にまた考えるとして、ああ、本当に自分の美学に徹する人だなあという感想を覚えました。この人は正直なところがある人で、言葉にしたことは大体実行してきました。一方、答えたくないことや都合の悪いこと、自分でもよく分かっていないようなことは無言を通すことが多かったため、その分、口にしたことは本当なのだろうなと思わされました。

 

 今回の引退にはいろいろな判断や事情があったのでしょうが、私はすぐ、平成15年10月31日の小泉氏が産経新聞のインタビューで述べたことを思い出しました。その際、小泉氏は自分の引退時期について、こう明確に語っていました。

 

 「私自身は、65歳をめどにしている。その後はゆっくりとさせてほしいと思っている」

 

 65歳は、小泉氏の父、純也元防衛庁長官が亡くなった歳でした。それが関係あるのかどうかは分かれませんが、昭和17年1月8日生まれの小泉氏は現在、66歳となっており、今が辞めるにふさわしい時だと考えたのかもしれません。小泉構造改革路線が否定されつつあることに嫌気がさしたとか、抗議だとかいう見方もあるようですが、私はむしろ、今辞めるべきだとのこの人流の美学を優先させたのではという気がします。

 

 郵政解散のときも、自民党の議員もマスコミの多くも、まさかあんな大勝に終わるとは夢にも思っていなかったこともあり、早くから解散の意向を小泉氏が表明していたにもかかわらず、「まさかそんなことはしないだろう」という見方がけっこう強かったのを思い出します。郵政民営化反対派の議員の多くは、「あれは小泉のブラフだ」と言っていましたし、私もある重鎮議員から「小泉は気がおかしくなったふりをしているが、本当はそこまで気が変にはなっていない」と言われたのを覚えています。「小泉氏の言うことを素直に聞いておいた方がいいのに…」と思いつつ。

 

 首相官邸担当が長く、小泉氏の言動をウオッチしていた期間も長かった者からすると、「小泉氏があそこまではっきり言っているんだから本気であるはずだ。小泉氏は言葉を誤魔化すことは珍しくないが、真剣に言っていることに嘘はない」と素直に感じていました。郵政解散とは時期が前後しますが、そんなわけで、この65歳めど引退発言も強く印象に残っていました。この人はたぶんそれを実行するのだろうなと。あの解散劇は、小泉氏にとっても「賭け」だったはずですが、この人は損得計算もしっかりするタイプであると同時に、賭けそのものを楽しむ方でもありました。そのあたりの「遊び心」が、かえって国民の心を魅了したのかもしれませんね。

 

 小泉氏に関しては、私は「熱心な支持者」でも「信者」ではなく、個々の政策についてはむしろ批判してきたことも多いのですが、やはり傑出した首相だったと評価しています。きょうは取り急ぎここまでにして、また別のエントリで彼の築いた一時代と功績について振り返りたいと思います。

 

 本日、福田内閣は総辞職し、福田首相は安倍前首相より1日短い在任期間365日で首相の座を退くことになります。今朝の産経には、福田氏は昨日、すでに首相公邸を去ったとありました。公邸暮らしは9カ月余だったそうです。まあ、福田氏にしても気分を高揚させていた1年前のことを思うと、さまざまな思いが交錯していることでしょうね。最後だから一応、述べます。お疲れさまでした。

 

 さて、そういう節目の日であるきょう、毎日新聞の政治面を読んでいて、とても興味深い記事を見つけました。それは「つむじ風」というコラムで、伊藤智永記者が「ぶら下がりの虚像」という見出しで福田氏について書いていた文です。少し引用します(太字は私が入れました)。

 

 《(前略)こんな話を持ち出すのは、今日で首相を終える福田康夫氏の無責任な政権放り出しと、その後の身勝手な言動に考え込んでしまったからだ。首相の器でなかったということに尽きるが、政治記者の多くは、そのことを知っていた。でも、それをきちんと伝えたか。

 

 …これを読んで、私も考え込んでしまいました。率直な感想は、「やっと書いてくれたか」という思いと、「いまさら知っていたというのなら、最初からそう書けばいいのに」という反発が入り交じったものです。そう、私は紙面でもこのブログでも何度も、福田氏はその任に値する人物ではないとしつこいぐらいに強調してきましたが、多くの新聞はずっと福田氏を持ち上げたり、かばったりしてきたという印象があります。そして、伊藤氏が指摘しているように、政治記者であれば、よほど思い込みが激しい人でもない限り、福田氏がその程度の人間であることはだれでも分かっていたはずなのです。この点についても、私が何度も書いてきた通りです。

 

 伊藤氏のコラムはここから、小泉政権以降、昼夜の2回に制限された首相へのぶらさがりインタビューの弊害(本人の実像に迫りにくい)を指摘し、《政治の危機と言うが、半分は政治報道の危機だろう。》と締めくくっています。でも私は、ぶらさがり方式をやめ、森政権までの記者が首相の移動時に常にくっついて質問をぶつけるやり方に戻しても、あまり意味があるとは思いません。むしろ伊藤氏自身が述べているように、「知っていた」ことを書かなかったこと、十分に伝えようとしてこなかったことにこそ、問題があるはずだからです。

 

 朝日新聞は21日の社説「福田外交 道半ばの無念とむなしさ」で、安倍前首相の「価値観外交」を「自由や民主主義といった理念をやたら押し出した」と揶揄する一方、中国をはじめアジア外交を重視した福田氏の「共鳴外交」が終わるのを惜しみ、「正しい政策」と断じていました。このように、特定アジアと強い結びつきだか共感だかを持ち、左翼・リベラル派が幅をきかす多くの新聞社にとっては、福田氏がたとえ××でも△△でも大切にしたい存在であり、批判はしたくなかったということもあるでしょう。実像を伝えることがイコール批判になるというのもやりきれないほどバカらしい話でもありますが。

 

 また、以前も書いたように、報道機関の幹部クラスには、かつて福田氏の父、福田赳夫元首相の世話になった元番記者や派閥担当記者も多く、福田氏に対して「なんとなく」の遠慮があったということもあるかもしれません。実際、福田氏は父親の代から付き合いのある記者には、けっこう電話していたようでしたし。まあ、いずれにしても福田氏はメディアによって膨らまされた「虚像」に持ちあげられ、助けられて首相にまでなり、そして今、こうして寂しく去っていくということになりました。

 

 また、今朝の東京新聞は「福田首相 番記者月例報告」という連載コラムで、「『上から目線』最後まで 問題多発も『人ごと』貫く」という佐藤圭記者の記事を載せていました。佐藤氏はこう書いています。

 

 《退陣表明から急きょ、「首相番」を務めたが、福田政権のキャッチフレーズ「国民目線」というよりは、首相の「上から目線」を感じる日々だった。

 

 これにも私は、「福田氏なんだから、当たり前ではないか」という感想を覚えました。私は小泉政権末期、福田氏が無役のころから、そういう人であるということを口を酸っぱくして言い続けてきましたが、どうして首相を辞める日になってから、こんな当たり前のことが語られ出すのか。こういうマスコミの姿勢が、なるべきでない人を首相にまで押し上げ、日本にとり貴重な1年間を無駄にすることに荷担してきたのではないかという思いがぬぐえません。政治報道がこういう微温的なことを続けていれば、読者からますます見放されるのも仕方がないのかもしれないと、自らへの反省も含めてそう感じています。

 

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